僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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トップガン マーヴェリック

www.youtube.com原題:TOP GUN: MAVERICK
監督:ジョセフ・コジンスキー
アメリカ映画 2022年
☆☆☆☆☆

 

<ストーリー>
アメリカのエリート・パイロットチーム”トップガン”。
かつてない世界の危機を回避する、絶対不可能な【極秘ミッション】に直面していた。
ミッション達成のため、チームに加わったのは、トップガン史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格で組織から追いやられた”マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。
なぜ彼は、新世代トップガンとともにこのミッションに命を懸けるのか?
イムリミットは、すぐそこに迫っていた——。

 

入院もあって大分出遅れましたが、「トップガンマーヴェリック」ようやく見て来ました。おっさん向けのレトロコンテンツかな?と思いきや多方面で大絶賛の嵐、しかも意外と若者とかにも届いたのか、予想以上に大ヒットを飛ばしてるようで、これは一体いかなるものかと俄然興味も湧いてきました。

 

さて実際「トップガンマーヴェリック」とはいかなる映画だったのか・・・

 

いやもう最高。


これ以上無いくらいのバカ映画でした。

 

今時こんなものを作るってどういう神経してんだ?と疑わざるを得ない。
けれど、そんな「こんなもの」を今作れるのは、トム・クルーズ以外に居ないし、逆に言えばもう貴重も貴重、ある意味もう重要文化遺産なんじゃないか?って思わせてくれて、いやもうこれは参りました。こんな凄いものをやれるのはトム意外に無いし、私の言葉じゃないけど「最後のスター映画」って言ってる人が居て、まさしくその通りだなと唸るほかない。

 

これも多くの人が指摘してますけど、こんな戦闘機なんて、今に無人機のドローンにとってかわられて、お前はお役御免になるだけなんだよ?そこわかってるの?という問いに対して、「わかっています。けれどそれは「今」ではない」とマーヴェリック=トム・クルーズが堂々と物語の冒頭で宣言する。もうこれ、思いっきりトムの心情であり、決意ですよね。

 

お前なんかもうロートルだって言われてるのは自分でもわかってる。でも自分の面倒は自分で見るし、ちゃんと自己プロデュースで最後まで自分は自分のやりたい事をやりますよってさ、凄く立派。

 

他の作品に呼ばれてさ、俺は格上のスターなんだって言いはじめたらそれはもはや老害としか言いようが無いけど、トム・クルーズは自分がそもそもプロデューサーなんだし、自分のプロデュースで自分が主役の作品を作ってそれの何が悪いんだ?っていう話ですからね。

 

監督のジョセフ・コジンスキーは「オブリビオン」でもトムと組んでましたが、オブリビオン私観たっけかな?「オールユーニードイズキル」とか近い時期に似たようなSFが何本かあって正直あまり憶えていない。監督単体としては「オンリー・ザ・ブレイブ」が結構凄い映画だったので、そこは憶えてますが、監督デビューは「トロン:レガシー」だったのか。

 

トロン:レガシー」も何十年ぶりかの続編という意味では共通してますし、「ゴーストバスターズ:アフターライフ」とかもそうでした。ヒットしてすぐに続編の企画が動く2~3年後のパート2とかじゃなく、10年20年経ての続編、今回の「マーヴェリック」も何と36年隔てた続編。

 

いや普通に考えたらね、これだけ時間が経ってるんなら「継承」の物語にするのが必然なんですよ。一時代を築いた「ロッキー」がちゃんと今の時代の今の人の価値観に合わせて「クリード」に引き継ぐ。これ以上無いくらいに美しい形で、誰もが納得する100点満点の形。「ゴーストバスターズ:アフターライフ」もまさしく100点満点の、こうあるべきっていう理想的なものをきちんと形にしてくれました。

 

今回の「マーヴェリック」もね、トップガンパイロットとしてではなく、若者に教える立場として戻ってくる。

 

ええとね、私自身も会社では中間管理職という立場です。管理職とか経験してる人はわかると思うんですけど、管理職って現役のプレイヤーからは一歩身を引いて行動しなきゃいけないんですよね。自分がプレイヤーだった経験を生かして、若いのにやらせるより、自分でやった方が百万倍まともな仕事出来るわ!ってなりがちなんだけど、それだと次が育たない。人を育てるのも管理職の仕事なので、そういう考え方が必要になってくる。

 

それ考えたらね、今回のマーヴェリックのまあ酷い事酷い事。上の立場から考えたら典型的なダメな奴の典型もいいとこですよ。百歩譲ってね、誰もクリアできないシミュレーションを、いや実際こうすればできるっしょ?っていうお手本を見せるくらいまでは良いと思うんです。

 

いやそれが実際の映画では、結局お前ら若手より俺の方が実力上だから俺がリーダー。俺が全部攻略するからOK!主役はお前らに譲らないから。主役は俺だから!

 

ってさ、何このクズ野郎?バカじゃないの?と思った。なんかこういうのに触発されてさ、おじさんもまだまだ現役だからお前ら若いのに負けないぜ!みたいな勘違い野郎を世の中に大量に生みだすんじゃないかと思うと、なんつー害悪な映画なんだと、見ていて画面の単純な痛快さと圧倒的な面白さと同時に、そういう嫌な気分にもさせられるという不思議な気持ちで見てました。

 

コンプライアンス的には圧倒的にNGですよこの映画。今時こんな主張をしてたら時代遅れもいいとこ。こんな不謹慎極まりない映画が作られてヒットしてて良いんだろうか?と疑問を感じざるを得ませんでした。

 

でもそんな倫理的にどうたら、時代背景社会背景の上でどうのっていうしがらみを考えずに見れば、これがもう単純明快でわかりやすい、大迫力の画面、戦闘機のカッコよさ、ドキドキワクワクが本当に詰まってる。

 

私は公開から3週間も経ってから見て来ましたが、多分リアルタイムで1作目を見たんだろうなっていう年齢の方も当然居れば、意外と若い層も居るし女性なんかも結構居る。マーベル映画なんかはともかく、私が普段から好んで観てるような映画なんて、多くたって5人、公開初週でさえ3人とかそんなんザラです。でも今回「トップガン」を観に来た人は、多分全員楽しんだんだろうなって思えたんですよね。

 

私はオタクですから小難しい映画を小難しく楽しむなんて普通に出来ます。例えばアカデミー賞をとったりして、名前が売れての上映とかも割とありますけど、普段から映画を見ない人がそういう映画を見たって、正直面白いとは思わないんだろうなって気がするんですよね。「考えさせられた」みたいな程度の語彙力の無い感想しか出ないのって、それはそれで可哀相だなと思うんです。いや「考えない」映画なんて世の中にねーから。

 

でもそういうの見るんだったらさ、今回の「トップガン」を見た方がずっと満足出来ると思うし、映画館に足を運んで「楽しかった」「面白かった」っていう体験だけでも、それは物凄い価値だと思うんです。

 

私には到底理解出来ない文化ですけど、今の世の中、スマホの画面で映画とか見たりするんでしょう?しかも2倍速とかで。でもそういう人って結局映画を好きになる事なんて無いと思うんですよね。暇つぶしとかコンテンツの消費をしてるだけで。

 

でも今回の「トップガン」をなんとなく話題になってるからと、普段はそんなに映画館に行かないけど、たまに映画館で見てみるかって来た人はさ。映画館で見る映画って楽しいんだなって思ってくれるアベレージは相当に高い気がする。それって本当に貴重な事だと思う。

 

私はね、映画館で映画を見る理由の一つに「大画面で見る迫力」とかは絶対に挙げないタイプの人です。それは地味なアート映画だって映画館で見るべきものだと思ってるから。でもね、今回ばかりはそういう言い方もアリなんじゃねぇかな?と思わせてくれるだけのものがあった。

 

1作目の感想記事にも書いてますが、「トップガンマーヴェリック」予告が解禁になったのって2019年です。コロナで公開が2年延びてます。でもトムは配信にOKは出さなかった。これは映画館で見るべき映画だから、何年経とうが劇場のスクリーンで上映できるまで待つ。この判断もまた本当に素晴らしかったと思う。

 

物語に社会性があるかだけがが価値の全てじゃ無い。そういった視点での文化としての価値だって世の中にはある。その面では本当に素晴らしいし、もうね、まさしくトム・クルーズという生き方ですよ。

 

映画館で映画を見るっていう文化は悲しいけど将来廃れて行くんだとは思う。トムにこんな疑問を投げかけたとしましょう。だったら彼はどう答えるだろうか?


「将来的にはそうかもしれないね。けど、まだそれは今の話じゃないよ」

 

凄い映画だと思った。本当に価値がある映画だと思った。

 

いやね、核貯蔵庫を爆破する!?とかそれどうなのよ?昔のF14トムキャット?にまた乗って、最新鋭の戦闘機を撃破する!とか、いやいやいやいやいくら何でもそんなんはやりすぎじゃね?でも・・・そういうのが見たい人が居るんだろうし、それがあるからこそ最高というのはわかる。あからさまなデススター攻略とか、最初にも言いましたが、結局後輩には道を譲らず、俺様映画なんか~い!とかツッコミ所は山ほどありますよ。

でもね、私たまに80年代映画の感想とかでちょこちょこ書いてる、今見るとツッコミ所は大いにあるんだけど。そこを補って有り余るくらいの不思議な魅力がある。そこは自分が子供の頃に映画に感じたワクワク感とかのノスタルジー部分も確かにあるけど、そこだけじゃない、もっと単純な面白さもそれはそれでアリなんじゃないか?という感覚がね、まさしく今回の作品にも当てはまる感じで、バカ映画かい!っていう気持ちも半分は本当なんだけど、素直にこんな映画にワクワクする感じが楽しかったっていうのも本当の気持ちです。

 

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