www.youtube.com原題:AQUAMAN AND THE LOST KINGDOM
監督:ジェームズ・ワン
原作:DCコミックス
アメリカ映画 2023年
☆☆☆
「アクアマン」シリーズとしては2作目。
DCEUとしては13作目に当たり、これが最後の作品とされる。
というか一つ前のDCEU作品「ブルービートル」が日本では劇場未公開のソフト(配信)スルーになり、ユニバースとしても今回が最後。
ライバルとして一時は世界を制したマーベルの方ですら、最新作の「マーベルズ」が歴代興行収入で最低を記録したりと、アメコミスーパーヒーロー映画のバブルは露骨に終焉を迎えてしまいましたね。
勿論私はブーム以前からのオールドファンですから自分がこの手の作品を見なくなるとかはないんですけど、不遇な時代も知ってるのでいつかこのブームにも終わりは来るだろうと覚悟はしてましたし、それがようやく来たかという感じです。
最初の「スパイダーマン」辺りからと考えると、20年も継続したのは十分すぎる期間です。だって今の新成人くらいの人にとっては、生まれた時から映画館で普通に毎年何本もアメコミ映画がかかってる世界線なんでしょう?わたしらおっさんの世代にとってはそれが特別な事に思えるけど、今の若い子にとっては、え?普通じゃね?だって生まれた時からあったし、みたいな感覚なのかなと。
初期の頃は一部のマニアな嗜好家が楽しむものだったものが、いつかそれがスタンダードになり、廃れてはいくものの、それがある事が当たり前の人が居るんだから、新鮮さもなく爆発的なヒットとかは望めないかもしれないけど、定着した文化にはなっていくんだと思います。
DCもマーベルもこの先も新作はどんどん控えてますしね。
とはいえ、一応は今回が最後の作品的な部分に関しては、そんなノスタルジックな感傷を憶えつつも、作品内ではそんなフィナーレ感があるかといえば、そんなのは全く無い、至って普通の「ありきたりなアメコミヒーロー映画」な感じでした。
元々最終章として企画されたものじゃないし、アクアマンは1作目も好評でしたので、普通に2作目であり、おそらくは次もありきな3部作の構想もきっとあった上で作ってるんじゃないかと思われます。でもそれが制作側のオーナーのゴタゴタで、今回で終わり、後はまた仕切り直しするからと、そういうお家騒動に巻き込まれた感じ。
映画アクアマンの良さは、ユニバースとして暗い作風を続けていた中で、ぱっと明るい陽性のヒーローにした事。そして、色々難しい事情もあるのかもしれないけど、そういうのは一端置いといて、酒でも飲んでパーっと騒ごうぜ!という陽キャ思考が個性として生きたとこです。
前回のヴィランでもあるブラックマンタが再びのメインヴィランですが、今回は「家族」というテーマを打ち出す事で前回のもう一人のヴィラン、オーシャンマスターことオームとアクアマンの兄弟にスポットライトを当てる展開。劇中でもふざけて「ロキ」とか言ってたけど、ここがソー&ロキっぽい感じに見えて、向こうでは悲劇に終わった感のある兄弟の話をこちらは、色々と腹に抱えつつ再生していく感じが凄く良かった。
ビジュアル面では前回ほど海中のシーンは多くなく、砂漠パートがまたあったり、髑髏島かジュラシックパークみたいな古代生物がひしめく地上世界みたいな所が多かったのが、賛否分かれる所でしょうか。個人的には海こそがアクアマンの魅力と思うので、そこが減ったのは残念でしたが、前作で十分にやったし、同じ事をまた繰り返し経って仕方ないみたいなクリエイティブな方向でのあえて別な事をやる気持ちもそれはそれでわかりはします。
愚か者は壁を立てるが賢者は橋をかける問題も、アーサーは物理的に解決しちゃうよ的なギャグをやりつつ、ちゃんとね地上と海底、人間とアトランティス二つのかけ橋になるのが自分の役割なんだっていうラストに持って行ったのは素直に良かったし、とってつけた感はあったけど、一つの時代が終わって次はまた新しい時代、新しい世界が始まるよっていうのをここでフィナーレに出来て良かったなと思います。作品の内容的には「フラッシュ」の方がユニバースの終わりっぽいけど、明るいアクアマンが締めくくりをするというのも、キャラに合ってたかなぁと。
欲を言えば本人使えないなら顔は直接移さなくても、口元とシルエットだけでもスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンがアクアマンの演説をTVか何かで見て、あいつ良い事言うじゃないか、とニヤリとして終わってれば満点だったかもしれない。
この作品が面白い作品だったか、良い作品だったかと言えば、私的にはそこまでじゃないだろうと思いつつ、でもアクアマンらしい作品だったなとは思えるし、この「陽な感じ」で全て許せるのは、決して悪くは無かった気がします。
「ブルービートル」はいずれ見ますが、「ブラックアダム」「シャザム2」「フラッシュ」と個人的には気持ちが完全に離れてしまった状態で見た中で、作品に対するまともな評価もする気にならないくらいになってた流れで、最後は素直に今までありがとうと思わせてくれるくらいの感覚に戻してくれたのには素直に感謝したいです。
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