www.youtube.com原題:THE FLASH
監督:アンディ・ムスキエティ
原作:DC COMICS
アメリカ映画 2023年
☆☆
前評判も良く、DC映画最高傑作とか言う話も聞こえてきた本作。
原作で言う所の「フラッシュポイント」がベースで、DCEUの締めくくり、新生DCU前のグランドフィナーレ的な作品として、結構期待してました。
が!好きな人ホンっとごめんなさい。面白い部分良かった部分は勿論あったけど、私の中ではダメな部分の方が大きく感じてしまって、見る前の期待が大きかった分、何これメチャメチャ期待外れもいいとこじゃんってなってしまいました。
理由はきちんと説明しますが、この映画良かったよ~!っていう人にはこの先読んでいただなかなくても結構です。ネガティブな部分の方が多く出てしまうと思うので。
私はマーベル派DC派で言えば圧倒的にマーベル派です。けれど決してDCアンチとかではないです。両方見るし、両方が面白くなってもらう方が良いに決まってます。DC映画は「ザ・バットマン」も「ザ・スーサイドスクワッド」も最高でした。
でもねぇ、DCEUで言えば前作に当たる「シャザム 神々の怒り」「ブラックアダム」辺りからDCEUに関しての制作のゴタゴタや、今回のフラッシュのエズラ・ミラーもそうですが出演俳優の諸問題とかも含めてね、なんだかもう映画はただの残務処理程度にしか思えなくなってしまって、気持ちが全く乗らなくなってしまった。
その分、私は一度ここでリセットをかけて、ジェームズ・ガン体制の新DCUには物凄く期待してます。マーベルとDCはコミックの歴史に置いても切磋琢磨してきたライバル関係ですから、今度は逆に映画でマーベルを上回る面白さをDCはやってくれるのが歴史の流れです。そこに期待せずにはいられません。
予告の時点で出てますし、ティム・バートン版「バットマン」2作で主演を務めたマイケル・キートンがバットマンを再演する。今回はいわゆる最終回の「フラッシュポイント」でもあり、過去の様々な世界が交差すいわばDCの定期イベントの「クライシス」回なわけですよ。
これまで色々あったけど、何だかんだ楽しませてはもらったし、そこに先駆けたDCEU以前の映画ユニバースまで含めて、これまでにありがとうをする回なのかと。これはこれでね、名残惜しいけど、次のステージに行くには仕方ないねと。
そもそもが原作のマルチバース間の移動を最初にやったのがフラッシュです。初代フラッシュである、ジェイ・ギャリックが住むゴールデンエイジの世界がアース2とされ、バリー・アレンらシルバーエイジのアース2は別世界とされていたものが、フラッシュが光速を超えた事で別の世界にたどり着く。それがコミックにおける歴史の転換点でした。
以降、「クライシス・オン・インフィニット・アース」「インフィニット・クライシス」「ファイナル・クライシス」とか、定期的にDCユニバースにリセットをかけるイベントをやるようになり、それがDCの作風や特徴の一つとされています(マーベルは基本、リニューアル的な事はするけど歴史にリセットはかけないので)
「フラッシュポイント」もそんな流れの一つですし、クライシスにおいてフラッシュは重要なポジションです。
私はドラマまでは見てないけど、ドラマ版のアローバースでも確かクライシスイベントやってましたよね?そんな感じでDCと言えば「クライシス」が定番イベントになってます。今回はそれが遂に来たのかと。感慨深い。
はい、ゴメンなさい。それは私が勝手にDCの歴史に重ねて、勝手に期待した物です。DCEUの締めくくり的な声は聞こえて来たけど、別に公式で最終回とは言って無いのかな?
今までどおりのダラダラグダグダした話が、ダラダラグダグダしたまま曖昧に終わる。これの続きがあるかどうかもわからない。そういう話でした。
私が勝手に期待して、勝手に幻滅しただけです。
でもそこで気持ちが思いっきり醒めちゃった。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという心境になっちゃって、もう全然ダメでした。
10年後とかに、「そういうもの」として見たら冷静に見れてもっともっと面白く見れるかもしれません。評判悪い映画でも、最初からそういう前提で見ると、確かに100点の映画とかじゃないけど、要所要所は見所あって、言うほど悪い作品には思えなかったよって、もう映画ファンならあるあるじゃないですか。
次の「ブルービートル」は新しい作品だからまだ良いとして、「アクアマン2ロストキングダム」も見るのは見ますよ。スイーパーヒーロー映画は何でも劇場で見るのはこだわりですから。でもね、新生DCUにはもう全員出なくて良いです。どうせやるなら完全に全てをリニューアルしてゼロからのリスタートを切って欲しいです。だってクライシスってそうじゃないですか。結局はマルチバースが残っていてとか後から出てくるのも含めて、一応は仕切り直しをする。別に、結局はDCEUのキャストが後から出てきても良いんです。でも最初は一応区切りをきちんとやってほしい。
このねぇ、終わらせられないグダグダ感とか未練たらしさがほんっとに嫌でした。一切姿を見せないサイボーグ。一応話に絡むのでそれっぽい姿は映ってたけど、参加はしてないヘンリー・カヴィルのスーパーマン。むしろ私は彼らの方を支持したい気持ちの方が強いです。だってその結果、こfれまでのスーパーマンが出せない事でもっと魅力のある新キャラのスーパーガールが今回出てて(ドラマ版とは別の人ですよね)そこは逆に良かったじゃないですか。凄く良くて、彼女の単品の作品とかも見てみたいと思わせてくれるくらいの魅力がありましたけど、実際には絶対にやってほしくないです。今回の1度きり。2度目は無いってハッキリそこは区切った方が良いです。
ベン・アフレック版バットマン、ワンダーウーマン、アクアマンと出演してくれてプチ同窓会というか、あのジャスティスリーグの続きですよ、感があってそこは嬉しいんだけど、その反面、ただの顔見せ以上のものは何もなくて、なんだかそこも未練がましく感じて、嬉しい感情とガッカリ感情の両方がうずまくというおかしな事に。
そしてそれは今回の売りであるマイケル・キートンバットマンについてもそうです。復習で見た「リターンズ」の感想にも書きましたが、私の中ではあのティム・バートン版の2作がバットマンのオリジナル、バットマンはこういうもの、バットマンはこうでないと、という感覚は一切ありません。それはクリスチャン・ベイルに対してもそうで、バートン版ノーラン版という作家アレンジの一つでしかない、数あるアレンジバージョンの一つ以上の価値は無いです。
そこを考えるとね、ビジュアル的にはやっぱりあのバットマンが帰ってきた感は凄く強いわけですよ。本物感は凄くある(そりゃあ歳とろうが本人であり本物ですしね)
でもさぁ、「バットマン」「バットマンリターンズ」の延長の先に、今回みたいなバットマンが居ると思えます?私はそこが物凄く違和感ありました。
いやね、リターンズの直後とかじゃないですよ。あれからあの世界でも何年も経って、年老いて引退したブルース・ウェインです(あのまま「DKR」できそうな感じですよね)もしかしたらリターンズのあとにあの世界のジャスティスリーグに参加したのかもしれないです。それは実際はマルチバースの世界ですからわかんないですよ。
でも私は直前に映画を見返したのもあってか、あのブルースウェインはゴッサムから外に出るとは思いにくいんだよなぁと。コミュ症の気があるブルースでしたので、そこがやはり正確に難のあるバリーと共鳴しあうとかは面白い目の付けどころだと思ったんですけど、マイケル・キートンがゴッサムの外に行くのは想像しにくい。それこそ「スパイダーマンNWH」でトムホがアベンジャーズの一員なんだって言ったら、他の二人が「え?何それバンド?」みたいな受け答えをするのと同じで、ティム・バートンの世界はあくまで狭い世界に思えてしまう。
いや、今回は映画オタクかヒーローオタクしか知らないようなマニアックなネタで、ニコラス・ケイジがスーパーマンをやってる世界と言うのが描かれてましたが、あれはティム・バートンの企画の「スーパーマンリブス」というのがあって、結局は作られずに流れたんですけど、スーパーマンスーツのテスト写真とかは流出して、それを今回DC映画の過去の歴史として取り入れられてました。
そこ考えると、キートン版ブルースも外に繋がる可能性はゼロでは無かったのかもしれませんが、続くシュマッカー版のどっちの方だっけかな?バットマンがヤンチャで言う事きかないロビンに対して、「やれやれスーパーマンが相棒をとらない理由がわかったよ」的なセリフがあって、あれ?ギャグとは言え、スーパーマンの存在は把握してるんだ的なシーンがあったんですよね(マーベルクロスだかのコラムで誰かも書いてましたし)
だから「フォーエバー」のヴァル・キルマーであったり「&ロビン」のジョージ・クルーニーなんかであればそこにジャスティスリーグの一員として宇宙人と戦うバットマンの姿も想像はできるんだけど、それがティム・バートンの閉じた世界のキートンバットマンが宇宙人と戦う姿は違和感でしか無かった。(それがやっぱりベンアフ版なら最初からそうだから違和感無いですけどね)本人が再演してくれた事に関しては嬉しいけど、これホントにあそこから世界観繋がってるの?感は否めず。
そういう、嬉しいけどなんだか手放しに喜ぶ事も出来なくて色々複雑、というのはDCのDCEU以前の映像化作品の使用に関しても同じです。
クリストファー・リーブのスーパーマン、私は大好きです。彼の自伝を読んで思いっきり影響を受けたりしたくらいの特別な存在。なので今回、嬉しい事は嬉しいんだけど、もうその一瞬だけで涙が溢れて止まらなかったとは全然ならなくって、本人の知らぬ所でこんな風に勝手に使われて可哀相だなとか思ってしまったのも事実。それなら「ヤングスーパーマン」(今回映像入ってました?)で、若きクラーク・ケントの導き手として出演してくれた時の方がよっぽどリスペクトを感じました。
あんまり比べたくは無いけれど、やっぱり「スパイダーマンNWH」と比べると、ただ無駄に消費しているだけ感はどうしても感じてしまう。
そしてようやくフラッシュ本人。いや、彼のドラマはとても良かったです。若い方と今の方とで二人、というのは面白いアプローチだと思ったし、母親父親どちらに対するドラマも描いてあったり決して悪くは無いし今回の話の芯でもあって見応えはありました。
ただとにかく最初からコメディ要素が凄く多くて、これも勝手な想像なんだけど、マーベルの後追いみたいな印象がしてしまって、正直凄く寒いなと思ってしまった。実際は他のキャラがシリアスな分、バリーは差別化して面白キャラにしよう程度のものなんだろうけど、なんか今更売れる為のメソッドを取り入れてる感が強くて、素直にコメディ部分も笑えなかったです。
これも結構穿った見方になってしまっている自覚はあるんだけど、全体的にね、こうすれば受ける的な物を詰め合わせて見た目は豪華で派手な映画にしてあるけど、それが故に本質が見えてこないというか、最後のオチとか、あれ必要だったんですかね?
集大成にしては同ユニバースのはずのシャザムとかスースクは絡まないし、過去映画の集大成にしてはノーラン版とかグリーンランタンとか足りて無い物も多く、どっちも中途半端。最初にも言った個人的な最大の不満点でもあるDCEUもこれで終わりなのかどうかも結局半端なまま。私としては残念映画としか言いようが無いです。
スーパーマンもバットマンもワンダーウーマンもフラッシュも全部もうスパッと切って、過去にとらわれないでスッキリ楽しめる新しい奴を早く見せて下さい。
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