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ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選

ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選(上)

THE ULTRAMAN First included works and masterpiece selection

著:内山まもる
刊:小学館 小学館クリエイティブ 全2巻(上下巻)
2022年
☆☆☆★

 

過去に数度単行本化はされてきたものの、未収録のものも多く、決定版として2022年に上下巻で発売されたのがこちら。

アニメ版ウルトラマンである「ザ☆ウルトラマン」と同タイトルながら関連性は無く、昭和ウルトラマン放送時のコミカライズや、その後の放送中断期間中もコミックでしか読めないウルトラマンとして人気のあった作品。

 

毎回、怪獣が地球に攻めてくるというTVのお決まりパターンでは無く、ウルトラの国を舞台に、ウルトラ兄弟たちが警備隊として日常的に活躍しているという部分で、世界観の広がりを感じさせる。光の国の一般住人としてモブトラマンが何千人も居る世界というのが見れてそこはとても楽しい。確か中学生の頃だったかな?同級生の家に遊びに行ってこれの昔の単行本があって、凄く好きだった記憶がある。

 

てれびくん的な雑誌は買ってもらった事が無かったので、「アンドロメロス」とかその存在は知ってはいたものの割と謎の多い作品でしたが、鎧を着たデザインはカッコ良く好きだったので、その活躍を拝めたのは嬉しかった記憶がある。ただ内山版、メロスとウルフのみで(しかも連載時だったのがウルフは最初メロスIIという表記)マルスとフロルは出ない。そこら辺の活躍も読んだ気はするので、おそらく内山版では無い奴とかも混ざっててそれを読んだのかもしれない。

 

で、そちらの「アンドロメロス」ではなく、その元となったと思われる、普通の「メロス」も出てくる。鎧と面をとれば普通にウルトラ一族みたいな顔ではあるものの、マスクをした状態だと般若とか能面みたいな感じで若干怖い。
でもそれ故にかインパクトもあったし、ファンも多かったのでしょう。後年、日本アニメーター見本市でアニメ化されてたりもしました。

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私は特別にウルトラファンでは無いですし、この作品も過去の遠い思い出程度のものでしかなかったのですが、アトロクでの特集なんかもあり、読んでおきたいなと。

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単行本にもガイガン山崎氏の各話解説とかがついてて非常にありがたいんですが、TV放送に合わせた「レオ」のコミカライズが好評で、TVが終わった後も、漫画だけ連載して欲しいという話から始まったこのオリジナルシリーズ。
学年誌、或いは再掲載されたコロコロコミックの読者にとってはさぞ刺激的で面白かったんだろうなと。いわゆるウルトラ兄弟が集結する客演回ってやっぱり特別感があるじゃないですか。でもそれがデフォルトっていうのは凄く嬉しいですよね。

 

ただ、こうしてまとめて読むと、各話の話の筋立てがどの話も似通っていて、強敵が現れてウルトラ兄弟が次々と殺されて行く(!)という、結構衝撃的な話が多い。え?ウルトラマンってこんなに簡単に殺して良いものなの?と読んでてビックリしました。最後にカタキはとったぞ的な終わり方で、特に生き返ったりしないままの話も多い。

 

え?これって整合性とか、公式度とかそういうのはどうなの?みたいに思ってしまうのは、私は色々知ってしまった大人だからであって、リアルタイムで触れていた子供の読者とかは、そりゃあ衝撃的で印象に残ったのでしょう。
画のクオリティも高いですし、そこで動きも見えるような漫画の上手さもあるし、だからこそ当時の少年たちの心の中では、漫画の先にある実写の映像みたいなものまで想像できたんじゃないのかなと思う。

 

今回、過去の単行本では抜粋収録だった小学五年生版「ウルトラマンT(タロウ)」も全話収録されてるんですが、これの話がやたら暗いし、何ならタロウとかほとんど出て無い話まである。私はウルトラシリーズは全く詳しく無いですけど、タロウってどっちかというと子供向けに振ったシリーズじゃなかったんでしたっけ?色々と衝撃的です。

 

ウルトラマンではなく、ガンダム界隈の話になっちゃうんですけど、ファーストガンダム放映時のコミカライズ版(岡崎優版)とか、水陸両用MSが宇宙に居たりするとかそういうのを笑ったり、ネタにされがちな作品です。私もね、ガンダムビギナーの頃は最初はそういうバカにするノリみたいなのに乗っちゃってた時期もありますが、どんどん調べたり深堀りしていく内に、そりゃあ当時は今みたいに設定が固まってなかった時期だし、逆に時代性を感じられてむしろ面白い部分なのに、それを小馬鹿にするとかちょっと違うのでは?なんて思うようになったんですね。

 

ウルトラマンでもファン界隈でそういうのは多少あったりするのかもしれませんが、少なくともこの本や解説のガイガン山崎さんの認識では、変な部分をあげつらって笑ったりバカにしたりするんじゃなくて、歴史を感じる良い資料だっていうスタンスでいてくれるのは、凄く好感が持てました。

 

ノスタルジーも多少はあるかもしれませんが、門外漢なりに楽しめたし面白かった。

ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選(下)

 

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