僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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非属の才能

非属の才能 (光文社新書)

著:山田玲司
刊:光文社 光文社新書328
2007年
☆☆☆☆

 

「みんなと同じ」が求められるこの国で、
「みんなと違う」自分らしい人生を送る方法はあるのか?

右肩上がりの経済成長が終わり、群れることで幸せを感じられる「恵まれた時代」が過ぎ去った今、なにより必要なのは、未来を担う才能ある人間が、その才能をいかんなく発揮できる環境作りであり、マインド作りだ。ところがいまだにこの社会では、出る杭は打たれ、はみ出し者はいじめられる。横並びがいちばん重視され、斬新な発想や強烈な個性は「群れのルール」に従って矯正、または無視されてしまう。才能ある人間が生きづらい国――それがニッポンだ。もはや今の時代、みんなと同じ必要はまったくない。むしろ、違えば違うほどいい。人はそれぞれだ。各個人が自分の道を自由にゆけばいい。“非属”であること――これこそが新しい時代のスタンダードだ。

 

 本書は「Bバージン」「絶望に効く薬」などで知られる漫画家の山田玲司が、これまで世の中に名を残してきた作家や偉人達が、いかに世間の常識からかけ離れていた存在だったかを根拠とし、同調が求められがちな今の世の中で、あえてそれらの同調に屈せず、「非属」を貫く事こそが才能であり、これからを生き抜くキーワードだと主張する。また、それらは個人主義の自分勝手で迷惑な存在として受け取られ、結果として孤立してしまう事と紙一重である点に関しても鑑み、「和を持って属さず」の精神が大事だと説き、そうならない為の筆者のテクニックなども合わせて語られる。

 本書は「2011年本屋大賞 中二男子に読ませたい!中二賞」を受賞しているが、「みんなと同じ」でなければ、つまはじきにされ、それ故に道から外れる事を極端に恐れるようになった社会は「学生」だけでなく大人の社会人にも十分に通用するだろう。
 流行り物に身を置く事で得られる安心感はそのまま幸福には直結しない。「普通」の彼ら彼女らは本当に幸せそうにしているだろうか。むしろ、社会からは変わり者扱いされながらも、自分の道を歩んでいる人こそが幸せそうにしているように見えてはこないか。みんなと同じような事をしているだけなのに、自分が幸せとは思えない、そんな人達にこそ本書は新しい視野を教えてくれる。

 

とまあちょっとした書評風に書いてみた。
昔、私が社会学を学んだフリースペースでこういう感じの書評書きもちょこちょこやってました。新書とかの面白さを教えてくれたのもそこだったなぁ。

 

ええと、山田玲司先生の漫画、私は1冊も読んだ事無いです。でも私が入会してるニコニコチャンネルの「マクガイヤーチャンネル」というのがあって、それと同じスタジオでやってる「山田玲司ヤングサンデー」という番組が、姉妹番組みたいな感じになってて、お互いがお互いの番組にちょこちょこ出たりしてる。
そこでヤンサンも入会こそしてないけど、無料公開分なんかはちょこちょこ見るようになって、それが結構面白いんですよね。マクガイヤーチャンネルはオタクのための番組で、オタクリテラシーも相当に高いオタクだからこその楽しさなんですが、そこを比べるとヤンサンは例え同じネタを扱ってもオタク度は低め、薄さは感じるものの、でも逆にそういうオタクが喜んでるようなものを一般層に向けて解説する形なので、わかりやすさやまた違う視点があってそこはとても面白かったりする。

 

例え何かしらの映画や漫画、アニメ作品でも、視点が変われば語り口も違ってくる、そういう基本がちゃんとあるわけです。
私も全てとは言いませんが、他の人が語っていないであろう自分の視点みたいなのは多少なりとも意識するようにはしていて、自分が書いたブログ記事が、他でも同じような事しか書いてないなら、それは私がやる意味や価値なんて無い。これまでも何度か書いて来ましたが、100人居れば100通りの視点があるって極々当たり前の事だと私は思ってます。なので、他人と同じ事を書いちゃったりしたらそれはむしろ恥ずかしいと思ってしまう。

他人と同じ事は恥ずかしいことなんです。・・・ええ、そりゃあ私も昔はその逆で「他人と違う事は恥ずかしい」とか思ってた時期がありましたよ。子供の頃はね。それで悩んだりもしましたが、ある時ふと気がついたんです。それは自分の能力が低くて他人と同じ所にたどり着けない負け惜しみみたいなものもあったのかもしれません。他人と同じ事をしようと思っても、能力的に足りなかった私はそこにたどり着けなかった。でもそこで逆に吹っ切れました。それは「他人より劣る」じゃあなく「他人と違う」という個性なんじゃないかと。発想の転換と言えばそうかもしれませんが、子供の頃はひねくれとかそういう感情もきっとあったのでしょう。

でもね、逆にそれに慣れちゃうと、他人と違う方が面白いと思っちゃうようになったんですよね。みんなが「A」を選ぶ中で、あえて「B」を選ぶ。みんながAなんですから、そっちは競争になっちゃって、結局勝つ人と負ける人が出てくるけど、Bなんか自分しかいないんだから最初から勝ちも負けもない。世間的には負け組かもしれませんが、いーよいーよ自分はこっちで満足してるからそっちはみんなで勝手にやっといて!そんな積み重ねがあって大人になるとね、訓練されてなのか、図太くなるのです。

 

ぶっちゃけただのオタクですけど、逆にオタクを極めてやろうと思うもの。おかげで、自分には個性が無いなと思った事なんて一度も無いです。ただそれが世間に通用するかどうかといえば話はまた別ですから、通用するための、世間と戦う為の武器と言うか修行はそれなりにしましたけれど。

 

ただねぇ、それが実際に世間に通用してるのかは微妙な所。他の人と違うものは結構出せてるんじゃないか?という自負はあるものの、実際は独りよがりにしかなってないのかもね?みたいなのも半々。ブログ3年やってね、もうちょっと世間に届くかなぁ?と思ったけれど、残念ながらそこまでではなかった。まだまだ幕内力士になるには程遠く、自分の実力は幕下だったか~くやしい!みたいな感じです。

まあそんな人だからこそ、多数決は止めた方がいいよ、と主張してくれるこういう本に面白味を感じたりするのだけど。

 

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