僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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機動戦士ガンダムF91

 

機動戦士ガンダムF91 (コミックボンボン)
まんが:井上大助
刊:講談社 BOMBOMCOMICS ボンボンKC 全1巻(1991)

 

クロスボーンの前にせっかくなので「F91」のコミカライズ版を。

 

「これでゲームオーバーだド外道――ッ!」はネタに使われたりして意外と有名な気もしますが、全編実はそんな感じでシーブックが物凄くガサツな性格をしてます。

 

F91の映画に合わせたコミックボンボンでのコミカライズ連載ですので、ボンボン読者に合わせた描き方、という所なんでしょうけど、それでも相当に酷い作品。

 

あの繊細で複雑なF91の物語を単純化してあるわけですが、まあ要するに宇宙の征服を企むクロスボーン軍団とヒーローロボットガンダムF91が戦う、という感じにしてあるわけです。当然そこは人間ドラマとかは完全にカット。一応は流れだけ映画本編っぽい流れにはなってるものの、MSのバトルみたいな所だけをメチャメチャ雑に繋げてあるだけの完全な子供騙しのやっつけ仕事です。

 

子供はガンダムなんてモビルスーツしか興味が無いという判断もそりゃわかりますし、(大人だってそんな人多いし)特にF91なんて話の筋も決してわかりやすいものではなかったですが、それでもこれはひどすぎる。

 

以前にも何かの時にちょっと触れましたが、コミックボンボンにおけるガンダムは「プラモ狂四朗」とか「ガンダム野郎」的なガンプラ系の流れと、近藤和久の「MS戦記」から始まり、完全に大人向けっぽかった「Z」のコミカライズがあって、Zはとにかく異質でしたので(当時読者だった私もZのコミカライズは不思議な気持ちで見てました)もう少し単純化してアニメのストーリーを追う形の「ZZ」と「逆シャア」とかがあったわけです。因みにその後の池原しげとの「0080」は子供向けなりに丁寧な作品で割と良い。流石は「ファミコン風雲児」の池原だと当時も思ってました。

 

ただ、当時はSDガンダムが主流で、「武者ガンダム」とかナイトガンダムの「SDガンダム外伝」がもう人気絶頂の頃でしたし、難しいリアルガンダムをそのままやっても子供は食いつかないだろうと言う判断はあったのだろう事は推測できます。
それがこの「F91」のコミカライズの作風にも表れてはいるんだろうし、続く「Vガン」も作者は違えど近い作風。
そこから、もう少しアニメに近い物であっても良いのではと、ときた洸一の「Gガン」以降のコミカライズに続くので、私はときた嫌いですが、その功績は評価せざるを得ない。

 

ちなみに今回の作者の井上大助は、その前だとオリジナル作品の「はじけてザック」とか連載してた人なはず。エログロな作風で、なんと今回のF91でも雑なMS描写とは反対に、バグで人間が木っ端微塵になるシーンだけ超絶気合を入れてめちゃめちゃグロく描かれてたりする。どう見てもお前そこが一番気合入れてるだろうってくらいに。

 

この手のコミカライズ作品は、初期プロットとかを元にしていたりして、実際の作品では描かれなかった設定とかを垣間見れたりできる部分が一応の価値だったりする事もありますが、この作品に限ってはそういった所もこれといって無い。ジェガンとF91の大きさに差が無かったりと、変な部分が目につくくらい。

 

アンナマリーとかは流石に削られる要素だろうと言うのは理解出来ますが、アノー博士も出てこなければ、みんな大好きビルギットさんも居ないし、レアリー艦長代行も出て無いので、非常に寂しい。

 

全5回の連載だったようで、恐らくは終盤は映画を見た後で描いてると思われますが、ラストバトルは映画の流れを再現してるものの、鉄仮面が「どうだ わしは永遠に死ぬ事の無い体なのだ」とか、いやそれどんな設定?という感じに。

 

繰り返しになりますが、子供はガンダム見てもMSしか見てないよ、っていうのはある意味わかります。自分も子供の頃はそうでしたから。でもそういうのがあったからこそ、逆に私は大人でもMSの事しか語れない大人は嫌だな、と思うようになったというのもあったりする。

 

今でも、初対面の人とか、あまり親しくない人とたまたま話する事になったりした時に、「へぇ~ガンダム好きなんですか?どの作品が好きですか?」とかから入って「好きなMSは?」とか、MSをとっかかりにはするのですが、そこから探り探り、どこまでこの人は対応できる人かな?とか判断しちゃう悪い癖が私にはあったりします。


で、そこで「ああこの人はMSしか語れねーな」と判断しちゃうと、あんまりこの人とは建設的な深い話はできねーな、と勝手に決めつけたりする、嫌な人だったりする。いや別にMSの話はMSの話で面白いし、ディープな話だったりするとそれはそれで楽しいのですが、なかなかね、そこまで詳しい人はそうそう居なかったりしますし、ガンダムの話とかしたいくせにそうやって自分で壁を作ったりしてる私。

 

ガンダムに限らずですが、その辺、難しくないですか?こいつは生粋のマニアだ!みたいな人となら話したいし、そう言う人は好きなんですけど、なんかこの人は普通の浅い人だとか思っちゃうと、こっちからブレーキを踏んでしまいます。いやどうでもいい話ですけど。

 

関係無いけど井上大助氏って、調べたら単行本にはなってないけど「テッカマンブレード」とか「ジェットマン」のコミカライズもやってたりするんですね。怖い物見たさでちょっと興味あるかも。

 

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