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コナン・ザ・グレート

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原題:CONAN THE BARBARIAN
監督・脚本:ジョン・ミリアス
脚本:オリバー・ストーン
原作:ロバート・E・ハワード
アメリカ映画 1982年
☆☆☆☆★

アーノルド・シュワルツェネッガーのメジャーデビュー作。
私はシュワちゃんと言えば「ターミネーター」でも「コマンドー」でもなくこれが一番好きな作品。いや「プレデター」も悪くないしむしろ「トタルリコール」の方が映画としては面白いと思うけど、それでも私にとっては特別な一本・・・というより2作目の「キングオブデストロイヤー」とスピンオフ「レッドソニア」含めた3本のシリーズとして至高。

 

モリコーネの追悼として「レッドソニア」を再見した時の感想にも書いてますが、日本でファンタジーの世界観を一般的にした「ドラクエ」よりもずっと前に作られた作品。私はTV放送で見たのが最初だと思うので、恐らくは後追いでゲームのファンタジーと同じくらいの時期にこれに触れてる。

 

何せ初代ファミコン時代ですからゲームの中はディフォルメされた記号で画面が構成されてるけど、そのファンタジー世界の「本当」はこういう冒険が繰り広げられているんだ、という観点で見ていたわけです。
親しみやすくアレンジされたものは、子供騙しなんだって思うような子供でした。まあ実際、さしたるロジックも持っておらす、今思えばそれただの好みの話だろってレベルですが。

 

で、今回久々に見返してて思ったのですが、シュワちゃんってボディービルダー出身じゃないですか。アスリート出身で筋肉ムキムキなんじゃなく、見せるために大きければ大きいほど良い筋肉。実はそのハッタリ感こそが、この映画に逆にリアリティを与えたんじゃないかなぁと感じた。

 

この映画に限った話じゃいですが、アスリート体型じゃなく、それ以上のマッチョマンだから相手を放り投げたらポーンと飛んで行っても、この体なら出来るのかもしれないと思わせてくれる、嘘の説得力がある。

例えばカンフー映画のアクションとかでも、パンチやキックでバキッ!ドガッ!みたいな効果音入るじゃないですか。でも実際に人殴ってもそんな音しませんよね。そこは映画の中で気持ち良く見る為の嘘です。
それと同じで、ファンタジー世界で大剣を振りまわし、この過酷な世界を生き残るにはこれくらい鍛え上げられた肉体が必要なのかもしれない、と思わせる力がある。

 

ちなみにこのシリーズ、紀元前1万年前くらいのハイボリア期という架空の歴史がベースになっていて、コナンが信じる神がクロム=鋼だったりするんですが、今回見返しててそこが面白いなと。普通に剣や斧はある世界なので、製鉄技術はある文化レベルなんですけど、鋼は貴重な存在。同じように自分の肉体を鍛えに鍛え上げ、比喩としてですが鋼のような肉体にまで鍛え上げる。

 

その精神性こそが彼にとっての神でありキャラクター性にもなってる。仲間のサボタイは弓矢使いで、彼の信仰は風の神というのも同じです。でもやっぱり、風や火、大地や光の神とかならよくあるけど、鋼信仰って独特で面白いですよね。ゲームとかだと、鋼の剣なんて序盤から中盤にさしかかるくらいの時期の装備ですけど、この世界じゃ鋼こそが至高、みたいな感じがすげぇカッコいい。

 

そしてコナンの親の敵として敵対する邪教が蛇の神。神殿の造形とかも面白いですし、なかなかのグロさですがカニバリズム文化もあるようで、これぞまさに邪教の総本山という感じがたまらん。

 

しかも1回目に乗りこむ時に、コナンらが墨や泥で体を迷彩仕様にしたり、逆に追撃を迎え撃つ時は色々な罠を作ったりするのですが、これがまた後のシュワちゃん映画の原型っぽくてメチャメチャ上がる。特に後者って「七人の侍」のオマージュみたいな感じですよね。こっちは二人ですが。

 

例えばゼロ年代初期に「ロード・オブ・ザ・リング」が大ヒットしたのって、みんな元々の指輪物語を読んでいて、それの映像化を楽しみにしていたっていうのじゃないと思うんですよ(勿論、そういう人も沢山居ただろうけど)大半の人は、どうやらファンタジーRPGとかの原点的な作品らしいよ、せっかくなら見てみようかってなって、映画のクオリティの高さも相まって大ヒットしたんだと思う。もうある程度ファンタジーの世界がゲームなんかで馴染みがあった上でのヒット。

 

そこ考えるとさぁ、やっぱり「コナン」って紀元前の物語っていう設定と似たようなもので、有史以前な感じがむしろ心地良い。
まずロバート・E・ハワードの原作小説ありき、そこからフランク・フラゼッタのアートがあって、その次にこの映画がエポックメイキング的な衝撃を与え、そこからまた世界が広がっていった、的な段階を踏む感じが面白いじゃあないですか。


それこそ「ゴールデンアックス」を始めとした、マッチョが裸で剣を振るうゲームなんか山ほどあるじゃないですか。(多分そこは「D&D」→「ロードス島」の流れとはまた別ですよね?)もしかしてビキニアーマーとかもこっちに近いのかな?

 

基本重厚でシリアスな中で何箇所か今のマーベル映画みたいなギャグシーンも入ってたりと、ひっさびさに見たけど新鮮で面白かった。
最初、ディズニープラスにもあったのでそれで見ようと思ったら吹き替えが無い。DVDをひっぱり出してきて観ました。やっぱねぇシュワちゃん玄田哲章の吹き替えありきですよ。なんでも初めて玄田さんが初めてシュワちゃんの声をやったのがこの作品なんだとか。そういう意味でも貴重な一本。

 

決して高尚な映画とかではないけれど、歴史的価値も大きいし、子供の頃から大好きな一本です。

名探偵や未来少年も良いけれど、たまにはこんなコナンはいかがでしょうか。

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