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ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋

ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

JOJO'S BIZARRE ADVENTURE
原作:上遠野浩平
作画:カラスマタスク
Original Concept:荒木飛呂彦
刊:集英社 ジャンプ・コミックス 全3巻(2022-2023)
☆★

 

第3部と第4部の狭間を描くジョジョ初のスピンオフコミック
ブギーポップ」シリーズ、「恥知らずのパープルヘイズ」の上遠野浩平が原作で、「ノーガンズ・ライフ」のカラスマタスクが作画担当。

 

絵が超絶に上手い。既存のキャラや設定がどんどん出てきて、ジョジョのファンなら、あれがこう繋がるのか!みたいな、サービス精神がこれでもかと入ってる。これで面白くならないはずが無い・・・と思われたが、

 

う~ん、この内容で何でここまでつまんなくなるのでしょうか?


読み始めた最初だけ物凄くワクワクさせられたのですが、ぶっちゃけたった全3巻なのに読んでて結構苦痛でした。

 

いや、決して悪い物では無いと思います。好きな人は結構楽しめる気がする。でも私は凄く肌に合わなかったなぁ・・・。ホル・ホースボインゴと仗助がメインですけど、きっと荒木先生が描いたらこういうものでは無いんだろうなってつい思ってしまう。ジョジョ本編と繋げるには違和感を覚えるというか。

 


あと、原作の上遠野浩平先生は確か昔から荒木先生からのの影響を公言してて代表作の「ブギーポップ」も私よくは知らないけど確か能力バトル系の話なんですよね。よくインフレ系パワーバトルから能力系の頭脳戦にシフトしたのが「ジョジョ」の漫画界における革新の部分って言われる事が多い。


でも多くの荒木フォロワー、ジョジョフォロワーの能力バトル系がちょっと荒木本人と違ってるのは、大概の人は能力バトルのロジックやトリックを重視しちゃうんですよね。そこは頭脳戦としての面白さの基本だから、それは普通の考え方ですし結構な事なんですけど、荒木本人もそこは「どんなものにも根拠は必要」という考えなのは共通している。


でも荒木が特異なのは作者或いはそのキャラなんかの精神性という客観的でない曖昧な物でもそれをロジック=根拠の軸に出来る所にある。

具体例を上げると、単純な逃げの一手は漫画の主人公としてふさわしく無いけれど、勝利を掴むための手段としての逃げは肯定できる、みたいな考え方をしている事。本当に確立的な偶然での勝利は描きたくないけど、勝利を掴むための道筋を自分で選択した上で掴んだ偶然は、偶然であって偶然では無いからそれはアリ。みたいなのも含む。

 

という、他人から見たらちょっとそれは強引なのでは?というものでも精神性を正当化させることで通してるから、完璧な理屈だけで構成しようとする能力バトルと比べたら、意外とジョジョってロジックとしては矛盾が多く無い?理屈より精神性を重視するの?と感じるだろうし、逆に言えば精神性にこだわる所こそが荒木先生の、そして
ジョジョの面白さでもある。

この辺りを理解しないでジョジョ語りをしてる人が居ると、私は
あ~わかってないなぁってすっごく思う。それこ4部は「黄金の精神」とか
精神性には拘ってたじゃん。そこからの今に続くテーマの派生や思想が繋がってるのがジョジョの面白味だと私は理解してます。

 

そんな風に考えるとですね、今回の作品は精神性よりもロジックや歴史に矛盾が出ないように、みたいなとことか、埋まっていなかったピースをこうすれば埋められますよ、的な所の方を重視しちゃった印象で、そこが私には合わなかったし、荒木飛呂彦の思想=ジョジョと考えた時のこれじゃない感があったのかなとも思います。

 

あともう一つ「荒木飛呂彦の漫画術」で本人が語ってますが、荒木漫画の基礎って「サスペンス描写」なんですよね。そこの描き方もねぇ・・・なんか荒木のコピーをしようとしてしきれていない感がなんとも微妙でした。

まあそこも「過去の出来事を再現して見せる」という今回の能力にぴったりなテーマなんじゃないの?と言われると、そこはそれこそ「矛盾して無い」のかもしれません。

 

ただそもそもね、荒木本人じゃ無いんだし、違う人が描くからこその違う魅力があって良いんじゃないのか?と言われたら、それはその通りだと思います。

ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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