演出:渡辺一貴 脚本:小林靖子
原作:荒木飛呂彦
日本 TVドラマ 2021年 全3話(4~6話)
☆☆☆
2020年の年末に全3話で放送された、NHKドラマ版「岸辺露伴は動かない」。好評だったようで、丁度1年後の2021年末に今回も3エピソードの新作が放送されました。
今回は
4話「ザ・ラン」
5話「背中の正面」
6話「六壁坂」
の3エピソード。OVAにもなった4話と6話はともかく、注目は5話。なんと本編「ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない」から抜粋と言う面白い試みでした。
1期目の時も一応、各話の繋がりはあった感じでしたが、2期目の今回は6話目に繋がるよう、全部関連したエピソードにアレンジ。そしてこれまた前回もそうでしたけど、担当編集者の泉京香が露伴先生の相棒的なポジションとして、原作で出て無い話でも登場する形に。
背中の正面、康一君どうするのかな~と思ったら、そこを泉君に当てるというのはなかなか面白いアレンジでした。勿論スタンドは持ってないけど。
なんか露伴先生の喋り方が、ますます芝居ががってる感じがして、ぶっちゃけドラマとしてはちょっと変かなぁとも思うのですが、まあちょっと奇妙なのも荒木テイストだと思えばそこまで気になる程でも無いか。
露伴役の高橋一生がインタビュー記事で言ってたんですけど、ジョジョは6部から2周目の世界に突入した。元とは似て事なる世界なので、実はドラマもそんな2周目の露伴という感覚で、元と全く同じで無くても良い、同じ人をベースとしながらちょっと違う存在として演じてるので、そこはとても気が楽だし、自分なりに演じられるって言ってて、そこは妙に納得しました。
靖子にゃんも似たような事を言ってたっけかな?なんかそれ考えるとちょっと楽しいですよね。同じような話だけど、ちょっと違う物として自由にアレンジして書けるっていう。
そこ、実はアメコミ映画なんかもそうなんですよ。勿論後付けですが、例えば原作の基準世界がアース616という設定になってて、MCUが確かアース19999とかいう設定に原作上はなってる。設定繋がって無い映画も、それぞれ別アースの設定がつけられてます。多少元とは違っても、あるいは全然別物になってても、そこはそのアースの世界だから、その世界においては本物だよ、っていう感じにしてあるんですよね。確かにそういう許容の仕方もあるな、っていう面白い設定ですよね。
そういう感じで捉えると、1話の「富豪村」の時に、これは山の神が相手なんだ!みたいにやってましたが、今回の4~6話も、「怪異」みたいな存在があって、それと対峙する、という世界観で統一されてました。なんか敵は「怪異」とか断言しちゃうと、それはそれで「化物語」っぽいですけど。
「ザ・ラン」とか、原作だと「こいつヘルメス神に獲りつかれているのか?」とか言って筋肉が翼の形になってましたが、そこは西洋神だと合わないと判断されたのか、翼の描写が無かった。
ただそうやって3話で一つの話に纏めちゃった分、オムニバス感は弱い。個人的には連続ドラマを求めてるわけじゃないので、1話1話で単独で奇妙な話として見たいかなって私は思いました。
今回は第5話「背中の正面」が一番面白かった。確かに、振り向いてはいけない小道も都市伝説っぽいですもんね。鈴美さんは流石に出ませんでしたが横断歩道の「とおりゃんせ」が「かごめかごめ」に変わる辺りは和ホラーっぽくて良かったんじゃないかと。欲を言えばカメラでも背中は見えないような画面構成にしてほしかったけれど。
まあそんなんは素人でも思いつく演出なので、そこはあえてなのかなぁ?「六壁坂」でも血が出るシーンはモノクロになったり、傷跡を焼いて止めようとしたり、血を飲むようなグロテスクなシーンは無かったりと、ちょっと物足りない部分も多少はあったかな。
あ、あと特別番組の「私の岸辺露伴語り」と「天才テレビ君」のPR番組2本もセットで録画して見たので、そいうのも楽しかった。いつのまにかジョジョもメジャー作品ですよね。
次はまた1年後とかにやってくれるんでしょうか?
超絶面白い!って程ではないけど、なかなかに楽しい作品ではあるので、次もまた是非見たいです。
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