僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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マイティ・ソー (MCUその4)

マイティ・ソー [DVD]

原題:THOR
監督:ケネス・ブラナー
原作:MARVEL
アメリカ映画 2011年
☆☆☆☆

 

ブラックウィドウ」も延期になってしまいましたね。収束が全く見えないのが非常にもどかしいです。そんなこんなで月一更新になってしまっているMCU振り返り。今回は4作目「マイティ・ソー」です。

 

コメディ要素を大幅に増やした3作目「バトルロイヤル」が好評を博したものの、1と2が微妙と言われがちなソーシリーズですが、私も2作とも嫌いじゃないものの、割とネガティブな世間のイメージに引きずられていましたが、こうして見返してみると、MCUらしさに溢れていて、とても楽しめました。

 

思ってた以上にコメディシーンが多く、笑ってしまいました。暗くてシリアスな流れが多かったアメコミ映画の中で、アイアンマンのトニー・スタークが陽のキャラクターで流れを変えた、とよく言われますが、続くこちらのソーもまさしく陽側のキャラクター。

 

ダークでシリアスなのは好きですし、アメコミ知らない人が絶賛した「ダークナイト」はともかくゼロ年代前半の「X-MEN」やサム・ライミ版「スパイダーマン」もすご~くシリアスでした。確かに私もそういうの大好きではあります。

 

でも、コメディシーンこそありますが、本来は陽のキャラクターであるスパイダーマンでさえ、話のトーンは青春物でシリアス。やたら重たい話を押しつけられてピーター可哀相、あまりピーターをいじめないであげて、っていうのは原作もそうなのですが、MCU版のスパイディのように、本来は普段は戦闘中でも軽口をつねに喋りながら戦ってたりするキャラクターです。そこをライミ版では再現してませんでした。

 

そういった流れの中で出てきたトニー・スタークとそれに続いたソー。意図したものか、たまたまそうなっただけなのかはわかりませんが、アイアンマンの次はキャプテン・アメリカの方が流れ的には良さそうな所をソーが間に入って、陽のキャラクターの流れを作ったのは、後々のイメージも考えれば、印象付けの面では割と大きかったのかな、と今なら思います。

 

ソーを演じた、クリス・ヘムズワースさん、元々コメディ志向だったようで、バトルロイヤルの時に、もっと自由に好きなようにやってみたら?と言われて開眼。アイアンマンのダウニーjr.、キャップのクリス・エヴァンスと共にMUC卒業予定だったものを、この路線でもう一本やりたいと卒業を保留してソー4作目に望む形になりました。

 

正直言えば、アベンジャーズBIG3の中で、ソーは原作とMCU版では一番解離の大きいキャラだと思います。アスガルド時代のやんちゃな過去のソーも原作の中で描かれたりはしてきましたけど、アベンジャーズ加入後は、基本的に威厳のあるキャラクターで喋り方も時代がかってたりする、いわゆる重鎮キャラ。

 

映画もまだその若い時のキャラが、王としての使命、王に必要な心を学んで成長するっていうドラマにしてあるので、ふり幅自体は大きくとれるような作品になっている。クリス・ヘムズワース自身が若いのと、ルックスが目元がまるで子犬か小動物みたいに純真で可愛い感じなので、いくらヒゲを生やそうが、非常にチャーミングに見えます。

 

原作のソーのようにしたいのならば、序盤はともかく、最後に成長を見せて、それこそ親父のオーディンのような威厳を身につける所まで描かなければならなかったはず。ただ、どう考えてもヘムズワースがアンソニー・ホプキンスのように成長するには映画1本だけではいささか無理があります。

 

なので、MCU版ソーは原作ともまた違うキャラクター像を作って行く事になるわけですが、その成長過程の中の最初の一歩という視点で見ると、これが凄く面白かった。原作を上手く再現する事だけが原作物映画じゃないよっていうのを後に世界ナンバーワンコンテンツの結果を出したMCUがこうして体現していくきっかけになった1作とも言えるのではないでしょうか。

 

そして「アイアンマン」「ハルク」では一応現実のこの世界を舞台にしていましたが、この作品から一気に神様の世界へと拡張。これは作る方も受け入れる側も結構な冒険だった事を想像するのは容易い。


正確にはマルチバースでは無いですが、我々が生きている世界の他にもまた別の世界が広がっているんだよ、っていうのは、単品の映画ならまだ許せるとして、それを一つのユニバースとして繋がった世界で描くって相当な難易度だと思います。

 

「ファーフロムホーム」ではMCUの世界にはマルチバースとか無いんだよ、というような描き方をしてましたが、あれはどう考えても、今後マルチバースを出すからその為の準備ですよね。(MCUでは無いものの、近い時期に「スパイダーバース」が作られて、批評・興行収入共に大きく評価されたのも準備期間としてプラスに働きました)そういう世界観の広がりをシリーズの中で切り開いたのもこの作品が一番最初と言えるでしょうし、そういった面での功績も相当に大きいです。

 

そういうマクロな視点だけでなく、多彩なキャラクターが例えドラマ的にさほど大きな意味を持たないものであったとしても、一人ひとりが短い時間でもすごく魅力的に描かれているのも好印象。ウォリアー3+シフだけでなく、ミッドガルド=人間側の世界もジェーン、セルヴィグ教授、ダーシーの3人組がとても魅力的でした。このキャラ達をもっと見ていたいなと思わせてくれます。後に、半ば使い捨て的に殺されちゃったり出番が無いのも触れられないような扱いをされちゃったのが本当に勿体無い。

 

販促気味で何でもありなのがアメコミの世界でもあるので、また何か理由こじつけてでもMCUに戻ってきてほしいと思えるキャラばかりでした。

 

そしてソーと言えばやはりロキ。シリーズ作品のトーンの変化と共に、もはや愛されるギャグキャラ化してしまうロキですが、この時点では結構シリアスにドラマしてて、凄く見ごたえもある。この作品のみでも物凄く味わい深く魅力のあるキャラです。

 

シェイクスピア劇なんかをやってきたケネス・ブラナーがこの世界を説得力あるものとして描いた、的なのがこの作品を評する時によく言われる事ですが、そこはもちろん、キャラクターの描き方やコメディとのバランス、原作にこだわりすぎず、役者の力を信じてドラマを作ったりと、結構いろいろな面でMCUの黎明期らしい、新しい魅力に溢れた作品だなと改めて感じさせてくれました。うん、すごく面白いです。

 

といった所で、次は私も一番好きなキャップへバトンタッチです(アイアンマンVSキャップだったら私はキャップ派ですので)次こそ1カ月とか感覚開けないで行きたい所。


マイティ・ソー

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