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勇者ソー アスガルドの伝説

勇者ソー:アスガルドの伝説 [DVD]

原題:THOR:TALES OF ASGARD
監督:サム・リウ
原作:MARVEL
アメリカ OVA 2011年
☆☆☆☆

 

過去に取り上げた「アイアンマン:鋼の戦士」「ハルクVSウルヴァリン」と同じくマーベル・アニメイテッド・ユニバースとして発売されたものの中の一つ。ナンバリングは一応「7」のようですが、例によって特に作品どうしの繋がりは無く、単品で楽しめるOVAです。

 

スタン・リー&ジャック・カービー作「マイティ・ソーアスガルドの伝説」という日本語版アメコミが以前出ていて、そちらの方はソーのメインシリーズに5ページの短編として、アスガルド時代の冒険譚が同時掲載されていて、そちらをまとめたものなのですが、1963年~のコミックにカラーのみCGで彩色したバージョンで、これがなかなかに手ごわい代物。スタン・リーとカービーというアメコミ界でもレジェンドの作品を読めるのはとても貴重なのですが、今のCGで彩色しなおしてあると、逆にアートの良さも生きてないし、正直古いままの方がかえって味が出てたんじゃないかと思えてしまい、その上たった5ページの短編連作で他のマーベルユニバースとの絡みも無しだと、いくらスタン・リーとは言え、ストーリーもちょっと微妙な感じ。読むのにとても苦労したので、再読するにはちょっとなぁ、という印象の本です。ただ、ソー初登場号の「ジャーニー・イントゥ・ミステリー#83」も特別収録されているので、そういった意味では貴重な一冊になっています。

マイティ・ソー:アスガルドの伝説 (ShoPro Books)

 

タイトルだけ見て、こちらのOVAもそれのアニメ版なのだと思ってましたが、実は全然違ってました。オリジナルストーリーで、ソーの少年期の時代で、何とロキもまだひねくれてないのです。その後を思わせる描写はありつつも、ソーとロキが仲よく兄弟していた姿はとても微笑ましくて楽しく見れました。

 

物語はいわゆる「貴種流離譚」の典型的なストーリーなのですが、(同じジャンルなのでちょっと「バーフバリ」っぽいです)これが抜群に面白い。

 

王族として、世間には甘やかされて育ったソーが自分の力に奢り、認めてくれぬ父オーディンを見返してやろうと、ロキと共にウォリアーズ3も巻き込み、冒険の旅に出る中で、自らの愚かさを知り、本当の王として目覚める。

 

ソーだけでなく、オーディンも父としての葛藤などがきちんと描かれ、自らの種族のダークエルフ族は滅ぼされてしまったものの、一人生き延び、オーディンの右腕となり、ソーの成長を見守るアルグリムの心の奥底にあるもの、単純な敵として描かれがちな氷の巨人族の彼らなりの国への思いや、ただ力で侵略するだけでなく彼らなりの平和とのバランスを考えてある辺りは凄く良い描き方です。

 

ソーの成長だけでなく、2転3転する物語や、絵的な面でも極端にバタ臭くなく、ほどよいスタイリッシュさで凄く見やすいし、戦闘シーンも非常にカッコよく、それでいて、ただチャンバラするだけでなくアイデア溢れる形になってる辺り、かなり質の高い作品になってるんじゃないでしょうか。

 

氷の巨人が波動拳を打つとこはちょっと笑ってしまいました。

 

DCの方はOVAでも面白いものが沢山あるんですけど、この作品に限ってはそういったDC作品に引けをとらない、すごく面白い作品になってます。マーベルのアニメは微妙なのが多いというイメージでしたので、正直期待はせずに見たのですが、これはメチャメチャ面白いです。見てない人には素直にオススメしたくなる作品でした。

 

勿論、MCU映画のソーとは違いますし、他のヒーローのゲスト出演とかも無いのですが、それでも十分に面白いし、必見の作品です。ホント面白かった。


勇者ソー 〜アスガルドの伝説〜 (字幕版) - Trailer

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