僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

ドクター・ストレンジ

ドクター・ストレンジ (週刊少年マガジンコミックス)

DOCTOR STRANGE
著:春壱
刊:講談社コミックス マガジン 全1巻
2017年(掲載2016-17)
☆☆☆★


“上から目線の天才外科医”には弟がいた!?“ドクター”・ストレンジの原点と未来。

 

映画の公開に合わせて週刊少年マガジンに「エピソード0」が掲載され、その後に電子アプリ「マンガボックス」で連載された作品のようです。
MCU映画に合わせて出る「プレリュード」シリーズの日本版独自版みたいなもんでしょうか。公式タイ・インとかでは無いものの、勿論マーベル監修。設定も映画基準で描かれた、漫画版ドクター・ストレンジです。

作者の春壱氏は現在はスターウォーズのスピンオフ漫画を連載中の様子。

 

えーと、まず最初にお断りしておきます。「僕のヒーローアカデミア」の記事でも少し触れましたが、私は「アメコミっぽい漫画」にはちょっと懐疑的な方です。日本の漫画もアメリカンコミックも、どちらも独自の文化で発展してきて、それぞれ別の良さがあると思ってます。なので、アメコミっぽいものを漫画でやったって仕方なくない?アメコミっぽいものを読みたいなら、わざわざ「っぽいもの」ではなく普通にアメコミ読めばいいんじゃね?とか思ってしまう方。

 

「ヒロアカ」漫画は未だ読んでませんが、アニメの方は見てて、凄く面白いです。ただその面白さはアメコミっぽさじゃなく、日本の漫画的な面白さ。或いは、アメコミ的な物を日本でやると比較してこうなる、みたいな「違い」の面白さです。

 

なので、漫画版のドクターストレンジ?え~そんなの誰が読みたいの?つーか面白いわけないじゃ・・・あれ?え?うん、凄く面白い。

 

とても面白かった。偏見は良くないね、とちょっと反省。

 

どういう面白さかと言うと、勿論アメコミの面白さとは全然違ってて、漫画らしい面白さでした。映画で見た魅力的なキャラクターや世界観を日本の漫画の文脈で描いた面白さです。

 

キャラクターの立て方や配置、ちょっとしたギャグなんかも凄く日本の漫画的なセンスで描いてある。そもそもMCUって元はアメコミのキャラクターですけど、単純に映画としても出来が良い物ですので、アメコミを真似して描いた漫画じゃ無く、映画のキャラクターを日本的なアレンジで描く、という感じなのかなと思います。

 

漫画は魔法ヒーローになる以前の医者時代がメインに描かれてますが、傲慢な性格は、実はストレンジ本人的にはちゃんと理にかなった理由があるし、傲慢に見えて悪い人じゃ無いんだよ、的な感じで描かれてます。


これがスタン・リーのオリジンだったら結構本当に嫌な奴として描いてあったりしました。で、その中にも良い部分はあって、反省の後に改心する、みたいな「変化」のドラマとして作ってあるわけですが、ある意味そこがアメコミちっくな面白さ。


こちらの漫画も勿論、「変化」はあるのですが、ちょっと繊細な感じで、逆にこういうのはアメコミには無いとまでは言わないまでも、日本の漫画らしい描き方だなぁと感じました。

 

あとは映画には出てない城ノ崎ジェマという日本ハーフの看護師がメインキャラとしてストレンジに鬼絡みするのですが、彼女の描き方や絡ませ方もとても日本の漫画的。ちょっとうざったい部分もありますが、逆にそこが魅力でもあり、まるでアメコミのキャラクターに漫画のキャラクターが絡んでいるようなメタ的な視点としても読めて、凄く面白い作りになってました。

 

「ヒロアカ」もそうでしたが、ただアメコミにあこがれてその真似をするんじゃなくて、日本人なら漫画でこういう描き方をするぞ、って感じになってるのがとても良いです。

 

ストレンジの家族構成とかはこのマンガのオリジナルなのかな?原作だとどうなってたかは私は知りませんが、元ネタがあった上でのアレンジか勝手に考えたオリジナルかは不明なものの、ストレンジが医者を目指したきっかけとか、それによって失ってしまった物とか、凄く漫画的な掘り下げ方をしていて、そこも面白い。

 

そうかと思えば、後半で「ドリームディメンション」とかが出てくる。確か映画では夢次元に入ってはいなかったはず。原作に出てくる要素なんですよねそれ。そういうマニア心をくすぐる要素もちゃんとあって、予想以上に面白かった。

 

前半は映画前ですが、後半は映画後のストーリーになってて、ウォンのビヨンセネタとか笑わせてくれますし、何気に「ドクターストレンジ1.5」と言っても良いくらいの話でした。うん、まあ流石にそれは言い過ぎか。その後のサイドストーリーくらいかも。

 

後半のヴィランの描き方がちょっとよくわからなかったり、ウォンが映画とは似て無いビジュアルだったり、映画で描かれてた音楽マニアの要素がどこかに消えてる感じとか、多少気になる部分はありつつも、予想を遥かに上回る面白さでした。

 

次とか、他のMCU関係の企画があったらまたこの人の漫画で読みたいと思わせてくれるものが十分にありました。映画は好きだけど、アメコミは入りにくいっていう人でもこちらの漫画なら全然アリかと思いますので、是非オススメです。

 

関連記事

curez.hatenablog.com

curez.hatenablog.com