僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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Ms.マーベル:もしかしてこれって…恋?

Ms.マーベル:もしかしてこれって…恋?

Ms.MARVEL:CRUSHED
著:G・ウィロー・ウィルソン、マーク・ウェイド(ライター)
 エルモ・ボンドック、タケシ・ミヤザワ、ウンベルト・ラモス(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2020
収録:Ms.MARVEL v3 #12-15(2015) S.H.I.E.L.D. v3 #2(2015)
☆☆☆☆

 

思わぬ形でスーパーヒーローの仲間入りを果たしてしまった16歳の女子高生カマラ・カーン。突然の出来事に戸惑いながらも、ご近所のジャージーシティを守るMs.マーベルとして慌ただしい二重生活を送る彼女の前にイカした邪神が現れる、その名はロキ!?ドラマ化も決定したニューヒロイン、待望のシリーズ第3弾!


2年越しでやっと出ました第3巻。社会性、現代性の強かった1・2巻でしたが、今回は何と恋愛物です。

 

解説書にもありますが、これまでの読者層とは違った新しい層を開拓するという目的もあっての新世代ヒロイン。女性読者にもヒーローコミックを楽しんでもらえるようにと工夫を凝らして、こういう話にしたという事ですが、これがなかなか新鮮。別にアメコミに恋愛要素が無かったわけでもないですが、ティーンエイジャーの女の子のドキドキみたいなのが存分に描かれてて、これが結構面白い。

 

勿論、スーパーヒーロー物ですし、この作品の個性でもあるムスリムというのも相まって(一般的にムスリム女性は肌を露出しない所なんかからもわかるように、こういったものにはとても規律が厳しい)、ただの高校生の恋愛かと言えばそんな事も無く、非常にこのタイトルならではの色々な要素が絡んで凄く面白い。

 

1話目にロキが登場するので(エージェント・オブ・アスガルド期のイケメンロキです)その後の恋愛話もロキが化けてたりするのかなと思いきや、また違った方向に話が進みます。

 

恋愛コミックくらいは読んだ事あるけど、実際に男の子とこんなに接近した事無いよ!と舞い上がってドキドキするカマラちゃんが最高に可愛い。

 

そして、テリジェンボムでインヒューマンズに覚醒したのは当然カマラ1人なわけもなく、実は・・・みたいなインヒューマン系の話にも繋がって行く。

 

で、実は可愛いのはカマラちゃんだけではない。密かにカマラに想いを寄せる、ミズマーベルにおける椅子の男ブルーノ君も必死になってカマラのピンチにかけつけようとする姿がとっても微笑ましい。

 

勿論、ムスリムではないブルーノ君ですので、カマラの兄貴に諭される所で、親としてはムスリムの伝統を大切にしていってほしいと思ってるから・・・といった辺りはやはりそれはそれで親心として、信仰や文化を重んじるというのもわかる話ではあるよな、とこの作品らしさが存分に感じられました。

 

因みに最初のロキの話と、この後のシールドの話以外のメイン本編は、ライターは前巻までと同じ人ですが、アーティストがタケシ・ミヤザワという人。カナダ生まれの日系のようですが、絵が完全に日本の漫画スタイル。基本アメコミアーティストですが、宮沢武史の名前で日本でもカプコンのゲーム「ロストプラネット」って奴のメディアミックス漫画を描いて単行本なんかも出てるようです。

 

同じ日本人アーティストのグリヒルなんかもそうですけど、日本でも馴染みやすい絵柄だと、凄く読みやすくって良い。アメコミなんだから、日本人には無いセンスを楽しみたいっていうのは勿論あるんだけど、これはこれでとても良いです。

 

もしかしてミズマーベルドラマ放送に合わせて、コミックへの入り口としてこの作品を初心者向けとしてその時に刊行しても良かったのかも、と思えるくらい入門編としても優れてるんじゃないかと思います。

 

レギュラーシリーズの他に最後に1話だけ「S.H.I.E.L.D.」のカマラちゃんゲスト回も収録。おお~映画からコミックに逆輸入されたコールソンじゃないですか。カマラの事は監視対象に入っていたものの、シールドの任務でミズマーベルの助けは不要って所から、ピンチに陥ってやむを得ず協力を要請する事に。オタク知識を生かして無事解決!とゲストを立てたお話になってます。

 

こちらのアーティストのウンベルト・ラモスはゼロ年代初頭くらいのアメコミの絵柄(当時のスターアーティストだったマデュレイラ系か)こういう絵、当時結構流行ってました。これはこれで作風が違って悪くないです。

 

帯には返しにウィルリターンって書いてますし、直接の刊行予定は書いてませんが続きも期待できそう。次も楽しみです。

 

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