僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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娼年

娼年

監督:三浦大輔
原作:石田衣良
日本映画 2018年
☆☆☆★

 

<ストーリー>
主人公の森中領は東京の名門大学生。日々の生活や女性との関係に退屈し、バーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っている。ある日、美しい女性がバーに現れた。女性の名前は御堂静香。「女なんてつまんないよ」という領に静香は"情熱の試験"を受けさせる。それは、静香が手がける会員制ボーイズクラブ、「Le Club Passion」に入るための試験であった。 入店を決意した領は、翌日から娼夫・リョウとして仕事を始める。最初こそ戸惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく

 

「空白」を見て、松坂桃李君の何でもやる精神がやっぱり面白いなぁと感じて、その何でもやるの一端、男性娼婦役をもうホントにケツ丸出しの全裸で演じているこちらの作品をチョイスしました。

 

監督の三浦大輔の作品で見た事あるのは「ボーイズオンザラン」くらいかな?「何者」も気にはなってたタイトルではある。原作の方の石田衣良は名前知ってますけど、全く読んだ事は無いし、結構ドラマや映画化もされてるはずですけど、そっちも多分一本も触れて無いかも。確か「池袋ウエストゲートパーク」の人ですよね。私はああいう路線とは真逆のタイプのオタクですので、多分1ミリも共感する部分も無いし、1ミリも面白くないだろうなって思って基本敬遠しちゃう奴です。

 

今回の映画も、正直、序盤は「あ、これ自分の人生とは一切リンクしない奴だ」と思って、流石にこれは冒険しすぎたかなと思ったのですが、見てる内に面白い部分はちゃんとあって、思ってた以上には楽しめました。

 

あと一つ注意点を。
基本私は下ネタとかそっち方向の話は嫌いなタイプの人ですし、そういうのしたくないのですが、そもそも男娼の話ですし、セックスがどうのっていうのをずっと語ってるような作品なので、今回に限ってのみ、その辺の話をします(書きます)。

ただ、他人が読んでそんなに面白い話をするわけでもないし、この作品に心底惚れこんで、絶対良い映画だから是非この作品を見て欲しい、みたいな方向でも無いので、そっち系の話は興味無いなって人は今回の記事は読んでいただかなくても全然結構です。

 

いやこれまでブログで500くらい記事書いてますけど、ぶっちゃけたまにね、ただの義務感とかで書いてるだけだったリ、自分で読んでもこれ全く気持ち入ってねぇな、みたいなのたま~にあるんですけど(1割も無いくらいですが)最初からこれ別に読んでもらわなくても全く構わないなんて記事は初めてかも。そういう意味じゃ貴重かもね。

 

この映画、素直にバカ映画だと思いました。言葉だけで女性はエクスタシーに達する事も可能とか、まさにそのエクスタシーの描写をキラキラな光に溶け込むような過剰な演出でやってたり、正直笑ってしまった。アホか!っていう。なんか最近の陳腐なギャグ漫画に墜ちてしまった「バキ」を読んでるような感覚です。(いや「バキ」も昔は普通に面白かったんだよ)サングラスかけて旦那の前で行為に至るとか、あそこはオチも含めて爆笑でした。

 

半分はそういう、申し訳ないけどちょっと小馬鹿にした、まさしく下品な見方になってしまったんですけど、残りのもう半分は普通にドラマとしても面白いし、馬鹿に出来ない良さもちゃんとあって、そういう意味では結構独特で新鮮な感じは味わえました。これが本当にただのバカ映画の部分だけだったら、そういうのって私は評価しないんだけど、そこだけじゃない部分が凄く良かったな、という感じ。

 

店のオーナーが実は、みたいな所は、おいおいケータイ小説かよ!って突っ込みたくなる所なんですけど、人の欲望なんて千差万別、100人居れば、100種類の欲望ってあるものなんだよ、というのは大いに共感できるし頷ける部分でした。

 

あのね、どんなものにでも新しく生まれて流行するジャンルってあるじゃないですか。それが一時的な流行にせよ、そこから定着するにせよ、私はそこって実は新しいものなんかじゃないって思ってるんですよね。

 

凄くオタク的な例えで申し訳ないのですが、「ケモナー」ってジャンルがあるじゃないですか。そこは別に「おとこの娘」でも何でも良いです。ちょっとマニアックだけど、一時的にでも、一度一つのジャンルになると、そこに今までには無い新しい価値観だって思う人が半分、もう半分は何を今更、でも流行る事で界隈が賑わうのは悪く無いな、って思う人達も居ると思うんですよね。なんとかフェチ、みたいなものでも別に良いです。

 

でも実際はケモナーなんて新しくも何とも無くて、そんなの手塚治虫の時代からずっとあるやつですし、それ言い出したら、ケモナーとか獣姦のみならず相当な種類のフェチズムとか手塚は網羅してたりします。それは手塚が形にする以前から、そういう人は絶対に居ると思うんですよね。

 

ただ、それを具現化して漫画なりの形にした物を見て、初めてそこで性に目覚めたり(所謂「ヰタ・セクスアリス」って奴ですよね)する人も居るのは確かだと思うし、やっぱり人間の欲望なんて無限にあるものですから、そんなの自分はずっと前からそうだった、でも、そこに共感する人も実は居たんだな、自分一人じゃ無かったんだな、っていうのも、どちらもあると思うんです。

 

今回の映画でね、おしっこする人が居たじゃないですか。あの人の描写が素晴らしいなと思っていて、個人的にはスカトロ方向の趣味は無いのですが(ゴメン、小の方でもスカトロって言って正しいのかも私はよく知りません)ただおしっこを見られる事に興奮するんじゃ無くて、自分と同じくらいの知性レベルの人に見られてこそ本当のエクスタシーを感じるんだっていう言い方が、物凄く面白かったんですね。

 

これまた下品な話で申し訳ないんですが、AVとかでも、コスプレとか衣服フェチ、或いは下着フェチとかでも良いのかな?そういうジャンルがありますけど、AVあるあるって奴で、いや脱がすんかーい!フェチ物AVじゃなかったのかYO!みたいなの、よくあるじゃないですか。

 

でも、そんなフェチであったとしても、服や下着は全部着てるのが良いんだ、っていう人も居れば、半脱ぎみたいなのが良いっていう人も居るし、行く所まで行けば、その衣服の素材みたいな所にまでこだわっちゃうわけですよね。あと、どこどこのメーカーのが良いんだとか。結局はそんな細部まで拘りぬいたらもう本当に際限が無くなると。個人的にも結構マニアックなフェチ要素は私もあったりするので、ある種のもどかしさみたいな気持ちは理解出来ますし。それが何かは書きませんけど。

 

ああ、またも脱線しますが、女性の方で男性の手首が好きって方がいらっしゃるようで、でもそれって実は男性器を想像するからだろ!って突っ込んでる人が居て、ああなるほどなぁと思えて、面白いなと感じた事もあります。そういうのも面白いっちゃあ面白いんですけどね、それでも私は表立って話をするような事じゃないかな?という部分の方が強いです。

そういうのに理解がある人ならまだ良いんですけど、男女のあれこれって普通こうでしょ?みたいにしか思って無い人だと、とたんにつらくなるので。

 

まあそんな感じで、欲望なんて無限にあるものなんだよ、っていうのを前提に描いてる映画である所は素直に評価したい部分でした。

 

で、たまに、たまたまネットニュースみたいなので流れてきた風俗嬢の記事とかインタビューとか、興味本位でつい見ちゃったりすると、自分はこの職業に誇りを持ってるみたいな話は割と多い。世間からは白い目で見られがちだけど、みたいなのはおそらくこの映画のテーマにも繋がってると思うんですけど、私の気持ちとしては正直半々かな?

 

そういう人もね、中にはいらっしゃるんだとは思う。でもきっと全員がそうでは無いだろうと思うし、こういうテーマを描く事に意義や意味はあると思う反面、そこを美化しちゃうのって危ういな、という印象も強い。


男性の考える性欲と、女性が考える性欲ってズレがあるみたいなのは作中でも言ってましたけど、今回の男娼の話を女性バージョンで逆転させた時に、多分それはそのままでは描けない気がしますし(男娼の話だからそれで良いのですが)そういう差みたいなものはあるかなとは。

 

とまあこんな感じで、真面目に観ても面白い部分はあるし、ネタ映画として見てもなんだこりゃっていう部分はいっぱいあって、ある意味での面白さみたいなものはあるし、単純に桃李君の裸や行為のシーンが見たいって欲望も叶えられれば、女性の裸が見たいって欲で見ても結構凄いかも。


つーかこれ、実際行為に及んで無いとしたら、どうやって撮影してんだろこれ?という部分での興味も湧きます。桃李君や女優の方が、裸一貫で頑張りました!とかほほえましいレベルじゃ無いぞこれ?ほぼAVじゃん!っていうのが凄かったし面白かった。

 

オチとかくっだらないし、最初は流石にこれは自分のような人種が見て良いような作品じゃなかったかな?と思いつつ、全体としては全然見た価値はありました。

 


あ、あと普段下な方向の話はしないので、今回ついでに書いておきます。映画とはほとんど関係無い話なんですけど、SMってありますよね。これも映画で見たんだったかな?本で読んだかネットでだったか忘れましたが、ああいうのって本当に嫌がる時のサインみたいなのをあらかじめ話し合って決めておくんですってね。ああ、なるほどそうやって事故とか本気で傷つくみたいなのを防いだりするものなのか。とか妙に納得した記憶があります。いや私SMとかも好きでは無いんですけども。

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