原題:SPIDER-MAN
監督:サム・ライミ
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2002年
☆☆☆☆☆
年明け一発目、今年の映画始めは、サム・ライミ版スパイダーマン1作目です。
とゆーか先月から「スパイダーマン:ノ・ウェイ・ホーム」に向けて過去5作を見返そうと思ってたのですが、忙しくて結局こんなギリギリになってしまうという体たらく。1日に1本見れば間に合うので、本日よりスパイダーマンマラソン開始です。MUC版は過去に感想書いてるのでこっちもいずれとは思ってたのですが、なかなかね、時間がとれずっていう。
元々アメコミ好きだったので、劇場公開時に映画館で当然見てます。ブライアン・シンガーの「X-MEN」1作目とこれがヒットしたおかげでアメコミ映画の隆盛が始まったんですよね。その前の「ブレイド」がスマッシュヒットはしたけど、あれをアメコミヒーロー映画として認識して見てた人は少ないはず。
MCU映画以前のシリーズですが、ここからマーベル映画が始まったと言っても過言では無いわけで、それがまた後からユニバースに組み込まれるってなかなか感動的な事をやってくれますね。
今回久し振りに見返して、あれ?意外と画面が古いなって感じました。いや、話としては全然面白くて今見ても最高だなってなるんですけど、単純に画面が思ったよりは古い。CG合成もチャチだとは言わないけど、ちょっと色調が馴染んで無くて、当時は全然違和感無く見てたけどいかにも合成だなってわかるもんなんだな、と思ったのですが、それがちょっとレトロ映画っぽく見えて、逆に新鮮。
80年代90年代辺りの、SFXからビデオ合成のVFXに変わって、その次の時代ぐらいの感じに思えるのが、映画の歴史を感じて面白いなと。サム・ライミってこの作品の前にもアメコミ風ヒーローのオリジナル作「ダークマン」とか作ってますし、「死霊のはらわた」で名前を挙げた人ですから、そこら辺の歴史も感じられますし、ゼロ年代以前のアメコミヒーロー映画はマーベルじゃなくDCしかヒットした物はありませんでしたので、最初の「スーパーマン」シリーズ、次の「バットマン」シリーズに連なる次の作品っていう感じもまた面白いなと。
そういう作品の上にこの「スパイダーマン」も成り立ってるんだよ、っていうのを凄く感じるし、そこら辺に対するオマージュも隠そうとしてませんよね。そこが素晴らしいなと思う。音楽だってダニー・エルフマンですし。
その上でね、「X-MEN」だったらシリアスなテーマがあって、こっちの「スパイダーマン」だったら、ウェブスイングのビジュアルとか、今まで見た事の無い新しいものがちゃんと入ってて、アメコミスーパーヒーロー映画の新しい幕開けみたいなのが感じられるのが凄く良いです。
ヴィランに大物俳優を当てて映画としての格を上げるだとか、荒唐無稽なものをクソ真面目に作るだとか、ちゃんと過去からの系譜もあるし、何より、サム・ライミが自分はスパイダーマンが大好きなんだ、スパイダーマンのコミックの面白い所はこういうとこで、作品の根幹を成すキモとなるのはこういう部分なんだよ!っていうのが存分に伝わってくるのが本当に素晴らしい。
MCU版とかアメイジングスパイダーマンの方は今風にしようという努力は勿論悪い事じゃないけど、やっぱりこのクラシックな、それでいて映画としては十分に新しいサム・ライミ版スパイダーマンにしか無いもので、そこが本当に素晴らしいし、逆に言えば、これがあったから次の新しいスパイダーマン像を模索しようって後続作品は考えたんだろうと。
まず何が良いって、ピーター・パーカーが科学オタクで全然モテないような冴えない少年っていうとこじゃないですか。やっぱりスパイダーマンの起点はここじゃないと。ギーグ層が、ピーター俺と同じじゃないかって重ね合わせたり、同類だからつい応援したくなるっていうのが大きかった。元々コミック読んでる層なんてそういう所だったし。
そこで終わり方もね、これは呪いにまつわる話だ。とかシリアスに終わるのがまた最高だなと。
逆に言えば、そういうキャラだったから乗れなかったって言う人も中には居て、例えばアニメ版「スパイダーバース」のマイルス君だとか、それこそMCU版はいかにもギーグって感じじゃ無く、普通に男から見ても女から見てもピーター可愛いよね、みたいになってる辺りが凄く現代的だなと思ったりするし、そこの違いは面白い。と同時にこのサム・ライミ版もやっぱりアリだよなぁと思える。
間違いなくアメコミ映画の転換期の一つだし、スーパーマンなんかと同じで、いつまで経っても面白い1本。
実はこの作品の前にもある実写版スパイダーマンのニコラス・ハモンド版ではこうはならない。あっちは普通につまんないので。
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