監督:土田豊
脚本:村山功
日本映画 2017年
☆☆☆☆☆
プリキュア映画23作目。
TVシリーズ14作目「キラキラプリキュアアラモード」秋の単独映画。
CG短編「Petit☆ドリームスターズ! レッツラ・クッキン?ショータイム!」も同時収録。(そっちの監督は宮原直樹)
現行作、「トロピカル~ジュプリキュア」のシリーズディレクターを務めている土田豊監督が「映画 プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!」の次に手掛けた作品がこちら。プリキュア映画屈指の楽しさに全振りした意欲作。
「トロプリ」1月いっぱいまでで終了、2月から新シリーズという例年通りに戻したっぽいですね。今年は春映画が無いようですので、そこはとても寂しい。ただ私はトロプリ映画の時の感想にも書いたけど、翌年の20周年記念作品の準備のためだと信じてます。
プリキュアには色々と大人の事情があります。東映アニメーションの看板の一つですし、そこには何十億とかいう商売が背景にありますから。
でもね、それってプリキュアを一番楽しみにしている子供達には関係無い話ですよね。「アニメージュ増刊トロプリ号」でも土田監督がハッキリ言ってました。こういう本を目にする層に向けて作ってるわけではないので、って。
いやそっち側の大人のファンとしては、ストレートに言ってくれるなぁと驚嘆もありますが、それでもファンですので、そこは正しいと思うし、ハッキリ言ってくれるのはある意味ではありがたい事です。
そんな事も踏まえつつも、やっぱり今回も大人の目線でプリキュアを語ります。そこは許して。
今回は追加戦士のシエル/キュアパルフェがメインというちょっと珍しい路線。上映は秋ですから、TV放送的には夏に追加戦士枠が出ますし、見てる分には何の違和感も無いんですけど、作る期間を考えるとね、2か月3カ月で映画を作ってるわけじゃないし、TVでパルフェのずっと登場前から脚本とかは書いてるわけで、そういう作る側の事情も踏まえると、追加戦士が軸の話とか、実は結構大変。
どのシリーズでも、追加戦士枠って人気のおいしい役どころなんですけど、そこはドラマの山場として一盛り上がりあるからとか、強いからとか色々と理由はありますが、子供達にとっては新しい物が好きっていうのと、特別感ですよね。(アイテムもレギュラーと別の物を使う事が多いし)
だったら映画でもそこをフィーチャーするのは子供達にとっても嬉しいわけです。制作事情なんて知らない子供達が、映画だと追加戦士があんまり活躍しなかったな~なんて思ったら、ちょっとガッカリするじゃないですか。春映画もそうなんですけど、その辺考えると、毎年作られるプリキュア映画って結構大変なんだよな、って改めて思います。
実はプリアラの場合、追加枠のパルフェよりもマカロンの方に人気が集中したっていうイレギュラーで面白い事もあったのですが、そこは後のコンプリートブックに絡めたまとめで書こうかと思ってます。
で、今回はシエルとその師匠のジャン=ピエール・ジルベルスタインに関わる話なのですが、見た目の面白さ・楽しさだけでも100点の映画なんですけど、メタ視点でのストーリーも実は面白かったりするんですよ。
で制作側の方たちも語ってるんですけど、ジャンピエールさん、自分が信じる、自分が求めるものを追求するタイプの職人パティシエなんですよね。他人の評価なんてどうでもいい。自分が納得するものを極めるのが本物のパティシエなんだって言う人。
これね、映画でも同じですよね。映画として芸術性やテーマ性、本当に自分が納得できるもの、わかる人にはそれがわかる映画みたいなものを追求していくタイプ。私はそういうのも面白がれる人ですし、全然好きですけど、プリキュアをそういう作品にしちゃいけないよね、っていう話です。
プリキュアがそんなものを求めてどうするのよ?プリキュアはまず子供達が楽しんでくれて、笑顔になれるものであるべきなんじゃない?小難しい理屈なんか要らないから!
ってまさしく土田監督の主張じゃないですか。作品ってね、やっぱりその作った人となりが見えてくるものです。とかいうのが小難しい部分ですけど、そんな読みとり方をしても物凄く面白い作品なんですよね。
TVシリーズの方のプリアラって、大人の人気は低めの作品ですし、私も正直前半の方は割とつらかったな~って印象ですが、こちらの映画の方はTVシリーズに反して結構人気は高い。TVシリーズイマイチだったけど映画は面白かったよね、っていう人は多い。
その理由は、ホントに掛け値なしでただ楽しく笑わせてくれるシーンたっぷりだし、他の映画ではここまで振り切って無いので、尚更これ楽しい映画だよね、って言われてるんだと思います。私もその部分だけでも大好きな映画ですし。
でもこうやってちょっと視点をずらして見た時にも、プリキュア映画はどうあるべきかっていう主張を映画の中で描いているという、面白い作りにもなってるんですよね。トレビヤ~ン!もうまさしくパルフェな映画です。
土田監督の得意なシュールギャグが満載ですし、子供達が喜んでくれるようにって、見た目もとにかく楽しいんですよね。
勿論、映画でお馴染みのスーパープリキュア形態も登場はするんですけど、そっちよりも、その前のアニマルが変えられるフォームの方が絶対印象に残るって言う、面白さ。カメホイップにペンギンカスタード、ナマケモノジェラートにパンダマカロン、そしてザリガリショコラが活躍するようなずっこけるような、楽しさ満載。
パルフェは他の動物にはならずにキュアキラリンでしたが、今回の主役なので他の楽しい見せ場はいっぱいある。
あとはおまけじゃないけど、秋映画なのに「まほプリ」参戦ですよ。映画のプロモーションで、映画近くなるとTVのOPが映画の映像を使うようになるんですけど、そこに一瞬だけみらいちゃんが映った時、私思わず声あげちゃいましたもの。え!オールスターズを待たずして次の映画でみらいちゃんと再会できるの!って。ええもう恋してましたね。
なんかネットで見たのが、制作時に次の春映画をやらないという話があったから秋映画に「まほプリ」出したって言ってる人が居たんですが、残念ながらそのソースは私は読んだ事ありません。普通に土田さんのサービス精神とかじゃないんだろうか?そこの真相は不明です。
そして敵キャラのクックを後に「ヒープリ」でキュアグレースを演じる事になる悠木碧がやってるのも見所。当時はキュアショコラに惚れてプリキュア見始めたとかツイッターとかで応援してたのですが、その後映画に抜擢。当時はインタビューとかで、自分がプリキュアになるのはおこがましいので、闇堕ちした敵キャラとかピッタリで嬉しい、的な事を言ってましたね。
そこが後にプリキュアになって、ヒープリ最終回後に実はショコラから引き継いだであろう事も言ってたりして、そこもメチャメチャ面白いので、そっちもプリアラまとめの時に書こうかなと思います。
忖度無しに本当に楽しい一本なので、私も大好きな作品の一つです。
エンディング曲の「トレビアンサンブル」も凄く良いので、そっちも別エントリーで近い内に書きます。いやいっつもCDを元に記事を書く時、「好き」以外に書く事無くて苦労するんですけども。
さてそれでは最後に皆さまご一緒に!
トレビアーン!
トレビアーン!
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