Precure 15th Anniversary Precure Costume Chroncle
刊:講談社
2018年
☆☆☆☆☆
いつだってプリキュアの服は、私たちの「夢」!
プリキュア55人の
かわいさの
ヒミツを総力取材!
55人のファッションのトリビアがいっぱい!
・プリキュア55人の詳細コスチュームミュージアム
・キャラクターデザイナー川村敏江さんインタビュー
・中谷友紀子さん×宮本絵美子さん×井野真理恵さん×神木優さんクロストーク
・「プリキュアができるまで」鷲尾天さん・西尾大介さん・稲上晃さんインタビュー
・プリキュア役の声優55人の「お気に入りファッションポイント」「元気の出るセリフ」……など収録!
「デパプリ」ようやく再開しました。素直に嬉しい。
今月は仕事でトラブルは発生しまくるわ、体調は崩すわ、気持ち的に大分参ってる状況が続いているので、プリキュアに生きる気力を頂けるのは本当にありがたいです。
それはさておき、こちらの本は以前紹介した「アニバーサリーブック」と同じく15周年記念で「オールスターズメモリーズ」公開後くらいに出てた本です。ムック本じゃなく単行本。これまたプリキュアファン必見の至高の一冊。20周年でもこんな感じで色々な本が出れば良いなと思ってます。
「HUGプリ」のマシェリアムールまで含めた当時のオールスターズ枠の55人までを収録。一人2ページで設定画のカラー画稿と、CGモデルが大きな絵として掲載されてるのですが、この辺りの時期は、CDジャケットとかでもちょこちょこCGモデルが使われてるケースが増えてきて、個人的に凄く好きなタッチの絵柄なので、そこも何気にポイント高いです。確か「フレ」とか「ハト」の時の初期のCGモデルはそこをベースにしつつもリニューアルして使ってたんじゃなかったっけかな?まあとにかくみんな可愛いのです。
そして面白いのがこの本のコンセプト。ただのキャラ紹介とかではなく、それぞれのプリキュアのデザインやファッション的なポイントなどを細かく説明してある。これが非常に面白い。幼児向けの「オールスターズだいずかん」的な本はいっぱい出てるのですが、そういう所が大人向けの本としての違いですね。
ええとね、まずファッションと言われてもね、私はファッション部でもなければ、女性でも無いし、例え男だったとしても、マリちゃんみたいに美に気を使うタイプではなく、いかにもなキモオタのプリキュアおじさんですので「ファッション」という分野は疎いにも程があります。しかもプリキュアですから、ガーリーなファッションポイント
ですしね。そういう分野はさっぱり詳しくありません。
個々のキャラクターのデザインの上でのポイントみたいなのはなんとなく理解出来てても、そこからさらに踏み込んでファッションとしてのポイントとかを細かく突っ込んであるのは、新鮮でとても面白いし、非常に勉強になります。
思えば初代の頃から、最初のキャラデザの稲上さんの設定画とかに、布の材質はこんな感じで、的な事って書いてあるんですよね。私服とか制服ならともかく、プリキュアに変身後でもそれが書いてあるので、実はそこって個人的にはひっかかってたポイントでした。現実じゃ無い未知のパワーみたいなので変身してるのに、謎材質じゃなく、現実にあるような材質なんだ?って。
今回の本では触れられてませんし、再度資料を漁って確認とかまではしてませんが、確かキュアブラックの手甲のハート部分には「クッション素材です」みたいな事が書いてあったような?
初代~5までの初期鷲尾期の特徴の一つで、必ずアームカバーがついてたり、(要はグローブ的な役割も兼ねているって事です)ハイヒールじゃ無くブーツなのは、戦闘シーンが痛々しく見えないように、かつヒールじゃ力を入れて踏ん張れないから接地面の多いブーツじゃないと、とか色々と拘りがあって面白い部分なのですが、「フレ」以降はそういう縛りも無くなり、機能性ではなくデザイン重視になっていくという辺りがこの本には書いてませんが、長く続いているシリーズの変遷的な意味でもプリキュアの面白い部分です。
ん、っていうか私が書くとどうしても堅くなるな。
帯にもある通り、この本に関しては可愛さのポイントみたいなのを重視して描かれてる本ですので、そこはご注意を。基本的には「ここ可愛いよね!」とかそういうのがメインの本ですので誤解無きよう。
しかも、短めながら声優さん全員が自分のキャラのここが好き的なコメントも入ってるので、それだけで100点あげられる本です。1行2行も多い中、相変わらずメロディの小清水さんは長いのが流石です。
私なりの視点の方でもうちょい語ると、「5」「スマ」「HUG」のキャラデザの川村さん、他のインタビューでも何度か語ってますが、メイン視聴者の小さい女の子にはロングヘアーが人気で短髪は人気が出にくいので、長くして欲しいという制作サイドの要望を押し切って、スマイルのキュアサニーはショートカットで通したという話。自分も子供の頃は髪伸ばしたかったけど、親の好みでショートにさせられていたから、そういう子でもプリキュアにあこがれられるようにと無理を言わせてもらったっていうエピソードが本当に素晴らしい。
「プリアラ」のまとめ記事の時も書いたけど、色々なタイプの女の子を肯定する事もプリキュアの意義という面が今はあるわけで、そういう視点で考えた時に、川村さんの主張もちゃんと意味があって、それこそりんちゃんから続く流れがそこにはちゃんとある。
勿論、そこは初代のなぎさ/ブラックが居て、ブラック派とホワイト派のどっちもきっと当時の女の子を肯定する存在で、川村さんがデザイン担当した「5」では、どうやらルージュはあまり子供には人気が無いらしいという結果が出て(商品展開でもそこはちょっと露骨に出てました)そこを受けての「スマイル」でのロングヘアにしてほしいっていう要望があっても、それでも実際にはロングに出来ない子も居て、そんな子達を切り捨てたくないなっていう気持ちで、自分の意志を貫き通すその強さ。これって最高じゃないですか。
しかもキュアサニー、関西弁です。個人的にも関西弁ってちょっと苦手だなぁというイメージはあるのですが、不思議とサニーは壁も無くすんなり受け入れられたし(演じた田野さんも、監督も相当に気を使ったらしいけど)あかねちゃんに親近感が持てるっていう関西人も沢山居るはず。(某キュアゴリラさんもサニーは好きなプリキュアの一人って言ってますしね)この辺もね、プリキュアの面白さだなと私は思います。
他にも中谷さん(ゴープリ&トロプリ)、宮本さん(まほプリ)、井野さん(プリアラ)とそれぞれキャラデザを担当された、そこまでは一アニメーターとしてプリキュアに関わってきた人が自分のオリジナルを作る事になった事での苦労とか、読んでて非常に面白い。
短いながら本業のファッション誌の編集者にプリキュアのデザインを見てもらうとか、プリチュームや変身玩具を出す側の開発者側のインタビューとか面白い記事がいっぱいあって、非常に読み応えもあって面白い1冊です。
変身前の制服姿の設定画とかも1枚掲載されてますが、いわゆるパワーアップフォーム的なものには一切触れられてません。(通常のフォームチェンジ的な場合はアリ)
いやこれね、例えばこれが「ガンダム」だったら、武装変更とか小さい改修みたいなのも別バージョンとして載せる所ですよ。カタログ的な感じでね。20周年とかでアップデートさせて増補版とか出るならそんな感じかしら?とか一瞬思っちゃったんだけど、そういう感覚の違いが男と女の違いかも?とも思ってしまいました。○○フォームが載って無いからこれは不完全版だ!とか言いだす輩が読むような本じゃ無いですよね、これ。
15周年をこういう視点でまとめるのか!という自分の発想には無い視点の本なので、メチャメチャ面白いし、メチャメチャ良い本だと思います。
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