僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ガールズ&パンツァー 最終章 第1話

ガールズ&パンツァー 最終章 第1話 [DVD]

GIRLS und PANZER das FINALE
監督:水島努
日本映画(OVA上映) 2017年 (全6話予定)
☆☆☆☆☆


ガルパン最終章3話の上映がこちらでもスタートしたので見る予定ですが、せっかくなので復習として1話から。最初に劇場公開時に見てますが、2話上映時にもやっぱり復習してから観に行ったので、1話を見るのはこれで3度目です。

 

最初のTVシリーズも劇場版もメチャメチャ面白かったのですが、最終章はそこから更に面白くなってる印象。これなんでかな?って思ってましたが、今回気付きました。ストーリーとかドラマをすっ飛ばしてるから最終章は面白いのか。

 

最初のTVシリーズと劇場版だと、一応お姉ちゃんとの確執とかそういうドラマ部分もありましたよね。そこはそこで盛り上がるポイントではありますけど、今回の最終章だと桃先輩の卒業の為という半ばギャグみたいな展開が大会で勝つ目的ですし、前半で新キャラのサメさんチーム(船舶科)紹介も完全にギャグのみで通してあったりする。この作風が楽しい作品だなって思わせる要因にもなってる。

 

そもそもがガルパンって「美少女×ミリタリー戦車」という、リビドー全開の作品なわけで、この作品を通して見てる人に何かを訴えかけたい的なテーマがあるわけじゃない。好きな物をミックスして全部ぶちこんでしまえっていうある意味私の大嫌いなオタクの衝動だけで突っ走ってる作品なんですけど、そこをただリビドーの赴くままに作ってるんじゃなくて、一度踏みとどまって、実はロジカルな視点も入れて作ってあるのが「ガルパン」っていうコンテンツの凄い所だと私は思ってる。

 

例えばですよ、ガルパンって美少女キャラばっかり出てくる作品ですけど、パンチラみたいなものが一切無いんですよね。デザイン的にはミニスカートですけど。大洗とのコラボで町おこしみたいなのやってましたが(私も1度ガルパン目的で以前大洗に行きました)例えば街にそういう話を持ってった時に、こういうアニメなんですって見せて、パンチラとかそういう下品なシーンいっぱい入ってたら、街の人はどう思うでしょう?世の中オタクに理解のある人ばかりではないし、女性だっていますよね。そういう人達に堂々と見せられるものを作ってるか、っていう事ですよね。

 

私は角谷杏役の福圓美里が好きなので(いやだってキュアハッピーだし)、同じような美少女×ミリタリー作品の「ストライクウィッチーズ」とかも見てみましたけど、正直とてもキツかった。最初のシリーズ完走するので精一杯でした。いや、スク水もパンツも好きですよ私。むしろそこにフェティッシュな魅力を人一倍感じる方ではあったりする。でもそれTVアニメで見たいかな?エロマンガとかAVでなら好んで見たいです。でもそういうリビドーをTVアニメで撒き散らしてるの見てると、物凄く気持ち悪い。アニメでパンチラとかあったりすると、私は喜ぶよりもガッカリしてしまう。そういうエロとかは分別つけて別の所でやろうよ。(関係無いけどプリキュアとかでも同人でエロとかやられるの大嫌いです)

 

そもそもがミリタリー自体も基本的には抵抗ある方。カッコいいな、って思う所も多少はあるにせよ、心のどこかでそれ戦争の道具じゃん、人殺しの道具で喜んでるのってそれどうなの?っていう罪悪感は拭えません。ガンダムまでいけばあれはキャラクターだし、あんなものがリアルだとは1ミリも思わないので別に良いんですけど。

 

以前、友達と戦争映画の事を話してて、戦争映画は必ず反戦のメッセージを入れなきゃならない、戦争を肯定してはいけない的な事を言ってたんですよね。私は必ずしもそうだとは思って無くて、まあ確かに戦争を肯定する人は多分今の世の中にはそもそもあんまり居ないと思うし、例えばガルパンもそうだし、「T-34」とかもそうでしたけど、戦争だの兵器だのの魅力に抗えないものもそれはそれでどこか罪悪感は持ちつつも、こういう作品くらいならあっても良いのかなと思ったりする。というのも一昔前は戦争物をエンタメ的に描く作品なんていっぱいあったし、その辺を色々調べたりしてた時に、昔から最後にとってつけたような「だから戦争は良くないのだ。愚かな歴史を繰り返してはならない」というのが半ばポーズとしてつけられるようになっていたというのを知ったからというのもある。なるほどそこは所謂「お約束」的なものなのかと。

 

戦争そのものは当然私は肯定しませんし、むしろ左よりの思想ですが、そもそも「戦争は良くない」なんていう文脈が出来たのって近代になってからの話です。それは何故かと言うと大量破壊兵器が作られるようになったから、戦車もそうですし、マシンガンみたいなものもそうですよね。第一次大戦以前は単発の銃とか剣で切り合うとか、基本的に戦場で戦う兵士のみに限定される局地的なものだったから、戦争は良くないなんて文脈はさほど大きくはなかった。


「戦争は良くない」って、人類の長い歴史の中のここ60年とか70年程度の中で新しく生まれた概念でしか無い。人間、そんな簡単に変われるもんかな?いや変わらなきゃいけないとは思うけど、そんな短い歴史しか無い新しい価値観に一気に変われるとは私は思わないんですよね。自分は違うんだっていうのも、それはそれでエゴな気がする。

 

「人は、いつ戦争を忘れる事が出来るのか」って「ガンダムF91」の時のキャッチコピーなんですけど、遥か先の宇宙世紀になっても戦争は終わりません。F91はそれ以前のガンダムシリーズの文脈から切り離した、新世代ガンダムだからそういうコピーがあえてつけられてたし、人類の進化であるとされるニュータイプが戦争の道具になり下がってむしろそいつらが戦争の中心に居たりする辺りが富野の面白さだったりするわけですが、まあそれはまた別の話。

 

で、そんな忌むべき戦車をガルパンではどう扱っているか、なわけですが、戦車道は部活なので人は死にません。これは競技です。弾も装甲もそういうのに配慮した作りになってるんですよ、というある意味での超超超超ご都合主義設定なわけですが、そこまでいくとギャグですよね。

 

でも、だからこそ良いし、面白い。キャラ紹介も目的も全てをギャグとして割り切った最終章は、下手にシリアスな部分を見せるよりもずっと面白く感じるのは当然だし、もしかしたら最終章も後半はそれなりにシリアスな部分が出てくるのかはわかりませんが、(一応西住家の問題は解決して無いんですよね)少なくとも前半はギャグでいってしまえというは正解だったと思うし、言わば最終章ってエクストラステージ的なもので、ストーリーとしてはおまけだけど、面白い部分だけを楽しんでね、っていう作りにしてあるので、これまでよりもより面白く感じられるのはその辺りが原因なんだと思われます。

 

ガルパンにシリアスなドラマなんか求めて無いよね、っていう割り切りが良いし、その分ファンサービスとか自分達がやりたいマニアックなこだわりが出来ると。

 

最初観た時ね、新キャラのサメさんチーム、あんまり魅力のあるキャラじゃないな~って思ったんですけど、3回も見るとね、ああこれは船乗りが丘で戦車に乗るっていうドタバタギャグコメディーなのかと素直に笑えて好きになれました。

 

という所で2話に続く。
せっかくなのでそっちの方でもう一つのガルパンの根本的な面白さの理由を語ろうかな。ロジカルな部分のもう一つの作品としての特徴の事です。

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