著:井上亜樹子
刊:講談社 講談社キャラクター文庫027
2017年
☆☆☆
描きおろし小説シリーズ第7弾!
「伝説の戦士よ、
この混沌を止めたいか!」
光と闇のバランスがくずれた虹の園。
クイーンなき今、プリキュアたちに
不吉なことが……?
美墨なぎさはラクロス部の新キャプテン、雪城ほのかは科学部の新部長として、活動的な日常をすごしている。ただ、九条ひかりはタコカフェを手伝いながらも、いまだ自分の存在に確信をもてなかった。そんな3人の周辺で、ものが増えたり消えたりする不思議な現象が起きる……。
無印に続いて「MH」小説版。
これのみ今回が初読。
小説なので、章とか段落によって、各々のキャラの視点になるんだけど、なぎほのはともかく、ひかり視点が結構面白い。
先日観た「MH総集編」での座談会でもそうでしたし、TVシリーズの方の映像特典でも確か同じような感じだったと思うのですが、九条ひかり/シャイニールミナスって演じた田中理恵でさえ、よくわからないキャラだったので結構苦労した的な事を言ってた気がするのですが、それは当然中の人の理解度が低いとかそういう話じゃ無く、序盤の方は実際に「何を考えてるのかよくわからないキャラ」という描き方をされてたので、見てる方も演じてる方も、何だろうこのフワフワした感じの子は、という印象にならざるを得ませんでした。
そこ考えると今回の小説版、序盤の方から割とひかりの内面が描かれてたりして、これ全編ひかり視点だったら面白かったかも?という感じがして、実際は段落によって各々の視点になっちゃうのですが、そういう面では結構楽しめました。
お話としては、何と中尾君再登場。アカネさんの元同僚で本編の8話だったっけかな?その話をノベライズでやってるわけでなく、その後の展開。アカネさんとの関係を掘り下げるとかでなく、普通に中尾君の仕事の話とかが結構な分量で描かれてたりするので、MHの中でも中尾君が好きなら満足度は高いかもしれない。いや1話のみのゲストでそんなファンは居ないだろうけど。
執事ザケンナーA/Bとかも出てますし、サーキュラス、ウラガノス、ビブリスら闇の四天王の方の描写もコミカルで本編同様面白い。バルデスが初登場という感じの展開になるので、時系列的にはその辺の時期。
HMって、他のシリーズと違ってわかりやすい中盤の山場って感じのとこもなく、今回の小説でもオリジナルのクライマックスになってる感じですが、これが相当にカオスな展開になる。ギャグ展開とかそういう意味じゃ無く、普通に混沌が広がり、これはちょっと他のシリーズも含めて、プリキュアで過去にこんな展開無いぞって感じになるので、そこは面白かったかも。
なかなかに読みごたえはありました。ああ、因みに、無印の方の作者と名前違いますが、同じ人の別名義のようです。何故にわざわざ変えたの?無印の方はそっちの記事にも書いた通り、まるで純文学かのような文体でしたけど、こっちは普通でした。1作ののあれは一体何だったんでしょう?
本編のサイドストーリー的にサクッと読めるので、好きな人なら是非、くらいの感じかな。
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