Precure Costume Chroncle Precure 20th Anniversary
刊:講談社
2023年
☆☆☆☆☆
『ふたりはプリキュア』から『ひろがるスカイ!プリキュア』まで
担当キャラクターデザイナーによる
20周年記念イラスト全網羅!
78人のコスチュームデザインの
秘密を徹底取材!
以前にも紹介した15周年バージョン
curez.hatenablog.comの増補改訂版。
単純にスタプリ以降を足しただけでなく以前の物はキャラ絵がCGだったものをこちらではキャラデザ本人の新規絵になってたり、合間合間の記事やインタビューも追加されてたり、逆に前のバージョンでしか読めない部分もあるので、やっぱり今回も、新しいのあるから前のは不要、とはならない作り。
巻末に、ちょっとおまけで足しましたよ感もあるんだけど、映画限定フォームをまとめたパートもあって、何気に貴重。
秋映画はTV版のパワーアップフォームとかぶってたり、バージョン違い的なのも多めですけど、オールスター系春映画の限定パワーアップフォームって一人一人に見せ場があるとかじゃないから、思い入れ的な要素は薄いけど、単純にデザインは面白いのも多くて見てて楽しい。
「DX3」の時はレインボープリキュア形態とか言われてたっけかな?メロディのパワーアップがカッコ良くないですか?ロングドレスながら肩フリルが大きくなってアーマーっぽく見えて、ちょっと重騎士風にも見える。
初代の、特にブラックの方かな。肩当てとか、意図的に「鎧のようにも見える」デザインにしてあるんですよね。変身の時のメタル化もそうですし、デザイン的にはアームカバーもそれに近い意図。可愛いだけでなく、戦う衣装なんだよというのが籠められてあって、今後はそういうのを受け継ぐデザインとか出てこないかなぁ?と個人的には思ってたりします。
プリキュアじゃないけど、映画のワンダーウーマンも前垂れが凄くカッコ良くて私はメチャメチャ好きなんですけど、遠目にはスカート風にも見えるけど、これ実際はアーマーなんですよ的なデザインが私は凄く好き。
メカ少女とかそれに類するプラモとか近年は割と増えてきてますが、あれ系のデザイン大好物です。
多分無いと思うけど、今後のプリキュアでパワーアップが聖闘士星矢のクロスみたいな増加装甲とかどうでしょう?大きなお友達と男の子しか喜ばないか。
映画版フォームのページを見てるとそんな風に思ったりするわけですが、じゃあTV版のパワーアップフォームは・・・ええ~と、あれ?載って無い?
「まほプリ」とかの所謂並列フォームチェンジの方は網羅してあるのですが、いわゆるパワーアップフォームの方がこの本には掲載されて無いのです。
「プリキュア20周年キャラクターブック」の方にはそこは入ってました。
う~ん、あちらを立てればこちらが立たず、っていう感じで、かゆい所に手が届く、バージョン違いまで含めた図鑑的なものを求めると、決定版的な感じにどれもなっておらず、そういう意図で作られた本ではないのは百も承知だけど、いたしかゆしという感じ。ちょっと意味違うか。
まあ、全ガンダム、全仮面ライダー、全戦隊、全ウルトラマンみたいなのも、正規のレギュラーは定義できても番外とかバージョン違いとかギリギリ定義に入る入らないみたいなのどのジャンルにもあって、プリキュアも今やそういう部類ですしね。
とはいえ、前回も書いたと思うけど、本のコンセプト。プリキュアのデザインをファッション的な視点・観点で掘り下げるというのは私にとっては物凄く新鮮な視点だし、私個人の資質からは絶対に出せないものなので、無限に眺めていられるし、メチャメチャ面白いです。
キュアスカイのデザイン。マントが半分なのは、後ろから見たときにシルエットが重くならないように、キャラのアクティブさとヒーロー性の両方を同時に保つデザインだとか、髪もシンメトリーにして半分は刈り上げで今風のジェンダーフリー感を出しつつ、逆サイドはガーリーな部分をちゃんと残すとかデザインだけで面白さが詰まってて素晴らしいです。
見た目だけの話じゃないけれど、そうやって単純に好き嫌いだけの感情じゃ無く、ロジカルにその理由を突き詰めていく面白さがこの本にはある。そこが凄く好き。
他の作品でもこんな独特の視点の本があればきっと面白いんじゃないかと思うんですが、それこそ前述の通り資料性を重視した図鑑的なものだと、単純にスペックやデータの網羅になりがちで、ファッションやデザインに焦点を当てた本というのは、ガンダムやライダーとは違う女の子向けのプリキュアだからこそ生まれてくるアプローチなのかもしれない。
永久保存版で家宝としたい一冊です。
ああ、因みに制作時期的なものなのか、ジャンル違いになるのか、「ダンシングスタープリキュア」とかは入ってません。あっちはあっちで舞台での実写ながらキャラデザは川村さんがやってるんで、デザイン性を語るには全然アリだとは思うので次の機会に派是非。
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