僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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SHIROBAKO 1~12話

 

Shirobako 1/ [DVD] [Import]

監督:水島努
日 TVアニメ 全24話 2014-15年
☆☆☆☆

 

TVアニメシリーズ「SHIROBAKO」前半クール。2014年に放送された作品ですが、何故か今NHKでも放送されてるので、録画して再び見てます。

 

劇場版の時にも書いたのですが、私は話題になってたのを後追いでまとめて見た。で、面白いなと思って、どうやらP.A.ワークス制作の「お仕事シリーズ」という形らしく、その前の「花咲くいろは」も評判良かったようなので、そちらも見たら、それも物凄く面白かったと。第3弾の「サクラクエスト」はそんなに評判にはならなかったようですが、個人的にはそちらも好きです。地方のNPO活動という部分で、あまり馴染みも無く想像しにくい部分だったかな?というのがあまり受けなかった要因でもあるのかな?と思うのですが、私も多少そういうものと関わりがあったので、私個人としては身近な物として面白かったと。

 

3作とも、制作会社のPAワークスの企画としてシリーズになってますが、監督も脚本も毎回別。でも「お仕事シリーズ」という肩書もあってか、仕事って何だろう?を軸に据えてあって、キャラクター性とかよりも、そういう所でドラマを作ってあるのが何より面白い。

 

シチュエーションとしてアニメの制作現場を使って、その中で「あるあるもの」的な要素を持たせた日常系とかでは決して無い。仕事をしていく中でこういう問題や葛藤、悩みって絶対あるよね?じゃあそことどう向き合っていくのか?っていう形でドラマを作ってあるのが素晴らしい。

 

これ、1作目の「花咲くいろは」だったら、主人公を学生にして、わけありで実家で働く形になったっていうのと、恋愛要素も割と多めに描いてあったんですよね。そういう意味ではまだ社会に出ていない学生でも割と入りやすくなってた。そこはマーケティング的な部分で上手く考えてあった作品だなぁと思います。

 

日本のアニメ・・・だけでなく漫画や実写も含めた映画業界って、ユーザー層というか、見る側が諸外国と比べても成熟していないってよく言われる部分です。学生が自分達の物語だとして青春映画を観に行くのは良い。でも、大人も青春映画を観に行って感動してたりする。良い大人なのにまだ学生気分が抜けていなかったり、あるいはもう過去なのは理解してるけど、自分の思い出や、あるいは逆に自分が体験できなかったものだからこそ、みたいな部分もあるのかもしれないし、大人になっても少年漫画を読み続けている、的なものは日本のみの特徴としてよく挙げられます。

だから社会性のあるものとか政治要素が絡むものは企画通すの苦労するんだって「この世界の片隅に」の片淵さんが以前グチっておりました。

 

で、話を「SHIROBAKO」に戻すと、見た目は普通の美少女アニメと差は無いものの、仕事がテーマであり、社会人物なわけです。そういう部分ではなかなかに希少性はある。作中で何度もお酒を飲むシーン入りますけど、宮森も年齢的には普通に成人してるわけですよね。そういう所だけ見ても、割と貴重だなぁと思います。

 

で、そんなアニメファンが入りにくい部分がありながら、仕事は仕事でも「アニメを作る仕事」というのが、アニメファンの興味を引く部分ですよね。そういう工夫が「サクラクエスト」には足りて無かったのかな?という気はしてます。

 

「SHIROBAKO」もメインビジュアル的には5人の女の子を押し出してますが、1クール目の時点だと他のサブキャラと出番的にはそんなに差が無い。勿論、キャラクターや声優さんが目的でこの作品を見ちゃうと、え~っ?メインのはずなのに出番少なくない?ってなると思うのですが、逆にそういう所からも、ルックの部分で美少女アニメしてるだけで、本質はそこじゃないんだろうな、と見える辺りが個人的には面白い部分でした。

 

昨年の年末だったかな?アニメ評論家の藤津さんが司会やってた映画祭のイベントで、アニメのキャラクター論みたいなのを議論するのをyoutubeで見てたんですけど、その中の参加者の一人が、アニメを語ろうとする時に、よく最初に「どのキャラクターが好きですか」みたいなのが今は凄く聞かれて、そこに違和感を覚える的な事を言ってました。

 

ああ~、これは確かにそうかも。私もついつい話する時にどのキャラが好き?みたいなのを安易にとっかかりにする事がよくある。キャラクタービジネス、キャラクターコンテンツというのが重要視されるようになってる昨今ですが、昔からそういう部分はありつつも、そこがメインでは無かったのかな?という気はしなくもないです。

 

5人の中で誰が好き?とか聞かれたら、私はむしろ脇の瀬川さんとか井口さんが好き、とか結局言っちゃうんですけどね。まあそこが目的で見てるわけではないですが。

 

前半戦、最初はキャラが多すぎて憶えられん!とか思ってたのですが、6話「イデポン宮森 発動篇」で一気に引き込まれました。ええ私は富野信者でイデオン大好きですから。ある種のパロディー的な部分もあるとは言え、メインの5人ヒロインではなく脇のしかも男のキャラで初期衝動の話をやるってなかなか面白い事をやってるなぁと。これなら今後も見続けられるなと確信した回でもありました。

 

監督の水島努って、やっぱ「ガールズ&パンツァー」が有名ですが、基本的にそんなに作家性は出ない人ですよね。私はちゃんと見たのは他に「じょしらく」くらいしか無いけども。自分の主義や主張を作品に籠めるというよりは、その作品の持つポテンシャルを最大限に引き出す、みたいな人なのかなと。


そういう意味ではアニメに対する私情ではなく、もう少しフラットな視点で描けたのが割と大きい部分。勿論、劇中に登場する木下監督が本人の代弁者みたいなものですが、普通はアニメにしろ映画にしろ「作品」って私情ありきの方が面白くなるとされてます。その方が魂が籠るし、その人にしか描けない作品になるから。

 

いかにも老害おじさんな事を言ってしまいますが、今ってスタッフクレジット見る人少ないような気がします。それはそれでね、時代もあるんだなとは思うのですが、そういった時世の中で、アニメ作りを描いた作品として、こうやって中の人が居るんだよっていうのを描いたのは凄く大きいし、その価値は計り知れない気がしてます。

 

といった辺りで後半戦に続く。


後半はクライマックス近い所のずかちゃんと、それに対する宮森の反応が個人的に一番グッと来るポイント。

初見で何もわからず見ていた時も面白かったですが、2週目で見てもやっぱり面白かった。

 


TVアニメ『SHIROBAKO』 C87公開PV

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