僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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映画大好きポンポさん


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POMPO:THE CINEPHILE
監督・脚本:平尾隆之
原作:杉谷庄吾人間プラモ
日本映画 2021年
☆☆☆

 

<ストーリー>
敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。 ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった! ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。

 


ポンポさんが来~ったぞ!

 

という事で「映画大好きポンポさん」見て来ました。
原作は全然知りません、映画好きの間で大絶賛されてたので、これは見ておかないと、という感じだったのですが・・・

 

う~ん、面白いのは面白かったけど、正直、心の中ではあんまり乗れず。これ言うと、いやそんな映画じゃないから!そこに対してのエクスキューズはちゃんと出してたじゃんっていうのは尤もな話なんですけど、リアリティの無さが気持ち的には乗れなかったなぁ。

 

ポンポさん、おじいちゃんはヴォルフガング・ペーターゼンって事なのかな?見た目は可愛いし、声も小原好美で、プリオタとしては全肯定したくなるし、なんならここちゃんの声が聞きたくてこの映画観に行ったまである。いわゆる彼女はアニメ的な、現実では無い記号の象徴で、作中で言えば映画の象徴というか概念的な存在。

 

主人公のジーン君と、ヒロインのナタリーは新人俳優?なのかな?本業声優で無い人を使って、漫画っぽいご都合主義はポンポさんに背負わせて、こっちの二人で映画らしいリアルなドラマ部分を描きますよ、という使い分けなのはわかる。が!最後までそこが私の中では処理しきれなかった。

 

多分、こういう作品と割り切って2回目3回目を見る時は楽しめると思うのですが、初見で原作とかも知らないと、リアリティラインがどの辺にあって、話がどんな方向に進むのかわからないので、手探りで見てるとすごくわかりにくい。

 

ああ、こういうとこだって一番思ったのが、追加撮影シーンで、主演の往年の名俳優とナタリーが泥まみれになるシーンがあったんですけど、泥の中に落ちても、顔とか服が一部だけしか泥まみれにならないんですよ。え?いくらアニメだからって全然リアルじゃないなぁと思ったし、アニメだったらアニメでで全身茶色になるとかそういうのでも良かったはず。このどっちつかず感が映画全体のトーンに感じられて、悪く言えば中途半端な作品に思えてしまったのが、一番乗れなかった要因でした。

 

多分、狙いとしてはその両面を上手く融合させるっていう所だと思うんですよ。そしてそこが他の作品には無い面白味としての個性にしようとしたんだと思う。

 

ジーン君の成長のドラマはリアルに描くけど、映画の現場ってこんな程度じゃ無いでしょう?みたいなのは、そこはほらポンポさんだから。ポンポさんって存在自体がリアリティなんて1ミリも無いでしょう?これはハリウッドじゃなくてニャリウッドですよ、っていうエクスキューズ。

 

私がやるんだから何とかなるよ、難しい事考えなくていいよっていうポンポさんなのに、追加撮影は予算がかかるとかそこだけリアリティがある事を突然言い出して、しかもその問題は銀行の同級生が、またリアリティの無い集団で解決させる。んんん?何だこれって思っちゃった。

 

学生時代とかに鬱屈した青春を送ってきた奴だからこそ自分の世界を持てて、それが表現になる!とか、映画にはその人の魂とかアイデンティティが映し出されないと名作にはならない、とかわかる話ではあるんですけど、ちょっと言葉だけというか、原作の人もアニメーター上がりとかで、やりながら趣味でピクシブで書いてたとか、その原作にほれ込んでこうやって映画にまで実現させた監督とか、共に映画好きなシネフィルであるんだけれども、アニメの緩さみたいなのも抗えない魅力を感じていて、その融合が新しい面白さを生みだすんじゃないか?っていうのが原動力になってるんだとしたら、多分これで正解だと思うし、やっぱりそこは素晴らしいし面白い作品なんだとは言えるのですが、単純に見てる方としてはモヤモヤしてしまった。

 

映画は名作とか大作ばかりじゃないし、90分尺の映画も同じくらいに特別なものなんだって形で、この映画も90分にしてあるのは面白い部分だし、なんだったら映画は女優の素敵な1シーンがあるだけでも十分な価値なんだよっていう話はわかる。

 

私も別に映画は全てが完璧であらねばならないとは思って無くて、例えクソ映画みたいなものでも、この1シーンだけは見る価値がある!みたいなものがあればそれって結構な事だとは思う方ですけど、いわゆる映画秘宝的なジャンル映画こそが本当に俺達が楽しいものなんだよ、的なセンスも私はどこか違和感を覚えていて、アカデミー賞候補になるような映画も私は好きだし、ああいうのに、ケッ気取りやがってとかは全く思わない方。どっちもそれぞれの方向性があって面白いじゃん、っていう。

 

映画好きらしい、「映画あるある」部分は面白く見れたし、なんだったらあの銀行の役員の女性が足を組みかえる場面は「氷の微笑」ですよね?なんかそういう細かいネタも面白かった。

 

編集をアクションシーンみたいに見せてるとことかも、面白いセンスと画だったなと思ったし、決してつまんなかったとかの印象ではないし、むしろ面白かった方なのですが、なんか手放しに大絶賛とかはしにくい、妙なモヤモヤが残ってしまったというのが第一印象でした。

 

でも割り切って2回目見ると面白いと思います。

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