MOBILE SUIT GUNDAM SEED ASTRAY PRINCESS OF THE SKY
漫画:ときた洸一
シナリオ:千葉智宏(スタジオオルフェ)
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全4巻 2015-19年
☆
アストレイシリーズ10作目?だかに当たるようです。
私はどこまで読んでたっけかな?昔はガンダムは外伝系まで全部網羅してやるぜ!って感じで気合入れて集めたり読んだりしてたのですが、いつのまにかメンドくさくなってフェードアウト。今も惰性で漫画くらいは集めてますが、アストレイは「VSアストレイ」くらいまでは読んでたはず。調べた所、その後のはフォトストーリーの「Dアストレイ R/B」が抜けてるくらいかな。
アストレイは個人的に思い出があって、小説版「Dアストレイ」だったかと思います。アニメ本編のボスキャラ的な立場だったデュランダル議長を、その小説版だとアストレイの方のボスキャラがそれを操っていて、あいつはただの傀儡でザコキャラでしかない、みたいな展開でした。もうそこで最高に萎えた。そっからガンダムなんて本気で観るもんじゃないわって、それまで一生懸命ガンダムを追ってきた熱を醒めさせてくれるきっかけになった作品です。
「EXA」とかもまさしくそうでしたけど、この人達は「僕の考えた最強のガンダム」みたいな、ガンダムで一番くだらない部分を頑張ってやってる人達なんだな、という認識です。そういうのが好きな人が居るのはわかりますけど、私はそこって極めてどうでもいい部分なので、なんか真面目に見るのもバカらしいな、という感覚を教えてくれたのが、このときた&千葉のコンビでした。
メカとかは割とカッコいいなとは思うんだけど、私はガンダムでMSだけしか興味無いみたいなの嫌だなって思う方ですし、どんなクソダサデザインとかでも、面白いストーリーがあるだけで100万倍魅力的に見えてくる、の方が私としては惹かれるし面白味を感じる部分なので、そういう意味ではやっぱり長谷川裕一とかの方が私としては好みだったりするわけです。
それはさておき、今回の「天空の皇女」。
アストレイシリーズの総決算的な位置付けのようで、「Δアストレイ」の主人公以外はほとんど出てくるみたいなオールスター総出演。
ただこれ、本当に顔見せだけで、話的に何の役割も見せ場もないという、ダメな話作りの典型でした。過去キャラが出てくる意味が全く無かった。
特に「フレームアストレイズ」のメインであるトロヤとか何しに来たんだっていう扱いで酷かった。何でしょうね?グリーンフレームの影の薄さって昔からですけど、何か意図があるのかな?この後の続きやる時とかの為に将来使える枠として残してあるのかな?メカ的にもグリーンフレームって特殊なスピア持ってるだけで、アストレイ特有の盛り盛り設定とか無いですよね確か。アストレイってガンダムでは珍しく波動拳とか使える機体ですし、格闘要素に特化していくとか出来そうな気がします。
そして今回の話の軸になるのが新キャラのフェアネスとかいう政治家。こいつがデスティニープラン的な視点では世界を統べる遺伝子とかの役割らしく、へぇ~アストレイでは珍しく政治の話とかをバックボーンに持ってくるんだ?とか思ってたら・・・いやいやいやまたこれか。
最強のMSに乗ってると世界を統一できるらしいです。
この小学生みたいなリアリティが全くない路線が読んでてキツイのよ。そういうのやりたいなら政治とか絡めずに、普通にMSバトルトーナメントで最強を勝ち取る程度の話でいいじゃん。
しかもそのくだらない「最強」の理由がレアメタルを使っていて堅いから壊せない。だから誰も彼に逆らえなくなるとかいう理由。どういうこと?????
ごめんなさい、私はSEED世界の設定よく知らないんだけど、レアメタルってどういう魔法の金属なの?
元はロウのレッドフレームの150ガーベラで使ってた金属なんだけど、希少なレアメタルを個人が独占するのは違法とかいう話が出てくる。それだと不公平だとして、連合(地球側)とザフト(プラント)とロウが等しい量になるように3分配。(ここもよくわからんのだけど、ロウはどっからこの素材みつけてきたんだっけ?連合とザフト相手にロウが個人所有認められるのは何故?)
そのレアメタルを使って作られたMSは物理的に破壊が出来ない存在になる。ここがよくわからない。150ガーベラは普通に壊れたのにMSになると絶対に壊せない?そもそもMSの素材として加工してるのに破壊不可能ってどういう事?だって金属の塊を切ったり貼ったりしてるんだよね?
というか、最強のMSなのはまだ良いとして、それに乗ってると世界を支配できるみたいなのが全く理解出来ない。作中でも反攻勢力がテロしかけたりしてるけど、MSじゃなく中の人を狙わないのは何故???
この世界観のリアリティの無さ、狭さが凄い。
「VSアストレイ」でのカーボンヒューマンだったっけ、人造人間みたいなのが出てきた辺りでも凄いなと思ってたけど、こうやって元は外伝だったものが、本編をどんどんブチ壊して陳腐化させていくセンスが凄いシリーズだなこれ。
唯一、ゴールドフレーム天ハナの頭部のデザインとかカッコいいなと思ってたけど、回収されてアマテラスになると、ゼロカスタムみたいな羽がついちゃって、ああ~二番煎じやっちゃったか、とガックリ来ました。
「ガンダムSEEDエクリプス」でしたっけ?違う面子で別の外伝始まって、ようやく手を離れたかとは思いましたが、劇場版SEEDが具体化した時には、どうせまたこっちはこっちで新しいアストレイがそのうち始まるんでしょう。
言った所で無駄かとは思いますが、大がかりな話にしなきゃいいのに。小国の小競り合いみたいな程度で、特殊任務の為のスペシャルミッションパックが使用された、程度の話でバリエーション増やしてくくらいで良いんじゃないかなぁ?と思う。
一番最初の「アストレイB」でブルーフレームを太陽に捨ててミッションコンプリート、とかやってた頃が懐かしいです。
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