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バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街 (THE NEW 52!)

バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街(THE NEW 52!)

BATMAN VOLUME 5: ZERO YEAR -DARK CITY
著:スコット・スナイダー(作)
 グレッグ・カプロ(画)
訳:高木亮
刊:DC COMICS 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2015年
収録:BATMAN #25-27 #29-33(2014)
☆☆☆★

 

THE NEW 52!シリーズ第5巻!!
現代版、バットマンの誕生秘話の後編。
物語の起源(ゼロ)は完結へ。


彼がコウモリの翼を広げた直後、
さらに深い闇が街を包み込んだ。
リドラーと名乗る悪の天才策士が、ウェイン産業から盗んだ技術を悪用してゴッサム電力ネットワークを破壊し、全市民を暗黒の深淵へと叩き落とすと同時に、バットマンに対して挑戦状を叩きつけた!
しかも、街を脅かす敵はリドラーだけではなかった。
この闇の迷宮の中心には一匹の怪物……死の医師が潜んでいた。
彼の奇怪な実験によって不気味に変容した死体が次々と発見され、警察はバットマンこそが犯人だと疑いはじめる。

 

という事で「ゼロイヤー」後編。
今回はリドラーだけでなく、ドクターデス(カール・ヘルファーン)も登場。古参のヴィランらしいけど、私は初めて見たキャラかも?

 

リドラーゴッサムの電力供給システムを完全に掌握。電気を全て止め、更にパメラ・アイズリーの研究を利用し、街は植物に覆われ、廃墟のような状態に、とかなりスケールの大きい事件になってます。

 

映画の「ザ・バットマン」どころじゃないなこれ。勿論、リドラーらしくナゾナゾは仕掛けてくるものの、ここまで強大な力を持ったヴィランとして描くのは割と新しい感じはする。

 

でも今回、これまで映画も含めて何度も語られてきたバットマンのオリジンストーリーとしてここが新しいという所があって、ブルースがアルフレッドとゴードンに対する憎しみ?怒り?みたいな感情を抱えていたっていう部分が今までには無い視点で、個人的にはそこが一番の見所、面白味でした。

 

両親を失ったあの時、お前たちは何をしていた?綺麗事ばかり言って自分を救ってくれなかったじゃないか!自分はお前たちとは違う、自分は一人で全部やってみせて、お前らも見返してやるんだ、自分の決意はそれくらい堅いし、自分の優秀さを証明してみせる!的な感じで協力者である二人に壁を作っていた。

 

けれど、一人で戦おうとしても勝てない。そんなブルースの感情をようやく見抜いたアルフレッドは・・・っていう部分が物凄くグッと来ました。このシーンだけで「ゼロイヤー」もこれはこれで新しい視点だしアリだなと思えた。

 

なるほど、確かにブルースはそうやって他人を信用しないような部分確かにあるわな。一人で何でもやろうとする。この時点ではロビンはまだ居ないけど、歴代ロビンとかもね、もっと自分を信用してくれって感じで対立するケースも多かったですしね。

 

一人で全ては出来やしないというのを悟った時、アルフレッド、ゴードン、ルシアスらの手を借りて、共に戦う仲間としてリドラーの前に再び立つ。

 

それでもバットマンは自己犠牲の上で街を救おうとするものの、バットマンは希望の存在であるべき、という所に終着させるセンスはなかなか面白い。

 

過去のバットマンの象徴的なビジュアルを模したシーンがちょこちょこ入るんだけど、そういうものを引き継ぎつつ、新しいバットマン像をここでまた作り上げるぞ、っていう決意が存分に感じられて、そこは素直に面白かった。

 

全体的なストーリーラインとしては、う~ん申し訳ないけど、正直そこまで面白かったわけでも無いんだけど、何十年と死と再生を繰り返してきてるのがアメコミですし、その意気込みと工夫、新しい視点を作品に与えるっていう部分ではなかなか面白い事はやってるなとは思う。

 

バットマンをスーパーマンのネガ的な存在、光に対する闇っていうアプローチはこれまで幾度となく描かれてはきたものの、バットマンを希望の象徴として描くって言うのはこれまであまり無かったように思うし、なんと言うか、ありきたりで曖昧な言い方ですけど、今風だなとも思う。

 

いや~この流れでロビン誕生編とかも読みたいな。映画とかもそうですが、バットマンを孤高のヒーローとして描きがちですけど、個人的にはロビンとか含めたバットファミリー路線が私は好きだったりするので。映画でもロビン出して欲しいといっつも思いますもの。

 

さて今回は映画の元ネタの一つとして積ん読から引っ張りだしてきましたが、DCの消化がさっぱり進まない。同じく元ネタとしてイヤーワンとかロングハロウィーンも再読したいなぁとか思っちゃうし困ったものです。

 

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