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X-MEN:ファイナル ディシジョン

X-MEN:ファイナルディシジョン [DVD]

原題:X-MEN: THE LAST STAND
監督:ブレット・ラトナー
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2006年
☆☆☆

 

X-MENシリーズ3作目。前2つと監督が違ってブライアン・シンガーはこの時、ライバル社のDCで「スーパーマンリターンズ」を作るため、X-MENから離脱。しかもサイクロップス役のジェームズ・マーズデンもつれて行ったので、サイクの出番が極わずか。

 

シンガー的にはスーパーマンをやれるタイミング的にどうしてもそこしかなく、そこは元々やりたかった悲願のタイトルだったので、やむを得ずそちらを優先。こちらのX-MENも公開日はもう決まっていた為、ギリギリになって監督を探す羽目に。企画の途中から、雇われ監督的な感じで、とりあえず完成させる事が目的として、確か半年くらいで撮影・編集・公開までこぎつけたんじゃなかったっけ?

 

その辺のゴタゴタは当時から言われてたので、そんな所も含めて残念な部分でした。結局はこの作品も、スーパーマンリターンズの方も批評的には上手く行かずに、両社とも損してしまった感は否めず、
X-MENの1と2は明らかにブライアン・シンガー自身がゲイというのもあって(ついでにマグニートー役のイアン・マッケランも)、そういう資質がミュータントがマイノリティである事の表現にも明らかに繋がっていたので、監督が変わってしまうのは結構な痛手でしたし、後にシンガーもこっちのシリーズに戻ってはくるけど、その時はもうシリアスにドラマを語るという作風からは変わってしまっていて、非常に残念でした。その辺は後のシリーズ作品でも触れる事になると思いますが。

 

そういうのも含めてね、私の中ではこの作品、当時からガッカリ&残念作品として、評価は物凄く低かったのですが、今回こうして久々に見返してみると、意外とビジュアル的には面白い部分が多くて、そこまで悪くなかった印象。

 

勿論、少し頭を冷やして少し冷静に考えると、ミュータントを治療するキュア回りと、ジーンの復活からのダークフェニックスの話と、これどっちか片方だけでも十分にドラマとして成立するはずなのに、両方詰め込んだのでテーマが散漫になった感は否めず。まるでスーパーマンもこの作品もどっちも上手く行かなかったっていうのと重なってしまうが如く。

 

一応、これが3部作として完結編になるつもりではいたからこそ、詰め込めるものを詰め込んだっていうのもあるでしょうけど、逆にそれが故に、最後だからキャラクターを処分してしまっても構わないだろう的な雑な処理にも繋がってしまった気がする。ウルヴァリンのスピンオフとかは作るけど、一応X-MENとしては完結編で一区切り、みたいな感覚はあっただろうし。

 

X-MENってね、個人ヒーローじゃなくチーム物だし、様々なミュータント能力とか、見てるだけでも楽しんですよやっぱり。そういう意味じゃ今回も、色々見れて楽しい。けど、「2」で仲間に加わったはずのナイトクローラーが今回は出て無いし(確かこれも俳優がオファーを蹴ったんでしたっけ?)、見方側と敵側での差は仕方ないのかもしれないけど、ビーストとエンジェルはドラマ的にもちゃんと意味があってそこは良いけど、敵側のジャガーノートカリスト、マルチプルマン、アークライトにキッド・オメガなんでしたっけ?ハリネズミ君は。あの辺がただの面白能力程度にしか描かれないのはやっぱり勿体無い気がする。

 

アイスマンパイロ回りとか、繊細な描写が面白い所もあったりしつつ、同時に各部の雑さも気になると言う、当たり前かもしれませんが、良い部分悪い部分、どっちもあるなぁと思ってしまう。

 

プロフェッサーを失い、ストームが中心になって、復帰したビースト以外は、アイスマン、コロッサス、キティと若手が多く入るのも良い部分。X-MENは時期によってメンバーが全然変わってくるというのも「らしさ」ですし、1・2作目では生徒側の身分で脇役だったキャラが、X-MENの正式メンバーに格上げ!みたいなのも結構グッと来るポイントです。

 

あと、フェニックスの全てを灰にするサラサラ攻撃。今見るとまるで「インフィニティ・ウォー」みたいだなぁとか思ってしまった。フェニックスの赤い衣装はスカーレットウィッチっぽさもありますし、まさしくマーベル・レガシー映画という観点で見ても面白いかもしれない。

 

原作でも「ダークフェニックスサーガ」って、X-MEN史としてだけでなく、マーベルユニバース史、ひいてはアメコミの歴史においても結構重要なエピソードなのもあって、一度ここで描いてるのにかかわらず、後でまた「X-MEN:ダークフェニックス」で改めて再度映画化するという不思議な事になってましたが、本来は宇宙の他の星とかとも絡んでくる話なので、いずれMCU世界でもまたやると思います。流石にまだ記憶に新しい部分もあるでしょうから、やっても10年後とか期間は開けるでしょうけど。

 

そして今回、そんな時間の経過を感じさせる大きな要素が2つ。
まずは一つ目がブレット・ラトナー監督。「ラッシュアワー」シリーズで有名な人でしたが、ミートゥー運動の時に槍玉に挙げられ、出演女優から多数のセクハラ被害が告発され、ハリウッド追放。
そしてもう一人が、キティ役のエレン・ペイジ。今はトランスジェンダーとしてエリオット・ペイジに改名しちゃった様子。

 

監督の方は私的には特に思い入れも無いのですが、エレン・ペイジ可愛くって好きな女優だったんですけどね。この作品から知りましたが、「ハードキャンディ」「ジュノ」「ローラーガルズダイアリー」「スーパー」と結構主演作見ました。ああ、「インセプション」にも出てましたよね確か。あんまり詳しくは無いのですが、子供の頃から隠してきたとかではなく、大人になって仕事をしてる内に段々と定まっていった的な事を言ってる記事を見た記憶が。

 

この作品をやってる時はその辺りはまだわかってなかったそうですが、前述の通り、ブライアン・シンガーイアン・マッケランはゲイを公表してますし、そこを作品内ではホロコーストに重ねて人種差別をテーマにX-MENを描いたわけですが、新世代のエレン・ペイジもね、決してこの作品の影響って事は無いんだろうけど、結果として後に性的マイノリティである事を公表して、女性から男性になる道を選ぶ事になったという話を聞くと、追放されたブレット・ラトナー監督と言い、時代は確実に変化してるんだなと思わせられます。

 

雑すぎて決して良い作品とは言い難いですけど、そういう面ではね、意図せぬ所で色々とX-MEN的な作品と言えなくもない。

 

 

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