DC UNIVERSE:REBIRTH
著:ジェフ・ジョーンズ(作)
ゲーリー・フランク他(画)
訳:高木亮
刊:DC COMICS 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2017年
収録:DC UNIVERSE:REBIRTH(2016)
☆☆
物語は――“THE NEW 52!”から“REBIRTH”へ……!!
ウォリー・ウエスト(三代目フラッシュ)は、彼の先輩にあたるバリー・アレン(二代目フラッシュ)が引き起こした“フラッシュポイント”事件によって、現実の時空間から追放され、次元の狭間に囚われてしまった。
虚無の空間を彷徨うウォリー……かつてキッド・フラッシュと名乗り、フラッシュの名を受け継いだ彼だけが、この世界の謎を見る事ができる。
いったい誰が“失われた10年間”を盗んだのか?ウォリーは地球に戻らなければならない。彼の愛する人たちが避雷針の役目を果たしてくれるはずなのだが、誰に接触を試みても、彼はますます世界から遠ざかり、真の消滅へと近づいていく……全宇宙の運命は、ウォリーの再生にかかっているのだ!
「フラッシュポイント」ついでに読んで無かったこっちもせっかくなので。
過去75年分の歴史を全て切り捨て、再スタートを切った「NEW52」から5年。仕切り直しで新規の客層も巻き込み、好調だったものの、5年も経てば平常運転にまた落ち着く。ならここで再び仕切り直しをするぜ!というのがREBIRTH(リバース)シリーズ。
とは言え、また無かった事にするわけではなく、あくまで話は継続したまま、新装開店リニューアルして新章スタートというのが表向きの流れ。
NEW52は過去の複雑化しすぎた歴史を切り捨て、ゼロからのスタートを切ったものの、すっきりした半面、かつて存在したキャラとかも無かった事にした例も多くあった。そんなキャラも順次、リニューアルして再登場してくれれば問題無かった気がしなくもないですが、全部が全部、というわけにはいかない。
そもそも複雑化したものをスッキリさせるためにリセットをかけたのですから、再度複雑化してしまっては意味が無い。
3代目フラッシュ、ウォリー・ウエストもそんな一人。かつては2代目フラッシュのサイドキックとしてキッドフラッシュとして活躍していた彼だが、更に昔の世界改変イベント「クライシス」で2代目のバリーがその身を犠牲にし、世界を救った後に、正式にフラッシュの名を継いだ存在。そんな歴史も由緒も大いにあるキャラクターだったが「NEW52」世界には存在しないキャラとなっていた。
フラッシュポイントで消えたかと思われたそんなウォリーは、まだ次元の狭間を彷徨っていたのだ!必死に元のユニバースに復帰しようと試みるも、そう簡単には行かない。
メタ的に言えば、一度消してしまった設定を再度復活させるというのが「リバース」の流れ。
とは言え、最初のクライシスの頃から、他のアースは消滅しました!これからは統一した一つのアースです!とか言ってる数年後に、いや実は別アース消えてませんでした。てへぺろっ!とか散々やってきたので、毎度と言えば毎度の事です。
今回の単行本内では、最後にバリーがウォリーを見つけて何とか彼の命は救われた!という展開になるんですけど、そんな話はおまけみたいなもので、実は世界改変の陰には、とある存在の介入があった。
時間・・・時計。
そしてスマイルマーク。
まさか、そんな展開がありえるのか!?
「ドゥームズデイクロック」へ続く。
とまあドゥームズデイクロックの予告編みたいな内容。
これをリアルタイムで読んでいたならば、さぞかし興奮したかもしれません。邦訳本も結構早いタイミングでこれ出してましたしね。これからとんでもない展開が待ってるぞ!というワクワクを、基本的には普段リアルタイム性の低い日本の読者にも届けたかったのでしょう。
でもねぇ、ゴメン。私「ドゥームズデイクロック」の方を先に読んでますし、私的にはだからそこと関わるのはやめとけって散々言ってるのに・・・という評価の作品なので、非常に複雑な気持ちです。
「フラッシュポイント」の続編として。
新章「リバース」の起点として。
イベント「ドゥームズデイクロック」の序章として。
という3つの視点とか役割がこの作品にあると思うんですけど、実質は一番最後の奴が本質かなぁという気がします。
邦訳は普通にリバース編の何冊かの他に「バットマン/フラッシュ:ザ・ボタン」ってのも出てたっけ。多分今回の本と近い役割だと思うので(どっちも邦訳本の中では薄い方ですし)せっかくなのでそっちもまとめて読んでおこう。
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