僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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レディ・バード

レディ・バード [DVD]

原題:Lady Bird
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
アメリカ映画 2017年
☆☆☆☆★

 

<ストーリー>
2002年、カリフォルニア州サクラメント。閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン(自称“レディ・バード”)。高校生活最後の1年、友達や彼氏や家族について、そして自分の将来について、悩める17歳の少女の揺れ動く心情を瑞々しくユーモアたっぷりに描いた超話題作!


U-NEXTに「バービー」が入ってました。
公開時に見ようと思ったんですけど、こちらの「レディ・バード」と「私の若草物語」まだ見て無かったんですよね。批評家から大絶賛されてた作品なのは知ってたので、その内見ようと思ってたんですが、後回しになってました。

 

「バービー」は主演のマーゴット・ロビーと、グレタ・ガーウィグ監督の、ハリウッドでフェミニズム推進を最前線でやってる二人が組む事こそに最も価値がある映画なのは知ってたので、まずそこの文脈を知ってる方が映画の一番本質的なものが見えてくるだろうと、グレタ監督の作品を見ようとしたんです。

 

そしたらねぇ、当時衝撃的な事があって、GEOのレンタルがどこも縮小した時期だったんですね。ツタヤもどこも撤退済み。サブスクで見れない奴はレンタルも併用とか私はしてたんですが、あれもうレンタルは完全に終わりなのかと、当時ビックリしました。GEOもね、レンタル完全撤退とかではないんです。韓国ドラマとかは多いままですが、映画が8割くらい無くなったの。しかもアクションとかはまあまあ残ってますが、ドラマとか9割無くなった。メチャメチャショックでしたよ。

 

そんな事がありましてね、結局バービーは見ずに終わったんです。
U-NEXTは過去作も無料で見れるようなので、お試し期間ギリギリまで無料で楽しんでおこうかと。

 

そしてレディ・バード。世間に馴染めない女の子が自分らしく生きる・・・みたいな話なのかなと思ってみたら、いやこれはなかなかに痛々しいタイプの子でした。

 

シアーシャ・ローナン演じるクリスティン。自分の名前を本名では無く、レディ・バードと名乗り、家族や友人にもそう呼ばせている。何か由来があるのかと思えば、そんなものはない。カッコいいからだ。

 

いやいやいやいや。あなたそれ日本人なら「我が名は鳳凰院凶真!」とかと同じ奴ですよね。

 

田舎の神学校に通い、こんな所に面白い事なんて一つもない。都会に出て自分はもっと大きな存在になるんだ、と日頃から嘯くも、特に何かの才能があるわけでもないのに自分は特別な人間なんだ、と自意識だけを過剰に募らせる。

 

いやこれね、いつの時代でもあるんだなと。
私のフェバリット映画の一つに「ゴーストワールド」という映画があります。2001年の映画でね、そっちも女の子の自意識ライジング系。周りの奴らはバカばっかり。でも自分はそういう奴らとは違う!という意識だけがあって、実際には何者でもない自分に向き合うことすら出来ない。

 

探せば80年代や90年代にも多分、似たような作品はあるのでしょう。そして将来も似たタイプの作品がきっと作られていくはず。恐らくは若者が抱える普遍的なテーマなんだと思います。

 

映画じゃないけど、私が中学生くらいの頃からずっと大槻ケンヂの信者だったのもこの辺のテーマを歌ってる人だったから。

 

レディ・バード」にしても「ゴーストワールド」にしても映画として好きとか面白いとか言ってられるのは、女の子の話だからどこかフィルターがかかって見れるというのはあるように思う。これが男の子だったらホントに痛たたたたってなっちゃって正気でいられなくなる。気持ちわかるけど見たくねェ~みたいな。

 

高校を卒業、大学進学で都会に出る中で、特に何も無い自分を受け入れ、故郷や家族から離れた事で、本当はかけがえのない存在だったんだ、というのを知る。お話的には割と単純な成長譚。あえて「通過儀礼」的な大きい事件や消失とかを描いていない辺りが逆に上手さかなとも思うし、最も関心したのは細かなディティールの部分。

 

CDも「ベスト版」的なものしか持っておらず、これまた自意識過剰な悪い意味での意識高い系にバカにされたり、お父さんがうつ病なのを知らないまま生活してたり、しかもそこを通学とかで都合よく利用してるくせに、みんなには恥だと思ってるから、学校の少し手前で降りたりとか、そういうディティールがヤバい。

 

友達を平気で裏切ったり、嘘をついたり、決して物語の主人公として見てる人に好きになってもらうとかを意図せずに、生の感情というかリアルっぽさを描いてるのが本当に素晴らしかった。

 

あえて言うなら、ビジュアル的にシアーシャ・ローナン可愛すぎるので、なんかそこは浮いてるようにもちょっと思えた。いや、ルックスの良い女の子だけど内面は・・・みたいなのをあえて狙ったのかもしれないけれど。

 

先にも触れたけど、私は男だからこれを冷静に見れるのであって、同性の女性から見たら、結構嫌悪感はあるかもしれない・・・とか勝手に想像しちゃうくらいリアルでした。いやラストは良い方に向かうので、気持ち良くは見れる作品だとは思うけど。

 

カリフォルニア州サクラメントという舞台設定は、監督の出身地のようで、自伝的な要素も入ってるようで、そこで更にリアリティが生まれたんでしょうね。

 

自意識うんぬんもそうですし、田舎の閉塞感とかもね、「悪の華」とかがそうでしたし、多分同じような気持ちを抱えて生きてる人って凄く多いんだろうなと思う。そういう意味ではやっぱり凄く普遍的なテーマなんだと思う。

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