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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(MCUその15)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス [4K UHD & Blu-ray UHDのみ日本語有り リージョンフリー](Import版)

原題:GUARDIANS OF THE GALAXY VOL.2
監督・脚本:ジェームズ・ガン
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2017年
☆☆☆☆☆

 

MCUフェイズ3の3本目。「ガーディアンズオブザギャラクシー」としては2作目。公開当時から散々言われましたが、日本語題の「リミックス」はまあ無いな。世界中で大ヒット、興行収入だけでなく、批評家筋からも絶賛されたものの、日本ではパッとせず、2とかの続編だとハードル上がっちゃうから、気を利かせて音楽用語っぽい感じでリミックスとかつけましたよ、どうせシリーズで見る人は2なんだって知ってるから別にいいでしょ?お仕事だから大変なんですよ、みたいな感じが最低な日本版タイトル。

 

でもそこ考えたらさ、今ではこれだけ跳ねた「マーベル」って看板も、当時はそこそこは浸透してきたけど、「アイアンマン」とか「アベンジャーズ」でないとまだ見る人は少なくなっちゃうんですよ、という状況だったという事なのでしょう。

 

かく言う私も、長年アメコミファンをやってきながら、1作目の時点ではガーディアンズの事は知りませんでした。勿論、マーベルのシリーズだしと映画館では見てます。けど、どんなキャラでどんな話?へぇ~こういうのなのかと。宇宙の話なので、1作目も2作目も、アベンジャーズ方面とは特に絡むクロスオーバー要素も無し。勿論、サノス絡みで原作で言う所の「インフィニティガントレット」的な物を将来やりたいんだろうな、というのは理解出来てましたが確かにMCUの中では番外編的な印象もあるにはありました。

 

でもね、クロスオーバーがあろうが無かろうが、まず純粋に作品として面白い。じゃあそこから2ではどんな進化を遂げるのか。

 

前作では立場も目的も違う存在であった各メンバーが、最終的にはチームになって銀河の危機を救う!という所まで行きました。で、それを踏まえての今作。最初からチームとして出来あがってる感じがもう最高!

 

冒頭のタイトルが出るシークエンスのバトルからして、コンビネーション抜群とかではなかったり、表層的にはあんまりチームとしては纏まって無いんですよね。でも、それにも関わらず、各々が好き勝手やって、それにお互い文句を言い合ってる姿こそが、内実みんな実はこのチームが特別な形になってる、という感じがして、そこが最高に好きな部分です。一見バラバラなんだけど、みんなちゃんとチームだと思ってるし、そこには特別な思いがあるという。

 

この、チームが疑似家族になってる感。前作から今作の描かれない合間にも、おそらくは数々の冒険をしてきたんでしょう。「おいロケットお前何やってんだよ」「あ~?うるせーぞピーター」「ちょっとあんたたちいいかげんにしなさいよ」「ガハハハ」と文句言い合いながら、みんなそれでもグルートの事も可愛がってるし、ああ、こいつら仲良いな、なんかまた皆と会えて嬉しいなと思ってる所に、私がお前の本当の父だ、と出てくるこの絶妙な展開。

 

疑似家族か、或いは血の繋がった本当の家族か、という所で揺れる姿を描いておいて、更にそこに絡んでくる、育ての親であるヨンドゥ。何この脚本の絶妙な組み立て方。まさかヨンドゥに泣かされるなんて、誰も予想してなかったはず。

 

アベンジャーズ」の方でもブラックウィドウが空虚な自分に居場所を与えてくれたという感じで、アベンジャーズこそが家族、みたいな流れがありましたが、映画2本をきっちり使ってそこを描いてるガーディアンズの方が、どうしてもそこはより深く感じられる作りになってます。勿論、ブラックウィドウは次の新作で初めて単発映画としてそこは掘り下げられるようですので、そこには超絶期待してます。

 

で、ヨンドゥもまた「ようこそガーディアンズへ」って言われる下りとかね、血が繋がっていないけど、あんたもまた家族なんだと。
エゴにいいように使われていたマンティスもそうだし、姉への異常な執着を見せるネビュラもそう。それぞれのキャラクターの活躍やドラマが全て、本当の家族って何?みたいなテーマに基づいて描かれてる。この辺のドラマの作り方が超絶上手いし、また俺達が銀河の危機を救っちゃうのか!?みたいな一見軽いノリをやりながら、全員にきちんと見せ場を作った上で、根っこの所のドラマがちゃんとしているという、もう最高としか言いようがない。

 

金ぴかのソヴリン人やら、エゴ・ザ・リビングプラネットやらトンデモ世界も堪能できるし、映画館で見た初見の時より、より今回の方が圧倒的に楽しめました。この絶妙な脚本、ホントにジェームズ・ガン凄いんじゃないかと。

 

ただやっぱり、ガン特有の悪趣味部分とかは結構強かったりもして、(テイザーフェイスとかね)これは私の勝手な想像ですけど、その後のジェームズ・ガン解雇騒動って、10年前のツイッター不適切発言だけが全ての原因じゃなくって、品性素行の良さを求めるディズニーが、このままシリーズを任せていたら、清く正しく子供にも害の無いディズニーブランドを維持していく上で、将来的な危険を察知して、何かしらの理由をつけてガンを外したくなった、的な面ももしかしたらあるんじゃないかなぁ?とか思ってしまいました。

 

でも、やっぱり正しい行いをするヒーローばかりが全てじゃ無くて、多少、タガが外れた危険スレスレの問題児みたいなのも、いてこそ世の中じゃないかなぁと私は思うし(個人的には決してそういうのが好きなわけではないのですが)割と正しい倫理観に乗っ取った人達ばかりがヒーロー物としては自然に多くなるであろう中で、ガーディアンズのシリーズくらいはアウトローだったり悪趣味だったり、これも一つのラインとして残しておいても良いんじゃない?こういうのもまた個性だよね、なんて風にも思ったりはするので、VOL.3にガンが戻ってきてくれる事になったのは嬉しいです。

 

おふざけ全開でやってるように見えて、きちんと芯の部分では王道展開を巧みにやってる、ジェームズ・ガンの手腕には本当に脱帽という感じで、最高に面白い作品でした。いやMCU恐るべし、です。

 

次は「スパイダーマン:ホームカミング」だったかな?何でこんなに面白い作品が続くのかと、まさに破竹の勢い。こうして再見していくだけでも、伝説が作られていく様をリアルタイムで追えたというこの上ない幸せを感じますが、逆にそうやってのぼせあがっている状態ですから、3週目とか、いつかこの勢いが止まってしまった時(それは必ず来るものですしね)にまた見ると、その時はその時できっと印象が変わるんだろうなと思うし、それもまた将来的な楽しみだったりします。

 


映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』日本版予告編

 

 

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