MASHIN SENTAI KIRAMAGER
監督:山口恭平、他 脚本:荒川稔久、他
日本 特撮テレビドラマ 2020-21 全45話+特別編5回
☆☆☆☆☆☆
キラメこうぜ!!
スーパー戦隊シリーズ44作目。
主演のキラメイレッド/熱田充瑠役の小宮璃央君が4月頃に新型コロナ感染、撮影も中断して、映画「エピソードZERO」のTV放送や特別編集編で中断期間をしのいで、その後は無事小宮君も復帰、最終回まで完走致しました。
いや~、キラメイジャー最高でした。メチャメチャ面白い作品になってました。戦隊って45年も続いてるのもあって、私も全作は見て無いのですが、それだけ長ければ時代と共に変化してきた部分ってのは当然ある。ただ、割と時代性に敏感なプリキュアなんかともちょっと違って、常にアップデートを気にしているというより割と緩やかな変化っていうイメージが強い。
キラメイジャーは、ここ数年は最初から9人の「キュウレンジャー」とか、2戦隊の対立を描いた「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」とかと比べたら、毎週変なタイツ怪人と戦うと言う、割と古い戦隊スタイルを踏襲してオーソドックスな感じにやりつつ、逆にそのベーシックな形の中で、今風の価値観を入れて行く、というような形になってて、個人的にもその部分が一番面白い部分でした。見た目、いわゆるルックの部分を新しくするんじゃなくて、外見よりも中身の部分をアップデートしていく事で、ちゃんと今が見えてくる形になっているのが凄い。
リーダーのレッドが最年少なんだけど、そのリーダーが皆を引っ張っていくっていうのじゃなくて、仲間達の個々の能力を最大限に引き出してあげる事、それが今の時代の本当のリーダーのあるべき姿なんだ、っていうのがやっぱり今風でグッと来ました。
私もね、仕事ではそれなりの役職についていて、部下を動かさなきゃいけない立場です。そこってやっぱりとても難しい。部下と言ってもそこは一人の人間ですし、能力や個性はそれぞれに違う。自分より年上の人とかも動かさなきゃならないわけですが、やっぱり価値観が古かったり、歳下から指示されたりとか感情的にあまり良く思って無いとかはあったりします。残念ながら自分でも上手くは使えていないなぁと思うし、所属する会社自体や逆に私の上の立場の人なんかも凄く昔の価値観のまま今に至る感じで、上司の命令は例え間違っていたとしても絶対に聞け、みたいなタイプで苦労が絶えません。
で、私はキラメイジャー見ながら、本当にもう毎回思うのです。OPの歌詞とその前に入るナレーションに毎回毎回グッと来る。
「人が輝く時、そこに奇跡が生まれる!輝き、それは未来を変える戦士の証!キラメイGO!!」
♪キラキラ輝く為に僕らは巡りあったと思うから
そう、人はそれぞれ好きな事や得意な事は違う。それぞれの個性を生かし合えばもっともっと世の中って幸せになれるはずなのに。そしてその個々の個性はさらにさらに輝く事が出来るはずなのに。本当に目指すべき所はそこなんじゃないの?って私は本気で思ってます。その方が個人にとっても社会にとってもどちらも良い結果に繋がるのでは?私はそう思ってる人です。
なのにね、なかなか現実はそう上手くは行かない。全員に同じ事を求める。何でもそつなくこなせる人や、全体的に能力が高い人は良いかもしれませんよ、でも私は昔から、本当に子供の頃から他人より秀でたものなんか何もなくて、ついていくのに必死どころかついてさえ行けませんでした。周りに迷惑をかけるのが嫌だから、なるべく他人には関わらないようにしよう、自分はダメな人間なので、生きててゴメンなさいってずっと思ってきました。
今は一芸にだけ秀でて極めればそれを武器にして戦ってやろうとか思ってるのでそこまで辛くも無いですし、なんとかくらいついて生きてはいるけども。
なので私は一芸に秀でている人や、好きな物を極めるまで徹底している人の話を見たり聞いたりするのが好きで、そういう人を応援したくなってしまいますし、自分もそうなれたらな、と日頃から思ってます。
そんな考え方をしてる人なので「人が輝く時」っていうフレーズが、本当に心にグッと来るのです。
「キラキラ輝く為に 僕らは進化してくはずだから」
そう心から願わずにはいられません。
でね、そのコンセプトって戦隊に凄く合うというか、これこそが戦隊のあるべき姿だろうと思ったり。作品やその主張は様々あっても良いと思うし、戦隊でもリーダーがリーダーらしい作品もそれはそれで好きですよ。(「ボウケンジャー」とか私も好きだし)でも、足りないものを補い合うとか、それぞれが違う個性を持つっていう方が私は凄く戦隊らしくてより好みです。
でもって、そういう今風のリーダー論だけじゃなくて、予定に無かったけど思わず書いてしまった1~2話の感想でも触れましたが、2話で瀬名お嬢様がキラメイジャーより陸上を優先させるっていう話もそうですし(残ったメンバーが力や知恵を合わせれば良いっていうの素敵な考え方ですよね)
限界は超えるべきものじゃない、限界は守るべきものなんだっていう話も凄く今風で素晴らしい主張だなと思いました。ヒーローなんだし、限界のその先まで到達する事が成長なんだっていうのがこの手の作品のお約束ながら、身体を壊してまでそこまで行く必要は無いんじゃないの?もっと違う手段だってあるはず、という主張も新鮮でした。
魔進との入れ換わり回での、相手の間違いを正すんじゃなくて、ほめて伸ばす事が重要だってのも今風だなと思ったし、充瑠君が子供に絵を教える部分でも、ああなるほどこうくるのか、面白いなって思えた。
瀬名お嬢様が5人になる回でもネガティブな部分だって否定するだけが全てじゃ無い、があった上で充瑠君と柿原さんのエピソードなんかも微笑ましかった。(ちょっと「マジレン」の山崎さんみたいよね)柿原さんね、可愛いけどちょっと腹黒なとこもあって、でもそこも柿原さんの一部だしって良い方向に解釈して、それがあのエンディングに繋がると。
終盤の漫画家になったいかにもなオタクの話もそうで、それがクランチュラと同じクリエイターとして心を通わせて、結果的に一矢報いる形になったと。この辺りの構成も見事だし、淀みから生まれたヨドン皇帝が自分の弱さであるヨドンナを排除したっていうのとも対比になってる。
なんていうか、やっぱり人を輝かせる、人が輝く時っていう部分にホントーに心からグッと来ました。理想論かもしれないけれど、そういう世界こそが本当は幸せなんじゃないかって思わせてくれるのはね、見ていて嬉しくなるし、子供達に向けたヒーロー番組でそういう主張、メッセージを発信するって本当に素晴らしい事だと思います。今の時代にねヒーローかくあるべしって思えるものを作ってくれたのはとても価値のある事じゃないかと私は思うのでした。
ゲキレン回とかおもちゃ回とかも単純に面白かったし、キャストも声優さんも含めて、みんな輝いていたなぁと思います。
1年間の長編ドラマとしてはどうだったかな?みたいに不満点も無い事は無いんだけども、私はこの作品が伝えたかった事の部分だけでも、100点を通り越して120点です。
時代に合わせたアップデート感が面白いっていうのはちょっとプリキュアに近い面白さだったんですが、同期のヒープリがややシリアスで重めな作品だったのに対して、常にキラキラ感を忘れなかったキラメイジャーの作風って、大変な世の中なだけに、より輝いていたようにも思います。
いや~キラメイジャー、最高に面白かった。
さて、映画も観に行かなくちゃ。
【魔進戦隊キラメイジャー】<エピソードFINAL>2月28日(日)放送 予告動画
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