www.youtube.com原題:The King's Man
監督・脚本・制作:マシュー・ヴォーン
アメリカ映画 2021年
☆☆☆
始まりも、超過激
<ストーリー>
──1914年。世界大戦を密かに操る謎の狂団に、英国貴族のオックスフォード公と息子コンラッドが立ち向かう。 人類破滅へのタイムリミットが迫る中、彼らは仲間たちと共に戦争を止めることができるのか? 歴史の裏に隠されたキングスマン誕生秘話を描く、超過激スパイ・アクションシリーズ待望の最新作。 最も過激なファースト・ミッションが始まる!
おそらくは2年近く前には完成していたであろう本作。「007」なんかと同じでコロナでの延期で伸びに伸びました。シリーズ3作目でありながら、今回は現代劇では無く、第一次世界大戦時を舞台に組織としての「キングスマン」が結成されるに至ったオリジン的な路線。スピンオフ的な感じかと思いきや、過去2作と同じく、マシュー・ボーンが監督・脚本を務めた正統な続編。
つっても「キングスマン」1作目は、アメコミ原作で「キックアス」なんかと同じマーク・ミラー作なのですが、確か完結前から映画化の企画は動いていて、共同原作に近いような形だったはず。「キックアス」もそうなのですが、原作と映画ではまたちょっと違う方向の面白さを持った作品。
映画の方は英国スパイ物の本家「007」がダニエル・クレイグのシリーズでややシリアス目な路線になっていたので、もうちょっと前の時代の007みたいに、多少は荒唐無稽なガジェットや敵キャラの方がバカバカしくも面白かったよね、みたいなコンセプトを本家が捨てたのを良い事にこっちが拾ったという感じ。
1も2も面白かったので、今回の3作目にも期待はしてたのですが、う~ん正直ちょっと期待してたのとは違ったかなという印象。つまんなかったわけでもないですが、キングスマンらしさはあまり感じなかったかな?勿論、らしい部分はいくつかちゃんとあるんですけど、作品としては別方向だし、3作目にありがちな、世界観を広げる方向に舵を切った感じがして、個人的にはちょっと微妙な所。
1作目にあった、今風のチャラい若者に英国紳士の作法を叩きこむみたいな歳の離れたバディ物っぽさが個人的には面白いポイントだったのですが(いや2はほぼエグジーがメインだったけど)今回もそうなのかと見せかけて、中盤で、え?こうなっちゃうの?っていう展開でした。
まあ初代って言う事を考えればそこは仕方ないかなとも思わなくもないし、前作までのコリン・ファースと比べて今回のレイフ・ファインズも負けず劣らず良かったんですけど、黒ブチ眼鏡かけてね、気真面目な英国紳士っぽくなる所まではおお~っ!って感じなんですけど、時代が時代だから仕方ないのか、眼鏡が特別なハイテクガジェットとかじゃないんですよね。そういうとこは正直残念。
第一次世界大戦と言えばの塹壕戦とかもね、おっ?この状況で「キングスマン」ならどう描くんだろう?と思ったら普通だし、そりゃ「ワンダーウーマン」じゃないんだから、と言われたらそれまでなんですけど、なんかそういうとこが物足りなかった。
怪僧ラスプーチンが踊りながら戦うとかさ、そういうのはキングスマンらしかったんですけども。(つーか思いっきり「ワールドヒーローズ」感があって好きですあれ)
「リーグ・オブ・エクストラ・オーディナリー・ジェントルメン」じゃないけど、ラスプーチンにスターリンとか、歴史上の有名な人が秘密結社を結成していて、みたいな所は面白かったし、あれ?ダニエル・ブリュールどこいった?と思ったら、ポストクレジットで拾ったりとかそこは割と楽しみではある。
ダニエル・ブリュールってMCUでのバロン・ジモにも通じて面白いだけじゃなく、個人的に「グッバイ、レーニン!」とか「ベルリン、僕らの革命」とかあの辺の映画を見て、政治思想とか社会要素とかを映画で観ると面白いんだな、っていうのの切っ掛けになったので、私は割とこの人に思い入れがあるんですよ。
その辺りから世界各国の映画を見て勉強するようにもなったし、右とか左とかよくわかんなかったのを理解出来るようになっていったっていうのもあるし。ポール・ダノとちょっと似てるのでこんがらがるけど。
確かこのシリーズ、現代劇に戻した新作も準備中とかいう話があった気がするので、とりあえずそっちの方に期待しようかな。
という感じでこちらが今年の映画納めでした。
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