僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ファルコン&ウィンター・ソルジャー(MCUその25)

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原題:THE FALCON AND THE WINTER SOLDIER
監督:カリ・スコグランド
原作:MARVEL COMICS
アメリカ制作ドラマ 2021年 全6話
☆☆☆☆★


ディズニープラス配信のMCUドラマ2作目。
これが終わったら「ブラックウイドウ」も見れるはずだったんだけど、結局また延期で泣きたくなる。

 

ドラマの方も本来は最初に配信になるのがこちらの予定でした。特にキャラクターがクロスオーバーしてるわけではないので、順番はさほど影響しませんけど、最初に配信になった「ワンダヴィジョン」の方は結構トリッキーな作品でしたので、それと比べると今回のバッキー&翼は物凄く正統派な作り。

 

予告のみの印象だと、ファルコンとバッキーがコンビを組んで適当なヴィランと戦うだけの軽めのバディ物かと思いましたが、人種問題なんかを扱った、極めて政治色の強いMCUらしい作品でした。

 

人種問題ってね、映画なんかでは色々と見て来ましたけど、なかなか自分には身近には感じにくい素材。昔と比べたら少しは改善してきてはいるものの、そこは根深いものがある、という事なんだろうなぁと。

 

その辺りを描きつつ、個人的に一番グッと来て、私に響いたのはサムの演説の中で、政治は誰の為にあるのか、力はどう使うべきなのか、その辺りを問う辺りがさぁ、思いっきり今の日本のお偉いさんにも突き付けてやりたくなる本当に素晴らしいものでした。

 

ロクな補償も無いままに緊急事態宣言で同じ事を繰り返す今の政治。そのくせオリンピックだけは強行しようとしているこの国の異常なおかしさ。震災からの復興の象徴という形だけを残そうとしてるだけで、全く現実とは反するプロパガンダで自分達の保身しか考えていない最低な政治状況です。コロナ禍は自然の災害ではありません。ウイルス自体は疫病と捉えても、この対応のおかしさは今の政治、自民党の責任です。

 

オリンピックを希望の象徴としようと目論んでいるわけですが、そんな国の政治を見て、人は何を思うの?あいつらが振りまいてるのは希望じゃ無く絶望という事を政治家達はわかっていない。市民なんかバカだからオリンピックやれば全部忘れてくれると思ってる。

んなわけあるか!責任は自分達では無く、自粛しないお前らが悪いんだよってまた自己責任論に押しつけてくる。自民党は昔から好きですからね、自己責任論。責任逃れをする政治家を見て、やっぱり政治になんか期待しちゃいけないんだってもし思ったら、それこそ自民党の思う壺です。市民はバカで無関心な方が彼らには都合の良い事なんですから。こんな政治でも、それを変えるのは政治しかないんですよ。声をあげなきゃ。行動に移さなきゃ。

 

そういう事をきちんと今回のドラマだって描いてたじゃ無いですか。それでも声をあげなきゃ、それでも行動しなきゃって。だからサム・ウィルソンは自分が出来るキャプテン・アメリカになろうとする。

 

こういう事をきちんと描いてあるだけで120点です。アクションとかキャラとかMCUの今後とか、そういう所も勿論面白いし見所。でも今回はきちんとテーマとしてそういう所を描いてあったのが本当に凄いと思ううし流石です。

 

たかがフィクションかもしれない。しかも俗悪なスーパーヒーロー物かもしれない。でも自分達は声を上げるし、自分達が出来ることをやるよ、そういう決意がきちんと作品に表れていたと思います。

 

でね、その他にもう一つこれだっていう部分があって、バッキーがサムに対して、お前が盾を継げよ、なんで手放したんだって序盤はサムの事を攻めてたけど、サムの背後にある複雑な歴史を知って、そんなに単純な事ではなかったんだな、勝手を言ってすまなかったってサムに謝るの。もうね、これ!そうそうこれなんだよ!って本当に心にグッと来ました。

 

過ちは素直に認めて反省したら、まずは一言でも良い、あやまろうよ。これが出来ない人が世の中になんと多い事か。黒人版キャプテンアメリカことイザイアの件もそうじゃん。間違った事をしてしまった、本当に申し訳なかったって、たった一言あるだけでさ、人は救われるんだよ。失ってしまったもの、過ぎ去った時間は戻らない、けれども、一言謝罪の言葉があるだけでもさ、心が晴れる部分はあるんだよ。

 

これね、今回はテーマとも直結していて、バッキーは最後、あの日系のおじいさんに謝りに行くよね。ジョン・ウォーカーは相棒のレマー/バトルスターの訃報を知らせに家族の所に行くけど、そこで自分を守る為に嘘をつく。そしてシャロンも国に謝罪される。バロン・ジモは・・・反省しない(これぞヴィラン)。この辺のね、各々の「反省と謝罪」も意図的に配置されてて、それぞれが違ったりしますよね。ここ、メチャメチャ上手い脚本でした。ヒーローは自分の保身ではなく、他人を救う為に戦う。それが結果的に自分も救う事になる。そういう学びを描いてる。

 

そこ考えるとさ、また日本の政治の話に戻るけど、あいつら保身しか考えて無いじゃん。

 

でもって今回の話、GRCとかフラッグ・スマッシャーズとか背景が正直よく飲み込めない部分があったんですけど、デシメーション(指パッチン)で人類が半分になった時に、これは人類の危機だと人種を越えて協力する世の中になったんだけど、それがまた半分戻ってきた時に、元のキャリアに居た人は元に戻すべき、という政治政策が進められたんですよね。黒人とかアジア人とかも人種関係無く仕事につけたけど、消えてた半分が戻ったらそれが本来の形なんだから、あんたらもう要らないよ、と言われてクビになって難民になる。

 

半分の世界では人類は一つになれたのに、戻ったらまた分断の時代に戻ってしまった。消えてた本人達はその不在の時代も知らないし、戻ったらキャリアが無くなっていたと言われても困る。だって私らむしろ被害者でしょ?

 

っていう解釈でいいのかな?多分これで合ってるよね。言われてみると、それは単純に元の世界に戻りましたとはならない複雑な背景だなぁと。「スパイダーマン:FFH」だとその辺の問題はあんまり気にならずに単純に戻れて良かったねっていう印象でしたけど、あれは子供がメインだったからか。今回は少しわかりにくかった感じもしますが、サムのお姉さんとかはその辺の話だし、フラッグスマッシャーズが過激なテロリズムに走ろうとしても、一つになったはずの人類をまた断絶の時代に戻しちゃいけないっていう大義があったからか。

 

その中で、サムは自分のルーツも含めて、自分は何をすべきかっていうのに悩む。カーリ・モーゲンソウの言葉にさえ耳を傾ける。まずは相手の主張、話を聞いてみようよっていうのは大切な事ですから。その上で自分はこう思うよっていうのが会話で、一方的な自己主張するだけでは会話って成立しないのです。

 

で、そのサムのルーツを描く為に2代目キャプテン・アメリカことジョン・ウォーカーが居るわけで、フットボールのキャプテン、白い肌・碧い眼・金髪で軍隊のお手本的存在。「アメリカ」という国の代表は彼のような存在であるべきだっていう理想としてのキャラクターなんだけど、無かった事にされたイザイアとか、黒人だってアメリカの一部だと、その存在を無視してもアメリカの本質なんて見えてこない。う~ん、こうして書くとやっぱりメチャメチャ脚本が上手い。

 

その上でのサムのあの決断と主張ですからね。自分はスティーブ・ロジャースにはなれないけれど、サム・ウィルソンとして、自分が出来るキャプテン・アメリカを作っていく事が出来ると。

 

ブラックパンサー」でも黒人文化うんぬんとして高い評価を得たけれど、それともまた違ってアメリカ国内として今回は描いたんだから、そこはやはり凄い。つーかブラックパンサーと言えばドーラミラージュがクッソ強かった。多分ドラマの中で強さランクつけたらドーラミラージュが最強。

 

そこ考えると今回はサムの話で、バッキーはサイドキック感は多少あったかも。大きい一歩を踏み出したサムに対して、小さい一歩を踏み出したバッキーというのもバッキーらしくて良いですけどね。

 

原作で言えば本来、キャップが死んだ後にバッキーが先にその名と盾を継いで、その後キャップが復帰して今度は老化した時にサムが継ぐ、という形になってますが、バッキーキャップは荷が重い感じはしたし、過去の罪を背負ってちょっと辛気臭い方がウインターソルジャーの方が割とらしい気はするしな。

 

うん、そこまでは良い。が!一つだけ納得出来ないのがシャロン・カーター。え~っ?シャロンってこんなキャラだっけ?原作だとスティーブの恋人ポジションだけど、MCUだと過去に戻ってペギーの方に行っちゃったから、原作設定は生かせない、だから別のポジションでキャラを作るっていうのは理屈ではわかる。原作まんまじゃなくアレンジが面白いのもMCUの良いとこだしな。

 

でもさー、「シークレット・エンパイア」でも描かれてた通り、スティーブ・ロジャースにとってはサムとバッキーとシャロンの3人が魂で通じあってる特別な存在なんだよ。そこをヴィラン寄りに描くって正直ショックだなぁ・・・。あのラストでガッカリ来てしまった。


う~ん、レッドスカルに操られてるとか、いや今回のシャロンはスクラルですよ、機械で顔変えてるシーンはあえてそこを匂わせる為の演出ですから!真相は「シークレット・インベージョン」で明かされるから心配しないでって言ってほしいと願ってます。

シャロン回り以外はとても良かったとしか言いようが無い。

 

さてお次はひと月あいちゃいますが「ロキ」です。
ワンダヴィジョンみたいにひと癖もふた癖もありそうな作品だなぁ。
ゲストに過去作品から誰か出たりするのかも含めて楽しみに待ちたいと思います。

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