僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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バットマン

 

バットマン [Blu-ray]

原題:BATMAN
監督:ティム・バートン
原作:DCコミックス
アメリカ映画 1989年
☆☆☆★


来週公開、「ザ・バットマン」楽しみです。3時間と長尺なのがネックですけど、評判も良いようですので、前日はちゃんと睡眠時間とって行きたい。

 

DCEU含め、過去の作品とは関係無い単独作品ですが、せっかくなのでバットマン映画の原点とも言える、ティム・バートン版1作目のこちらを久々に再見。

 

クリストファー・ノーラン版「ダークナイト」のヒットと高評価によって今はすっかり影が薄くなったこちらの作品ですけど、ダークナイト以前はバットマンと言えばこれと言われるくらいの作品でした。評価としては2作目の「バットマンリターンズ」の方が高いはずですが、いわゆる一般層にバットマンの名を知らしめたのはやっぱりこちらの作品。

 

ちなみに私はこれ、映画館では見て無い。後追いでシリーズ全部見たとかだったかな?アメコミにハマったのは90年代後半なので、その時に小プロからバットマン名作群が沢山出たので、何のタイトルかまでは憶えてませんが(キンカムかも?)実質的にバットマン入門としてはそこから入ったと思う。
厳密に言えば「電光石火バットマン」って奴なのかな?三宅裕司小倉久寛バットマンとロビンの吹き替えやってたTVアニメは割と好きで見てた気がするので、単純にバットマンの入り口はそこだった気がする。

 

今考えると芸能人起用とか、やめてくれ案件にしか思えないですけど、当時は別にアメコミファンでも何でも無かったし、楽しく見てたと思う。刷り込みじゃないけどさ、前知識とか思い入れが無ければそういうものだと思っちゃうわけじゃん。このバートン版バットマンにせよ、ノーラン版ダークナイトにせよ、そこが入口になると、バットマンとはこういうものだって、それが基本になっちゃうと思うんですよね。でもそれってちょっと危うい部分もあると思ってたりする。

 

確かに「ダークナイト」はメチャメチャ面白かったし、私も2回観に行った記憶があるけど、私は原作のアメコミの方の色々な作者が描いた、色々なバージョンを先に読んでたし、作者によって作品のカラーが全く変わる、というのがアメコミの基本で、そこを楽しむのが面白さだと思うので、ノーラン版「ダークナイト」も決して神格化したりはしなかった。

 

映画単体として面白かったけど、アメコミはもっと面白い話が沢山あるし、あくまでノーラン版として多くのバージョンの中の一つとして楽しんだ感じ。だから神格化されすぎて、アメコミの枠を超えたとか言われがちな事に対しては物凄く醒めた視点で見てました。そんな事言って騒いでる奴ら、そもそもアメコミ読んで無いじゃん!っていう。

 

実写映画の中では私も「ダークナイト」が頭一つ抜けてると思いますが、私の一番好きなバットマン映画はアニメの「マスクオブファンタズム」だったり。

 

うん、今回のバートン版と関係無い話ばっかしてるな。
話を戻すと・・・う~ん、ジャック・ニコルソンの怪演に尽きるかなぁ?ちょっとおちゃらけてる感じの方が私はやっぱりジョーカーっぽいと感じるし、そこはヒース・レジャーにもホアキン・フェニックスにもジャレット・レトにも無い部分な気がするし、ニコルソンの魅力だと思う。

 

ティム・バートンっていうオタク監督の代表みたいな人がバットマンを手掛ける、そういう意味じゃ当時としては物凄く画期的な試みだったと思うんだけど、監督のカラーがより存分に出てるのはやっぱり次の「バットマンリターンズ」の方。

 

ただこの辺は、文脈と言うか、歴史的背景が色々あって、私もそこを理解出来るようになったのってずっと後の事なんですけど、バットマン=ダークな作風と思われてる節がありますけど、そこは半分正しいし、半分間違ってる部分だったりもする。

 

以降の「バットマンフォーエバー」「バットマン&ロビン」もそうだし、「オリジナル・ムービー」として出てる昔やってたTVシリーズの映画版も、それはそれで一つのカラーで、それこそ最初に言った「電光石火バットマン」みたいなものも、あれはあれで別に間違った歴史とかじゃない。

 

陽のヒーローである「スーパーマン」と対になる形で陰のヒーローである「バットマン」が確立したのは間違いないんだけど、コミックの歴史において、コミックスコードっていう倫理規定うんぬんというのもあって、ダークで陰惨なものは描けないとされ、バットマンも明るいヒーローの時期があった。まさしく電光石火バットマンなんてその辺りの路線をアニメ化してたわけで、別にそれを否定する必要も無い。

 

そういう時代もあったからこそフランク・ミラーの「ダークナイト・リターンズ」「イヤーワン」が出てきたり、アラン・ムーア「キリングジョーク」とかでダークな路線をやってその落差が凄いってなったわけで、実はティム・バートンの映画も、そういう下地があって今回みたいな作風で作れたというのもある。ザック・スナイダーみたいに直接的な影響では無いけれど、実はこの映画もそういう流れの上で作られたものなんだよ、というのは後年になってから知った部分です。そこは面白いなと。

 

サム・ライミ版「スパイダーマン」が、何でも今風にアレンジするんじゃなくて、自分が思い入れのあった時代のスパイダーマンのクラシックな面白さを映画でも再現したいみたいな後年のアメコミ映画にも繋がる部分というか、ティム・バートンが自分の考えるバットマン像はこういうのなんだよね、と言うのを良い感じに作品に映し出したという形なんだと思う。

 

そういう文脈を踏まえないで、ここを基点にバットマンとはこういうものなんだ!って盲目的にこれを基準にしちゃうのはちょっと違うんじゃないか?っていう気はします。そこはある程度仕方の無い事だとは思うけれど。

 

いや、映画を見て、本物のバットマンはこれなんだ!って思ってしまう気持ちは十分にわかるくらいビジュアルインパクトは凄いけれど。今みたいにスーパーヒーロー映画が巷に溢れてる時代じゃないですしね。

バットマンバットモービル!バットウイング!バットシグナル!おお!実写版だ!ってなる気持ちはよくわかる。ジョーカーもコミカルでありつつ恐ろしいし、ダニー・エルフマンのスコアも重厚でカッコいい。

 

ヒーロー映画に見慣れた今の感覚で見るとちょっとおとなしいけど、当時は物凄く画期的な映画だったっていうのはよくわかる話。原作まんまってわけではないけど、当時のアメコミファンは嬉しかっただろうなって思うし、逆にアメコミファンで無い人にもバットマンってこんな話なんだ、的な感じはあったのかなと思う。

 

そういう意味ではリチャード・ドナー監督の「スーパーマン」に続いて、アメコミヒーロー映画の金字塔の一つなのは間違いない。ノーラン版のシリーズや「ジョーカー」、或いは次の「ザ・バットマン」から入って、過去の奴も履修してみようかなっていう層は多少居ると思うのですが、昔の映画は今と比べてつまらんって一蹴せずに、そんな歴史の一幕もあったのか、ぐらいに思ってもらえれば良いんじゃないかと私は思います。

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