僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

シン・仮面ライダー

www.youtube.com監督・脚本・他:庵野秀明
原作:石ノ森章太郎
日本映画 2023年
☆★

 

まず最初に私のスタンス。
庵野秀明」に特別な思い入れはありません。
仮面ライダー」シリーズに思い入れはありません。
「シン」シリーズは特に好きではありませんが、楽しく全部見てはいます。
「初代仮面ライダー」はTV版はほぼ全話に近いくらいは見てると思います。
勿論、リアルタイム世代とかじゃなく、ニコニコ全盛期にアニメとかと一緒に東映特撮チャンネルとかで無料公開してたので昭和ライダーはそこそこ見てるはず。
「原作(石ノ森漫画版)」はだいぶ昔ですけど読んでます。


シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」好きな映画では無いですし、むしろ嫌いな部分も大きいけれど、面白い映画ではあったので(私は好き嫌いと面白い面白くないは別軸で考える人なので)「シン・仮面ライダー」も実は結構楽しみにしてました。自分の知らないどんな世界につれてってくれるんだろう?というワクワク感ですかね。

 

で、実際に見てみると・・・

 

え~と、今年、何年でしたっけ?
「THE FIRST」と何が違うのこれ?

 

仮面ライダー THE FIRST」という2005年の映画があります。

www.youtube.com

初代1号2号ライダーを、現代的な解釈やビジュアルと、石ノ森漫画版をベースにした原作重視の作品で、デザイン関係は出渕裕がやってて非常にカッコいいです。ショッカーライダー登場からV3誕生までを描いた「THE NEXT」という続編映画もあります。

www.youtube.com

やってる事はその辺と別に変わらなくない?


CGのクオリティもやたら低かったし、その辺の流れで2008年頃に作られた映画だけど、わけあってお蔵入りしてたのを今になって公開したんですよ、とか言われても違和感が無い。

 

いやね、庵野っぽい面白いアングルとか画作りとかは楽しいんですよ。お!電線じゃん、線路じゃん、つーかヒロイン綾波じゃん!とかそういうベタな所で。
でも、ウルトラマンもそうでしたが、初代の頃の昔の良さを再現してみたよ、的な部分以外の面白味って何だろう?今これをやる意味って?何かそういうのがあんまり感じられなかったような。

 

そんなね、比較対象に出したくはないんですけど、マーベル映画とか、アメコミヒーロー物の傑作が結構ポンポンと出てる今の世の中ですよ?(あっちも決して全てが面白いわけでもないけれど)日本のトップクリエイターの一人である、庵野秀明が本気を出して仮面ライダーを作りましたってなったら、アメコミヒーローなんかに負けない日本のヒーロー映画はこんなに凄いんだぞ!みたいなものを期待しちゃうわけじゃないですか。

 

「シン・ウルトラマン」の時も、時代に合わせた価値観のアップデートとか全くしてねぇなこれ、もしかしてライダーはもっと更に狭い方向へ行くのでは?

curez.hatenablog.com

的な事を私は自分の感想でも書いてましたけど、なんか思ってた以上に変なものに。
っていうかこれ映画版「キャシャーン」とかと同じレベルじゃないですか?世間で散々叩かれたけど、私は別にキャシャーン嫌いじゃ無かったですよ。子供向けのヒーロー物を少し大人向けにシリアスにアレンジするって好きな路線ですし。でもあれ、何年前だよ?(調べたら2004年でした)

 

こういうのはこういうのでね、ノスタルジックに楽しむのには悪くないのかもしれませんが(それこそ当時のリアルタイムで見てた人が、また1号2号が見れるぞ的な)それだけでは流石にキツイ。

 

普段の東映特撮映画とかより、これでも10倍とかは予算違うと思うんですよね。定期的にやってるやつはTVと同じ程度の予算で映画を作ってるから利益率が半端無く良いのであんなに年に何度も乱発できるわけだけど、その分クオリティは恥ずかしいレベルで低い。その点、「シン仮面ライダー」は幾分、普段の奴よりは映画っぽいルックではあって、そこは良い部分でした。

つーか「シン」「ブラックサン」「アマゾンズ」とかの良い部分だけを抽出していけば、ようやくアメコミヒーロー映画の足元くらいには届くのでは?と思える辺りが何とももどかしいし、勿体無いな~と思う。

 

それかさぁ、今回「ロボット刑事K」が出てたけど(何と声が松坂桃李だったそうで)、それこそ10年前くらいに「キカイダーリブート」とかもやってたし、あの時期ってライダー映画とかでも昔のヒーローをやたらとリメイク・リファインして使ってた時があったんですよね。そういう意味では全部繋がった「石ノ森ユニバース」みたいなものを見たいなとも思うし、「特捜戦隊デカレンジャー」「宇宙刑事ギャバン」をクロスさせてた「スペーススクワッド」路線も途中で続かなくなっちゃったし、ああいう東映ユニバースみたいなものもさ、TV放送とリンクさせなくていいから映画だけで展開していくとか当時は期待してたんですよね。本気でそういうもの作ったら面白そうなんだけどなぁ。

 

というか、TV放送と言えば今やってるリアルタイムのライダー「仮面ライダーギーツ」が久々に面白くってね。私が近年のライダーに文句言ってるとこがきちんと解決と言うか、メタ的に解釈してくれてて、凄く面白いんですよ。

 

そもそも今の仮面ライダーなんて、デスゲーム物やリアリティショーみたいな俗っぽい物を喜んで見てるような頭の悪い人向けのもので、所詮は仮面ライダーなんて子供騙しのくだらない番組なの知ってるでしょ?って作品がちゃんと主張してきてるんです。
こんなのが成り立ってるのは、出せば何でも喜んでくれる熱狂的なビリーバー(狂信者・ファン・サポーター)がお金出してくれてるからですよ、というのを作品の中にメタ的に取り入れていて非常に面白かったりします。

 

私は「今の仮面ライダーは大人の鑑賞にも耐えられる内容で」的な言説が大嫌いなんです。平成初期ならともかく、もう何年もまともなライダーなんてやってないじゃん。そんな嘘をつくなら、最初からこれは子供騙しの集金コンテンツですって割り切って堂々と言ってくれた方が気持ちが良いのです。そこを「ギーツ」はちゃんと言ってくれるから、お!面白い事やってるじゃん!と思う。

 

そういう意味ではさぁ「シン・仮面ライダー」も、子供騙しならぬ、老人騙し、おっさん騙し、と最初から割り切って楽しむのは悪くないのかもなと思う。

 

今回、サイクロン号だけ山下いくとのデザインみたいですけど、エヴァっぽいライダーが、使途っぽい怪人と戦うみたいなのが見たかったというのが正直な所。とはいえそれはこっちの勝手な望みなのであって、庵野的にはそういう感じでは無かったと。私は「ブラックサン」を面白がれるタイプですし、ああいうのにこそこれこれって思っちゃうんですよね。

 

繰り返し言いますけど「シン・ゴジラ」私は嫌いなんですよ。震災を半端に描いて、空想の方に後半は走っちゃったから。でも、映画としては見た事の無いものを見せてくれてそれはやっぱり面白かったんですよね。嫌いだけど面白い映画でした。
「シン・ウルトラマン」も、ゴジラ同様、私は元の作品に思い入れがないから、単純に、こういうのあんまり見た事無いから面白いぞって思えた。

 

仮面ライダーは、思い入れこそ無いものの、半端にそれなりの知識とかはあったから、「今まで見た事が無いものが見れた」面白味が全然なくって、これ前のと大差無くね?元ネタありきのものをリミックスするの事で逆にオリジナリティを出すのが庵野のテクニック・作風だとしても、「見た事あるもの」しか出てこなくて、う~んこれはどうしようかとしか思えませんでした。むしろ石ノ森版とか社会派要素強いのに、そう言う所は取り除いてしまうセンス。それこそ「ギーツ」みたいに仮面ライダーなんて見た目だけ真似てればいい子供騙しのコンテンツなんだよ!みたいな事をわざとこの作品も主張してるわけでもないでしょうに。

 

マスクごしでモゴモゴしゃべっててセリフが聞こえないとかはわざとですよね。マスク時代に対する批判、とかの社会派要素じゃなく、単純にコミュ障の自分の投影だよね、あれ。つーかオリジナルの時代とかの東映特撮なんてアフレコで同録とかじゃないはずだし、それこそ当時の再現で、音声は全部アフレコですとかやってほしかったくらい。


そんな事を考えると、逆に知識が無い方がフラットに見れて面白いんだろうなとちょっと残念でした。

 


あと、あのセカイ系の代名詞でもあるシン海誠でさえ社会に向き合いはじめたんだから、庵野監督も決して遅くはないです。また殻に閉じこもってないでそういうのあっても面白いかもしれません。

 

恵まれたブランド力はあるんだし(東映の監督は何で庵野にだけあんなに金使わせるんだって怒ってますよ、多分)、次にまた何か「シン」シリーズやるとしたら、新しい何かを見せてもらえると嬉しいです。



関連記事

curez.hatenablog.com

curez.hatenablog.com

 

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com