僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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バットマン リターンズ

バットマン リターンズ [DVD]

原題:BATMAN RETURNS
監督:ティム・バートン
原作:DC COMICS
アメリカ映画 1992年
☆☆☆


「フラッシュ」の予習に何を見ておこうかなと思い、マイケル・キートンバットマン2作目のこちらを。1作目は前に感想書いてますし、今回はせっかくなので「リターンズ」の方を。この辺は当然ながら初見とかではありません。

 

この時のシリーズ4作の中では最も高評価を受けていたのがこの作品。恐らくその理由は、バットマンとして、アメコミヒーロー物として、というよりはティム・バートンという監督の作家性が色濃く出たからこその映画としてのクオリティやオリジナリティと言った所でしょうか。

 

今の時代みたいにね、年に数本アメコミヒーロー物が見れる時代では無い。逆に数年に1本。そんな貴重な機会にね、子供向けのチャチなやつじゃなく、大人の鑑賞にも耐えられるまともな映画であってくれ!みたいな感覚じゃ無かろうか。私もここはリアルタイムでは見て無いしアメコミにハマる前の作品なので。

 

その差を考えると、今のアメコミヒーロー映画は、テーマがどうの脚本がどうのとかやっぱり相当にハードルが上がってる状態。それと同じような感覚を求めてしまうと・・・正直今回見返していて、物凄く物足りなく感じて、良くも悪くも贅沢な感覚が身についてしまっているんだなと感じます。

 

思い入れの差もあるのかな?最初の「スパイダーマン」なんかは今見返しても古さはあれど面白さと言う部分では十分に面白いよなぁと思えたのとはちょっと違いを感じました。

でも、逆にこの時代の作品で明らかに先取りしてる部分もあって、そこは作家性重視の作品作りをしている所。


原作のDCコミックスのバットマンをいかにファンが納得する形で映画化しているか?というような視点じゃあないですよね。前作はまたそういう視点が残ってたと思うけれど、今回はあからさまに「ティム・バートンバットマン」っていうのを作っている。

 

今ってね、日本の漫画でもスピンオフ多いですけど、恐らくその多くは原作の、オリジナルの魅力を損なわないように、見たいな感じで作ってる物が多いように感じる。
対するアメコミは、作家ごとの個性が際立つ事こそが面白味であり魅力。トム・キング版、スコット・スナイダー版、フランク・ミラー版でも何でも良いけれど、作家がバットマンだったらバットマンの世界やストーリーを好き勝手に解釈して自分の色に染め上げる。映画だったらノーラン版「ダークナイト3部作」とかもそうですし「ザ・バットマン」だってそう。

 

万人が納得する物というよりは、俺ならバットマンをこう作るぜ!っていう作家性を「バットマンリターンズ」の時点でやっていたんだなと考えるとそれはそれでやっぱり面白い試みだなぁと思います。

 

ノーランが絶賛された半面、私みたいな一部の人に嫌われたのは、「バットマンの正解はこれ」みたいなツラしてやがったから鼻についたっていうのは何気にあるんじゃないかと思う。あれを正解とかじゃなく、俺(ノーラン)バージョンのバットマンはこうだぜ程度の謙虚さでいてくれたなら、おお君のバージョンも面白いねって素直に言えるんですけどね。バートン版シュマッカー版マット・リーブス版どれも正解だしどれも並行にある俺バージョンですよ、という感じだと私は思うんですけどねぇ。

 

リターンズはやっぱりティム・バートンらしいゴシックな部分、ちょっとしたグロさや虐げられた者の恨み、堂々と太陽の下を歩けるスーパーマンと違って、こちらは闇に潜む陰気な存在なんだよっていう所こそがティム・バートンバットマンの世界がシンクロした部分なわけで、今回のペンギンとキャットウーマンでそこがより収束した感があって、やはりそこが魅力の作品。

 

特にやっぱりペンギンが面白くて、最初は捨て子で自分のアイデンティティーを求めて表の世界に戻り、自分はオズワルド・ゴブルポッドなんだという人間性を一度は取り戻しておきながら、やはり闇の世界に戻らざるを得ず、自分はオズワルドじゃない、ペンギンなんだってなる描き方はやはり面白い。

 

対するキャットウーマンは・・・ん~まあベタというか、人物像は割とありきたりなパターン。セリーナ・カイルとしての描き方は正直とても古臭い。でもやっぱりこのキャットウーマンとしてのビジュアルが全てですよね。私の中でキャットウーマンはどうしても「イヤーワン」の印象が強いからか、娼婦から成り上がるキャラみたいなハングリー精神があってこそと思ってしまいますが、今回のリターンズはフェティッシュなビザールの方に振り切ったキャラ造形。みんなが原作なり過去の映像作品なりで思い描いていたキャットウーマン像そのものというよりも、そこから更に一歩先をやった感が強く、ビジュアルインパクトは強烈。

 


じゃあバットマンは・・・一応、ヴィランの悪事を阻止するヒーローではあるものの、ペンギンとキャットウーマンに比べると見せ場が申し訳程度にしか描かれていないような印象もあって、単純にヒーローのカッコいい場面が見たい子供達とかは正直ガッカリしただろうなと想像してしまいます。


でもそこでね、期待してた感じじゃ無くつまんなかったなぁと思ってしまうか、予想してたものとは全然違ったけど、不思議な世界を見せられた。これが映画と言うものなんだろうか?みたいに思った子供がもし居たのならそれはそれで面白い気はします。

 

ティム・バートンこのあと降りちゃったのってどんな理由でしたっけか?確か3作目も制作に名前は残ってた気するんですけど、やっぱりもっと客が楽しめるヒーロー映画として作れって会社から言われて、そこで折り合いがつけられなかったとかなのかなと、何と無く想像はできます。次は次で違う方向に派手に舵をとる形になっちゃうのだけど、それはまたの機会に。

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