僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

THE SUPER MARIO BROS. MOVIE
監督:アーロン・ホーバス、マイケル・イェレニック
脚本:マシュー・フォーゲル
原作:任天堂スーパーマリオ』シリーズ
日米合作映画 2023年
☆☆☆★

 

任天堂の看板ゲームタイトル「スーパーマリオブラザーズ」を任天堂自らの出資、制作は「ミニオンズ」でお馴染みのイルミネーションが担当で遂にCGアニメ映画化。

 

出来の方も大変素晴らしく、世界中で大ヒット。
劇場上映時もちょっとだけ迷ったのですが、結局私諸事情からスルー。この度、アマプラに無料で入ってたのでせっかくだから見てみました。

 

まずは一つ、最初に大事なお知らせをしておきます。
映画は大変に面白かったです。
でも前提がまず一つ。私は子供の頃からマリオが嫌いです。

 

いやちょっと違うか。私は最初のファミコンから通ってきてる世代なので、スーパーの前の「マリオブラザース」と最初の「スーパーマリオブラザーズ」は本当に夢中になって遊びました。特にスーパーマリオは当時凄くハマった記憶がありますし、それまでになかったゲームの世界の奥行き感みたいなのを感じたような気がします。

 

全面クリアも当然な所までやりつくした後、割と悪名高い「スーパーマリオブラザーズ2」が出ました。そっちはディスクシステムですよね。マリオとルイージにも性能に差がついて、ルイージの方がジャンプ力があるけど、慣性がついて操作が滑るんでしたよね確か。そしてスーマリ2、何より1をクリアした人の為に、もっと手ごたえのあるゲームにするみたいなコンセプトで、超高難易度のゲームでした。私は当時クリアしたんだっけかな?正直、記憶にないです。難しいけど面白いっていうより、2はぶっちゃけただ理不尽なだけの難易度だったんですよね。

そこでもうマリオはいいかな?と気持ちが離れてしまった。


ただ、子供の頃は自分の好きなゲームをいくらでも自由に買えたりはしませんし、友達とか学校のクラスメイトとかと、ゲームソフトの貸し借りで色んなソフトをやるというのが当時の基本。そんな中回ってきた「スーパーマリオ3」とSFC「スーパーマリオワールド」は多分クリアまではやってると思う。2みたいな理不尽さは無くなり、万人が楽しめる良く出来たゲームだとは思うけど、自分のやりたいゲームじゃないな、と当時から思ってました。

 

だって私がアクションゲームで好きなのは「悪魔城ドラキュラ」シリーズでしたし、RPGなら「ドラクエ」の大衆向けな感じが嫌いで、私は初代の頃から「女神転生」派だったんですよ。なんとなく好みはわかりますよね?
この当時はまだセガのゲーム機は持ってなかったけど、後には勿論そっちに走りましたし、むか~しから大衆向けのポップなものに背を向けて、マニアックなものこそが本物なんだ的な方に行くタイプでした。まあ、俗に言う若気の至りというやつです。

 

今なら大衆性、ポピュリズムの持つ意味合いや価値なんかもそれはそれで理解したりはしますが、じゃあ好きかと言われたら、やっぱり趣味では無いよなとはなっちゃいます。

 

そんな背景があるのでSFCで最初に出た「ワールド」以降のマリオの知識は皆無です。「64」はそりゃあタイトル通り64で出たんでしょと思うけど、サンシャイン?ギャラクシー?とかそういうのはもう画面すら観た事無いと思います。

 

でもね、そこまでのマリオ弱者の私でも、あ!これゲームで出たあれじゃん!みたいに思えて、それが凄く楽しいのがこの映画でした。

 

あのキャラだ!
あのステージだ!
あのゲームだ!
せっかくパワーアップしたのにすぐやられたり、
穴に落ちて死んだり、
あるあるこれ!
みたいな事を積み重ねて話を作る。

 

大半のゲームの映画化は、ゲームのストーリーや設定を映画で再現する、みたいな作り方になってると思うんですけど、今回の映画はそれじゃなく、ユーザーのゲーム体験を映画に落とし込むという事をサラリとやってます。勿論、作中内ではそういう事には触れずにですよ。

 

そういう意味ではね、私は見てないんですけど「ドラゴンクエスト・ユアストーリー」とか「ファイナルファンタジー光のお父さん」とか、発想とか方向性は間違ってなかったんじゃないでしょうか?知らないなりに聞こえてくる噂によると、ゲームをプレイしている人の話なんですよね?その2作って。良い評判では無かったようですが、それをストレートにやるのではなく、そういう要素を入れつつそこは客に委ねる、という今回のマリオの作り方が結構上手い作り方なんじゃないかと思いました。

 

そして!私はマリオ弱者なので、今はゲームでもそうだよってもしかしたら言われるのかもしれませんが、ピーチ姫がマリオよりずっと優秀で、そんなお姫様が居なくなった所にルイージをヒロインポジションに置くというのは、もう露骨にポリコレ要素でしたし、思いっきりディズニープリンセスのメソッドのパクリじゃねーか!と大変に微笑ましい部分でした。

 

これをポリコレだって叩く人はあまり聞こえてこなかった気がするんですけど、それはやっぱり今のゲームとかがもう元々そういうものになってるからなんでしょうか?ピーチ姫がマリオより強い最強キャラで、ルイージが弱キャラ?が定番になってるとか?

 

男が囚われの姫様を助けるとか、男尊女卑の古い考え方!女だって男より優秀な人間は当たり前に居るし、男に媚びへつらったり、男の都合のよい道具に女を描くとか、それは今のエンタメでは許されない!
みたいな感じが面白かった。っていうかピーチ姫がディズニープリンセスの一員にしか見えませんでした。ディズニーやピクサーじゃなくイルミネーションがこれをやるとは!的な面白さです。そこはあくまでパロディーとしてやっただけなのかなぁ?そこは色々な人の意見を聞いてみたい。

 

色々な人と言えば、評論家の柳下毅一郎がこれに評論家として点数はつけられない。対象年齢6歳以下なんだから的な事を雑誌で書いて炎上してましたが、そりゃあそうでしょうとしか。

 

アンパンマン映画を見て、これは芸術じゃない!0点だ!つったらそりゃ炎上するのもわからないでもないけど、ちょっと自分の分野とはあまりにもかけ離れ過ぎているから点数はつけられないって言ってるんだから、私は誠実な方だと思うけど。

 

例えば私はプリキュア映画を見てるけど、それをガチな映画的観点で見たら、そりゃあ目も当てられないレベルのものが大半ですし、そういうのを理解した上で他に例を見ない日本独特の文化史における特別な価値とかもあるわけで、そういうのを含めて楽しんだり解説したり、私なりの発信をしてるだけの話で、映画評論家がプリキュアを評価しないのは間違ってる!なんて言いませんて。逆にそういうプロとかが発信して無いから、私としてはこりゃラッキー!と思ってこれは他ではあまり言われて無いけど的な事を色々書いたりするわけですが。

 

話をマリオに戻して、私は前述の通り、マリオとか任天堂とか子供っぽくて好きじゃないというのを子供の頃から感じてたタイプですけど、だいぶ大人になってからですかね、岩田さんだっけかな?宮本さんだっけかな?任天堂関係者のインタビューで物凄く感心したのがあって、うろ覚えで正確なものではないですが、そこで言ってた事を要約すると

 

任天堂のブランドを子供っぽいと感じる人が居るのは把握している。そう思う人は任天堂のコンテンツから卒業していってもらって構わないし、任天堂がそういう人達を卒業させない為のコンテンツ作りにシフトして行くことは無い。そこに尽力やコストを使うなら、次の新しい子供が入ってくるのをきちんと受け止める形、そういうユーザーを作っていくのが任天堂の役割と考えている。

 

みたいな事を言っていて、それはなるほどと感心した記憶があります。既存のユーザー離れを阻止するために大人向けにシフトするよりも、次世代の子供が入ってくるのをとり逃さないようにする。

 

そして同じくらいの時期に、スクウェアのインタビューもあって、そっちでは、具体的に目指しているのはガンダムのようなコンテンツと言っていました。プラモを売るロボアニメをやりたいとかではなく、FFの各ナンバリング毎に、外伝や関連作・派生作品を多数作って、各作品ごとのファンを逃さないようにしつつ、そこから広げて増やしていきたいみたいな事を言ってました。古い作品から、新しい作品まで何十年と続くファンを増やして行くのが目標。

 

的な事を言ってたと思います。任天堂と凄く対照的ですよね。私はこの辺りの考えを見て、マーケティングの面白味、どこに向けて、そして目標をどこに設定するのかとか、そういう面白味を感じたし、そういう視点もその辺りからより意識するようになった気がします。

 

そういう意味ではね、任天堂のブランドってそれはそれで面白い部分だし、これでヒットした事で、次は「ゼルダの伝説」の映画化に繋がったわけじゃないですか。マーベル映画の立ち上げからの立役者、アヴィ・アラドを軸に作ってるらしいですけど、そこのメソッドよりも、今回のマリオと同じく、表面上はストーリーを追っていても、その実、本質は追体験にあるみたいな所を軸にして作った方が良い気がします。

因みにゼルダもねぇ、FC版SFC版で私は終わってて、一番好きなのは「リンクの冒険」だったりするんですよ。下突きが超楽しいので。

 

そんなわけで、任天堂というブランド、任天堂という会社の目指すべき所は低年齢層を軸にした大衆娯楽であり、決して芸術やテーマ性に拘る所では無い、という意味では物凄~~~く任天堂らしいと思います。

 

対象年齢6歳って言われたって、その通りです、流石映画評論家はその辺りわかってますね、そういう人達に向けた映画では無いんです、それよりも子供達が楽しんでくれるのが一番ですから、という作品になってると思います。

 

2Dのドット絵から始まったマリオも、今は立体感のある3DCGですから、ただの抽象的な記号、好きや嫌いという単純な縦軸だけでなく、横軸やら、なんなら奥行きまで含めた立体的な視点で物ごとを判断したい所です。

 

 


いや、私は思いっきり2D派ですけどね。

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