GUNDAM AGE
著：中西寛
刊：小学館 少年サンデーコミックス 全３巻 2012（2011-12）
☆★
「トレジャースター」に続いてＡＧＥ外伝。
３部でキャプテン・アッシュとして登場したアセムが何故海賊になったのか？が描かれる公式外伝。併録として同作者が１部の最初を描いた前後編読み切り「機動戦士ガンダムＡＧＥ～始まりの物語～」も収録
読み切りの方は少年サンデー本誌に掲載されて、本編の方はサンデーＳ増刊での連載。トレジャースターがコロコロでの連載で子供向け漫画として本編との整合性とかは別にした作品だったのに対し、こちらは本編で描かれなかった部分を描くミッシングリンクとしての公式外伝。絵も悪くなさそうだし、これは面白そうと期待して読んだのですが・・・ナニコレ？
主人公はウィービック・ランブロという漫画オリジナルキャラクター、アセム加入前の宇宙海賊ビシディアンが描かれるのですが・・・え？キャラクター紹介の所にも、きちんと主人公って書いてあるのに途中退場。後半からは普通にアセムが主人公になってしまう。何だこれ？主人公交代とか聞いた事無いぞ？
って、そういえばＡＧＥ本編がそもそもそうか。なるほど、主人公も引き継いでいく形を「ＡＧＥらしさ」としてこっちでもやってるという事なのか。
う～ん、大したドラマもなく感情移入する前にもう退場とかされても、そこで見てる方の感情が動かされたりしないのになぁ、とＡＧＥの悪い所を引き継いでしまったようです。
なんだろうなこれ？と思いながら読んでると、「ＥＸＡ－ＤＢは平和になった時の宝」え？平和になったら戦争や兵器のデータベースとかいらなくね？そもそもヴェイガンがそれきっかけで戦争ふっかけてきたんでしょ？
「戦争の犠牲者を減らす為に連邦軍の輸送艦とかを狙う」「両軍の戦力を拮抗させる事で犠牲者を減らす」ん？戦争長引いたら不幸な時代も長く続いてしまうのでは？
シドとの戦いでバラバラになったＡＧＥ－２。連邦がアセムの捜索に出てもＡＧＥ－２の残骸しか見つけられずにＡＧＥデバイスだけ回収してやむなく捜索を打ち切ったけど、海賊が残されたＡＧＥ－２の残骸を回収したら瀕死の状態でアセムが装甲にへばりついてた。いやいやいや連邦は何を見てたのか。
最初は海賊より家族の方が大事とか言ってたけど、キャプテンの遺言で海賊を引き継いだから嫁（ロマリー）と息子（キオ）は放置で自分の戦いを始める？
んんん～？何これ色々と引っかかる所ばっか。日野がこっちのシナリオも書いたのかと疑ってしまいたくなるくらい支離滅裂というか、言ってる事にさっぱりついていけない展開の連続。
ウィービックもそうだし、ＥＸＡ－ＤＢ管理人のレウナ・イナーシュも変な喋り方のキャラ付けだけされてて、お父さんとか最後の展開とかもよくわからない展開に終始して、悲しいとか以前によくわかんねーよで終わってしまった。ＡＧＥ本編のダメな部分も引き継いでしまってるような作風。
オリジナルキャラはともかく、せめてアセムくらいは納得できる形で自分の道を見つけたんだなぁと思わせてくれるのなら良かったのですが、なんか日野がダークヒーローとして海賊のガンダムとかカッコいいだろうみたいな安易な思いつきでやっただけなんじゃないかと勘繰ってしまう雑さでした。
某クロスボーンガンダムの「そうだな、ならば海賊らしくいただいてゆくっ！」くらい痺れるシーン見せてよ！
良かった所は、キャラもメカも絵柄は悪くないし、ラクトさん、ラーガン、アダムスさんと１部フリット編キャラのその後がちょっとだけ描かれるとこくらいでしょうか。
ついでに「機動戦士ガンダムＡＧＥ～始まりの物語～」についても。
基本的にアニメ１話のフリットが初めてヴェイガンを撃破するとこまでの話なのですが、フリットとかエミリーのキャラ付けがちょこっと違う感じになってるのが意外と面白いです。
そして本編初期設定案にあった、ＡＧＥシステムはその環境にある既存の物を組み合わせて新しい武器を作る、という設定でこちらの話も描かれてます。コロニーの風車を背中に装備してヴェイガンを蹴散らすという、半分ギャグみたいな展開が見られます（アニメ放送当時もこれ結構話題になってた記憶が）
そしてこっちではラーガンあっけなく死亡。「ラーガーン！！」も結構当時ネタにされてたような。というか「追憶のシド」の方でも自分でネタにしてるし。
こっちの「始まりの物語」これはこれで意外と面白かったりするので、この読み切りが割と好評だったので、じゃあこの後外伝も書いてみない？みたいな感じに繋がったのかな？これが作者にとっての初単行本作品だそうで、新人にガンダムまかせちゃうのは角川も小学館もかわんねーんだな、と。
漫画として上手いかはともかく、画力は悪くないので、まともな脚本つけてくれればまたガンダム書いてくれると嬉しいかも。
さて次は「クライマックスヒーローズ」かな。
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