僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション完結編/鳴動の宇宙

 

機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション完結編 鳴動の宇宙 [DVD]

MOBILE SUIT GUNDAM SEED SPECIAL EDITION : FINAL
監督:福田己津央
OVA 全3話 2004年
☆☆☆

 

総集編スペシャルエディション3部作ラスト。
2部の最後に宇宙に上がってから後は割とそのまま最終決戦に流れるので1部2部と比べるとお話としてはそれなりにスッキリした感じで見られる感じ。

 

で、SEEDは物凄く久し振りに見たので色々忘れている部分が多かったんですけど、そう言えばキラってスーパーコーディネイターだったんですね。

 

ナチュラルとコーディネイターの差、どれほどコーディネイターが優れているかっていうのはぶっちゃけあんまり現実的に考えすぎると、わけがわからなくなるので本当は触れない方が良いと私は思うんですけど、一応劇中の描写的には、スポーツとか学問の世界とかに置いても、もう普通の人間が拮抗できるようなものじゃなく、明確に差があるっていう描写だったはず。

 

って考えると、やっぱりこのコズミック・イラの世界はコーディネイターが世界を支配するという世界観で、じゃあ人間はコーディネイターの下位の存在でしかなくなるのか?という恐れが反コーディネイターブルーコスモス主義みたいなのを生み出している、みたいなので合ってるかな?

 

で、キラはそんなコーディネイターをも越える存在で、この世界の中で唯一の存在であるスーパーコーディネイター
普通のコーディネイターナチュラルを含めたこの世界のありとあらゆる人間の頂点に立つ、どころか地球が生まれて有史以来、人類史上最も優れた人間がキラ・ヤマトという存在であるっていう事ですよね?理屈で考えれば数年後にはキラが人類の頂点に立っていてもおかしくない。

 

そりゃあ俺様つえーって無双するわ。努力なんかしなくても自分がこの世の中で一番凄い人間だったっていう、今の流行りの異世界転生とかに近い感じがもう当時はどこか感覚的に求められてたんだろうか?とかちょっと思う。

 

「SEED」って21世紀のファーストガンダム的な言われ方をするし、実際かなりヒットした作品ですけど、作品としての使命は今現在で言う所の「水星の魔女」に課せられた使命と同じで、おっさんばっかりになっちゃって新規の若い層が入りにくくなっちゃったガンダムと言うコンテンツに新規層を取り込むのが目的で、幸いな事にその結果を残す事が出来たと。

 

そこ考えるとね、私みたいな古い層のオッサンが、SEEDに文句付けてどうこう言うのはお門違いなんだろうなと思うし、水星の魔女の時もおじさんが不満とか言ってるのを傍から眺めてると、やっぱりどこか滑稽だなと思えたから私的にも色々思う所はあるけど、若い人が楽しんでるならそれで良いんじゃないの?となる。

 

話をSEEDに戻すと、この世界の唯一の成功例であるスーパーコーディネイターのキラ君ですから、続編以降のなんだか一人で悟ったようになってしまうキラというのは常人にはもう計り知れない考えになってるのかな?と思うし、例え悩んだりしてる風に見えるのも全部フェイクで、デスノートのキラじぇねーけど「全て計画通り」と内心はニヤリとしてるのかもしれない。だって人類の頂点に居る存在なんですから。
劇場版のPVでも何か一人で行動して回りがキラを止めなければ、風になってるのももしかしてそんな感じなのかも。

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外伝の「アストレイ」の主人公の一人、叢雲劾がCE世界では最強のパイロットだとか勝手に言いはじめたら、外伝の癖に何勝手な事言ってんだよって監督が怒ったとかいうエピソードがあった気がしますが、なんかお互いに自分の作ったものが最強最高みたいな自己愛みたいなのが歪みに歪んで拡大していったのかなみたいに思いつつ、この無印種の時点では、そうじゃないと思うんですよね。

 

だって最後普通にキラが負けて終わるから。
ここがね、確か当時もこういうラストはアリだなって思った記憶があります。勿論、物理的に一応ラスボスのクルーゼは倒すんですけど、色々言ってくるクルーゼに対して、何も論理的に返せないまま、しかも不殺とか言いはじめてたはずなのに自分の能力で相手を暴力的に殺すしかキラは出来ないままに終わる。現代風に言うとレスバで負けるキラ、みたいなもんです。その上フレイとかも結局救えないまま、涙して終わる。

 

でも、これはこれで決して悪いわけじゃ無くて、それこそ無双して終わって欲しい人も居たかもしれないけど、ファーストガンダムのラストでも、ニュータイプという新しいステージへの覚醒で、常人とはまた違う世界へ行ってしまうのかと思われたアムロが「ごめんよララァ、僕にはまだ帰れる所があるんだ。こんなに嬉しい事は無い」って言ってみんなの所に戻る描写と同じで、人間はいつかもうワンランク上の存在に進化していくかもしれないけれど、それはまだ先の話で、若いあなたたちが切り開いていく未来ですよ、と託して終わるような感じじゃないですか。

 

それとキラも同じで、コーディネイターと言ったってバカはバカだなみたいなセリフもあるし、コーディネイターの出来そこないであるクルーゼに何も言い返せない上に大事な人すら守れないキラ。遺伝子的には常人を越えた超存在ではあるけれど、キラはキラでそこまで人と変わった存在では無いんだよ、というのがキラの敗北や涙で終わる理由で、やはりアムロと同じく進化した存在に行きかけるけど、ギリギリでまだだよねって戻ってくる感じ。そこはファーストガンダムへのオマージュだったように思う。無印SEEDのみで考えるとその辺りが面白い気がする。

 

同じくアスランも「逃げるな、生きる方が戦いだ!」って言われちゃいますしね。

 

あと今回見て、あれこんなんだっけ?って思ったのが、ジェネシス発射を巡る場面でパトリック・ザラに撃たれた人。あの人名前あるのかな?最初は一応、倫理観の上で射線上に見方もまだ残ってるし、いきなり地球にジェネシスぶっぱなすのはマズイのでは?みたいな感じにパトリックを止めようとするも、うるせーナチュラルなんか皆殺しでいいいんだよ!って撃たれる。で、死に際に今度はパトリックを打ち返して殺すわけなんですけど、ここの表情がね、撃たれたから撃ち返す憎しみの表情に見えました。


セリフは無いのでこちらの勝手な解釈かもしれませんが、最初は人道的にという理由でパトリックの暴挙を止めようと思ったけど、最後はそんな高貴な理由では無く撃たれたから撃ち返すという怨恨の気持ちに染まっていたように私は感じた。(戦いは怨恨に根ざしているって「0083」のセリフが頭を過る)

 

そういう報復っていうのはSEEDでは繰り返して描かれるテーマですし、逆にバルトフェルドなんかは復帰してキラと再会した時は、個人的な恨みとかはもう過去に置いてきた。そこで動いてないからラクスとエターナル陣営に自分も来たんだよ、的な感じになる。(と考えると次のデステイニーで主人公のシンの行動動機を恨みにしたのはテーマ的には繰り返しか後退で、後半はデスティニープランとか違うテーマ設定が必要になったのもわかる気はしなくもない)

そんな怨恨の連鎖というテーマに関しては、これ単体ではそれなりに面白く描けてたような気はします。

 

ただねぇ、私がSEED見てた頃は視野や料簡の狭い、まだまだ典型的なダメなオタクだった頃で(それこそガンダムをリアルな戦争と受け取ってしまう浅さでした)、文句を言いつつ、それでもまだ一生懸命に見てた気がしますが、流石に今の視点で見るにはちょっと厳しいような気がしました。


勿論、単純にモビルスーツがカッコいいとか、このキャラが良いとか一部分だけに縋って見る分には全然良いとは思うけど、それこそ21世紀の新しいガンダムを作ろうと言う気負いもあったのが、色々詰め込もうとしてメチャメチャになっちゃってるのを必死にごまかしてる感じがなかなかにキツイ。それは続編のデスティニーの方でもより当時から感じた部分です。

 

これを20年後の今また劇場版でやろうとしてる辺りはなかなかスリリングです。2時間なら詰め込めるものなんて限られるだろうし、上手くやればごまかし切れるかな?という可能性もありますが、この現実で戦争が起こってる時代に、また浅くて薄っぺらい戦争論を掲げてくるんでしょうか。
ククルス・ドアンの島」もぶっちゃけ厳しい感じがしましたし、かといって色々な物を現代的にアップデートとかしてしまったらそれはSEEDらしさとは言い切れないんじゃないかとも思うわけで、そこは劇場版がどういう作品になるのかはメチャメチャ想像しにくい。そういう意味ではやっぱり楽しみです。

話とかが微妙だったら、メカシーンだけを楽しむとかそういうのはそういうので楽しみ方の一つだと思いますし。「AGE」とかも話は変だなと思う所あるけど、メカや特定のシーンとか部分部分で良い所はありますし、私は決して嫌いじゃないですしね。私にとっては種もそういうのに近い感じかもしれません。

 

とりえあえず次はデスティニーの方のスペシャルエディション4部作に行きます。

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