僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2(13~24話)

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Mobile Suit Gundam THE WITCH FROM MERCURY
監督:小林寛
シリーズ構成:河内一楼
TVアニメ 2023 Season2 全12話(シリーズ全24話+プロローグ1話)
☆☆☆☆

 

「水星の魔女」、完結しました。ラストで「劇場版制作決定!」とかの告知入るかな?と思ったら「SEED」の方の告知でした。まあ確かにね、ハサウェイも作ってるし、種も以前から告知はあったし、例え人気が出て作りたくとも、ちょっと順番待ち状態か。今度やるイベントで何か告知あるかもしれませんが、流石に新作映画とかそういうのは無さそう。総集編とかならもしかしたら?くらいか。

 

1期の感想でも書きましたが、まずはこうして話題作としてそれなりに若い人にも受け入れられたのかなとは思うし、そこは何よりです。2期になって、割とシリアス成分が増えて個人的にもガンダムらしくなって面白くなってきたなと感じてたのですが、世の中的には1期と比べたら視聴者層が減ったような印象。あくまで印象論で、データ的な物までは確認してませんが、Vチューバーの同時視聴とか少し減ったなぁという感覚。1期のラストが結構エグかったし、2期になってから学園物要素は薄くなっちゃいましたからね。

 

でもそれでもまだ見てくれてた人は居ただろうし、最初から重い部分を出したら恐らくはもっと視聴者は少なかったはず。入門、導入という点では十分だったと私は思います。何故か「ハサウェイ」の時も結構居たんですけど、「水星の魔女」で初めてガンダムに触れた的な声を多く見かけましたし、休止中にTVでやってた奴だけでなく、他のシリーズにも手を出してみた的な人もyoutubeとかでチラホラと居て、更にそれを見てるユーザーも居るわけで、そういうのだけでも十分かなと。
しょこたんとかも「水星」で初めてガンダムを見て、「初代」と「Z」を一気に履修したとか語ってましたし。

 

私は日曜の5時なんて基本、家には居ないので配信で見る事が多かったんですけど、1期の時の最終回も確かそうでしたよね?制作上の都合で最終回のみ配信は翌日になります、っていう。ここはもうトラブルとかそういうのじゃなく、完全に戦略。リアルタイムで見てツイッターのトレンドに入れてねっていう戦略ありきで、配信は後回しにする。私はTV録画も一応してるので、帰ってきてから当日に最終回見れましたが、そういうのも含めて、今の作品だなぁと。

 

逆に今らしさのネガティブな部分を言えば、もうサンライズという大手でさえ1クールアニメの完走すら難しくなってるんですね。そこは戦略うんぬんではなく、日本の衰退というのが現れてる感じがして、そこも現代性みたいなものが見てとれるよなと。
アニメ業界うんぬんだけの話じゃないですよ。日本全体がそうですから。もう日本は先進国ですらなくなってしまったという現実。そういうのがアニメを見てるだけでもわかる。ガンダムの歴史を知ってるだけでもわかるというのは面白い部分です。

 

エヴァ辺りの時代から2クールものが増えた印象ですけど(勿論それ以前から短い作品も普通にある、ガンダムの原点の「ザンボット3」だってそうですし)ガンダムはまだ昔ながらの1年でやってました。

「∀」とか「SEED」とかね。何ならSEEDは決して分割とかでは無く人気が出たからというのもあって「デスティニー」という続編が短いスパンで作られたりしてました。分割になったのは「OO」から。50話物を半分の2クールづつに分けて2期放送する。「オルフェンズ」もそうですね。その前の「AGE」は1年でしたが、「Gレコは」2クール。

「ビルド」シリーズも2クール分を3作やって、4作目の「リライズ」だけ水星と同じく2クールをさらに分割。水星は1クールしか無いのに、総集編をはさまないと放送できない。

 

こういう歴史に、巨大ロボット物というジャンルの衰退、アニメ業界の衰退を重ねるのは容易ですけど、面白いのは「ガンダム」というコンテンツの総合的な売り上げは実は下がるどころか上がり続けているという不思議。ガンダムってやっぱりプラモが代名詞ですし、他にもトイやゲーム、アパレルやら何やら全部含めればガンダムそのものの総合的な売り上げは決して下がっていない。

 

マーケティングや世界戦略とか色々な策を講じてビジネスをしている。「水星の魔女」も経営戦略とかが劇中に出てくるのは、ある意味必然なのでしょう。まさしく株式会社ガンダムをリアルでやってるのがバンダイナムコなのですから。

 

そこを考えると医療技術としてのガンドアーム。今回の作品のガンダムのネーミング理由ですけど、そこは意外とメタ的な部分に繋がる所もなく、まさしく作中の都合ですかね。プラモランナーの再生でSDGSとか企業としてはやってるし、社会的な付加価値を乗せる必要がある、という意味では近い物もあると言えなくもないですが。

 

で、そんな社会性の面で言えば、女主人公というのがまさしくポリコレ的要素ながら、そこが思った以上の面白味に繋がっていたのは個人的に好きなポイントです。

 

1クール目の最後、グエル君の親殺しが描かれました。親殺しは物語の典型の一つです。まあ別に実際の生死でなくても、子供が親を乗り越える事で子供から大人に成長すると言う、通過儀礼というやつ。

 

少年が父親を乗り越えるのであれば、少女が乗り越えるべき存在は母親である。


こんな単純なジェンダーの入れ替えだけでも、超新鮮じゃなかったですか?
女性向けの作品とかじゃ普通なのかな?私は少年が父親を乗り越える話なんてごまんと見て来ましたが、少女(スレッタ)が母親(プロスペラ)を乗り越える話とか、もしかしたら初めてに近いくらい新鮮に感じて、そこがこの作品で一番面白い部分でした。

 

グエル、シャディク、ミリオネが父と対立する中、ペイル社のおばさん4人とかベルメリアさんとかが描かれてるのもやっぱり新鮮。ガンダムって特に富野は女性を戦場に立たせるの意図してやってきたけど、パイロットとかが中心で、中年のおばさんみたいな所はそんなに描いてはきてなかったはず。

 

とある女性のアメコミ翻訳家の方が、中年の男性はまだしも中年女性とかがピックアップされるケースは少ないのでDCで「アマンダ・ウォーラー」をピンでやってくれるのは同性の中年女性としては嬉しい的な事をツイッターで呟いていて、ああなるほどなぁと思わされました。
ハリウッド映画とかでも、一般的なアクション物の娯楽作で女性が主人公とか企画を通すだけでも難しい。多少作品がアレでも、近年はそこを突破してきてる作品が増えただけでも評価してあげてほしい的な声があったりして、なるほどそういう女性ならではの視点とかあるんだなぁと思ったのでした。

 

そんな面でもね、主人公のスレッタとミリオネ、ラスボス的なプロスペラにしても、ペイル社のおばさんにしてもベルメリアさんにしても、地球寮各陣営の女性キャラの多さ、ソフィやノレアもそうですよね。数えてないけど、名前ありのキャラの半数以上が女性だったりしそうなくらいに多い。結局見せ場が各キャラ1場面くらいしか無いような人達が大半ではありますが(そこは話数の短さよね)それでもこれだけの人数を描いたのは何気に凄い気がする。

 

昔ねぇ、「SEED」の時に批判されたんですけど、少年漫画の描く女性は3パターンしか無くて、それは聖母か悪女か子供かの3種類しかなく、薄っぺらいという批判があって、種はまさしく聖母=ラクス、悪女=フレイ、子供=カガリと露骨に当てはまっちゃったんですよね。「SEED」は福田監督は男性ですが、奥様がシリーズ構成をされていたので、男だから、女だからと一概には言えない。全体的に男臭くて「水星」とは対になりそうな「オルフェンズ」も長井監督が男性で、シリーズ構成が売れっ子の岡田麿里さんでした。

 

そこ考えると水星は監督もシリーズ構成(脚本)も男性ながら、多様な女性を描いてきたのはなかなか面白い部分で、ポリコレが浸透してきてるからこそ描き方にも気を使ったという感じでしょうか。脚本の大河内さん「08」の小説版では無駄に最低な事してたんですけどね。時代と共に成長や変化はちゃんとあったのかもしれない。

 

そして最終回、ぶっちゃけ何だこれ感は割とありました。
ガンダムを見て無い新しい層に対しての「ガンダム」ってこういうものですよ、という描き方がね、こんなオカルトだか奇跡だかわからんものを持ってきて、え?どゆこと?よくわからなかったけど、とりあえず何と無く面白かったからいいや。というのを改めてやったという。

 

まあ「逆シャア」ですよね。変な奇跡とか起きてこれで解決なの???「Z」「ZZ」「UC」でも良いですし、何なら「V」とか「F91」のオマージュっぽくもあった。パーメット粒子がこんな魔法の技術だったとは。ガンダムの名前がついたものは全部分解してくれたとか、「W」っぽくもあり、粒子がうんぬんなら量子化した「OO」や月光蝶の「∀」っぽくもある。

 

1から10まで全部スッキリ解決しましたよね、じゃなく、あえてモヤモヤを残して終わるくらいの方がガンダムなんじゃないか?という判断なのでしょう。そこはちょっと意外でした。
一見はハッピーエンドっぽい終わり方ではあるので、決してブン投げとかの印象は無いし、はい面白かった。次のアニメを見ようで良い人は良いし、ただ消費して終わらないだけのものは残してはありますよ的な感じなのかなと。

 


1期のOP「祝福」的な前向きな世界観から、後半は離れちゃったなぁと思ってましたが、ちゃんとそこに戻ってきたのは面白い構成だなと思いましたし、全体的には自分の好みの作品かと言えばそこまででも無いんですが、作り込みは十分に伝わったし、このクオリティなら文句付けたりするのも気が引けるくらいで楽しませてもらえた作品でした。

 

魔女の箒を持つキャリバーンのコンセプトは好きですし、能登の娘が真っ白な姿で対話を試みるというのはプリオタ的には、おっ!と思わせてくれて好きです。

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