COSMIC GHOST RIDER DESTROYS MARVEL HISTORY
著：ポール・シーア、ニック・ジョバネッティ（作）
トッド・ナウク（画）
訳：吉川悠
刊：MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2022年
収録：COSMIC GHOST RIDER DESTROYS MARVEL HISTORY #1-6(2019)
☆☆☆☆
宇宙を翔ける
復讐の精霊コズミック・ゴーストライダー、
マーベルの歴史を
ブチ壊す！？
コズミック・ゴーストライダー、
再び参上！！！
彼の名はフランク・キャッスル。かつてはパニッシャー、
現在はコズミック・ゴーストライダーを名乗るひねくれ者だ。
赤ん坊の頃のサノスを教育して正しい方向に導く計画に失敗し、
ヒマとパワー・コズミックを持て余したフランクは、
時空を超えて気の赴くままにマーベル・ユニバースの歴史に介入することに。
何が起こるかわからない、前代未聞のドタバタ劇が開幕する！
コズミック・ゴーストイライダーの２冊目。昨年に出てた奴です。
あれ？今回はドニー・ケイツ作じゃないんだ？あの辺は一連の流れで出てたので、ライター変わっちゃうってどういうことだろう？とか思ってたら・・・う～ん？コメディ路線？
まあ前回もコメディではありましたが、それなりにストーリーも読みごたえあった気がしますが、今回はそこからますますギャグよりな方向に。「シーハルク」とか「スクイレルガール」もそうでしたけど、ギャグ物になると、既存のキャラをこんなに崩して良いものなの？とちょっと心配になってくる。
一応、前回の流れは引き継いでいて、サノスを再教育する計画は結局上手く行かず、だったらもういいや、世界じゃ無く自分を救ってやろうと、フランク・キャッスルがパニッシャーになる前、後に皆殺しにされる前の上手く行っていた家族に接触し、自分もヒーローの一員だとホラ話を子供達に聞かせるというような内容。
デッドプールからも歴史介入のパロディとか俺のパクリじゃねーかと言われるし、当然ウォッチャーからは睨まれる羽目に。
でもねぇ、読者は知ってます。ウォッチャーは歴史を観測するだけで、絶対に関与はしないとか言ってるけど、お前今まで散々介入してきたじゃーん！とそこは容赦なく突っ込んでくれます。
マーベルの実質的な歴史の始まり、ファンタスティックフォーの誕生から、「ダークフェニックスサーガ」まで実はコズミックゴーストライダーが関与していた！というパロディーから、定番の「クローンサーガ」いじり。そしてウォッチャー絡みで割と近年の「オリジナル・シン」まで歴史介入。
歴史介入した事で、記録には残ってるけど記憶にないという形になり、セントリーポジションになっちゃったりする。
そしてそんなパロディー故に、要所要所のいやこれもホラ話でしょ？みたいな中に、実際に合った奇妙すぎる歴史も紹介してある辺りが面白味。
５０年以上もの歴史があれば、迷走したり今見るとシュール極まりない歴史なんかもたまにはあったりして、いやこの話嘘じゃないって！ホントにあった話なんだって！っていうものを混ぜてくるセンスは抜群。
そこは邦訳お馴染みのペラ紙解説書だけでなく、きちんと巻末の作者解説の元ネタ明かしみたいな資料でちゃんとフォローしてくれてるのがありがたい。え？マジでこの話やシーンあるじゃん！と驚かされます。
そして解説書にもあるように、基本パニッシャーのオリジンでもあり、そこがなければキャラも成立しない為、殺される事が前提のフランクの家族に焦点を当てるというのは新しいと言えば新しい。
ただこれ、「インフィニティウォーズ」の後に読むと、既存のキャラを賭け合わせてアレンジヒーローを作ると言う部分では、コズミックゴーストライダーもインフィニティワープスの系譜じゃないですか？登場自体はこっちの方がいくらか先ではありあますけど。
読んで素直に面白かったし、楽しめはしましたが、こういう路線は正直もうたくさんかも？一時期沢山出ていたデッドプールは最近少なめですが、たまたまシーハルクみたいなギャグ物も邦訳は続きましたし、（原書の年代は違うけど）アメコミでこういう方向の面白さも結構あるんだなと知れただけでも良しとしておきます。
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