僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ベスト・オブ・アイアンマン

ベスト・オブ・アイアンマン

THE BEST OF IRON MAN
著:スタン・リー 他(作)
  スティーブ・ディッコ 他(画)
訳:石川裕人
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2023年
収録:TALES OF SUSPENSE #39(1963) #48(1963)
 IRON MAN #128(1979) #170(1983) #225(1987) #305(1994)
☆☆☆★


全マーベルファン必読!
アイアンマンの魅力を1冊に凝縮した珠玉の短編集

記念すべきアイアンマンの初登場エピソード
『テールズ・オブ・サスペンス』#39(3/1963)をはじめ、
ファン必読の6つのエピソードを日本オリジナル編集で収録。


1963年、東西冷戦が過熱するなか、アイアンマンは誕生した。先端科学の結晶であるアーマーを武器に活躍する彼だったが、アーマーが強化されるにつれ、ある事実が浮き彫りになっていく。アイアンマンの最大の弱点は、生身のトニー・スタークなのか?強さと弱さが同居するアイアンマンの変転を、代表的な6つのエピソードで描く、日本オリジナル編集の短編集が満を持して登場!

 

アメコミは50年以上もずっと続いているので、映画で興味を持っても原作コミックはどこから入ったら良いのかよくわからん、というのはよくある悩みかと思います。

 

日本人の感覚なら、え?普通に1巻から読むものじゃないの?という人が多いでしょうけど、何せ大昔の物ですので、それが間違いなく正解とも言いきれない部分も。
基本的には大まかな設定だけ知ってれば、エピソードごとの区切りとか、一番良いのはリニューアル的な、まさしく新規読者を取り込むための新章みたいなのは定期的にあったりするのでその辺りからなんとなく流れで入るのが本国でも一般的な感じじゃなかろうか?

 

映画になってる有名キャラなら、まさしくそんな映画から入るのがわかりやすいと思いつつ、その映画のベースとなったまさしく第1話とか、代表的なエピソードをピックアップしたのが今回の「ベストオブアイアンマン」

 

何年も前に「ベスト・オブ・スパイダーマン」というのが1冊だけ出てたのですが、今回は続けてキャプテン・アメリカ版も出るのと、タイトルこそ発表になっていないものの、続々登場という予定にはなってるようですので、売れたら続くよ的な感じかと思われます。

 

年代的には古い物が中心なので、そこは初心者にはとっつきにくいかもしれませんが、古いアメコミは読み難い所も含めて、また味になってきますので(要は日本の漫画とは違うからこそ別の面白味を感じられるので)個人的にも映画の主要キャラを網羅するくらいには上手く続いていって欲しい所。

 

 

■テールズ・オブ・サスペンス Vol.1 #39 IRON MAN IS BORN!
■アイアンマン誕生!

いわゆる「アイアンマン第1話」。
サスペンス雑誌39号の中の読み切りの一つとして始まったという形。

 

以前「アイ・アム・アイアンマン」の時に触れましたが

curez.hatenablog.com

90年代に出ていたオムニバス誌のマーヴルクロスの15号以来の収録。

絵も話も非常に時代を感じさせるものの、映画のベースになってるのがよくわかるので、今読むのも面白い。

 

■テールズ・オブ・サスペンス Vol.1 #48 THE MYSTERIOUS MR.DOLL
■謎のミスター・ドール

ここまでは映画で言う所のマークワンアーマーがベースだったものがここでスマートな形にリニューアル。

映画みたいなスタイリッシュな形は「アイアンマン:エクストリミス」という、2000年代以降のもので、そこには程遠いものの、それ以前のはここで登場した物がずっとベースになっていく。

 

日本の感覚でこれがカッコ良いかと言われたらとても微妙な所ではあるけれど、個人的には時代が時代とは言えパワードスーツ系メカデザインでありながら、ツノとかトゲとか、そういう尖がったパーツでカッコ良さのデザインを表現していない所がアイアンマンの面白さだと私は思う。

 

■アイアンマン Vol.1 #128 DEMON IN A BOTTLE!
■瓶の中の悪魔

アイアンマンと言えばこれという超有名エピソード。
アシェット刊マーベル・グラフィックノベルシリーズの29号では単発での収録で無く、そこに至るまでの長編エピソードとして読めるようです。

マーベルグラフィックノベル・コレクション(29) 2023年 3/8 号 [雑誌]


ええと、私はアシェットの方も定期購読してるので持ってはいるけどまだ全然手をつけて無いです。

 

トニー・スタークのアルコール依存症が描かれた1編。
スパイダーマン」で麻薬問題を扱った有名なエピソードがありますけど、そういう流れを受けてのこちらのアルコール依存がテーマになった話が描かれたんですね。

 

ヒーローコミックなんて子供向けじゃないの?それでアルコール依存症とか話わかるんだろうか?とか思う人も居るかもしれませんが、マーベルはスタン・リーが大学で講演会をよく開いたりしてたのもあってこの辺りの時期はもう大学生くらいの年齢層のファンも多かっただろうと思われる。

 

ほんのグラス1杯だけで気持ちが落ちつけられる!とか言ってる辺りが怖い。しかもどこまで意図したものかはわかりませんが、アイアンマンは機械ですから、飲酒運転みたいな所も彷彿させてなかなか面白い。

 

■アイアンマン Vol.1 #170 AND WHO SHALL CLOTHE HIMSELF IN IRON?
■鉄を纏うのは誰だ?

「デーモン・イン・ア・ボトル」は一応、1話完結のエピソードっぽく描かれ、もうこりごりだよ的な形でオチもついたと思われたが、こちらの話では再度アルコール依存になってるトニーが描かれる。

そんな使えないトニーを受けて、ジム・ローズことローディがアイアンマンスーツを纏うという、ウォーマシン誕生以前のエピソード。

 

解説にもあるけれど、超人血清のあるキャプテン・アメリカとか、スパイダーマンやハルクといった、個人の能力ではなく、機械のアイアンマンスーツを纏えば誰でもアイアンマンになれるのか?といった着眼点が面白い。

映画アベンジャーズでも、キャップにアイアンマンスーツが無ければお前に何が残る?とか言われて、「億万長者、天才科学者、プレイボーイ」とか色々言ってましたね。

 

■アイアンマン Vol.1 #225 STARK WARS!
■スタークの戦争

ゴールドでは無く銀色のシルバーセンチュリオンアーマーのお披露目。
シルバーセンチュリオンは三角の肩アーマーがあるのがデザイン的にカッコ良いと思う。アクションフィギュアとかだと逆に可動範囲狭まったりするんだろうけど。

 

今度MCUでも予定に入ってる「アーマーウォーズ」編の導入部パート1にもなってるものの、何とあの2代目アントマン、スコット・ラングの活躍と、顔見せ程度ながら娘のキャシーも登場で、ちょっとお得感もあります。

 

ユニバースのあちこちで結構出ているアーマー系のヴィランも、実はアイアンマン由来の技術が使われていて、意図せぬ所で自分の技術が人の命を奪っていたのかと苦悩するトニーの姿が、これまた映画の1作目を思い出させてくれるようで面白い。


■アイアンマン Vol.1 #305 GREEN POLITICS
■緑の駆け引き

ハルクバスターアーマー初登場回。
ハルクを倒すためのゴツイアーマーなので、当然ハルクと戦うわけですが、いや何だこのオチ。

 

今回収録されてるどの話にも通じる部分だし、解説でも触れられてるけど、いわゆる「新型」のお披露目回で、じゃあそこで無双してそのパワーアップを存分に見せつけるとかが普通のプロモーション的な感覚かと思うけど、ほぼそういう展開にはならない。そういうとこが逆にアメコミだなぁと感じられてむしろ面白いです。

 

次の「ベスト・オブ・キャプテンアメリカ」にも期待。

 

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