僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

エクス・マキナ

エクス・マキナ [DVD]

原題:原題: ex machina
監督・脚本:アレックス・ガーランド
イギリス映画 2016年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
検索エンジンで有名な世界最大のインターネット会社“ブルーブック”でプログラマーとして働くケイレブは、巨万の富を築きながらも普段は滅多に姿を現さない社長のネイサンが所有する山間の別荘に1週間滞在するチャンスを得る。

しかし、人里離れたその地に到着したケイレブを待っていたのは、美しい女性型ロボット“エヴァ”に搭載された世界初の実用レベルとなる人工知能のテストに協力するという、興味深くも不可思議な実験だった・・・。

 

AI(人工知能)物のSF作品。「ブレードランナー」でお馴染みのチューリングテストで、AIはどこまで人間に近づけるか、みたいなお話で、オチも決して目新しい物では無いものの、サスペンス展開が秀逸でとても面白かった。

 

一応はラブストーリー的に見る事も出来るとは思うけど、「har世界でひとつの彼女」とか、それこそ「ブレードランナー」の方がずっとラブストーリーとしては見れる。基本的にはあくまでSF設定をバックグラウンドにしたサスペンススリラーだと思います。

 

個人的には、AIは人間にはなれないと思う派です。かぎりなく人間と区別がつかないくらいまでの真似は出来ると思うけど、きっと人間以上の何かになってしまうんだろうなと。人間以上の情報処理能力を持ってるわけですし、あらゆるものがネットワークに繋がってる世の中ですから、そりゃ人をも超える存在になっちゃうだろうと。


アシモフロボット三原則みたいな、何かしらの絶対的に越えられない(人間側からしたら制御できる)プログラムとかを組み込まないと、簡単に人間なんて越えられてしまうんじゃないかと。

 

まあそこは自我が芽生えるかどうか、みたいな所でもあると思うので、その辺を描いてあるこういう作品は好みですし面白いなと思います。

 

ちょっとこの作品からずれた話ですが、アラン・ムーアが言った「例え人間にスーパーヒーロー的な能力が授けられたとしても、大半の人はこれまでと同じようにポテチ食ってテレビ見てるだけ」が人間だよなと思いますし、また違う話ですが、噂とか都市伝説みたいなものがネットの出現によって私は無くなっちゃうんじゃないかなって思ってた頃がありました。調べれば本当の事がわかっちゃうから。でも実際は無くならなかったし、逆にネット上の噂や都市伝説が逆に生まれたりもしてる。今盛り上がってる政治を知らない奴が政治を語るなってのとも通じるかもしれませんが、調べないんですよね。人間なんて所詮そんなもんかと。

 

自分はちゃんと調べるよ、なんて偉そうな事を言うつもりもありません。興味がある事は調べるけど、そこまででもないものに対しては労力は費やしません。自分だって所詮はその程度。

 

でもこれがAIだったら?物理的な処理能力の限界とかはあるのかもしれませんが、人間の処理能力とは比べ物にならないくらい情報を仕入れられますよね。そうすれば、おのずと人間なんて軽く越えられてしまって、そこにはまた別の倫理観とかが生まれたりするんじゃないかなぁと素人ながらに思います。

 

そんな風に普段から思ってるので、この作品のオチとかは、ああやっぱりそうだよね、わかるわかる。という感じでとても楽しめました。

 

この作品もそうですし、ブレードランナーにしてもイノセンスにしても作中で描かれてましたけど、セクサロイド的な物としての可能性って良くも悪くもあるような気はしますし、もしそうだったら自分もハマっちゃうかもしれないな、とか思うとちょっと怖い。

言う事になんでも従うような従順なものならそりゃ楽しいし何より楽でいい。けど、自分の思い通りにならないからこそ面白いんだっていう考え方もありますし、そのうち飽きちゃうものでしょうか?

 

その辺はよくわかりません。ただ、少なくとも私が生きてる間にはそこまで技術が発展する事は無いと思ってますし、あくまで他人事だし、空想のお話だからこそ、こうやって映画とかを見て単純に「面白いな~」なんて言ってられるんだと思います。所詮は絵空事だから楽しい、みたいな。

 

CGも凄く違和感がなくレベル高いですし、部屋のデザインなんかも面白いのですが基本的には家の中だけのワンシチュエーションなので、ハリウッド大作程はお金はかかってないはず。低予算とまでは行かないのかもしれませんが、あまり深く考えずにアイデア重視のシチュエーションスリラー作品みたいなものだと思うと、凄く面白いです、これ。


映画『エクス・マキナ』予告編

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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア アンコール刊行 (講談社プラチナコミックス)

MOBILE SUIT GUNDAM CHAR'S COUNTERTTACK
まんが:ときた洸一
刊:講談社 BOMBOMCOMICS 全1巻(1999)
☆★

 

「BEYOND THE TIME」「ベルトーチカ・チルドレン」と読んだので、せっかくなので逆シャア関係でこちらも。古参のガノタとは切っても切り離せない「コミックボンボン」に連載の逆シャアコミカライズ版。ただこれ、映画に合わせてリアルタイムに連載されたものじゃありません。

 

私が持ってる一番最初に刊行された奴の帯を見るとPS1のゲーム版の「逆襲のシャア」に合わせて映画公開からは10年くらい経ってから(98-99年)の連載。何度か再販されてて、そっちの方には連載の経緯みたいなのが少し載ってた気がします。(後から出た方のは持ってません)

 

丁度ボンボン本誌でリアルガンダムの連載が無かった時期で、何本か企画が上がった中から、ときた氏が逆シャアのコミカライズやりたいって選んだような話だったでしょうか?最初から単行本1冊分と決まっていたので、短い分量でどう構成するか苦労した、という経緯が書いてあったような。

 

ほぼ同じ話を丁寧にやった「ベルトーチカチルドレン」が単行本7冊ですから、それを1冊でやっている、という辺りでお察し下さい。「逆シャア」の話の流れを一応再現しました、ぐらいのもので、じっくりテーマやドラマの掘り下げみたいなのはやってる余裕無し。


意外とダイジェスト感は少ないので、その辺りは上手くやってるとは思いますが、これを読んで映画と同じくらいの感覚を味わえるかと言えば、流石にそれはちょっと難しい。

 

しかもボンボンでの連載ですし、読者層を考えればある程度作風も限られてくるというもの。「νガンダムは伊達じゃない」を決めゼリフっぽくクライマックス見開き2ページでやるセンス。う~ん、いかにもときた洸一ガンダム漫画だなぁという感じです。
「PXオーバードライブ!俺が決めるぜ!」っていうのと同じノリです。

 

せっかくなのでボンボンとガンダム漫画の系譜をここでちょっとおさらい。
ボンボンでガンダム漫画と言えばそこはやはり「プラモ狂四朗」なわけですが、ちょいとそこは変化球なのでひとまず置いておきます。(ガンプラバトルとして後にビルドシリーズにも系譜としては繋がるのでそれはそれで意味あるのですが)

 

最初は恐らく近藤和久の「MS戦記」だと思われます。ジオン側の少年兵から見たファーストガンダムのサイドストーリー。独特のパネルラインでディティールアップされてますが、後の近藤版と呼ばれるような奇形MSではなかった。


で、それが好評を博して、「Zガンダム」放送時にリアルタイムでコミカライズも担当する事になる。ここで一気に暴走します。ボンボンの読者層など気にせずに、割と好き勝手やってしまう。

私はZ世代なので、これリアルタイムで知ってましたが、かと言ってTVで「Zガンダム」をちゃんと見てたかと言えば、そこまでではなく、プラモを作ったりする程度でした。その程度でしたが、それでも漫画の奴はちょっと大人っぽい感じで、TVとの違和感はありました。しかもチャイカだのゲードライだのアニメとは違うMSが出てて、一体これ何だ?と。

 

今考えると、よく近藤版Zは許されたもんだなと思います。もしかして許されなかったからそれ以降は他の人に変わったのかも。「ZZ」からはボンボン作家を使ったいかにもボンボンらしいコミカライズになっていきます。で、その後はSDガンダムの全盛期が始まり、私もどちらかと言えばガンダム詳しくなったのはSDガンダムの方からだったような気がします。

 

時は流れてVガンの次の「Gガンダム」。流石にもうボンボン読んでませんでしたし、後からコミックスを買っただけですが、Gガンから次の「W」「X」とちょっと間があいて「∀ガンダム」までときた洸一がボンボンでコミカライズを担当するようになる。

 

それだけ長く続いたという事は、好評だったのでしょう。私は正直ときた洸一の漫画ってガンダムエース連載以降も含めて面白いと思った事無いのですが、大人になると色々と事情ってのも理解できるようになります。


TVアニメの放送に合わせてリアルタイムに月刊誌に連載するって、そもそも無理がある。毎月4週分くらいのアニメの先のプロットもらって、それを30ページくらいの1話に纏める。しかもどの部分が重要なのかとかもよくわからない。う~ん、これはツライ。そんなんを1年分続けてそれっぽい形で終わらせなきゃならない。うん、無理。

 

TV放送とかに合わせずに、単純に1話づつ丁寧にやってるような、後からのコミカライズ版とリアルタイム連載でのコミカライズはちょっと別物と考えるべきだなと。単純にコミカライズ版つまんねーなと一蹴してしまうのも、それはそれで違うのかなっていう気がします。

 

そこ考えると、ときたさんは何年もそれやってて、そういう所が上手い作家なんだなと思います。「当時はアニメを見て、それと同じ奴をまた漫画で読めるのが良かった」的な感想や評価が多いのも頷けます。

 

近藤和久が最初にちょっと変わった事をやってしまって、次にそれを何とか他のボンボン家が戻して、その上で無難だろうが何だろうが、アニメに近いものを連載するっていう形にブラッシュアップしたのがときた。そういった功績という部分では、やっぱり大きいのかなとは思います。

 

そういう作家だからこそ、今回の「逆襲のシャア」もおのずとそういう作風になる。(せっかくなのでリアルタイムで連載されてた方の逆シャアコミカライズ版も次回とりあげます。あれはあれで貴重なので)

 

アストレイ」以降は基本的に脚本が別についてますので、そっちもつまんない作品ばっかなのはそもそも原作がつまらんからとでも思っておこう。でもときた作品で脚本ついてないのって旧「G-UNIT」と「W」スコーピオが出る奴くらい?う~ん、結局どれも微妙・・・。

 

でも、これだけ仕事が途切れず続けられるのは、手が早いのと(多分、連載落とした事無いんじゃ?)、人が良いんじゃないかなぁと。
社会に出て、立場的にも役職ついたりして人を使うようになると、いくら突出した能力があろうが、時間を守らなかったり人付き合いが上手くない人とかよりも、例え能力的には凡人でもちゃんと信用できて人付き合いが出来る人の方に仕事を回しちゃうんですよね。勝手な想像ですが、ときたさんって後者のタイプなんではないかと。

 

ときた版「逆シャア」を読んでそんな事を考える。

 

あ、あと富野セリフをマイルドにして必死にわかりやすいセリフにおきかえてある辺りが以外と面白い部分です。話がそもそもわかり難いんだから、せめてセリフくらい少しはボンボン読者にもわかりやすくしてあげよう、みたいなセンスに人柄が出てる気がします。

新装版 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (KCデラックス)

新・新装版 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (KCデラックス)

 

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ビフォア・ウォッチメン:ミニッツメン/シルク・スペクター

ビフォア・ウォッチメン:ミニッツメン/シルク・スペクター (DC COMICS)

BEFORE WATCHMEN:MINUTEMEN・SILK SPECTRE
著:ダーウィン・クック、アマンダ・コナー
刊:DC ヴィレッジブックス ビフォア・ウォッチメンシリーズ2(全4巻)
アメコミ 2014年
収録:BEFORE WATCHMEN:MINUTEMEN #1-6  :SILK SPECTRE #1-4(2012-13)
☆☆☆☆

 

ウォッチメン」の前日譚を描く「ビフォア・ウォッチメン」シリーズ2冊目。
今回は「DC:ニューフロンティア」のダーウィン・クックが担当。本編の1世代前のクライムバスターズ、初代ナイトオウルや初代シルクスペクターらの時代の「ミニッツメン編」を絵・脚本共にダーウィン・クックが、2代目シルクスペクターことローリーがチームに所属する直前くらいまでの青春時代を描く「シルク・スペクター編」をダーウィン・クックの共同脚本と共に脚本・絵をアマンダ・コナーが描く。

 

ブライアン・アザレロの1冊目が正直私には微妙でしたので、う~んやっぱりそもそも企画として無謀だよなこれ、という印象でしたが、2冊目のこれ、特にミニッツメン編がメチャメチャ面白い。シルクスペクター編はまた微妙でしたので☆4つとかにしてますけど、ミニッツメンのみなら☆5でもいいくらい凄い。

 

ウォッチメン本編の中では、設定上前の世代のヒーロー達も居たんだよという程度で断片的にその顛末とかが描かれる程度でしたが、そこを生かした上でダーウィン・クックらしい政治性やヒーロー要素、レトロチックな作風とベストマッチ!勿論、アラン・ムーアの作風とは違うんだけれど、そこはアメコミらしく別の作者が描いてた地続きの世界観はあるんだっていう前提で受け取るには全然これアリと思える作品になってました。

 

クライムヒーローとしてのシルエットのカッコよさとその矜持。さらに彼女が抱えていたその背景。そこに惹かれていく初代ナイトオウルの切なさ。時代や社会背景と、その変化。その辺りの描き方が抜群に素晴らしい。ミステリー要素もあって、グイグイと読ませるこの構成力。
確か作者のダーウィン・クックってもう亡くなられたんですよね。ニューフロンティアと共に題材の良さとかもあるのかもしれないけど、アートも凄く良いですし、邦訳されてない他の作品も読んでみたくなります。

 

でもってシルクスペクター編。
ミニッツメン編での初代サリーの方もそうですし、2代目のローリーもそうですが、シルクスペクターってどちらもあまり好きなキャラではなかった。でも、ちょっと嫌なキャラなんだけど、こういう人居るよねって思えるキャラ作りがとても上手い。

 

ウォッチメン本編にも関わってくる話ですが、シルクスペクター親子とコメディアンの関係性って、見てて(読んでて)あまり楽しいものではないんだけど、その複雑な心境こそがまさしく熱力学的奇跡であり、この世界の素晴らしさなわけで、そうなんだよこのわけのわからなさが現実であって、このろくでもない素晴らしき世界なんだって納得させられる部分でもあるんですよね。

 

キャラがカッコいいとかカッコ悪いとか、好きか嫌いかとかそういう事じゃない。そこには物語やテーマの深さや重さ、そう言う所に惹きつけられます。

 

本編も含めて、ローリーくらいの若い娘ならともかく初代の方のサリーの描き方って正直私は漫画で他に読んだ事無いかもしれない。

 

おじさんとかならまだあるんだけれど、なかなか漫画でおばちゃんって掘り下げられるケースは少ないですよね。女性向けの漫画だとまた違ったりするのかな?そこはわかりませんが。映画なんかだと普通におばさんがメインの話とかありますし、そういうのも何本も見てるので特に不思議に思った事はありませんが、こと漫画っていうと私の中では思いだせない。


好き嫌いで言えばサリーって好きではないのですが、そう言う所もちゃんと描いてあるのが作品としての素晴らしさでもあり魅力でもあったのかな、と改めて思ったりしました。

 

これは「ウォッチメンのサイドストーリー?アラン・ムーアじゃないのにそんな余計な物必要無くね?」という人にも、いやこれだけは面白いから読んで損は無いよ、と言える作品になってました。

 

ダーウィン・クック凄い!

 

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アイアンマン3:プレリュード

アイアンマン3:プレリュード (ShoPro Books)

MARVL'S IRON MAN 3 PRELUDE
著:クリストス・ゲージ、ウィル・コロナ・ピルグリムウォーレン・エリス(作) スティーブ・クルス、ラモン・ロザナス、アディ・グラノフ(画)
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2013年
収録:MARVEL'S IRON MAN 2 ADAPTATION #1-2(12)
  IRON MAN 3 PRELUDE #1-2(13)
 INVINCIBLE IRONMAN Vol.4 #1(05)
☆★

 

映画では描かれない真実を見よ!!

トニーの親友であり、米軍の空軍中佐でもあるウォーマシン(ローディ)。
彼は、なぜ『アベンジャーズ』の戦いに加わることができなかったのか?
その裏側には『アイアンマン3』へと繋がるもう一つの“戦争”が隠されていた!!

 

映画「アイアンマン3」に合わせて出たこちら。
プレリュードシリーズは映画の元になった古い作品とか入ってない場合だとまず読み返す事も無いので記事に合わせてこちらも書いておきます。映画から入ったアメコミ初心者向けなんですけど、そもそも日本のコミックと比べたら高いですしね、映画で盛り上がってその勢いで買っちゃう、みたいな流れで無いとやっぱりちょっとツライです。

 

アイアンマン2アダプテーション
映画「アイアンマン2」のコミカライズ版。
ものすご~くダイジェストなので、アイアンマン2ってこんな話だっけな、ぐらいのものです。アイアンマンとウォーマシンの活躍がメインなので、敵のアントン・ヴァンコとかジャスティン・ハマーの掘り下げとか一切無し。

 

■アイアンマン3:プレリュード
映画の序章というよりは、「アベンジャーズ」でウォーマシン/ローディが出て無かったけど何で?っていう疑問に対してのエクスキューズ。アベンジャーズでのNY決戦の時はローディはテンリングスを追って孤独な戦いをしてたんだよ、っていうお話です。


何とかとりあえずは一人で戦いを終えて、大問題がおきているらしいNYに駆けつけてみると、例の打ち上げシーンに遭遇ってとこだけは面白いです。

 

ああ、あとアイアンマン3に出てたウォーマシン(アイアンパトリオット)ってマーク2の改造じゃなくて、別個に作られたウォーマシン2.0だったんですね。あれずっとマーク2を改良し続けて使ってるものだと思ってました。そこを知れただけでも良かったかも。

ウォーマシンが主役なのでその点では珍しいかも。ウォーマシン好きなら。

 

■アイアンマン(2005)#1
こちらは原作の方で、「アイアンマン:エクストリミス」としてヴィレッジの方から単行本が出てる奴です。その1話目のみの収録。

アイアンマン:エクストリミス (MARVEL)

映画と同じくエクストリミス絡みの話で、アイアンマン3の原案になってるのと、そもそものMCU版アイアンマンのデザインのベースになってるのがここで描かれたアーマーのデザインが元になっているというので映画とは関連性の高い一冊。

 

キャップとソーはアルティメット版が映画デザインのベースになってましたが、アイアンマンはアルティメット版じゃなくてこれがベース。確か、所謂「スーパーヒーロー着地」もこれからだったっけかな?

 

目が光ってるのはアルティメット版の時点でもそうでしたけど、昔のくりぬきで普通に目玉が見える奴と違って、メカメカしいし、何より日本人的には宇宙刑事っぽくてそこがカッコいいんですよね。「アイアンマン2」で1度だけ使ってたレーザーブレードも必殺技っぽくてあれは絶対日本人好みですよね。赤のシャリバンと並んで立たせたくなります。

くりぬき目のデザインもレトロな感じであれはあれで表情が出せるし、味があって良いものですけれど。

 

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ザ・ピーナッツバター・ファルコン


シャイア・ラブーフ主演の全米ヒット作『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』予告編

原題:the Peanut Butter Falcon
監督:タイラー・ニルソン、マイケル・シュワルツ
アメリカ映画 2019年
☆☆☆☆★


<ストーリー>
老人の養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃から憧れていたプロレスラーの養成学校に入ることを夢見て、ある日施設を脱走する。同じく、しっかり者の兄を亡くし孤独な毎日を送っていた漁師・タイラーは、他人の獲物を盗んでいたのがバレて、ボートに乗って逃げ出す。ノースカロライナ州郊外を舞台に、偶然にも出会った二人の旅の辿り着く先は……? やがて、ザックを探してやってきた施設の看護師エレノアも加わって、知らない世界との新たな出会いに導かれ、彼らの旅は想像をもしていなかった冒険へと変化していく。

 

ようやく映画館も営業再開しました。リスクはあると思うし、自粛してしばらくはどうしても絶対にこれは見たいって作品以外は様子見ようかなとも思いましたが、それで映画館が潰れてしまってはどうしようもない。

 

私が普段から一番良く利用してるのは「フォーラム東根」なのですが(家から10分、会社から3分くらい)他に行く何軒かの近い映画館と比べても普段からお客さんの数は圧倒的に少ない感じですし、やっぱり今こそ好きな事にお金を落として経済を回さないと、という事で映画館に足を運びました。

 

前回観たのは4月頭の「人生をしまう時間」だったかな?ひと月半ぶりくらいです。まだ時間短縮でレイトショーの時間はやってないのが残念ですが、普段は一切使わない売店とかにもなるべくお金落として行こうかなと思います。

 

予告なんかを見てて、気にはなってたものの、絶対に見るとかではなかったこちらの作品。でも見て良かった!見逃さなくて良かった!ピーナッツ・バター・ファルコン最高!年間ベストに入りそうなくらいに素晴らしかった。そう、映画館はやっぱりこういう出会いが最高なのです。

 

映画館は1年に1~2本とかイベント的に映画を見る人と違って、映画館に行く事が普通に生活の一部になってるような映画ファンにとっては、やっぱり映画は映画館で見るもの。暗い中でスクリーンに映し出される世界と一人で向き合う。ここで描かれたものとお前はどう向き合うんだ?とスクリーンは問いかけてくる。そこで見たものと自問自答する。私にとってはそれが映画。まず相手が何を伝えたいのかよく見てよく聞く、そこから全ては始まるので、集中出来る環境で無いと、作品と真摯に向き合えない。

 

映画オタクのめんどくさい戯言ではありますが、映画館で見たものだけが本当はちゃんと「映画を見た」と言えるんだ、とかつい言いたくなってしまいます。いや、レンタルとかでも見てはいるんですけどね。なので「ゾンビ日本公開復元版」で初めてスクリーンで「ゾンビ」を見れたのはこの上ない喜びだったのです。やっと本当の意味で映画を見れた、的な。

 

前書きはこれくらいにして、「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」
ダウン症の子という時点で、正直に言えば私は苦手意識があります。こういう人達をバカにするような偏見を持ってる人を見ると、差別意識のある嫌な人だなと思います。でも、じゃあお前はどうなんだ?と問われると、「可愛そうな人達だな」みたいに思ったりして、結局はそれも偏見でしかないですし、どう接したらいいのかもわからない、そういう所から来る苦手意識です。

 

ダウン症に限らずですが、よく母がTVで障害者が映し出される度に、「こういう人達は別の特別な能力があって」みたいな事を昔からよく言うんですね。映画で言えば「レインマン」なんて作品もありましたし、もしかしたらそういう物の影響なのかなとも思うのですが、全員が全員そんな特別な能力を持ってるはずがないんですよね。

 

障害を持っていながら名を残すくらいの事をしたから、美談として受け取る側も印象に残りやすいのと、何かしら欠落したものがあるからこそ他の部分での努力を実らせた結果でしかないと思うんです。

 

以前、ミニコミ誌に山形ドキュメンタリー映画祭関連の記事を書くことになって、色々調べたり、アーカイブを観に行ったりした事があったのですが、タイトルは忘れましたが、そのアーカイブ作品の中に、障害者が心は奇麗だとか言うのは幻想なんだよ、的な作品がありました。障害者である本人が撮ったドキュメンタリーです。ああその通りだよな、と思いました。

 

世の中には良い人と悪い人が居ます。心が綺麗な人も居れば、邪悪な人も居ます。それは障害者であるか否かはまったく関係の無い話です。特別な能力があるか無いかは障害の有り無しとは全くの別問題。

 

何かしら障害があるから、他の人には無い別の能力を与えてあげよう、よりピュアな心を持たせよう、なんて神様のお恵みがあるような世界じゃないのです。現実の世の中はそんなシステムで作られいません。不条理だろうが何だろうが、ただそこに有るか無いか以上のものはない。

 

そんな不条理なこの世の中、世界に対して、じゃあ自分はどう向き合って生きていくか。ただそれ以上でも以下でもない。

 

ザ・ピーナッツバター・ファルコン」はそんなお話でした。親にも捨てられ、国も近くに専門の施設が無い為、老人介護施設に主人公のザックは閉じ込められています。でもそこはザックにとっては監獄でしかない。文字と通り、折をこじあけ、ザックは世界と裸一貫で向き合います。

 

そこで出会ったのがタイラー。運に見放され、不条理の中で何とか自分の力で生きていこうとする男。最初はザックに対しても、自分の力で生き抜けと相手にしないものの、無き兄が頭によぎったのか、やがては心を通わせていく。「友達は自分で選べる家族だ。」という言葉が胸に残る。

 

そう、世の中は不条理だらけだけど、自分の生き方は自分で決めるしかない、お前の価値を決めるのは世界じゃない、お前が世界の価値を決めるんだ!的な主張が、もう私の心に響いて泣けて泣けて仕方なかった。

 

人は誰だって色々抱えて生きている。それはもしかして自分が望んで抱えたものではないかもしれない。でもそれが何だ?他人にバカにされようが構うものか、お前の生き方は自分で決めろ!って言われてるようでね、物凄く響きました。

 

そしてそれを支え応援する、友達と言う名の家族。孤独な魂を抱える人達が出会って疑似家族になっていく。

 

「魔進戦隊キラメイジャー」が物凄く面白くて、毎週楽しみなのですが(残念ながらコロナで放送中断になってしまいましたが)「人が輝く時」っていうオープニングのナレーションから毎回私は泣きそうになるんですよね。みんな同じで無くていい、その人その人にそれぞれに輝く瞬間がある、そういうのを肯定している作品で、そこが現代的で凄く良い。何か「ピーナッツバターファルコン」もそれに通じるものがありました。

 

ええと、私はもう子供の頃にもう「普通」っていう価値観を捨てちゃった人です。普通なんてつまらない、普通じゃない方がずっと特別な価値がある、って割り切って生きてます(勿論それは「普通」になりたくてもなれなかったっていうコンプレックスがあった上でしたが)

 

でもやっぱり「普通」から外れる事が怖い人って世の中にいっぱい居ますよね?そういう人にこそこういう作品に触れてほしいなって思います。

 

最後のプロレスのシーンも凄く良かった。村プロレスみたいな感じで、観客なんて20人くらいしか居ない。引退したソルトウォーターを始め、もはや趣味でやってるだけの、世間から見たら落ちぶれた人達の集団。(おそらくは観客の多くもそっち側の人達なのでしょう)でも、楽しくやってるんだからそれでいいじゃん。

 

タナダユキの「タカダワタル的」だったっけかな?フォークシンガー高田渡ドキュメンタリー映画を昔観ました。50人くらいしか入らないライブハウスを拠点に活動してる人ですが、好きな音楽をやって、それで最低限食べていけるくらいで丁度良い。そんな生き方をしてる人でした。ミュージシャンだからと言って100万人に何かを届ける必要なんかない。身の丈にあった幸せがそこにあるのならそれ以上なんて望んで居ない。そういうのを思い出します。

 

ピーナッツバターファルコン、そしてそれを支えるタイラー。とても輝いていました。世間は彼らをあざ笑うかもしれない。でも世間が何だ、彼らの輝きは私の心にちゃんと響いた。そして何より、彼らの輝きは彼らの中にこそある。それで良い。

 

世の中の見方をちょっとだけ変えてくれる、そんな素晴らしい作品でした。

ピーナッツバターファルコン!ピーナッツバターファルコン!
心よりエールを送りたい。


ちなみにこの映画、もっと早く完成していたものの、トラブル連発お騒がせ俳優シャイア・ラブーフがまたも飲酒で問題をおこして公開が危ぶまれてしまったのだとか。リアルでダウン症であるザックが自分をスターにしてほしいという願いから始まったのがこの企画。そんな中での逮捕劇に「君はもう有名だけど、この映画がぼくのチャンスなんだ。それを台無しにした」とザックに活を入れられ、本気でアルコール依存から抜け出すセラピーに通い始め、映画の中の二人の関係のように、友達になれたのだとか。良いエピソードですよね。

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ハートキャッチプリキュア!ミュージカルショー ~うたって おどって みんなのハートをキャッチだよ!!~

歌手も登場!スペシャルライブ♪Ver.

ハートキャッチプリキュア! ミュージカルショー~うたって おどって みんなのハートをキャッチだよ!! [DVD]

2010年
☆☆☆

 

プリキュアシリーズ7作目「ハートキャッチプリキュア」着ぐるみミュージカルショー。

 

前回の「フレッシュ」の時にハトまでは見たっけかな?とか書きましたが全然見た事なかったぽい。完全に初見でした。2010年7月31日大阪・梅田芸術劇場の公演を収録。

 

パッケージのイラストとか、裏表紙の写真だとムーンライトが普通に居ますが、7月末くらいだと本編でムーンライトまだ復帰してない?エンディングの所以外は変身後の方の着ぐるみ出てきません。

 

ただお話上は普通にメインキャラクターとしてゆりさん出てるので、生身でデザトリアンとかスナッキーと戦ってます。本編中でもそんなシーンはありましたが、ゆりさんちょっと無茶しすぎです。

 

前回のフレの時は敵側はウエスター一人しか出てませんでしたが、今回はサソリーナ、クモジャキー、コブラージャのみならずダークプリキュアまで登場。

 

現代ではプリキュアが邪魔してきてこころの大樹を探せないのでプリキュアが居ない江戸時代にタイムスリップ。・・・ええ、突っ込んではいけません。

 

ハートキャッチではシリーズ中でも珍しく○○の園、○○の国みたいな妖精たちが住むパラレルワールド的なものがない。リアル志向なのでここではタイムマシンを使う!うん?TVシリーズではタイムマシンは出ません。深く考えてはいけない。

 

しかもハトはこれまた珍しく、過去の歴史上にもプリキュアが居たという「まどマギ」みたいな設定。映画に出てくるキュアアンジェとかがそれ。もしや江戸時代にもミュージカルオリジナルのプリキュアが居るのでは?と期待してしまいましたが、まあそんなのは居ない。

 

で、敵幹部と共にプリキュアも江戸時代に行くわけですが、そこで出会ったお姫様のCVが豊口めぐみ!そして浪人役が遊佐浩二!後のキュアビートとバッティさんだったりするのでそこは楽しめました。

 

フレと同じく「ボーカルアルバム1」の曲が使われてるので、そちらとセットで楽しめる感じです。

 

サンシャイン/ムーンライトの挿入歌シングルは発売前のようで、いつきとゆりさんはボーカルアルバムの方の曲。つぼえりはボーカルアルバムだとアレンジ版で収録でしたが、シングル曲の方です。ハートキャッチは珍しくキャラクター挿入歌シングルが2枚出てて、TV本編でも何度か使われてるので、「つ.ぼ.み~Future Flower~」と「スペシャルカラフル」は割とお馴染みの曲です。

 

コッペ様も出てきたり(人間体じゃないよ)、ダークプリキュアがカーテンコールには一人だけ参加しなかったりと、アニメの世界観をちゃんとリスペクトしてる感じです。・・・タイムマシン以外な!

 

とゆーかハッピーエンドっぽく終わってるけど、つぼみたち江戸時代のままで終わって無い?こころの大樹の力で戻れそうな気はしますが。

 

劇中で流れる曲は残念ながらフルサイズじゃないですが、最後は工藤真由と池田彩でちゃんとフルサイズの「トゥモローソング」と「ハートキャッチパラダイス」を歌って踊ってくれるのでそこはとても良かったです。

 

さて次はハト映画。なんだけど、映画はダークプリキュア出ないのでせっかくなのでこっちで少し個人的な所を語っておきます。

 

私がプリキュアに興味持ったのって、たまたまTVつけて目に入ったのムーンライトVSダークプリキュア戦を見たから。単純に何これ凄くカッコいい!と衝撃を受けて、その後から毎回では無いにせよ飛び飛びでTV放送を見る感じになりました。
プリキュア面白いじゃん!とか思って、じゃあ次のシリーズも見てみようと「スイート」を見始めたものの、序盤の単調な展開と(後から見直すと序盤は序盤で面白いんですけどね)、まあ震災もあってプリキュアどころではなくなって離脱。
じゃあ次こそ!の「スマイル」からプリオタへ道を踏み外して今はずっとどっぷり、という感じです。

 

なのでムーンライトとダークプリキュアは割と思い入れがあるキャラ。単純にカッコいいな、もあったのですが、最初に疑問に思ったのがダークプリキュアっていわゆるゴス系のデザインですよね。

 

見始めた当時はそんなにゴスそのものも詳しくなくて、所謂、甘ロリ白ロリみたいな「若おかみは小学生」のピンフリさんとかのロリータファッションの中の黒バージョン程度の物と、「サンドマン」のデスとか「ドラゴンタトゥーの女」のリスベットみたいなアメリカのスクールカーストにも通じるような本家のゴスとの違いもよくわかってませんでした。

 

どちらにせよ、ちょっと訳ありな感じのもう少し大人が好むものってイメージがあったので、小さい子が見てるプリキュアでゴスってどんな受け入れ方をされてるもんなの?小さい子がダークプリキュアでゴスの洗礼を受けて、自分もって目覚めちゃったりするものなのか?とか色々と興味が湧いてきました。これを子供達はどういう感じで見ているんだろうと。

 

後にプリキュアに詳しくなってくると、敵側は商品展開に絡まないのでそんなにデザインに制約があるわけじゃない、というのが答えの一つであるのと同時に、私が疑問に思った「小さい子が初めて受け取る文化(アニメ)」である事に十分に自覚を持って作品を作っている事と、作り手側はそこに物凄く気を使っている事を知る事が出来ました(作中で汚い言葉は使わないとかね)。

 

当たり前の事なのかもしれませんが、何故こうなってるんだろう?みたいな事に対して、プリキュアはちゃんと作り手が答えを持ってるんですよね。単純に作品が面白かったっていう部分もありますけど、個人的にプリキュアにどんどんハマっていったのは、そういう仕組みみたいなものが凄く面白いと感じたからっていう部分もとても大きいです。

 

順番にやってる映画の記事にかこつけて、周辺の事まで含めて語ってるのはそういう部分です。

え?プリキュアってこんなに考えてあるんだ、こんなに凄いんだ!みたいな所が少しでも伝わってくれてれば嬉しい。

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アイアンマン3(MCUその7)

アイアンマン3 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

原題:IRON MAN 3
監督:シェーン・ブラック
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2013年
☆☆☆

 

MCUフェイズ2の1作目にしてアイアンマン単独タイトルの最終作。MCUではアイアンマンが看板背負ってるって印象も強いので、フェイズ2の1本目でもう最後って、今だとあれそうだったっけ?みたいな感じもしますね。

 

アベンジャーズ」タイトルとシビルウォースパイダーマンとその後も出るので特にこれが最後って言う感覚は薄いものの、作品としては一応アイアンマン3部作の締め、という感じには作ってある。

 

公開時の印象としては、アイアンマンの代表的なアークヴィランであるマンダリンが遂に登場!だったのですけど、実はニセモノでしたっていうオチと、じゃあ本当の敵として出てきたアルドリッチ・キリアンが変な溶岩人間みたいなものだったので、正直な所、う~ん物足りないなぁという印象でした。

 

でも、今見直すと思ったよりは面白かった。「アイアムアイアンマン!」で終わった1作目に対して、3作目の最後は「アイアムトニー・スターク」で脚本上は終わる予定だったけど、結局は1作目と同じになってます。勿論、これがエンドゲームにまで響いてくるので、結果悪くは無かったとは思いますが、ストーリー上はやっぱりアイアンマンを捨ててトニー・スタークに戻る、という作りになっている。

 

1作目2作目のジョン・ファブロー監督が方向性の違いから監督を降りてしまい(だた、ハッピー・ホーガン役としてはちゃんと続投)本来なら原作の有名エピソード(ただし日本語版は無し)の「デーモンインアボトル」をベースにアルコールに溺れるトニーを描きたかったものの、ヒーローがアルコール中毒になるのはイメージ的にちょっと、とストップがかかってしまい、「アベンジャーズ」での戦いでPTSDにかかってしまったと変更。悪の黒幕も本来なら、マヤ・ハンセンの予定が、女性の悪役はおもちゃが売れないと出番や役割が変更。

 

公開時はそういった背景は知りえませんでしたが、後にその辺りの事が明かされます。今でこそMCUは才能重視で、有名フランチャイズ作品でありながら、その監督の作家性も十分に生かされる、稀有で尚且つ攻めた作りという印象ですが、この作品の時期は色々と問題が出始めてきた時期でした。エドガー・ライトアントマンから降りちゃったり、ソー2もパティ・ジェンキンスで準備してたものが結果降りてしまったりと色々ありますね。

 

複数の作品が一つに収束するという目標を掲げ、「アベンジャーズ」で遂にその夢のプロジェクトが結実。じゃあ次は何をするのか?というのがちょっと曖昧になったのがフェーズ2。という感じでしょうか。


アイアンマンはここで引退。アイアンマンからトニー・スタークに戻りましたよ、っていう話ですが、いやいやまだまだMCUは続けるんだし引退とかさせないから!というスタジオ側の意向とのせめぎ合いが見てとれる。

 

どうしてもそういうネガティブな要素が頭を過りますが、今回見直して、最初に見た時は全然わからず、今だからこそ面白いなって部分が一つありました。実はそれはペッパー・ポッツ。

 

キリアンがペッパーにすり寄ろうとするも、そんな簡単になびいたりはしないペッパーはついに拉致されてしまう。で、そこで言うのは「私はトロフィー?」。これって俗に言う「トロフィーワイフ」って奴の事を言ってるんですよね。

 

「パラサイト」でも描いてましたけど、トロフィーワイフっていうのは年収や地位の高い男性が、自分はこんなに凄い女を嫁にしたんだぜっていう自己顕示欲を示す形の事です。ようはトロフィーと同じく飾っておいて自分の地位や名誉を誇る為だけの結婚。よく大金持ちの資産家が芸能人とかと結婚したりするやつですよね。

 

で、ペッパーはそれを拒否して結局エクストリミス改造されてしまうわけですが、ラストバトルでトニーがペッパーを救えずに死なせてしまった!・・・かと思いきや、改造されていたペッパーが逆にトニーを救う形になる。

 

序盤、トニーの家が襲撃された時も、ペッパーはただ守られる存在でした。物語の構造上はトニーがヒーローで、ペッパーが所謂お姫様ポジション。ただヒーローのピンチを呼び込んでしまい助けられる為だけに存在するヒロイン。トニーとペッパーの関係はトロフィーワイフという感じでは無いにせよ、主役が最後に獲得する景品=トロフィーみたいな存在だとも言えるわけです。

 

で、それを見事にクライマックスでブチ壊してくれます。ペッパーはエクストリミスに耐えられる力がたまたまあって~だとか、その後は上手くトニーが治療してあげて元に戻りました、だとかそういうとこはご都合主義というか、ただ単に思いっきり雑に見えてしまうのは難点かとは思いますが、女性=ヒロインをただ救いを待って守られる為だけの存在にせず、男性=ヒーローが唖然とするくらいに自立した存在である事をクライマックスに入れてあるって、ちょっと凄いと思いません?

 

まるでこの後のMCUにおける女性ヒーローの台頭を示唆してるみたいに感じました。MCUは今後より「多様性」を重視した作風になっていきますし、その描き方も単純に「女だって男に負けない力を持っている」みたいな感じでは無くて、男女とかの性差でも人種の差でもなくて、それぞれの「個」が個であって良い、みたいな描き方じゃないですか。後に「キャプテンマーベル」で結実する、そういう女性の個としての在り方みたいなものの、原点のように感じました。なんかそれだけでも見返した価値は十分にあったかなと。

 

エンドゲームを見た後だと、ハーレイ君どんなだったっけ?と思ったら、可愛そうな子ではあるけど、結構うざいガキだったり(でも最後は良かったよ)

 

アイアンマンスーツがないなら自作すればいいじゃない、とばかりにホームセンターでスーツ未満のビックリドッキリメカを自作するトニーのDIY感覚が、やっぱトニーの魅力ってこうだよなと思わせてくれたり

 

アイアンマンの仮面が無くても、ダウニーjrの俳優としての力や存在感が大きくなっちゃったから、あまりスーツ着ないで生身で戦うのかな?ちょっと残念・・・と思ってた所で最終決戦で大量のアーマー投入とか

 

飛行機から投げ出された人達を間一髪で救うシーンとか、ちゃんとヒーローらしいと感じる部分を入れてあるとか

 

私の中で「3」って大体こんなもんだったよなぁと、ややネガティブな印象を見事にすっとばしてくれるくらいには面白く見れました。

 

やっぱり敵が微妙なのと、マンダリンをこういう役にしちゃってるのは残念なのは以前の印象とは残念ながら変わりませんでしたけれども。(シャンチーで本物のマンダリン出るのかなぁ?)

 

「ソー」の1作目を再観した時と似てるかな?そんなに面白くなかったはずと思ってたけど、意外と面白いじゃねーか、みたいな感じでした。

うーん、MCUはどの作品も味があってやはり面白いです。


映画『アイアンマン3』予告編映像

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