僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

ジェシカ・ジョーンズ シーズン1

マーベル/ジェシカ・ジョーンズ シーズン1 Part1 [DVD]

原題:Marvel's Jessica Jones
原作:MARVEL COMICS
アメリカ制作 配信ドラマ 2015年 全13話
☆☆☆

 

ディズニープラス・・・ではなく、ネットフリックスで配信されたMCU基準のドラマシリーズ。「デアデビル」に続いて次にスタートしたのがこちらの「ジェシカ・ジョーンズ」です。

 

ネトフリドラマは「デアデビル」のシーズン1と2は見ました。ブログに書いてないのでその前の一昨年になるのかな?そっちは凄く面白かった。
ついでに言うと評判の悪かった映画デアデビルも私は大絶賛な人です。そこはいずれ見返した時にでも書きます。

 

ネトフリドラマは今だと扱いが微妙になってますよね。最初はMCUと世界を共有するという形で作られてましたが、マーベルスタジオ制作ではないので、「ワンダビジョン」以降次々に配信予定のドラマシリーズと違って、MCU作品としてはあまり取り上げられる事が無いと。制作スタジオの違いやメディアの違いもあり、正直連携はあまり上手くとられていなかった。「デアデビル」も「ジェスカ・ジョーンズ」も「アベンジャーズ」後のNYが舞台になっているものの、基本的にはセリフの一言二言程度で語られる程度で、クロスオーバー要素はほぼ皆無でした。

 

これもMCU作品としてカウントするのであれば、初の女性主人公作品という事になるんですけどね。本国ではシーズン3までで終了。他のドラマも全て2019年に打ち切りになって、2年間はネトフリ以外のドラマには出せないという契約になっているようで、その期間が終わる今年の2021年からマーベルスタジオもネトフリドラマのキャラクターを使えるようになる。キャストはそのままで映画なりドラマなりに登場してくるのか?というのが今後の注目ポイントです。

 

デアデビル」のマット・マードックは弁護士。「ジェシカ・ジョーンズ」は私立探偵と他の作品のチョイ役で出すのには凄く使いやすいキャラですし(原作でも話のメインではなくちょこっとだけ出るケースは多い。ついでに「ルーク・ケイジ」も「アイアンフィスト」もアベンジャーズでは割と重要メンバー。MCUでも使いたいキャラのはず。どうなるのか見守るしかありません。

 

原作ついでに言えば、ジェシカはスパイダーマン/ピーター・パーカーと同級生。流石にその設定は映画では使えないわな。勿論、スパイダーマンに昔から居る古参キャラとかではなく、ただの後付けですし、原作だと比較的新し目のキャラです。

 

「かつてスーパーヒーローのジュエルとしてアベンジャーズに参加していた時期もあったが、複雑な事情があって今は引退して力を隠して探偵事務所を開いた」という設定で2001年に作られたキャラクター。wikiなんかを見るとドラマの項目でもこの辺が書いてあるのですが、ドラマを見た限り(少なくともシーズン1の段階では)ジュエル時代はこのドラマの世界観では無いはず。だから序盤でトリシュに「ヒーロー衣装を作ってみたの」って言われて、「そんな恥ずかしいの着ねーよ」になってるんじゃないかと思います。wikiを安易に信じちゃダメですね。もしかしたら以降のシーズンで明確にそこに触れてるのかもしれませんので、信じるかどうかは自己責任で。

 

その辺りの初登場エピソード単体と、その後にルーク・ケイジと恋仲になってやがては結婚、子供を生むにまで至ると言う流れは邦訳版のある「ニューアベンジャーズ」で語られてるので、邦訳読みには馴染みのあるキャラクター。

 

ドラマとしてはアクション要素は忘れたころにたまに派手な画面もやっておこう、みたいにたまに入る程度で、基本的にはサスペンスドラマ。探偵として色々な事件を解決していくオムニバスでもなく、言葉で相手をマインドコントロールしてしまうヴィラン、キルグレイブとの戦いを軸に描いてある。

 

ドラマなので、最初に多数のキャラクターを出しておいて、話が進む中で色々なキャラクターの背景が明らかになって行き、肉付けされて行くという構成なので、序盤が結構キツイ。前半でキルグレイブの所に乗り込んで行くとこまでは我慢が必要かも。

 

面白いかどうかは別としてもドラマとしての作りは非常に上手くて、脇役のどうでもいいキャラの話が随所に入ってきたりして、序盤はこれいるかな?メインの話をもっと進めてよ、と思っちゃうんだけど、見事なくらいに全員が終盤はメインの事件に関わってくる。ああ別に脇の話をやみくもにやってたわけじゃなかったのね、と思い知らされます。

 

勿論、ジェシカの能力の出自とかシーズン2に引っ張る要素もあるんだけど、協力者になる市警のウィル以外はほぼ収束してくれる。で、そのウィル・シンプソンは名前は違うんだけど、原作で言う所のニュークだった様子。ああ、だからドーピングで能力持ちみたいになってたのね。ニュークはキャプテン・アメリカとかにも関わってくるウェポンプラス計画の超人兵士。この時点ではコスチュームとかは着ないけど、ゆくゆくはヴィランとしてこの世界で使えるキャラに育てようとしてたのか。

 

で、シーズン1としてのヴィランはキルグレイブ。原作のコードネームのパープルマンの名前こそ出ないけど、紫のジャケットでその辺りは上手く処理してます。言葉で人をコントロールしてしまう上に、とにかく見ていて嫌悪感をこれでもかと抱かせてくれる、ドラマとしては物凄く良いキャラ。本当に憎たらしくてとことん嫌な奴なのが凄く良い。

 

ジェシカのスーパーパワーは基本的にパワー系なので、そこで逆にヴィランがマインド系の敵っていうのが凄く面白い。パワー比べなんていずれインフレするだけだし正直つまんないしね。キルグレイブあってこそのこのドラマが成立したし、独特の面白さが出てる要因にもなってたんじゃないかと。

 

マーベル映画は悪役のキャラが立ってないのが多いと言われがちですが、キルグレイブは良いヴィランだと思います。ジェシカとヒーロー家業を一緒にやってみたりとか、実は親がどうのとか、ツイストを入れつつ、監禁状態から抜け出す一連のシーンはこのドラマで一番面白い部分でした。おいおい、これ、吉良良影じゃん!って感じでゾクゾクしました。

 

ルーク・ケイジは序盤から出てくるんですけど、どうせ次のドラマやる為だけの布石でしょ?感が強くて、案の定途中は全く絡まず、チームアップしてキルグレイブを一緒に倒すという感じでも無いものの、他人を受け入れないジェシカの変化という面では終盤ではそれなりに意味があったように思うし、まあ原作でも特別な関係になるわけですし、こういうのも必要ではあったかな?という気はしたかも。

 

最後に出てくるデアデビルにも出てた看護師(声が本田貴子)も嬉しかったし、そこはルークも含め、「ディフェンダーズ」への仕込みかなとも思いますし、そっちはそっちで楽しみ。ただ、ルーク・ケイジとアイアンフィストまではあってもディフェンダーズは私の行くとこのレンタル店には置いてない。いずれ見たい作品ではあるのだけれど。

 

と言う事で「ジェシカ・ジョーンズ」シーズン1、大分クセの強い作品ですし、安易にオススメ出来る作品では無いんだけど、それなりには楽しめました。


Marvel ジェシカ・ジョーンズ予告編 - Only on Netflix [HD]

インモータルズ -神々の戦い-

インモータルズ -神々の戦い- [DVD]

原題:IMMORTALS
監督:ターセム・シン
アメリカ映画 2011年
☆☆

 

<ストーリー>
世界支配を企むハイペリオンに対し、主神ゼウスにより鍛えられた勇者テセウスが立ち上がる。ポセイドン、アテナらオリンポスの神々の力を借り戦うテセウスだったが、ハイペリオンはオリンポスの神々によりかつて地底に封印されたタイタン族を復活させてしまう。


先日見ていたマクガイヤーチャンネルで石岡瑛子展の事を話してました。ターセム×石岡瑛子と言えば私は「ザ・フォール/落下の王国」がマイフェバリット映画の一つに入るくらいとても好きな作品です。


映画「落下の王国」予告

知らなかったけど「落下の王国」って今は結構なプレミアついてるのか。レンタル落ちDVDにまでプレミアついてる。私が持ってるのはセル版の特典なしだったっけかな?まあ映画は廉価版とか出ると価値も下がるし、普通にレンタルはまだ置いてある所も多いので、興味ある人は是非レンタルで。

 

で、その流れでインモータルズの話もしてて、見て無かったので今回はじゃあ見ておこうかと。白雪姫の奴もまだ見て無いのでいずれ。「落下の王国」は年間100本くらい劇場鑑賞してた時期に出会った作品で、その少し後くらいからは仕事が忙しくなってしばらく映画から離れてた時期で、丁度この辺は見て無かった。

 

監督のターセム、世間的にビジュアル志向の人でストーリーは二の次、みたいに評価される事も多いですが、この作品もまさにそんな感じ。

 

ゼウス、アテナ、アレス、ポセイドンとかギリシャ神話ベースの話で、神と人間の信仰みたいな所がテーマ。主人公のテセウスが人間側として話が進むのですが、ここと神様の話の乖離が凄く見ていて入りにくい。調べるとテセウスギリシャ神話だし、ラストで神の側に行くみたいな展開になってますけど、なんか全体通してこれ話としては何やりたかったの?感が強い。

 

ミッキ・ローク演じるハイペリオンと後のスーパーマンヘンリー・カヴィル演じるテセウスの人間同士の戦い。ゼウスらとタイタン族の戦い。これどっちがメインなの?一応物語としてはテセウスが主人公なのに、アクションシーンは神々の方が派手で見せ場としてはそっち。物語のカギを握ると思われたエピロスの弓も見た目はともかく、話としてはそんなに意味無くない?色々とどっちつかずです。

 

じゃあそのアクションは面白いのかと言えば、これ、思いっきり「300」のフォロワー的ビジュアルでしかない。あれ?「落下の王国」ってCGを使わずに凄い映像を見せるっていうコンセプトが凄かったのに、普通にCGでやってしかも見せ方が他の作品の延長戦上?と、正直ガッカリしてしまった。

 

ギリシャ神話と言えば私は「聖闘士星矢」のイメージですので、そういうのと同じようなノリとして見る分には楽しいっちゃ楽しいのですが、ここでもやっぱりリアルっぽい方に振るのか、それともリアリティでなく絵的な派手さを追求するのかどっちつかず。

 

石岡瑛子のデザインはね、面白いんですよ。でも映画としてはそこしか見所が無い作品になっちゃってました。そこを見るだけでも十分な価値はあるという反面、映画としてはちょっと・・・という残念な印象でした。

 

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結局、この斬新なデザイン一つを映画が越えるには至らず、という変な映画。

 


映画『インモータルズ -神々の戦い-』予告編

 

 

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マーベル ロケットとグルート

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(画像はディズニープラスから引用)

原題:Marvel's Rocket & Groot
監督:アルノー・ドロール
アメリカ 配信アニメ 2017年 全12話
☆☆☆☆

 

「ワンダビジョン」の為にディズニープラスに加入。色々と見たいものがありすぎてキリ無い感じですが、見応えありすぎて何かサクッと見れる物無いかな~と思ったらこちらのCGアニメ作品がありました。

 

なんと1話につき1分半くらい。プレビュー的なものでなく、全話です。日本だと「てーきゅう」辺りを始めとして、5分未満くらいの作品もここ数年で増えたなって印象ですが、それってアニメの本数が多すぎる日本ならではの文化なのかなと思ってましたが、別にそんな事は無かったっぽいですね。

 

1話で新しい宇宙船を買う目的が提示されて、毎回ラストにいくら稼いだかみたいなのが表示されて(大概は稼げず終わるけど)全話通してのストーリーみたいなのも一応あって非常に面白い作り。

 

日常生活でね、1分半で何が出来るかつったら何も出来ないですよ。でもその尺で起伏があって見応えもある話を作れるって何気に凄い。

 

このブログもそうなんですけど、私は長々と話する方が好きなタイプ。ツイッターとかだと例え短く纏めたとしてもその背景にある気持ちとか説明しきれないから意図が伝わらないでしょ?とか思っちゃう方なのですが、昔、一時期絵本とかにちょっとハマってた時期がありました。

 

少ない文字数や絵で何を伝えられるのか?っていうのが凄く気になって、そのロジックを知りたくなったんですよね。その正体やテクニックを突き止めるまでには至りませんでしたが(誰かわかりやすく教えてくれません?)そんな経緯があるので、ここまで短い尺で「面白さ」を存分に出しているこういう作品を見ると、心底感動してしまいます。

 

プリキュアにハマっていく中で、メインターゲットの未就学児はきちんとストーリーまでは理解できないので、画面の動きで飽きさせない工夫をしていて、それは分単位でちゃんと管理してるんだよっていうのを知って、なるほどこれは面白いテクニックだなって感心する事しきりでした。

 

多分、この作品、普通のCGアニメと同じくモデリングを作って動かしてるタイプの作品ですよね?でも昔のカートゥーン風に表情がコロコロ変わったりディフォルメの効いた大袈裟な動きとかも存分に使われてて、何これ凄い。

そして何よりロケットとグルートが生き生きしていてとても可愛い。


時系列的にはガーディアンズ加入前の二人で賞金稼ぎをしていた時代のようです。1話のみですがライバルキャラのブラックジャック・オヘアもちょろっと登場。

 

おお~!ディズニープラス入って良かったよ・・・と、思いきや、youtubeでも普通に全話公開されてたっぽいです。まあいいや。面白いので是非見て下さい。オススメ。

 

あ、声は映画の加藤浩次じゃないです。マーベルだとデッドプールで相棒のヴィーゼルやってた佐藤せつじさん。外画メインでアニメだとあまり見かけませんが「∀ガンダム」のジョゼフ・ヨットなんかもやってました。やっぱり俳優より本業の声優さんの声の方が安心しますね。

 


マーベル ロケットとグルート/第1話|ディズニープラス

 

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戦争は女の顔をしていない 1

戦争は女の顔をしていない 1 (単行本コミックス)

著:小梅けいと
原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
監修:速水螺旋人
刊:KADOKAWA
2020年(連載2019-) 既刊2巻(続刊)
☆☆☆☆

 

ここ最近2巻も出てましたが、とりあえず1巻目から。
「この原作をマンガ化しようと考えた作家がいるとは想像しなかった。瞠目する。原作者の慧眼をもって、酷寒のロシア戦線での女性の洗濯兵と狙撃兵の異形をあぶり出した辣腕には敬意を表したい。それをマンガ化した作者の蛮勇にも脱帽する。男性の政治家と経済人たちの必読の書である。女たちは美しくも切なく強靭であったのは事実なのだ。」と、単行本の帯に富野由悠季がコメントを寄せていたので気にはなってましたし、いつも見てるマクガイヤーチャンネルの方でも1巻が出た時に取り上げてましたので、これは読んでおくべきものだろうと。

 

原作はノーベル文学賞も受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著の第二次大戦時の独ソ戦に参加した女性達のインタビュー集。いわゆるオーラル・ヒストリーというもののようで、その特徴なんかもマクガイヤーゼミでやってたので参照のほどを。


【戦争は女の顔をしていない】オーラル・ヒストリーの編纂による文学性と魅力

 

なるほど、口伝は口伝で体験した人の、より現実的な実際にあった話をそこから読みとるというだけでなく、当人はこう感じた、であるとか、過去を振り返った時に今はこう思う、みたいな所もまた重要なのか。

 

日本だとあまりメジャーな存在ではないですが、世界的に見ると、ルポルタージュコミックというのはジャーナリズムの一つとして定着しているジャンルです。海外コミックの邦訳版って、今は刊行点数が増えたのでもうスーパーヒーロー物しか買って無いですが、一昔前の刊行点数が少なかった時はジャンルとかに関わらず何でも買ってました。その時にジョー・サッコの「パレスチナ」とかにも当たって、こういうジャンルもあるんだなというのをその時に知りました。

 

今回の本もそれに近い印象を受けました。あくまで原書があって、それのコミカライズ版という形ですけどね。

 

戦場での衛生兵や洗濯係とかに狩りだされた女性達も居たものの、普通に狙撃手をやってる人の話もあって、ロシアは男女平等という一応の御題目と、共産国家で祖国の為に命をかけるという文脈があるので、女性も自ら戦争参加に志願した人も多かったと。

 

割と意外だったのは、戦う時になったらメンタルとしては戦場では男も女もそんなに差は無いのかな?と思ってたら、意外と女の子女の子してたのが今までに読んだ事が無い印象を受けました。漫画として売る為に萌え要素を入れてるのかな?とも思ったのですが、学術書みたいな原作もあるわけですよね?基本的には元のインタビューを生かしてるのかなと思いますし、今の世の中のジェンダーロールともまたちょっと違って、女の子は女の子らしくっていう文化や風潮もまだある時代だったのかなとその辺りはとても面白く読めました。

 

ちゃんとタイトルが生きてると言うか、もっと単純に戦争はこんなに悲惨だったんだぞ!的な話なのかと思ってましたけど、女の視点から見た戦争というこの作品なりの独特の物があって非常に興味深い。

 

「女の子」と「女の人」の使い分けがよくわかんないのと、絵柄が萌え要素がまだ残ってる感じなので、ちょっと独特な感じ。作風もあってか、絵がどことなく「ストライクウィチーズ」っぽい感じもありつつ、「ガルパン」とかをリアル方向に振って、本当の戦争だったらこんなに悲惨に人間が死んで行くんだぞ、的な感じにも思えて、他に似たものが無い独自性はとても強くて面白かった。

 

そのうち2巻も読んでみようかと思います。

 

こちらが原作

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

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ワンダビジョン シーズン1 第1~2話

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原題:Wandavision
監督:マット・シャックマン
原作:MARVEL COMICS
配信ドラマ アメリカ 2021年 全9話
☆★

 

待ちに待ったMCUフェイズ4遂に開幕!
本来の予定なら既に「ブラックウィドウ」「エターナルズ」が昨年公開済み、ドラマの方も確か「ファルコン&ウィンターソルジャー」が最初の予定だったんじゃなかったっけかな?こちらの「ワンダビジョン」は何作目かで、ワンダがその後に「ドクタースレンジ2」の方にも出演とかいう流れだった気がします。

 

それがコロナの影響で結果的に先陣を切る事になりました。ディズニープラスでの配信という事で、1週間前くらいに私も登録。MCU作品だけでなく、マーベルアニメやドラマ、ドキュメンタリーなんかもあってこりゃ凄いじゃん!マーベル関連だけでも見るものが山ほどあると配信サービス初体験の私は胸を躍らせていたのでした(時間が無くてまだ「マーベル616」を何本か見ただけですが)

 

そして遂に昨日から待望のワンダビジョン配信開始!
あれ?何かいつもより読み込み重い?これはMCU人気あってこそかな?アクセス集中しすぎて重くなってるんだろうと。もはやエンタメ業界の王座の位置にまで登り詰めたマーベルスタジオですから、古参のアメコミファンとしてはちょっと誇らしくもある。

 

・・・等と最初は思っていた時期が私にもありました。1話目。2度くらいエラーが出て止まりましたが、まあなんとか見れました。続く2話目。んんん~1~2分くらいでエラー。何度も何度も入り直して頑張って見ようと試みましたが・・・なんかもうイライラしすぎて全く話に集中出来ず。


あっ!これダメな奴だ。頑張って1~2分づつ最後まで見た所で心から楽しめないや、と思って諦めました。で、翌日(本日)たまたま朝早く起きて時間があったので2話目をようやく見る。朝でアクセス少ないからか、本日は普通に見れました。

 

いやそれでももうダメね。止まらないかどうかを心配しながらで、しかも寝起きですぐ見た所でなかなか楽しむ所にまでは至らず、という感じでした。

 

そういった背景も含めての超低評価です。最後まで見ればきっと面白いに決まってますが、まずは記録としてそんな感じだったと残しておきたくてこれ書いてます。だから深い考察とか、深い感想とか今回はさっぱり出ませんのでご容赦のほどを。

 

マスコミ向けの先行試写だと3話目までの公開だったようですので、多分そこで何かしらの引きというか、仕掛けみたいなのがあるのかなと思います。要は「まどマギ」のマミさん方式なのでしょう。

 

というか初回は一気に2話配信で、あとは1週間ごとに1話つづ公開になるっぽい?最終話が3月というアナウンスがあったそうです。こういう配信ドラマって一気に全話ポンっと配信されるわけじゃないのか?

 

配信サービス自体、私は初体験ですし、そもそもドラマは普段あまり見ないのでよく知らなかったんですけど、昔はよく○○が何日に配信開始されるから、その日は有給とって一気に見るぞ!みたいな感じでよく言われてませんでしたっけ?一昔前の「24」とかああいう時代ともまた変わったのかな?


よくよく考えれば、一気に全話配信しちゃうと、お試し無料期間とか1カ月料金とかで全部見て退会ってなっちゃうから、小出しで何カ月かかけるの当たり前か。

 

あと、こういうのって大体1話45分程度なのかと思ってましたが(TVじゃないので時間は厳密には決まっておらず話数によって時間は多少違うってのは知ってましたが)今回のワンダビジョン、30分前後と凄く短い。

 

状況的に何がどうなってるのかとかもわからないので、え?これで終わり?感は否めませんでした。海外ドラマの代名詞的な作り方でもある、次への気になる引きをこれでもかとやってくる、という感じでも無かったですし、これよっぽどのファンでも無い限り、1話切りとかされんじゃね?と思ったくらいでした。

 

要所要所で気になる部分は出てくるし、不穏な空気が流れてる感じは勿論面白いのですが、基本私は漫画でもアニメでも、完結してから一気に見たいタイプの人です。(だから基本1話完結で毎回楽しく見れるプリキュアや戦隊が好きって言うのもある)今回はMCU延期続きで、早く新作が見たいっていう一心で飛びついちゃいましたが、1話づつ感想とか書いたりはしないと思います。

 

そもそもね、「今回はシットコム形式で~」って散々言われてるけど、そのシットコムって何よ?私はそのシットコムをよく知りません。調べたらシチュエーションコメディーを略してシットコムって言うのね。観客の笑い声が入ってうんぬん、みたいなのはまあ確かに見た事はあるわな。


私が子供の頃は「アーノルド坊やは人気者」とかやってたし、ああいうのを言うのか。2話目でパロディーとしてやってる「奥さまは魔女」とかもきちんとは見た事無いけどニコール・キッドマンがやってた映画は見たな。

 

うん、でもまあなるほど、ワンダも確かに奥さまは魔女だな確かに。そういう意味じゃ面白いです。

 

そもそも、ワンダ・マキシモフって、原作ではスカーレットウィッチがヒーロー名がMCUでもそうなってるけど、映画のみだと魔術師系では無いですよね。ミュータント設定も映画だと無いので、インフィニティストーンの実験で作られた超能力者みたいなもん。原作では現実改変能力で、アベンジャーズ壊滅やら、ミュータント撲滅とかワンダが原因で散々な事をやらかしてるので、マーベルユニバースにおいてはかなりの特殊な位置にいるキャラですが、はたしてMCUでそれがどこまで生きてくるのかっていう話。

 

今回はスカーレットウィッチと彼女が呼ばれる由来が語られるという事らしいので、今後はその辺りに期待という感じでしょうか。アグネスって名前のおばさんが出てきてましたが、おそらくは彼女が原作における魔術の師匠的な存在のアガサ・ハークネスっぽい感じはしました。

 

一応、今回の話の原作的な位置付けとしてトム・キングの「ヴィジョン」があるわけですが、2話目までの時点で、その要素はあちこちで見受けられるものの、その原作のシチュエーションを使いつつ、物語としてはヴィジョンではなくワンダの方を軸にして
描く、という感じかな。

 

多分、今回のドラマにおけるヴィジョンはワンダの作りだした幻影。そして、その現実改変の精神世界?を監視する側が居て(ソード?AIM?ヒドラ残党?)そのワンダを利用しようとする悪魔的なヴィランメフィストとかか?)が居つつ、また別の勢力としてアガサ・ハークネスが魔術師側から密かにワンダを監視&保護している、というような感じに思えました。4つどもえの戦い、みたいな?ここまで複雑だと、確かに映画じゃなくドラマ向きなのかも、という気がしないでも無いです。

 

ええと、MCUの新しさ、斬新さって、要は長年やってきたコミックの文法を映画に落とし込んでみよう。コミックを読む面白さを映画で再現してみよう、っていう所に新しさがあったんじゃないかと。そういう視点だと、これまでのMCU映画23作品が、コミックで言う所の各ヒーローの個人誌や、大型クロスオーバーイベントのオンゴーイングの面白さを映画に落とし込んできたと私は思ってます。

 

で、そのMCUが今度はドラマをやる事になった。まあこれまでも「エージェントオブシールド」とかネットフリックスのディフェンダーズへ至る一連のドラマも一応はMCUの世界としてやってきてるものはありましたが、映画がドラマに影響を与える事はあっても、その逆はほとんどない形でしたし、今回から映画と同じマーベルスタジオが作るMCU作品の一つと正規に位置づけられた作品。

 

これ、コミックで言う所の、リミテッドシリーズとかミニシリーズとか言われる、あらかじめ短いスパンで最初から完結させる事を前提とした形で描くシリーズがあって、そういう面白さを今度はMCUに落とし込んでみよう、みたいな感じになってるのかなと。表記的には今のドラマの恒例に倣って「シーズン1」とはついてますけど、人気が出たら次のシーズンに続く、みたいなのではないですよね、多分。

 

ストーリーそのものも楽しみですが、個人的にはそんな感じで、映画で頂点を極めたマーベルスタジオが、次の仕掛けとして出してきた「ドラマ」という分野でコミックのどういった面白さを出してくれるのか?と言う点に注目していきたい所です。

 

ただまあ、配信日にまともに見れないっていう状況だけは改善してほしい所。なんでも聞くところによると「マンダロリアン」でも同じような事があったって言うじゃないですか。いやいや、そこは同じ過ち繰り返してるんじゃねーよ、と厳しく言っておきます。今後のドラマも見て行くし、今後もお金払っていくのでそこはお願いしたい。

 

MCUじゃないけど、結局劇場公開は見送られてしまった「ニューミュータンツ」も2月頭に配信されるっぽい?「ワンダビジョン」と共にまずはそこを楽しみにしてます。

 


マーベルドラマ『ワンダヴィジョン』予告編 (吹替版)

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映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪

映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪(DVD特装版)

監督:志水淳児 脚本:井上美緒
日本映画 2015年
☆★

 

プリキュア映画18作目。春のオールスターズ映画としては7作目。TVシリーズ12作目「Go!プリンセスプリキュア」が初登場の春の新人研修映画。

 

コアなファンの間ではプリキュア史上でも最高傑作との呼び声も多く耳にする「Go!プリンセスプリキュア」ですが、それはTVシリーズの話で、こと映画に関しては恵まれなかったというのが正直な所。こちらの春のオールスター映画もファンの間では評価も低く、秋の映画もその時に語りますが、オムニバス映画になってて、そちらも残念ながらあまり評判はよろしくない。

 

前作の「ハピネスチャージプリキュア」が「ヒーローとしてのプリキュア」という、シリーズ的に見た時にプリキュアの第2期としての終着点みたいな部分があったと前回のハピのコンプリートブックの記事に書きましたが、要はここが次の転換期でもあったわけです。Goプリからがプリキュアにおける第3期みたいな形になるのですが、そこはTVシリーズでの話なので、またコンプリートブックの時にでもその辺は語ろうかと思います。

 

とりあえずはまずこちらのオールスターズの事から。
DXシリーズ3部作、NSシリーズ3部作という形で、一応の区切りが前作でつけられました。各作品の感想を読んでいただければ、その経緯と遍歴みたいなものを語ってますので、詳しくはそちらを参照にしていただければとは思いますが、おおざっぱに言ってしまえば「お祭り」作品として始まったオールスターズDXが、毎年の恒例として定番化していく中で、ただのお祭り騒ぎではなく、きちんと作品としてテーマ性を持たせた意味のあるものにしていこう、という変化がNSだったわけです。

 

ただし、あくまで「プリキュアオールスターズ」と銘打ってる以上、歴代のプリキュアが全員出さなければならないという縛りもあるので、毎年4~5人くらい増えて行くプリキュアを裁き切れないというのはNSの時点でも見え隠れしていました。1作目の時点では14人だったプリキュアが今作ではもう40人です。倍どころじゃない。

 

40人を裁き切るストーリーって素人目に見ても流石に無理があります。しかもプリキュア映画はメインターゲット層の未就学児の集中力を考えて70分程度と言う短い尺でもある。ここまで来ると、ストーリー性とかではなく、原点に立ち返ってまずはお祭り映画であるべきじゃないかと、まさにタイトルにある通りのお祭り=「春のカーニバル」になるわけです。

 

確か「スマイル」のキュアマーチ緑川なお役の井上麻里奈だったっけかな?皆に平等に出番作るなら敵と戦うとかじゃなく、オールスターズはプリキュア全員で運動会をやるのはどう?とか、過去のインタビューで声優さんに心配されるくらいこの辺の問題は誰の目にも明らかでした。

 

今回の春のカーニバルの企画アイデアはおしゃれOPで有名な「ハト映画」も担当していたギャルマド・ボグダンという東映のプロデュサー。プリキュア独自のコンテンツの魅力として、ファン内外にまで毎回話題になるEDダンスの部分に注目。プリキュア達が歌って踊る姿だけでもメインターゲットの子供達は楽しいし喜んでくれるんじゃないか?というような所から今回の映画はスタートしたと。


ディズニー映画のミュージカル要素も子供達には人気だし、プリキュアでもそういった作品を作れるはずだし、それが新しい映画になりえるという発想です。

 

ただ、アニメでミュージカルって相当に手間がかかるんですよね。それ用に歌を作って、しかもアニメで歌に合わせて踊る作画も必要。プリキュアTVシリーズのEDCGは2~3分程度の物を半年かけて作ってるのに、同じ半年で映画を作ると。コンセプトとしてはわかりますが、映画1本分とか普通は3年とか4年とかかけて作るのに、流石にそこは無理を通す感じなのは想像できます。

まあ今回の反省点を生かして次のオールスターズで実際それやっちゃうわけですが(しかも出来も良いですし)、今回の時点では出来る限りの事をやってみようという形でした。

 

まず歌は過去シリーズのOPやEDをそのまま流用して使ってしまえと。オールスターズなんだからそこで過去作品のフォローもできると。今回、力の入ったミュージカルシーンって2曲だけなんですよね。クライマックスのGoプリの「イマココカラ」と、今回の映画ゲスト枠のオリエンタルラジオ演じるメイン敵のオドレン、ウタエンの盗賊コンビの2曲。

 

一応、序盤の「39フェアリーズ」もそうではあるので3曲と言えば3曲かも。作画的にはいかにもローカロリーで、ややとってつけた感もありましたが。

 

オリラジの部分は2Dアニメ。Goプリは3DCGと、それぞれのチームに山場的な見所を分担して作ってもらったのがよくわかります。

 

・・・でもね、プリキュアの映画を観に来てるのに、オリラジのミュージカルなんて誰が喜ぶんだこれ?って事ですよね。しかも力が入って出来は良いんだこれが。

 

そもそも何でプリキュアは定期的に芸能人とか使うのかと言ったら、もうそれは宣伝の為ですよ。ただのアニメ映画だったら一般マスコミは報道なんかしません。でも芸能人が入る事でマスコミも取材に来る。そういうプロモーションとして芸能人を使ってるわけです。オリラジのファン層も取り込むとかそういう事ではありません。マスコミに取り上げてもらう事でプリキュアというコンテンツを世間に浸透させるというのがプロモーション戦略です。だから芸能人なんてチョイ役でいいのに。

 

クライマックスに流れる「イマココカラ」の方は流石に抜群に素晴らしいです。
「辛い時もグッと頑張るのは、いつもあきらめない背中見てたから」っていう先輩プリキュアを引き継いで行くというオールスターズらしい歌詞になってて、本当に泣けてグッと来る曲で私も大好きです。(これ、EDだとモーニング娘が同じ曲を歌うのですが、そっち方面に明るい人ならそこも継承を感じるんだろうなというのも何と無くはわかります。私はその辺詳しく無いですが)


『映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』主題歌「イマココカラ」 ダンス映像

 

過去曲が流れるとこも、決して悪くは無いんですよ。EDにCGが採用されて無かった時期の初期キュアがCGで踊るのも見どころですし、ただの流用っぽく見える感じはありながらも、追加戦士加入前の前期EDをフルメンバーで見れる「フレ」とか「スイ」とかね、そこは凄く嬉しい部分。ただこれ、ただCGダンスを流すんじゃなくて、ほぼ止め絵で日常カットが入ったりしてじっくりは見れないのがちょっと残念ではある。

 

映像特典でフルダンスバージョンとかソフトに入れてくれたらそれはもうお宝映像として貴重なものになったと思うのですが、残念ながらそんなサービスは無し。

 

日常カットもね。それ単体で見る分には凄く良い。TVシリーズのその後的なカットもあったりして、白いピーちゃんとか涙物です。川村女神作画の今の絵のプリキュア5とかここはここで凄く見所はある。

 

コンセプトはね、間違って無いし一つ一つのピースで見る分には結構「おっ!これ良いじゃん」っていうとこある。でも、まとめ方というか繋ぎ方というか、一つのまとまった映画として見ちゃうと、どうしてもう~ん・・・とならざるを得ない。


Mステみたいな曲と曲の間のMCは最低だし、しゃべらないキャラの扱いがものすご~く酷い。なぎさとほのかが喋って、その後にひかりも喋ろうとするけど遮られるとか、扱いとして酷いと思うし、そこは制作の都合なのでっていうのが透けて見えてしまうってのがとにかく良くない。プリキュアと妖精を誘導して別れさせてアイテム奪うっていう作戦も物凄く雑。ご都合主義展開に見えちゃう。

 

なんだかな~って思ってると、最後にいつものオールスターっぽいアクション展開が少ないながらもちゃんとあって、正直言ってそこは面白いんですよね。オールスターズ定番のマリンとハッピーのコメディリリーフ展開とかメチャメチャ楽しいわけですよ。そこが結果的に、いつもの奴が見たかったなぁっていう印象になってしまう。

 

うん、今回はなんだか普通の感想に終始しちゃいました。

 

前作で一区切りついた所での、新しい道を模索している最中の作品であったと。あ、そういえば今回は5の映画以降ずっと続いてたミラクルライトがありません。プリキュアと言えばこれ、と言われるくらいの代名詞の一つになったものを、あえて廃止しました。代わりに子供達にプレゼントされたのがドレスアップキーのプリマヴェーラキーですが、次の作品以降またミラクルライトが復活して、以降またずっと続いてますし、映画限定のアイテム系もそれはそれで前売り特典とかになっていきます。次のステージに進もうとしたものの、残念ながらあまり上手くは行かなかった、という所でしょうか。

 

これはインタビューで言ってたとかでなく、勝手な想像ですが、TVシリーズの方でシリーズディレクターを務めた田中裕太監督としては、映画の方は別スタッフなので、この結果に少し歯がゆい思いをしたのではないかと。後にTVシリーズでなく映画の方を
監督する事になって、「映画スタプリ 星のうたに想いをこめて」で、ミラクルライトをコンサートライト、サイリウム的に使うっていう事をやってるんですよね。「春のカーニバル」を見て、自分だったらこんなミラクルライトの使わせ方もあるんじゃないかって考えたのかなぁ?と勝手に想像してます。

 

恐れず新しい事に挑戦するって、プリキュアにおいてはシリーズの理念みたいな所でもありますし、こういう挑戦を否定しちゃうのもね、それはそれで違うと思うし、過渡期における価値のある挑戦だった、と歴史的な面からは言えるかなとは。

 

まあでも数あるプリキュア映画の中では、単純に一つの作品として見た場合、割と残念な部類というのが正直な所でしょうか。

 

いや、お前は「春カニ」の何たるかを全然わかってない!この作品の本当の見所や価値はこういう所にあるんだ!っていうのがあれば是非教えてほしい所ではあります。


といった所で次回は秋映画の前にGoプリのミュージカルDVDです。


『映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』予告編

 

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SHIROBAKO 1~12話

 

Shirobako 1/ [DVD] [Import]

監督:水島努
日 TVアニメ 全24話 2014-15年
☆☆☆☆

 

TVアニメシリーズ「SHIROBAKO」前半クール。2014年に放送された作品ですが、何故か今NHKでも放送されてるので、録画して再び見てます。

 

劇場版の時にも書いたのですが、私は話題になってたのを後追いでまとめて見た。で、面白いなと思って、どうやらP.A.ワークス制作の「お仕事シリーズ」という形らしく、その前の「花咲くいろは」も評判良かったようなので、そちらも見たら、それも物凄く面白かったと。第3弾の「サクラクエスト」はそんなに評判にはならなかったようですが、個人的にはそちらも好きです。地方のNPO活動という部分で、あまり馴染みも無く想像しにくい部分だったかな?というのがあまり受けなかった要因でもあるのかな?と思うのですが、私も多少そういうものと関わりがあったので、私個人としては身近な物として面白かったと。

 

3作とも、制作会社のPAワークスの企画としてシリーズになってますが、監督も脚本も毎回別。でも「お仕事シリーズ」という肩書もあってか、仕事って何だろう?を軸に据えてあって、キャラクター性とかよりも、そういう所でドラマを作ってあるのが何より面白い。

 

シチュエーションとしてアニメの制作現場を使って、その中で「あるあるもの」的な要素を持たせた日常系とかでは決して無い。仕事をしていく中でこういう問題や葛藤、悩みって絶対あるよね?じゃあそことどう向き合っていくのか?っていう形でドラマを作ってあるのが素晴らしい。

 

これ、1作目の「花咲くいろは」だったら、主人公を学生にして、わけありで実家で働く形になったっていうのと、恋愛要素も割と多めに描いてあったんですよね。そういう意味ではまだ社会に出ていない学生でも割と入りやすくなってた。そこはマーケティング的な部分で上手く考えてあった作品だなぁと思います。

 

日本のアニメ・・・だけでなく漫画や実写も含めた映画業界って、ユーザー層というか、見る側が諸外国と比べても成熟していないってよく言われる部分です。学生が自分達の物語だとして青春映画を観に行くのは良い。でも、大人も青春映画を観に行って感動してたりする。良い大人なのにまだ学生気分が抜けていなかったり、あるいはもう過去なのは理解してるけど、自分の思い出や、あるいは逆に自分が体験できなかったものだからこそ、みたいな部分もあるのかもしれないし、大人になっても少年漫画を読み続けている、的なものは日本のみの特徴としてよく挙げられます。

だから社会性のあるものとか政治要素が絡むものは企画通すの苦労するんだって「この世界の片隅に」の片淵さんが以前グチっておりました。

 

で、話を「SHIROBAKO」に戻すと、見た目は普通の美少女アニメと差は無いものの、仕事がテーマであり、社会人物なわけです。そういう部分ではなかなかに希少性はある。作中で何度もお酒を飲むシーン入りますけど、宮森も年齢的には普通に成人してるわけですよね。そういう所だけ見ても、割と貴重だなぁと思います。

 

で、そんなアニメファンが入りにくい部分がありながら、仕事は仕事でも「アニメを作る仕事」というのが、アニメファンの興味を引く部分ですよね。そういう工夫が「サクラクエスト」には足りて無かったのかな?という気はしてます。

 

「SHIROBAKO」もメインビジュアル的には5人の女の子を押し出してますが、1クール目の時点だと他のサブキャラと出番的にはそんなに差が無い。勿論、キャラクターや声優さんが目的でこの作品を見ちゃうと、え~っ?メインのはずなのに出番少なくない?ってなると思うのですが、逆にそういう所からも、ルックの部分で美少女アニメしてるだけで、本質はそこじゃないんだろうな、と見える辺りが個人的には面白い部分でした。

 

昨年の年末だったかな?アニメ評論家の藤津さんが司会やってた映画祭のイベントで、アニメのキャラクター論みたいなのを議論するのをyoutubeで見てたんですけど、その中の参加者の一人が、アニメを語ろうとする時に、よく最初に「どのキャラクターが好きですか」みたいなのが今は凄く聞かれて、そこに違和感を覚える的な事を言ってました。

 

ああ~、これは確かにそうかも。私もついつい話する時にどのキャラが好き?みたいなのを安易にとっかかりにする事がよくある。キャラクタービジネス、キャラクターコンテンツというのが重要視されるようになってる昨今ですが、昔からそういう部分はありつつも、そこがメインでは無かったのかな?という気はしなくもないです。

 

5人の中で誰が好き?とか聞かれたら、私はむしろ脇の瀬川さんとか井口さんが好き、とか結局言っちゃうんですけどね。まあそこが目的で見てるわけではないですが。

 

前半戦、最初はキャラが多すぎて憶えられん!とか思ってたのですが、6話「イデポン宮森 発動篇」で一気に引き込まれました。ええ私は富野信者でイデオン大好きですから。ある種のパロディー的な部分もあるとは言え、メインの5人ヒロインではなく脇のしかも男のキャラで初期衝動の話をやるってなかなか面白い事をやってるなぁと。これなら今後も見続けられるなと確信した回でもありました。

 

監督の水島努って、やっぱ「ガールズ&パンツァー」が有名ですが、基本的にそんなに作家性は出ない人ですよね。私はちゃんと見たのは他に「じょしらく」くらいしか無いけども。自分の主義や主張を作品に籠めるというよりは、その作品の持つポテンシャルを最大限に引き出す、みたいな人なのかなと。


そういう意味ではアニメに対する私情ではなく、もう少しフラットな視点で描けたのが割と大きい部分。勿論、劇中に登場する木下監督が本人の代弁者みたいなものですが、普通はアニメにしろ映画にしろ「作品」って私情ありきの方が面白くなるとされてます。その方が魂が籠るし、その人にしか描けない作品になるから。

 

いかにも老害おじさんな事を言ってしまいますが、今ってスタッフクレジット見る人少ないような気がします。それはそれでね、時代もあるんだなとは思うのですが、そういった時世の中で、アニメ作りを描いた作品として、こうやって中の人が居るんだよっていうのを描いたのは凄く大きいし、その価値は計り知れない気がしてます。

 

といった辺りで後半戦に続く。


後半はクライマックス近い所のずかちゃんと、それに対する宮森の反応が個人的に一番グッと来るポイント。

初見で何もわからず見ていた時も面白かったですが、2週目で見てもやっぱり面白かった。

 


TVアニメ『SHIROBAKO』 C87公開PV

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