僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 番外編

聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 番外編 (チャンピオンREDコミックス)

SAINT SEIYA THE LOST CANVAS -HADES MYTHOLOGY EXTRA STORY-
漫画:手代木史織
秋田書店刊 チャンピオンREDコミックス 全1巻
2021年(掲載2015-21)
☆☆☆☆

 

前聖戦、前々聖戦、そして前聖戦後…、
本編、外伝では語られなかった
サイドストーリーの数々が大集結!!

 

完結後に聖矢特集なんかの度にちょこちょこと描いてた番外編を集めた短編集です。単行本1冊に出来るほど書いてたのね。

 

まずは「ロストキャンバス」について私の気持ちを最初に言っておきます。私はロストキャンバスはメチャメチャ好きです。でも本編連載してる時は読んで無かったんですよ。なんでチャンピオンで聖矢の外伝みたいなのやってんだ?しかも少女漫画みたいな絵柄だし、ちょっと聖矢のイメージとは違うかな?という感じでいたんです。

 

でも本家の車田先生の「ネクストディメンション」があの体たらくだし、こっちが先に完結したあかつきには、せっかくなので一応これも読んでみるかぁ?と思って単行本を手に取ったのですが、これがもう予想以上で抜群に面白い。

 

聖矢の後に逆行して「リングにかけろ」も「風魔の小次郎」も読んでどっちも面白いのは面白かったんですが、やっぱり私は聖矢が一番好きかなってなったのは、あの世界観とクロスとかの設定が私は好きなんだろうな~って思ったのでした。車田漫画の勢いとノリで突っ走ってしまえっていうのも魅力ではあるんですが、決して繊細な心の機微とかそこを軸にした丁寧なドラマとかを描くような人では無いじゃないですか、でもそれがロストキャンバスにはあったと。


あれ?聖矢の世界観で、丁寧なドラマとかやったらそれ最強なんじゃね?むしろ本編より面白いような・・・とか思い始めて、単行本で読み始めたら一気に読みきってしまった。

 

なので、その後のロスキャン外伝はリアルタイムで単行本出る度に買ってましたし、後にアニメ版も見たんですけど、そっちもすこぶる面白いんですね。石田彰演じる乙女座のアスミタとか死ぬほどカッコいいし泣かされました。ただアニメ版は2章まで作られたものの、途中で終わってしまってて、「Ω」とか「黄金魂」とか「セインティア翔」の微妙なアニメ化やるならこっちの続きやってよ。と思ったくらい。


でもロスキャンアニメって東映制作じゃないんですよね。権利買い取って続きから作ってくれないかなぁ?1年分の枠をとってTV放送で前半26話をそのまま流して、後半だけ新しく作るとか無理なんですかね?「黄金魂」と違ってマイスあんまり売れなかったのかロスキャンは少しだけ出て終わっちゃったからなぁ。原作の出来は本当に素晴らしいので、いつか続きが作られる事に期待します。


さてそんな私のロスキャンへの思いはそこまでにして、本編でもそうでしたが、ロスキャン時代の黄金聖闘士だけでなく、さらにその前の聖戦のキャラが師匠とか先代的な感じでちょこちょこ出てきて、そこに関してのみちょっとわかりにくいかな?というのがありました。

 

今回も天秤座イティア、水瓶座クレスト、獅子座イリアスと前々聖戦絡みのキャラが出て来ますが、馴染みが無い分、やや盛り上がりには欠けるかなぁと思いつつも、基本的にはその意志は次世代に受け継がれた、という話なので、まあそこは気持ち的にはアリかな。よく知らんキャラだな?と最初は思っても、ドラマがちゃんとしてるので読むと納得させられる面白さがちゃんとある。

 

読み切り集なので、基本は、またあのキャラに会えて嬉しい、ぐらいで十分かと思うんですけど、そこを律儀に次世代への継承の話にしたり、ちゃんとしたドラマを作ろうっていう辺りがてよぎんさんの真面目さだなぁと思うし、そこは大きい魅力だよね、というのは再確認出来ました。

 

聖矢のシリーズってどうしても黄金の方に行きがちですけど、ちゃんとテンマと耶人の話も入ってるし、黄金だけでなくどのキャラも愛されてるし、丁寧に描いてあって、読み甲斐のある1冊でした。

 

前々聖戦の物語が読みたいかというと私的にはそこまではいいかなという気持ちなのですが、私は戦後の話が好きなので、むしろ可能であればその辺はまた読みたいかなぁ?外伝の時にもあったけど、ロスキャン本編ではただの弟子の一人だったテネオが牡牛座を受け継いだとかああいうのが凄い好きなんですよね。

基本はシオンと童虎以外は全滅したっていう設定なので、使えるキャラは限られてくるものの、セイントの力は失ってしまったものの命だけは生き延びたっていう本編の終わり方でもあったので、その辺を上手く使ってまた続編的な新しい奴は是非描いてほしいところです。

 

ロスキャン本編&外伝、また読み返したくなってくるなこれ。

 

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聖闘士星矢 冥王異伝 ダークウィング (1)

聖闘士星矢 冥王異伝 ダークウィング 1 (チャンピオンREDコミックス)

SAINT SEIYA:Another Story of Hades "DARK WING"
脚本:サトウケンジ
作画:上田信舟
秋田書店刊 チャンピオンREDコミックス
2021年(続刊)
☆☆

 

「星矢」×「異世界転生」
普通の高校生が冥界三巨頭ワイバーンに転生!!

 

なんだよ星矢で異世界転生って、と思いましたが、読んでみないとどんな話なのかはわかんないので、とりあえず出た1巻を確保。ギャグ物とかだったら読む必要は無いかなと思ってましたが、一応は普通にシリアスなストーリー物でした。

 

冥闘士(スペクター)ってどんな設定だったっけかな?基本死者だから昔からの人が何度も復活してるとかの気もするけど、海闘士(マリーナ)と同じく、普通に地上で生きてた人が突然覚醒するんだったっけか?今回の話だと後者のような感じですけど。

 

冥界側からの視点という所では面白くって、エリシオンという平和な世界を脅かすのがアテナの聖闘士という逆転の発想が面白味。アイオロスとか出てくるので、聖矢本編前の時間軸なのかな?と思わせつつ、日本人が双子座のクロスをまとってたりと、そこは決してプリクエル的なものではなく、あくまで別の並行世界みたいなものっぽい。

 

他にも山羊座とか出てきましたが、日本人の高校生が黄金聖衣をまとっている姿と言うのはどうにも違和感バリバリでキツイ。いやそもそも聖矢ってそもそも青銅は日本人の中学生ばっかだったはずなのにそこで違和感があるっていうのも、それはそれで変な気もしますけど。

 

私は言うほど原理主義者では無いので、派生作品の黄金とか、それはそれで好きなんですよね。ただ、今回のはちょっと受け入れにくい感じでした。

 

単行本1巻の時点では、正直微妙かなぁという感じですが、要所要所の設定に今後面白くなりそうな要素はあったので、しばらくは様子見が必要で、もしかしたら今後跳ねる可能性はあるかも?ぐらいの作品でした。

 

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聖闘士星矢NEXT DIMENSION冥王神話 (13)

聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話 13 (少年チャンピオン・コミックス)

SAINT SEIYA NEXT DIMENTION Myth of Hades
著:車田正美
秋田書店刊 SHONEN CHAMPION COMICS EXTRA 2021年(続刊)
☆★


激闘のオールカラー銀河神話!
女神(アテナ)の命を狙う
蛇遣座(オピュクス)の真意とは!?

 

本編13巻が出ました。絵のクオリティもガタ落ち、話もさっぱり進まないしで正直もうさっさと終わらせてよこれっていう感じではありますが、まあそれでも自分の手で描くんだっていうのは車田的かなとは思うし、そこは待つしつきあうしかない。

でもカラリストは絶対別の人がやってるんだろうし、そこの名前くらいは載せてあげていいと思うぞ私は。

 

相変わらず話は全然進んで無いのですが、ただ今回、オデッセウス双児宮巨蟹宮獅子宮処女宮と昇っていくので、各宮の黄金聖闘士+一輝と色々なキャラを見れるのは割と楽しい。


単行本1冊に付き一人のエピソードとか一つのバトルとかのみだと、凄くもったり感があって私は嫌なんですよね。オリジナルの星矢がジャンプで連載されてた頃って、他にも競合するバトル漫画とかいっぱいあったし、あの時代のジャンプ漫画って、後から読み返すと異常なテンポ感があって、単行本にすると一冊で2~3人人分のバトルが入ってたりする。

それは競合作も多いし、人気レースで読者を飽きさせない為の工夫みたいなものがそうさせてたわけですが、それが全て正しいとは思わないし、時代が違えばおのずと作風の流行り廃りも出てくるのは当然だと思ってるけど、何せ星矢に関しては当時の続きを今もやってるわけで、これが他の作者がやってる外伝とか、或いはまったくの別作品なら許せても、同じ作者の同じ聖闘士星矢なのにこれはなぁ?となってしまうわけで、その辺が微妙な所ではあります。

 

あんまり悪口は言いたくないけど、デストール回りとか正直古臭いセンスで今時こんなのはどうかなと思ってしまうぞ。

 

フルカラーの恩恵もあるんでしょうけど、オデッセウスの顔の描き方とか、あんまり過去の車田漫画には無いタイプなので結構新鮮だったりするんですけどね。

 

丁度今また週チャンで連載再開してますけど(ってかそれに合わせての13巻)また単行本1冊分掲載したら1年とか2年音沙汰無しになるのかと思うと、なかなか気持ち的にも乗れない。

 

しかもね、「聖闘士星矢FinalEdition」って何だよ。確かに旧シリーズは集英社から引きあげて秋田書店からは出て無かったので、そこで再刊行というのはわからないでもないですが、間に描いてた「エピソードゼロ」とかの短編関係をそっちに収録というのでガッカリ来ました。そういう売りが無いと困るのはわかるけど、そこは短編集みたいな感じで別に出してほしかったなぁ・・・。私は最初のジャンプコミックス版で揃えてあるので、それいこうの愛蔵版とか文庫版、完全版とか買って無いですが、じゃあ読み切り収録もあるし、新たに買い直すか、という気は全く起きません。しょうがないから読み切りは諦めるか、くらいのモチベーション。

 

星矢は今でも好きな作品だし世界観なんですけど、肝心の車田先生の一番メインとなる本編がもはや惰性で読んでるだけという不思議な感じになってます。次はの14巻は12宮後半かぁ、でも14巻じゃ最後の双魚宮までは行かないだろうし、車田御大もどうせまた途中で飽きちゃうんでしょ?みたいに思えてしまうのがなんとも。

 

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機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト

機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト(12) (角川コミックス・エース)

MOBILE SUIT CROSS BONE GUNDAM GHOST
漫画:長谷川裕一
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全12巻 2012-16年
☆☆☆☆★

 

という事で「鋼鉄の7人」に続いて続編の「ゴースト」を再読。直系の続きの話ではありますが、一応は「無印」から「鋼鉄の7人」までがトビアが主人公のシリーズで、今作はさらに次世代のフォント君が主人公なので、クロスボーンガンダムから派生した新シリーズという印象も強い。

 

時代的にも宇宙世紀正史における「Vガンダム」と同時代で、Vガンの裏で繰り広げられていたストーリーになりますし、カーティスが駆る新たなクロスボーンガンダムのX-0も出しつつ、(本来はベラ・ロナ機として用意された為ビギナ・ギナと同じくシルバー塗装ってのが素敵)主役機としては系譜の違う新たな機体ファントムという事で、まさしく無印でメンター役だったキンケドゥ(シーブック)からトビアが魂を引き継いだように、今度はトビア(カーティス)がメンター役として、新たな世代へ引き継ぎをする、という役割。

 

ただこれ、全12巻と読みごたえは凄くあるのですが、個人的な感覚としては、短い物語にギュッと凝縮した展開を詰め込むその構成力の上手さも長谷川裕一の魅力かなぁと私は思ってるので、そういう意味じゃちょっと長いし複雑かも。

 

「Vガン」の時代は宇宙戦国時代という事で、大きな戦争が無いものの、小国同士の小競り合いがあって、その中でザンスカール帝国が台頭してきた、という背景で、連邦もなかなか本気になって動かないので、リガ・ミリティアというゲリラ組織でそれに対抗する、というのが世界観のバックボーンにある。

 

さらにその裏で戦っていた、という話なので、そこにクロスボーンシリーズの流れを組み込んでるので、勢力が非常に多く、入り乱れる感じがちょっと大変。

 

まずは木星系の残存勢力として、カーティス率いる林檎の花(マンサーナ・グローブ)を母艦とする新生クロスボーン軍と、同じく木星側のタカ派としてサーカス(サウザンド・カスタム)軍とのエンジェル・コール争奪戦。そこにザンスカール帝国の本隊と、さらにザンスカール内で下剋上を目論むキゾ中将の軍勢。リガ・ミリティア本隊からは別動隊として、リア・シュラク隊も戦いに巻き込まれる。という複雑な構造。その戦いに巻き込まれていく民間人のフォント君。いや頑張ってそれをわかりやすくしようとは描いてるんだけど。

 

カニック設定集で長谷川先生が語ってましたが、戦国時代ならばという事で、下剋上の話と忍法帳をやろうとしたって事のようです。下剋上がキゾの話で、サーカスが忍者なのね。忍者なら抜け忍の話が欠かせないだろうって事で、ジャックがそのポジションになってると。

 

と考えると、ここまでのシリーズの主人公としてのカーティスが居て、今回の全体的な話の主人公として次世代を担うフォントが居て、忍法帳の部分だとジャックが主人公的な存在でもあるので、実質3人の主人公って事になるし、ラスボスに挑むのもやはりこの3人でした。(カーティスは第2ラウンドでは欠席ではありますが)その辺はやはり上手く構成されてる感じ。

 

ただ今回はそこに長谷川のSFエッセンスとして、細菌SF物を大枠でやるというなかなか凄い事をやっていて、ウイルスならガンダムはメカ物だし、コンピュータウイルスの話ものっけちゃえというてんこ盛り仕様。これはおなかいっぱいになる。

 

これ、一つ一つの要素を分解して見て行った方が良いかも。

 

まず序盤は忍法帳の部分が面白い所。国力が低下して、軍隊の数を揃えられない時代ならと、量産機を多数配備するより、一騎当千の機体を配備するというコンセプトがサーカス。

 

全部で7機のサウザンド・カスタムが制作されたって、「キン肉マン」の7人の悪魔超人編みたいな導入。しかも最初はマントで機体が見えなかったりと凄くそれっぽい。7機って「鋼鉄の7人」とかにも重ねてるのかな?

 

忍法帳物って私は全然触れてこなかった文化なんですけど(山田風太郎とかですよね?)7つのモチーフって何か意味があるんでしょうか?里見八犬伝とかは8だし。

 

キン肉マン」もそうですし、「聖闘士星矢」とか「リングにかけろ」「風魔の小次郎」の車田正美とかもそうだし、今アニメやってる「ダイの大冒険」もそうでしたが、まずは敵の集団をどーんとまとめて登場させて、一人一人こいつはこんな能力を持ってるんだ、みたいな個性をつけて、それを順番に倒していくって少年漫画(ジャンプ漫画?)の王道展開ですよね。そこは多分、忍法帳的な古い娯楽小説からの系譜としてそういう形があるという事だと思われます。

 

さらに地上に降りた後は、サーカス未採用機の3機も追加というのもまたお約束な感じ。最初より増えたじゃねーか!っていう。

 

この辺りは、まず敵はどんな能力を持っているんだ?とワクワクさせて、それを主人公陣営らが、どんな作戦や盲点をついてその強敵を打ち破るか?というのが面白味になっていて、そこは過去のシリーズでもバトル描写の面白さとしてずっと描いてきた部分。非常にクロスボーンガンダムらしい面白さと言える所でしょう。

 

で、この能力バトルにビクトリーガンダムもちゃっかり加える辺りが長谷川先生の抜け目の無さです。「Vガン」本編でもウッソが壊れたパーツをマーベットさんとかからもらってすぐ復帰してたりしたし、ビクトリータイプのコンセプトが破損したパーツを換装してすぐに戦場に復帰させられる事で、パイロット不足を補う、みたいなのが元々あるので、その設定をクロスボーン的な「機体能力」としてちゃんと描いてあるのが面白い部分でした。


Vガン本編でもある描写だけど、Vガンはどっちかつーとウッソの奇策みたいな所の方が目立ってたので、そこを改めてこうやって使うと言うのは面白かった。

 

ただ、ここから仲間になるリア・シュラク隊についてですが、そりゃあ富野に「長谷川君とは女の子の趣味が違うんだよねぇ」と言われるのもちょっと頷ける感じが。

 

Vガン本編のシュラク隊って、綺麗なお姉さん達ってイメージだったわけですよ。こっちのリア・シュラク隊はトレスさんとか幾分そのイメージに近づけようとしてる気はしなくもないけれど、なんか全員ロリっこっぽくて、ジュンコさんとかにあんたらまだ子供っぽいから後方部隊な!とか言われてたんじゃないかと妄想してしまいます。

 

今回のヒロインのベルもそうですし、「鋼鉄の7人」で一応ヒロインポジションなのになんかあまり思い入れが無さそうな感じがしたエウロペさんとか、そこ長谷川の趣味の問題だったんじゃねーか、という気がしてきた。

 

ローズマリーさんとか極端に振りきってるキャラはまだしもね。トレスさんとかちょっとセクシー系なお姉さんという感じで、シュラク隊っぽく描こうとしてる気配はあるものの、ドゥーさんもイーさんもロリっこですし、結局はやっぱり長谷川テイストだ。

 

シュラク隊ついでにVガン要素についてもちょっと触れておくと、私はVガン直球世代なので、ガンダムシリーズで一番思い入れがあるのがVガン。長谷川的にね、エンジェルハィロウ単体では未完成の兵器だと当時から思っていたようで、その先にエンジェルコールがあったんだと今回の話で付け足したようなのですが、そこはちょっとひっかかりました。

 

一応終盤の本編内でね、その後出力が上がったからエンジェルハイロウ単体でも決戦兵器として成り立つようになった、というフォローは入れてはあるものの、個人的にはね、細菌兵器とかではないという所に富野ガンダムの面白さや独自性があった、と私は思ってるのです。

 

逆シャア」で地球寒冷化作戦をシャアはやろうとしてたわけじゃないですか。ただそれだと明らかに環境破壊もついてきて、一応は地球をリセットする、みたいな所でもあったんだけど、何百年先を見据えてるんだよ、的な感じもある。

続く「F91」で、あれはマイッツァー・ロナじゃなく鉄仮面の独自解釈の上での作戦になるのかな?人間だけを殺す機械のバグを地球に送りこんで、人類の10分の9を抹殺せよと命令されたらこうもなろう、誰の良心も傷める事の無い良い作戦なんだ、って事をやろうとしたわけですが、これだと地球の環境も傷めないんですね。

その後の「Vガン」で、焼く物は焼き腐るものは腐らせる、そして巨大ローラーで、地ならしまでやって地球を綺麗にしてしまおうという作戦に至ると。


この辺の流れは系譜として面白いなと思ったし、同時にこの頭おかしい感じが凄くVガンだな~と思えて、滑稽ですけど、この素っ頓狂な感じが富野だし、なんだよこれっていう感じも含めて同時に非常に面白い部分でもあったと思う。

 

長谷川的には、エンジェルハイロウのサイキッカー側も人間ではあるんだし、そんな長期間継続できるものでは無いんじゃないの?地球の人間を眠らせておいてその間に地球を制圧できる何かが無いと決め手に欠ける、というのを今回の作品で描いたと思うんですが、エンジェルハイロウは決してただのラリホーの呪文を地球全体にかける兵器じゃなくて、ドラクエで言えば丁度今やってる「ダイの大冒険」でバランがドラゴンの紋章の共鳴をおこしてダイの記憶を消し去って幼児退行させたあれだと思うんですよね。要は精神破壊兵器。

 

そのエンジェルハイロウを未完成だったんじゃないかって言うのは、Vガン好きな私としては結構ひっかかりました。ん~何かちょっと解釈が違うような?っていう。

 

ついでに細かい事を言えば、ただのモブMSとしてゲンガオゾを出すのはやめてほしかった。あれってファラさんのワンオフ機じゃないのか?バックパック外れてファンネル的に使えるこの時代には珍しいサイコミュ機だし。ザンネックの方はまだ機体の方向性的に数機くらい少数生産されててもおかしくない気がするし、ドッゴーラとかはアニメ本編でも2機確認されてるのであっても別に良いのですが。

そんな感じでVガン好きとしては、リンクする面白さもありつつ、気になる部分もチラホラという感じでした。

 

そして「ゴースト」を形成する二つ目のポイントの下剋上要素。ここはキゾ中将ですね。


パートナーのトモエさんが、平家物語の「巴御前」がベースにあって、キゾの方もそこに出てくる木曾から名前を使ってる様子。ただごめんなさい、私は歴史とかそういうのには疎くて、元ネタとしてどれほどゴーストの物語やテーマに生かされてるのかはよくわかりません。

ネットでも、名前の元ネタとしては出てくるけど、その辺を掘り下げてるようなのはあまり見かけないので、詳しい人が居たら是非解説をお願いしたい所。

 

キゾが駆る所謂ラスボスMSであるミダスは「王様の耳はロバの耳」で有名なミダス神から来ていて、ミダス神はその話だけでなく「ミダス神と黄金の手」という話もある。振れたものを全て黄金に変えてしまう、という話なので、キゾの部隊は全て金色のゴールデンエッグスという事になっている。

 

で、ロバの耳で思うんですけど、カーティスは視力を失って音響センサーでX-0を動かしてますよね。そして一時的なものではあるけれども、娘のベルによって視力を取り戻す。

 

面白いのは、キゾは実は木星総統クラックス・ドゥガチの息子だったというのが明かされますが、凄い事にキゾはその血筋を利用しないで、自分の力で自分の国を興すっていう方向に行くんですね。

 

クロスボーンガンダム」のシリーズなんだから、ここはまた木星帝国の陰謀が背景にあったのだ!でも良かった気がするんです。クロボンは木星帝国との死闘を描いたシリーズなんだって統一感も出ますし。

 

でもそれをあえたやらないという選択。物語の前半では木星タカ派のサーカスと手を組みながら、後半ではそこはお互いに手を切って対立する。

 

「血縁は、自分の手で断ち切る!」つったのはF91でのセシリーですが、キゾはそこを断ち切って、トモエとの新しい国作りに走る。

 

で、逆に対比としてカーティスは、別に娘との縁を切ろうとしてたわけではないものの、最初は娘に正体を隠しているし、視界リンクも使うべきではないと一度は否定する。それはニュータイプの能力には頼らずに、人間の力で生きて行くというのを一度は誓ったから。

 

が、後にそれは娘にそなわっている能力で、本人にとっては当たり前のことをわざわざ否定してしまうのはどうかと思いなおし、最後にはカーティスもベルにお前の父だと打ち明け、そのベルの能力を人と人との繋がりとして作戦の切り札にする。

 

主人公のフォント君を差し置いて、この辺はキゾとカーティスの対比として描いてあるのかなと思う。

「F91」のエンドクレジットでの鉄仮面とF91の対比って、セシリー側の親(カロッゾ=鉄仮面)は人を殺す機械になり果てたというのと、シーブック側の親、お母さんのモニカは人を救うF91を作ったっていうのとで、対比の象徴として描いたわけですよね。あやとりとかもそうだったし。

 

富野も「逆シャア」と「F91」辺りを境に、革命とかの話から家族の方にテーマが変わってきてたりした時期ですし、その辺の要素も含めた描き方だったのかなとも思う。

 

でも今回、別に富野は関わって無いので、じゃあ長谷川要素はどこに?つったらさ、エンジェルコールって、落とし所としては人類の進化の先、外宇宙へ進出した先にとんでもないものがあって、それは人類への警告なのかうんぬんも本編内では語られていましたけど、もっと単純に話としては、ガンダムで「ウイルス物SF」をやるっていうとこですよね。

 

ガンダム00」で未知の生命体のELSとか描いたのもありましたけど、宇宙世紀ガンダムでそこまで行くとやりすぎかなぁ?感はやっぱりちょっとありますし、じゃあ細菌レベルのものなら現実的な路線としてアリじゃないか?みたいな発想なのかと思います。

 

最初の方にも書きましたけど、ウイルスなら今の時代はコンピューターウイルスの方がもっと身近だし(後のコロナ禍でそこもまた逆転しちゃった感もありますが)せっかくならその話も混ぜてしまおうというのが非常に長谷川テイストです。

 

私は「ファントム」より最終決戦仕様の「ゴーストガンダム」の方がメチャメチャ好きなのですが、その理由はやっぱりあの目です。

 

ミダスの視覚センサーを利用したコンピューターウイルスでMSのOSをシャットダウンさせてしまうというトリックに対して、左右の目にそれぞれ連邦系と木星系の別センサーを持たせて、オッドアイ的に左右違う目を持たせる。これがね、メチャメチャカッコいい。

 

木星のサーカス機だったファントムに、ガンダムのセンサーをつけて半分だけガンダムにする。血の通った人間でなくとも、MSの系譜で二つの血を引き継ぐ混血児として初めて「ゴーストガンダム」の正式コードがつけられる。いやもう痺れますわこれ。

 

エンジェルコールを焼き尽くす、コロニーのミラーを利用したソーラレイと、このゴーストガンダムを切り札とするロジックの面白さ。これぞクライマックスの盛り上がりですよ。

 

ただ強力なラスボスを出すとかではなく、話のロジックでクライマックスを作る、これぞ物語の面白さだと思います。何度も言うけど、ここをちゃんと理解して作ってる漫画・アニメ・映画って実は意外と少ないのです。だからクロスボーンガンダムは面白いし凄いんです。ここは何度でも言いたい。

 


そして最後に!やっとここからが主人公のフォント君語りです。

フォント君ね、私はトビアと同じくらい好きです。でもね、このキャラって多分ですけど、トビアと違って多くの人には伝わらないキャラだと思う。

 

これまでのシリーズのトビアの次の世代として、今風の若い子を描こうとしたっていうのは長谷川自身も語ってます。アムロ・レイが当時のオタク(っていう言葉自体がまだ無い時代ですが)を描いたようなキャラだったけど、時代が変わればオタク像もまた変わってくるので、今時の子がファーストガンダムを見たとしても、アムロって自分と似てるな、とは思わないだろうから、今時のオタクが感情移入出来るようなキャラを作ってみた、というのがフォント君です。

 

ただこれねぇ…、オールドオタクが必死になって考えた、おっさんから見たイマドキの若い子、にしかなってないと思う。いやだからガンダムおじさんの私には結構響くキャラではあるんだけれども。

 

実はここ「ガンダムUC」でも同じじゃないですか?福井が後からぶっちゃけてましたけど、バナージに感情移入なんて1ミリも出来ねーよ。だって俺おっさんだもん。今の若い子の気持なんかわかるわけねーじゃん。おじさん側のキャラはわかるように描いたけど、バナージは見よう見まねで作っただけなので、描いてる方は自分を重ねたりなんかしてないし、感情移入とかしてないよ、って。

 

アニメの方には入ってたっけかなぁ?原作の方では最初の方にバナージが、何をしていても常に自分の居場所はここじゃないっていう違和感を感じていて、でもそれが何かは自分でもわからないっていう描写があって、多分、イマドキの若い子はこういう感覚あるのかもしれないな、とおっさんなりになんとなく想像はできた。

 

「SSSSグリッドマン」とか続編の「ダイナゼノン」とか見てるとさ、各々のキャラの感情とか個人的には正直よくわかんないんだけど、多分こういう感覚が今の若者の感覚であって、刺さる人には刺さってるんだろうな、とか思う感覚がありました。(そこ考えるとOPの短い歌詞にそんな感覚を集約させてるオーイシマサヨシって凄いよね。あの歌詞なら私みたいなオッサンでも結構伝わるもの)

 

一時期はゲーム感覚でMSに乗ってるっていう「宇宙、閃光の果てに」のフォルドみたいなクソも良いとこなキャラを結構あちこちで見かけた気がするけど、これが今の若い子の感覚で諸?なんてあんなに安易なキャラ付けはおっさんも若者もどちらもくいつかねーだろ?と凄く憤りを感じましたし、そこ考えると「ガンダム00」の沙磁君ぐらいはなんとなく今時の子っていうのを上手く描いてるのかなぁ?とはちょっと思ったかな。

 

そんな感じで考えると、フォント君もこういうのが今の若者の感覚って言われると、多分それ違うだろうと思ってしまうキャラではあったのですが、そこは長谷川先生ですから、ドラマの描き方としてはメチャメチャ面白いし深い。

 

前半はね、割とトビアに似てる部分もあるんですよ。「人間がこんな事をして良いはずがないっ!」って必死になってギロチンをとめるとことか。でも、そんな最初の方のとこから、フォントの内心としては物凄く葛藤と自制みたいなものも描写されてるんですよね。そこは多分トビアとは違う部分です。

 

で、そんな命の重さみたいなものが、次々とフォントに積み重なっていく。トレスさんが自らの命を犠牲にしてまでエンジェルコールを焼き尽くそうとして、死んだと思われたものの、なんとか生き延びていて、人一人の命がいかに重いものなのかを改めて知る。

 

やっぱりね、何かしら現実で経験が無いと、一人の命の重さとか、普段はあまり考えないというのはあると思う。そこは私も同じです。

こんな事を言っては不謹慎なのかもしれませんが、東日本大震災を経験してすら、どこかニュースでやっているだけの絵空事に感じてしまう感覚というのは私の中にもある。コロナ禍だって、誰か身近な人が亡くなったりとかでなければ、ついつい気が緩んでしまう面もあったりするわけで、それじゃいかんと思いつつも、なかなかね、安易に考えてしまう所も抜けきれないでいる。

 

でもって、そんなトレスさんのエピソードがありつつ、直後のローズマリーさんですよ。いやもうこれがガンダムだし、時に残酷な結末がふいに振りかかるというのはまた現実と同じでもある。世の中は不条理に満ちている、という描写なわけです。ぶっちゃけ、長谷川先生酷いよ!あんたヒトデナシか!と思った。と同時にいかにもガンダムっぽくもある部分でした。

 

そこからのミラージュ・ワゾーでの核弾頭切り落としとか、もうフォントの心や頭脳の限界を超えたオーバークロックを引き落として、完全にフォントが壊れてしまう。ここの描写がもう圧倒的。

 

やがては「そうか、世界はこうなっていたのか」とまるでゲッター線に触れて世界の真理を全て理解したかのような状態になってしまうと。ただそこでね、世の中は全て計算だけで理解できるものなんかじゃないんだよって所に行くのがガンダム的というか長谷川的でもありますし、その壊れたフォントを立ち直させてくれるのがね、かつてトビアのメンターだったキンケドゥ・ナウというのがメチャメチャ泣かせてくれます。

キンケドゥとか出しちゃったらより話が複雑になり過ぎそうな所を、こうして上手く再登場させてくれたのは本当に上手いし、フォントだけでなくトビアとキンケドゥの関係性の描き方も凄く良くてグッと来る名エピソードです。

 

理性の暴走という脳内オーバークロック状態にフォント君は目覚めるわけですが、これはニュータイプともまた違う進化の形。NTに進化しなくとも人間の可能性はまだ残されているというトビアを受けての次を描いたわけですが、ようはそこって無印の「あなたは1日に12キロの山道を歩く事ができますか」ってのと同じで、環境に合わせた人間が持つ進化の形です。

 

ネットとかのテクノロジーがもはや当たり前にあるものとして日常に溶け込むようになって、それがあるからこその問題ってのも出てはきましたが、じゃあ危険だから今更それを全部禁止にしてしまえってのも現実的には無理な話です。そういうデバイスとかにも適応してバランスをとって、より上手く使いこなせる事が力にもなる、そういう時代に合わせた主人公がフォント君。

 

まあ、おっさんがそれを理屈で描いてるので、これがそのままストンと若い子の腑に落ちるのかというのが私の疑問なんですが、実はこれと似たテーマを過去にやったガンダムが1作だけあって、それが松浦まさふみ作「アウターガンダム」という漫画作品です。

好きな作品なので、いずれとりあげる機会もあればなとは思ってますが、アウターガンダムって簡単にまとめると「科学技術の進化は善か悪か」みたいな所を描いた作品です。いや別に悪の部分は作品内では描いて無かったかな?

 

科学技術の進化が大量破壊兵器を招いたなら、人間の技術の進化は間違っていたのか?という問いに対して、無人のAIで動くガンダムを描いて、科学技術の進化は確かに多くの人を殺してきたけど、同時に多くの人を救いもしてきた、というようなテーマを描いた作品です。作者的には「鉄腕アトム」から描かれてきたテーマをガンダムに繋げたっていう事のようですが、同じとまでは言わないまでも、ちょっと共通する部分があって面白い作品です。

 

本作に続く「DUST」でもフォント君の物語は継続して描かれますし、今回ギロチンから救って君がリーダーだって言われてたアッシュが主人公として、フォント君とは違うバイタリティ溢れるキャラクターとして、また別方向の進化を見せてくれる辺りが面白い所。更にもう一人のフォント君とも言えるアーノルドとかもね。

 

私も基本的には頭でっかちなタイプで、結構効率性とか考えちゃうタイプですが、残念ながら理性の暴走スキルは持ち合わせていないので、またこんなにダラダラまとまらない話を長々と書いてしまいましたが、いかがだったでしょうか。

 

総論的な事を言えば、最初に書いたとおり、「ゴースト」は詰め込み過ぎてちょいと複雑になりすぎたかなぁ?という印象。無印クロボンとか鋼鉄の7人は短い中にギュッと凝縮して詰め込んであるのが面白いし、そこは長谷川先生の上手さだよなと感じてましたので、そこと比べると、読んでその内容やテーマを理解するのが結構大変です。その分、印象に残ったりカタルシスを感じる場面も多いので、とても面白いのには変わりないのですが。

 

さて次は「ダスト」を読んで語ります。いや頭クラクラしてきた。

 

機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト(1) (角川コミックス・エース)

 

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バットマン:ハーレイ・クイン

バットマン:ハーレイ・クイン

BATMAN:HARLEY QUINN
著:ポール・ディニ、ダグ・アレキサンダー、ジェームズ・パトリック
 マリス・ウィックス、ジム・ザブカビッチ、マット・キント(ライター)
 イブル・ギチェット、ロニー・デル・カーメン、ロブ・ヘインズ
 ドン・クレイマー、ジョー・キニョネス、ステファン・ルー、ニール・グージ(アーティスト)
訳:御代しおり
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2016年
収録:BATMAN: HARLEY QUINN #1(1999)
 BATMAN:GOTHAM KNIGHTS #14(2001) #30(2002)
 DETECTIVE COMICS #831 #837(2007)
 JOKER'S ASYLUM: HARLEY QUINN #1(2010)
 BATMAN BLACK AND WHITE #1(2013) #3(2014)
 LEGENDS OF THE DARK KNIGHT 100-PAGE SUPER SPECTACULAR #1(2014)
 DETECTIVE COMICS #23.2(2013)
☆☆☆★


これぞハーレイ・クインの決定版!
オリジンストーリーやデビュー作などバラエティ豊かな全10編を収録!


たまにはDCの方の積み消化。刊行点数が多くなってからはマーベル優先になっちゃってますが、それでもDCの方も買って読んで無い積ん読が本も山ほどある。アンソロジー本はちょこちょこ読むのには良いのですが、感想書くのが大変なので簡単に行きます。

 

新スーサイドスクワッドの予告も出ましたが、今回は凄く面白そうで楽しみにしてます。ハーレイも旧コスチュームを彷彿とさせる赤黒コスで結構よさげですね。


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予告だけでもう楽しい。

 

それはさておき、キャラ解説とかだと大体触れられてますので知ってる人も多いと思いますが、ハーレイ・クインはコミックではなくポール・ディニ制作の「バットマン・アニメイテッド・シリーズ」がデビュー。アニメオリジナルキャラだったものが、人気が出たのでコミックに逆輸入された、というキャラクター。

 

ジョーカーの情婦であり、迷惑なサイドキック的なポジションから、ポイズン・アイビーとの女ヴィランコンビなどの色もついていき、やがてはジョーカーを食うほどにまでその人気は留まる事を知らず、ハーレイ単体でも十分に魅力を発揮して、一人立ちするまでに至る、といった所でしょうか。この辺の遍歴もまた面白いキャラです。

 

映画でも最初の「スーサイドスクワッド」ではジョーカーありきのキャラとして描かれましたが、次の単独作ではもうジョーカーとの関係は終わった、という展開でしたし、「ワンダーウーマン」が女性ヒーローとして、そして女性の社会進出や自立の象徴として何十年もかけて時代と共にアイコン化していったのと比べて、ハーレイの現代的な女性の象徴としての変化はワンダーウーマンと比べると相当に短い期間で描かれてるのが面白い所。

 

今回収録されてるのは古いのが1999年から新しい方が2014年と、15年分の開きがありますが、いわゆるピエロコスチュームじゃないのは最後の1本のみ。映画の「スーサイドスクワッド」に合わせて出た本ですけど、基本的にはその前までのハーレイのデビューから一度目のリニューアルに至るまでの話が中心。そういう意味じゃ映画からハーレイに入った人にとってはあれこんなキャラだっけ?っていう感じはちょっとあるかも。

 

私がハーレイを知ったのって、やっぱり最初に日本語版が刊行された超名作の「マッドラブ」からです。その後に2度もリニューアルして発売されたくらい、ハーレイと言えばこれ!という名作中の名作。基本私は再販とかリニューアル版とかは買って無い方ですが、なんかマッドラブはついつい全部買ってしまう。

 

なのでね、今回収録されてる話は、私にとってはハーレイってやっぱこうだよな、という思いもあるのですが、これが予想外に、映画以降のハーレイもやっぱりそれはそれで魅力的だし、私はヒーローの時代性や社会性の象徴みたいな部分が特に興味を惹かれる要素でもあるので、自分にとって馴染みのあるハーレイよりも、社会的な今の時代のアイコンとしてリニューアルされたハーレイの、ひとつ前の時代はこんなだったな、という比較対象として見る面白さみたいな所が、自分でも予想外の感覚でした。

 

つってもね、コミックデビュー作のBATMAN: HARLEY QUINN #1(1999)の方でも、すでにジョーカーに追い出されてアイビーと出会うとこから始まってて、言う程男に依存する都合のいい女の描き方でも無いな、とも思ったし、それでいて押しかけ女房的なギャグっぽい面白さも、それはそれで引き継いでるし、なんか最初からハーレイの色々な面が描かれててなかなか興味深いなと。

 

捨てても捨てても、どんな酷い事をしても結局は戻ってくる、都合のよい女、みたいな存在でありながら、逆にそれを男の理想とかにせず、ハーレイの異常性みたいな風にも思えるし、なんとなくそこには批評性みたいな所が見え隠れする感じなのが面白い。勿論、描いてるライターや話にもよるけど。

 

そこはハーレイになる前の、ハーリーン・クインゼルという人が精神科医っていう設定が上手く生きてる。今回収録で個人的に一番面白かったのが「LEGENDS OF THE DARK KNIGHT 100-PAGE SUPER SPECTACULAR #1(2014)」って話で、ハーレイがバットマンに対して精神分析をする、というのがあって、何だかんだと一応最後はバットマンの方が上手だった、的なオチはつくものの、バットマンに対して、あんただって異常者だよねって、ちゃんとした分析を叩きつけられる辺りがハーレイらしくて面白い。

 

これがジョーカーだとね、おかしいのは世の中の方で、こんな狂った世界で正気を保てるお前らの方がよっぽど異常者なんだ、というのがジョーカーの本質なんですけど、ハーレイは元精神科医というのもあって、逆に冷静に分析した上であえてやってる感みたいなものがあって、決してただの女版ジョーカーではなく、ハーレイはハーレイなりのキャラクター性があって面白いな、という気がする。

 

アイビーとのレズビアン的な関係性もあれば、女性の自立みたいな流れで、アマゾン族の施設に入ってたりする話もあるし、ヴィラン、或いは女のヒーローだって、時に女の子のあこがれになる、みたいな話もあって、色々なアプローチが試されてるんだなってのと、オムニバス集として色々な方向性の話が読めるのはとても楽しい。

 

ハーレイ・クインの歴史を知るにはもってこいの一冊でした。



 

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今回紹介した方が先に出た本ですが「ハーレイ・クインバーズ・オブ・プレイ」とDetective Comics#831(2007)が収録作としては被りアリでした。

 

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魔法つかいプリキュア! ボーカルアルバム リンクル☆メロディーズ

魔法つかいプリキュア!  ボーカルアルバム リンクル☆メロディーズ

発売レーベル: Marvelous
2016年
☆☆☆☆


TVアニメ『魔法つかいプリキュア!』のキャスト&シンガーが歌う全曲新曲のボーカルアルバム

ふたつの世界
つなげる旋律(メロディー)


春映画の次は何にしようかな~順当に秋映画?ドラマCDにしようか?小説もあるしな、とか思いましたが、結局どれでもない最初に出たボーカルアルバムをチョイスしてしまいました。


■01 夢までふたり乗り♪
 歌:朝日奈みらい(CV:高橋李依
 作詞:深青結希、作曲・編曲:若林充

■02 キラリ☆100カラットの奇跡
 歌:キュアミラクル(CV:高橋李依)、キュアマジカル(CV:堀江由衣
 作詞:青木久美子、作曲・編曲:高木洋

■03 ないしょ♡のゆめワルツ
 歌:モフルン(CV:齋藤彩夏
 作詞:辻純更、作曲:合渡恵子、編曲:奥田もとい

■04 キラキラしちゃえ!
 歌:花海ことは(CV:早見沙織
 作詞:木本慶子、作曲:高取ヒデアキ、編曲:川瀬智

■05 ハッピー!ラッキー!ラブリーDAY!
 歌:ジュン(CV:金田アキ)、ケイ(CV:吉岡麻耶)、エミリー(CV:橋本ちなみ
 作詞・作曲・編曲:Funta3

■06 キミだけの魔法
 歌:校長先生(CV:内田夕夜
 作詞:六ツ見純代、作曲・編曲:岡野裕次郎 (TRYTONELABO)

■07 Beauty of truth
 歌:バッティ(CV:遊佐浩二) 、スパルダ(CV:小林ゆう
 語り:ガメッツ(CV:中田譲治
 作詞:Manami (TRYTONELABO)、作曲・編曲:滝澤俊輔 (TRYTONELABO)

■08 言葉のエメラルド
 歌:キュアフェリーチェ(CV:早見沙織
 作詞:紘瀬さやか、作曲・編曲:片山修志 (Team-MAX)

■09 リンクル☆メロディーズ
 歌:北川理恵
 作詞:大森祥子、作曲・編曲:加藤賢二 (Team-MAX)

■10 憧れは魔法にのせて
 歌:リコ(CV:堀江由衣
 作詞・作曲:藤本記子(Nostalgic Orchestra)、編曲:福富雅之(Nostalgic Orchestra)[2]


の10曲を収録。OP・EDは入って無いですけど、EDを声優が歌うってのもまほプリからの変化なので特徴の一つとも言えるかな。

 

ええと、私は普段音楽はIpodに入れて聴いてるんですが、基本的にはOPEDと挿入歌しかほとんど入れて無い。今は行けてないですが、たまに長距離ドライブの時とかに適当にキャラソンアルバムとかひっぱり出してきて聴くくらいで、CD買って直後はしばらく手元にはおいてますが、後はしまっちゃうようなのがパターン。

 

今回もまほプリ感想を書こうとひっぱり出してきたわけですが、意外とIpodでリピートして聴いてる曲が多かった。ただ、実際にTVシリーズで挿入歌として使われたのは2曲目の「キラリ☆100カラットの奇跡」のみ。

まほプリ伝説の49話ですよ。私も震えました。心の奥底から震撼した・・・というのはコンプリートブックの時に多分語るので、それはさておき、元々挿入歌用として作られた曲では無いので、確か後になってからipodには入れたんだったかな?

 

当時CD買って、しばらく聴いてIpodにも取り込みしてたのは5曲目の「ハッピー!ラッキー!ラブリーDAY!」と7曲目「Beauty of truth」と8曲目の「言葉のエメラルド」の3つ。挿入歌でもないのに入れてたのは、もう単純に好きだったんでしょうね。

 

「ハッピー!ラッキー!ラブリーDAY!」はジュンとケイとエミリーのいわゆる補修メイトの3人での曲です。


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マホウ界側のセミレギュラーとして、この子達がプリキュアになってもおかしくないと思わせるようなデザインにされた3人。セリフありの曲が好きっていうのもあるんですけど、楽しいんですよ、この曲。

 

今回のアルバムで言えば校長先生の曲も入ってたりしますが、サブキャラの中でもレギュラーというよりセミレギュラーぐらいだった補修メイトのキャラソンが作られる事自体が珍しい。

多分、シリーズでは初代以来だったかな?「ふたりはプリキュア」だとニセプリキュアこと京子夏子のキャラソンもあったりしました。夏子役の小清水亜美は言わずと知れたキュアメロディですが、京子役の名塚さんも「まほプリ」ではリコのお姉さんのリズ役です。リズもセミレギュラーくらいの出番はありましたが、残念ながらキャラソンは無し。ナシマホウ界側のセミレギュラーだったまゆみちゃんとかなちゃんも無いので、そこ考えると補修メイトは扱いが良くて嬉しい限りです。

 

そして7曲目の「Beauty of truth」はバッティさんスパルダさんガメッツさんと前半の3幹部。ガメッツさんは歌ってよりは語りですけども。敵側のキャラソンってのもプリキュアでは珍しい。


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このケースは「スプラッシュスター」の「七つの泉を奪還せよ」以来だったかな?ガメッツ役の中田さん、ノリの良い人なので、放送当時もツイッターで結構ガメッツネタをツイートしてくれてた気がします。


でもって8曲目「言葉のエメラルド」


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これ、メチャメチャカッコ良くないですか?
フェリーチェのキャラソンなんですが、これ挿入歌で使ってくれないかな~ってずーっと思ってました。まあフェリーチェってキャラ的にはカッコよさよりも、慈愛な感じの印象の方が強いので、無双的な戦闘シーンとかあんまり無かったですし。よくネタにされますが基本はリンクル!ピンクトルマリン!を酷使しまくってたので、実際合うようなシーンあんまなかったかも。

 

緑色キュアも近年はだいぶ増えたので、誰か緑キュアMADとか作ってこれをBGMにしてくれたらな~とか妄想してます。すごくカッコ良くてお気に入りの曲です。

 

今回、CDひっぱり出してきて聴いてて、1曲目の「夢までふたり乗り♪」とかも、高橋李依まだこの時新人なのに、表現力が凄いなと思うし、「みんなで歌う奇跡の魔法」の時もそうなんですけど、みらいちゃんは音程をきちんと歌うとかを気にする子では無いので、感情の方にふってレコーディングしたとか言ってましたし、そりゃありえりーこの年に新人賞とるわけだ、と納得させられます。

ベテランならともかく、あえて崩して歌うってなかなか新人には挑戦しにくいですよね。舞台挨拶とかもそうですが、度胸あるなぁって思いますわ。東映に許可とって、今でもツイッターのプロフィール画面をまほぷり48話49話のエンドカードにしてくれてるとこにも愛情を感じられてとても好き。

 

という事で気持ちがまほプリに乗ってきたので次は映画にしようかな。


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アナベル 死霊博物館

アナベル 死霊博物館 [DVD]

原題:ANNABELLE COMES HOME
監督・脚本・原案:ゲイリー・ドーベルマン
アメリカ映画 2019年
☆☆☆★

 

<ストーリー>
超常研究家ウォーレン夫妻の家に、強烈な呪いを持つ一体の人形が運び込まれた。その人形の名は、アナベルアナベルは地下の“博物館”で、他の呪われし品々とともに厳重に封印された。夫妻が仕事で家を空ける、ある日。娘のジュディは年上の少女のメアリー、ダニエラの3人で一夜を過ごすことに。しかし、ダニエラが“警告 決して触るな”と書かれた博物館に勝手に入り込み、アナベルの封印を解いてしまう。それは、少女たちの想像を絶する悪夢のはじまりとなった……。


という事で死霊館ユニバース7作目。アナベルシリーズとしては3本目。ウォーレン夫妻が保管・管理する為にアナベル人形を持ち帰ってきたものの、夫妻が不在の時に、ひょんな事から封印が解かれ、娘のジュディに災厄が襲いかかる、といった内容。

 

死霊館シリーズ、凄く面白いんだけどぶっちゃけ内容はほとんど憶えて無い。アナベル前2作も当然見てるんですが、どんな話でしたっけ?2作目の「死霊人形の誕生」は最初の持ち主が誕生日に普通に買ってもらった可愛い人形だったのが、実は呪いの人形だった的な話でしたっけ?

 

今回は死霊館のメインストーリーの方で無く、アナベルシリーズという脇の話なので、ウォーレン夫妻は最初と最後に登場するものの、メインで活躍する話じゃ無い。

 

頼りになる二人が居ないので、おいおいこれどうやって話を収拾するんだ?とその分、怖さは倍増。夫妻の話だとやっぱり最後はヒーロー的に悪魔を倒しちゃうよなって部分はありますしね。

 

で、その決着は・・・おいっ!そんなんでいいんかい!と思いっきり突っ込みたくなるラストでしたけども、そのオチの部分以外は本編とひけをとらない面白さで、個人的にはとても楽しめました。

 

いや楽しめましたっていうか怖がらせてもらいました、ですけど。

 

今回、娘さんと、ベビーシッターを頼まれた子とその友達の3人の女の子がメインなのですが、3人とも可愛い。

 

私はS気質はあまり無い方なので、可愛い女の子が恐怖におびえる姿を見て楽しいとかって方向では無いのですが、もっと単純にただ可愛い女の子を見てるだけでもおっさんにとっては楽しい時間なのです。

 

フリフリのドレスというか、フリルみたいなのでもテンション上がってしまうおっさんでもあるので、アナベルでさえ可愛いく思えてしまうという困った奴です。いや人形自体は可愛くないけど、アナベルが着てるドレスはかわいいんですよね、あれ。

 

そして死霊館シリーズ、過去作でも美術が良かったんですけど、今回もライティングとか画面の全体的な色合いとかその辺りもとても良い。私は美術とかそういう細かい所は他の映画見てて普段ほとんど気にしない方なんですけど、死霊館シリーズと今回の作品はその辺りの画面作りみたいなのが素敵です。

 

だってね、やってる事は安いB級ホラーと何も変わらないんですよ実際。でもあまりそのチープさを感じさせないんですよね。そこは多分、画面の作り方だと思うんです。内容的にはただのB級なのに、なんとなく上質な映画を見てる気分にさせられるのは、その辺りに秘密があるんじゃないかと私は思います。

 

つーかネタバレしちゃいますけど、今回、誰一人犠牲者が出ないという、なんかこれちょっと日和ってねえ?いつからこんな甘い映画になっちゃったんだ?という気もしなくは無いのですが、そんなマイルドさをあまり感じさせない演出の面白さと十分な恐怖があって、それだけで意外と満足できてしまいました。

 

このシリーズって、いつも最後に悪魔の本体みたいなのが姿を現して、そこだけダサいなってちょっと思うんですけど、そこはキリスト教圏の人にはまた違う感覚なんだろうし、今回の映画で日本の鎧兜に憑いてる亡霊みたいなのがちょっとだけ出てきて、そこは日本人的には滑稽に見えるんですけど、そこもまた文化の違いがあるからこそ、の部分かもしれません。

 

度々色々な映画で書いてる気がしますが、私はフリードキンの「エクソシスト」1作目がフェバリット映画の一つです。エクソシスト物って全般的に好きで、それって何が好きかっていうと、神に殉じる気高さみたいな所がヒーロー的なものに感じられて好きなのです。神父さん=カッコいい、みたいな。そこは死霊館本編の方のシリーズにも共通してる部分で、今回も誰か途中で神父さんとか助けに来てくれないかな~とか思いながら見てた部分もあるのですが、助けに来たのはとなりのひょろいお兄ちゃんでした。

 

いや彼みたいなのもカッコいいし好きだけどさ。その代わりではないですが、娘が両親みたいに神の名において~的に何度か悪霊を追い払うシーンがあって、そこはとても好きでした。ヒーロー物のビギニング的な感じというか、将来的に娘が成長して両親の魂を受け継いでいく、みたいな路線もありかも?なんて思わせてくれて、冷静に見ると大した作品でも無さそうだけど、なかなか魅力的な部分も多い作品で、思った以上に楽しませてくれた1本でした。

 

さて次は最新作「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」です。
なんだこのいかにもシリーズが尻つぼみになって迷走しまくった感のある邦題は。


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