僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

週刊プレイボーイ 31・32合併号

週刊プレイボーイ 2020年 8/10 号 [雑誌]


刊:集英社 2020年7月20日発売
☆☆☆


戦隊ヒロイン特集という事で買ってみました。
キラメイグリーン/速見瀬奈役の新條由芽の40分くらいのDVD「100パーセントのヒロイン」なんてのもついてくる。定価540円。

 

プレイボーイって過去に買った事あったっけかな?基本的にこの手の週刊誌みたいなのは特に普段は触れる事はありませんが、コンビニとかで見出しが目に入って気になるとことかあればそのページだけパラパラと立ち読みとかする事はあるかも?

 

今回は歴代戦隊ヒロインのグラビアとかで、一人二人だけでなく特集っぽかったのでせっかくだからと買ってみました。

 

基本的に私、グラビアとか写真集的な奴も全然興味無くって、それなら10万字インタビューとか、ガッツリ読むほうが好き。あ、リュウソウジャー公式読本買ったけどまだ読み終えて無いので終わったらそのうち感想上げます。あれくらいの読み物の方がいい。

 

今回の週プレは坂本F監督のインタビューとか、前日お亡くなりになられた戦隊の生みの親とも言える東映プロデュサー吉川進さんの追悼記事なんかも載ってるようでしたので、じゃあ買って読んだ方が早いかなと。それぞれ2~3ページしかなくて拍子抜けしましたけど。

 

当たり前ですが、戦隊特集のムック本みたいなものじゃなくて、あくまで通常の週刊プレイボーイっていう雑誌の中での戦隊特集みたいな感じ。

つーか週プレって沢山連載があって、市川紗耶に宇垣美里、高橋ヨシキとかも連載してるんですね。アトロクファミリーが3人も居るのか。週プレって変な話、下世話な大衆紙ってイメージでしたが、そんなアトロクファミリーみたいなサブカル連中が連載持ってるとか、色々と大衆性とサブカル文脈の時代が昔とは違ってるんだなぁとか勉強になりました。

 

で、戦隊ヒロイン絡みですが、新條由芽としてのグラビアやDVDだけでなく、冒頭が「陸上選手の速見瀬奈のグラビア」という劇中の設定を踏まえた形でのスチールになってる。勿論、ちゃんと東映のクレジットも書いてあります。そこは面白いなと思いました。

 

ツイッターで昨日「#スーパー戦隊を子供達に返せ」みたいなハッシュタグがちょっと賑わってたのですが、元を辿ると韓国からのクレームのようです。しばらく前にも女児向けアニメの「プリパラ」シリーズだかの抱き枕の販売とかで、それは子供向けコンテンツの性的搾取だ、みたいなクレームが韓国から入って問題になった事があったのですが、それに近い感じなのかなと思います。

 

韓国は文化としてこういうの厳しいのかな?それとも韓国でも一部の過剰に反応した人が騒いでるだけなのかそこはわかりませんが、どちらも公式が許可したもので、当然ストレートな18禁要素なんか全く無いものです。水着=下着=裸、みたいな発想なのかな?本人はやりたくないのにグラビアを強要してるとかではないと思うのですが・・・。むしろ本人が綺麗な自分を見てほしいとかでこういうのはやってるんじゃないのかな?グラビア業界とかアイドルとか私は知らないので詳しい所はわかりませんが。

 

成人男性向け雑誌に載せるとはいかがなものか?みたいな所もあるのかもしれませんが、週刊プレイボーイって所謂エロ雑誌みたいなのじゃなくて、あくまで男性向けの週刊誌です。

 

私もそういえばと思って気になって調べてみたのですが、よくアメリカ映画とかに出てくる雑誌の「PLAYBOY」ってのがありますよね?金髪おねーちゃんのおっぱい丸出しのグラビアを、兵士とかがこれたまんねーよなとか壁に貼ったりするあの「PLAYBOY」誌とは無関係だそうな。日本の「週刊プレイボーイ」にはそもそもヌードすら載って無かった。完全にアダルト向けだとAV女優のつぼみの連載ページとか、AV紹介コーナーが3~4ページあるくらい?勿論、裸は載ってません。

 

これを子供向け作品の性的搾取とか言っちゃったら、グラビアをやってる女優さんに逆に失礼。東映に無許可で作品のキャラクターを使ってるはずがないし、TVのクレジットでも、ちゃんとこれは役ですよ、俳優が演じてるものですって役者の名前を出してるんだから、あまり役と同一視してしまうのも、もうそんな時代では無いんじゃないかなぁと個人的には思います。スーツアクターのみ別枠で役名無しのクレジットにはなってはいますけども。1年間、ヒーロー役を演じた後も、役者さんは自分の人生を歩んでいくわけですから。

 

逆にそこを子供に教えるのも親の役目ですよね。実際に変身してスーパーパワーを使えたりは現実では出来ないけれど、それとはまた別の形で、世の中の役に立ったり、困っている人を助けることは出来るんだよ、変身は出来ないけどヒーローにはなれるんだよって教えてあげればいいのに。

 

で、グラビアの話に戻ると、ゴメンなさい役者名は打ち込むのが大変なので変身後の役名の方で書いちゃいますが、キライメイグリーンがメインでページ多くて、後はキラメイピンク、イエローバスター、カメレオングリーン、風のシズカが撮りおろしグラビア。

 

私が好きな戦隊ヒロインのトップに君臨する小宮有紗イエローバスターの写真のキャプションが爆笑物。「何故ローラースケートを?」うん、何故なの?しかも水着でナパーム撮影とかやってるし、バカすぎて最高です。このわけわからないくらいが戦隊っぽくていい。いや元の「ゴーバスターズ」って戦隊屈指のシリアスさなんですよ。コメディ回も中にはあるけど、決してこういうノリの戦隊なわけではない。でも楽しいし、ヨーコちゃん可愛いし、このわけのわからなさがインパクトあって今回のグラビアの中では最高でした。今は「ラブライブサンシャイン」の声優としても売れてますね。

 


後は週プレに過去で撮影した奴の再録みたいな感じです。2ページで3人分。
プテラレンジャー、オーピンク、ピンクレーサー、ギンガピンク、タイムピンク、デカピンク、メレ様、マジブルー、シンケンイエロー、ボウケンイエロー、ボウケンピンク、ゴセイピンク、ゴーオンイエロー、ケガレシア、ゴーオンシルバー、ゴーカイピンク、エスケイプ、モモニンジャー、ジュウオウシャーク、パトレン3号、リュウソウピンク。
オーピンクとゴーオンシルバーが1Pのインタビューあり。

 

最近だとパトレン3号の奥山かずさが、リアルタイムの時からやたらとグラビアでの露出が多かった印象。私が見るタイプの映画だと、あんまり戦隊女性OBが出てくる事は無いのですが(男性だと松坂桃李は勿論、ゴーカイブルーが結構頑張ってる印象)やっぱり1年分戦隊を見ると、思い入れも出て来ますし、スーパー戦隊好きとしては戦隊出身者は応援していきたい所です。

 

今回、たまたま買って読みましたが、ガッツリ読む込むような本ではないにせよそれなりに楽しめました。

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ドクター・ストレンジ: 魔法大戦

ドクター・ストレンジ:魔法大戦 [DVD]

原題:DOCTOR STRANGE
監督:パトリック・アーチボルド、ジェイ・オリヴァ、ディック・セバスト
原作:MARVEL COMICS
OVA アメリカ 2007年
☆☆★

 

マーベル・アニメイテッド・ユニバースの第8作目。
ドクター・ストレンジのオリジンとドーマムゥを撃退するまでが描かれる。

 

MCU映画の10年前に作られたOVA。オリジンからドルマムゥ戦と、映画に近い素材なので、どうしても比較して見てしまいますが、映画はいかに頑張って作ってたかがよくわかります。いや勿論この作品を頑張って無いなんて言うのも違いますけど、どうにもセンスが古臭い。MCU以前のマーベル映画に近い感じがしました。

 

ブレイドを皮切りにX-MEN、スパイダーマン、ファンタスティックフォー、ハルクにデアデビルパニッシャーゴーストライダーと色々とありましたが、あの時代にドクター・ストレンジが実写で作れてもこれくらいの作品になっちゃってたかも?なんて思ってしまいました。つーかこの作品がそもそも2007年ですしね。

 

あの時代はあの時代で勿論私は好きですが、ちょっと野暮ったい感じ。個人的にはX-MENに思い入れがあってが好きなんですけど、MCUと比べると、その時の昔の感覚のままずっとフランチャイズを続けてる印象が強くて、「ファーストジェネレーション」とか「ローガン」とか「デッドプール2」辺りは頭一つ抜けたものはありましたけど、好きな人は好きだよね、だけどその外までは届かないかも?感が個人的にあります。

 

こちらのアニメだと、実写映画にあった、世界がよじれるみたいなグラフィックの面白さが無くて、割とありきたりな魔法表現に終始してる感じ。今までに見た事の無い絵とかじゃなくて、どこかで見た事のある絵ばかりなのが古臭く感じる要因かも。

単純に魔法・超能力アクションみたいな部分ではそれこそ先日見た「ロシャオヘイセンキ」があまりにも凄すぎて、あれを見てしまった後だとしばらくはあの壁は越えられそうに無い感じです。

 

ただ、そんな中で、いかにもな東洋思想かぶれみたいな部分は面白いです。エンシェント・ワンの教えで、この石は重いと思っているから重いのだ、軽い物だと思えば軽くなる、みたいなのを西洋人で、尚且つ医者と言う生物の理屈まで知り尽くしている人間だから、どうしてもその先入観を拭えずにいる中で、理屈に合わない、物理的にありえない現実を見せつけられて、一体何だこれは?みたいになっちゃう辺りが滑稽だけどやっぱり面白い。

 

私も理屈や理論、物理学的にありえないものとか信じないタイプの人ですが、それでもオカルトとか超能力とかそっち方面好きなので、ありえないと思いつつ、こういうのは結構好みなジャンルです。

 

密教の修行なんだか、カンフーの修行なんだかよくわからんオリエンタルな物をごっちゃにしてる感じがとても面白い。

 

あと、映画では触れていなかった部分で、ストレンジが医者を目指した切っ掛けが妹の命を救えなかった、っていうのが描かれてました。原作だと水難事故で妹を失ったっぽいですが、こちらは難病で、ストレンジがそれを治療しようとするも、力が及ばず、みたいなアレンジになっていて。自分の力が足りないから救えなかったんだと、そこにずっと囚われているものの、エンシェントワンはそもそも妹は救えなかった運命、それを受け入れない限りお前は前に進めないと諭す。この辺りの部分は「ドクターストレンジ」らしい部分かなと思う。

 

ソーサラー・スプリームを受け継ぐ下りとか、ストレンジにたまたま才能があった?部分とか結構雑に感じましたが、そこは「そういう運命なのじゃ」で良いんでしょうか。う~ん・・・運命って便利な言葉です。

 

でもまあ映画を見て原作を読んでこうして色々な関連作に触れてると、魔法って部分だったり、元は医者だったっていう設定とか、東洋思想なんかも含め、ドクターストレンジって凄く面白い要素がいっぱいあるんだなぁと改めて知る事が出来て、結構面白いです。

ハゲてないウォンとか、映画では最後に離脱しただけだったモルドの悪役っぷりとか、他では見られない部分もあって予想以上には楽しめました。


Doctor Strange: The Sorcerer Supreme - Trailer [2007]

 

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デッド・ドント・ダイ


ジム・ジャームッシュのゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』予告編

原題:THE DEAD DON'T DIE
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
アメリカ映画 2019年
☆☆☆★

 

<ストーリー>
警察官が3人しかいないアメリカの田舎町センターヴィルで、前代未聞の怪事件が発生した。無残に内臓を食いちぎられた女性ふたりの変死体がダイナーで発見されたのだ。困惑しながら出動した警察署長クリフ(ビル・マーレイ)と巡査ロニー(アダム・ドライバー)は、レイシストの農夫、森で野宿する世捨て人、雑貨店のホラーオタク青年、葬儀場のミステリアスな女主人らの奇妙な住民が暮らす町をパトロールするうちに、墓地で何かが地中から這い出したような穴ぼこを発見。折しも、センターヴィルでは夜になっても太陽がなかなか沈まず、スマホや時計が壊れ、動物たちが失踪する異常現象が続発していた。

やがてロニーの不吉な予感が的中し、無数の死者たちがむくむくと蘇って、唖然とする地元民に噛みつき始める。銃やナタを手にしたクリフとロニーは「頭を殺れ!」を合言葉に、いくら倒してもわき出てくるゾンビとの激闘に身を投じるが、彼らの行く手にはさらなる衝撃の光景が待ち受けていた……。

 


ジム・ジャームッシュとか久々に観ました。私が映画を沢山見るようになってから娯楽大作みたいなものよりすぐにミニシアター系の方を多く見るようになったので、その辺りからジム・ジャームッシュは活躍してて、「ブロークンフラワーズ」とか「コーヒー&シガレッツ」とかはリアルタイムで見た記憶があります。その後は忙しくてまた映画から離れてた時期があったので、結構間が開いてますが、なんか相変わらずでとても楽しく見れました。

 

特別好きな作家ってわけでもなかったので、見ようかどうかは迷ってたのですが、自分がゾンビ物をやるならロメロっぽい感じでなら行けると思ったから、というジャームッシュのコメントを見て、ロメロリスペクトなら見とかなきゃと足を運んできました。

 

うん、ロメロリスペクトたっぷりで面白い。パンフも買ったのですが、「ゾンビ」よりも「ナイトオブザリビングデッド」をかなり意識してある辺りがまた素敵です。私も「ゾンビ」と同じくらい「ナイト~」も好き。

 

微かに残る生前の記憶に導かれて、自分のこだわりの生活圏をさまよう、という所がロメロゾンビから引き継いでいる部分。

 

いや~、私がゾンビになったらブックオフとお宝ショップと映画館をフラフラしてるんだろうな~とか思っちゃっいました。

 

世の中がスマホゾンビになっていると感じたのがこの作品の発想の原点だそうですが、「ワイファイ」「ブルートゥース」「シリ」の3コンボは爆笑。オフビートコメディなので、基本的に派手なギャグっていう感じでは無いのですが、思わず何度か声を出して笑ってしまった。

 

もはや人外なのが当たり前で、人じゃ無い何かの専門役者的な立ち位置を掴んでしまったティルダ・スウィントンもまた素敵です。

 

ビル・マーレイアダム・ドライバーと女の人の警察官3人組のバランスも面白しい、わが身を見るようなオタク君も凄く良かった。

 

テーマ曲の「デッド・ドント・ダイ」は雰囲気あって好きですが、そこをメタネタで攻めたのと、オチらしいオチもなく終幕なのが若干気になった所ですが、作品としては嫌いじゃないです。世間がゾンビでアポカリプス物に走るなら、自分はこういう方向に行くよ、っていうのが素敵です。みんながメジャー志向ばかりじゃつまらないですしね。

 

更生施設?に居た子供たちがどうなったのか気になりましたが、パンフを読むと、せめて子供達には未来に向かって生きてほしいという意図だったようです。うん、こんな世界に生きてる俺らってバカだよね、でも君たちはそうならないで生き延びてほしい、という感じでしょうか。

 

じゃないと死んでも死にきれませんね!ゾンビだけに。

 

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ドクター・ストレンジ:ウェイ・オブ・ウィアード

ドクター・ストレンジ:ウェイ・オブ・ウィアード (MARVEL)

DOCTOR STRANGE:THE WAY OF THE WEIRED
著:ジェイソン・アーロン(ライター)クリス・バチャロ(アーティスト)
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2016年
収録:DOCTOR STRANGE Vol.4 #1-5(2015)
☆☆☆


地上最強の魔術師、ソーサラー・スプリームにして、世界有数のスーパーヒーローでもあるドクター・ストレンジにはもう一つの顔があった。怪奇現象に悩む人々を救うオカルト医師としての顔だ。
その日、ストレンジを訪ねてきた若い司書も、いつものありきたりの“患者”のはずだった。彼女こそ魔法界に迫る最大の危機の前触れだったとは……。
映画化で話題、鬼才クリス・バチャロの奔放なイマジネーションが弾けるドクター・ストレンジの最新シリーズ、ここに登場!

 

と言う事で、「ドクター・ストレンジ:プレリュード」にも1話目のみ収録されている単独オンゴーイング誌。5話目まで収録されてますが、ミニシリーズじゃないので、話としてはここから大きく話が広がる感じの序章で、話に区切りがつくキリの良い所までの収録じゃないのがちょっと残念。

 

ただ、映画で注目される事を見越しての、リニューアルした新しい語り口やキャラクター造形っぽい感じになってるので、入門編としては悪くないです。

 

オリジナルでスティーブ・ディッコが描いたサイケデリックなアートを現代風に今やるとこんな感じだよね、っていうアートが魅力の一冊です。

 

クリス・バチャロと言えば私がアメコミ読み始めた90年代に注目を集めた作家で、キャリア初期の頃の「ジェネレーションX」とかDC(バーティゴ)の「デス:ハイコスト・オブ・リビング」の頃のアートがメチャメチャ好きでした。


その後「X-MEN」本隊の方に移って、ディフォルメの効いた絵柄に変わって行って、それはちょっとなぁと思ってたのですが、流石にそこからさらに10年も経てばもう慣れました。今の絵も今の絵なりに結構好きです。

 

普通の人間には見えない世界が見えるストレンジの目を通して見る世界。これが凄まじくインパクトがあります。人間の顔にはバクテリアとか顔ダニみたいなの実際は住んでたりするでしょ?無害な物から有害な物まで様々あるけど、あれと同じだよ、と実は普通に別次元の妖魔が日常的にうじゃうじゃ住んでいる、という絵が凄い。

 

実は魔術師系のみの定例会があって、ドクター・ブードゥ、元アルファフライトのシャーマン、スカーレットウィッチ、X-MENのマジック他、別次元も含めた魔術師会でいつも話あってる、という設定がこの作品から作られます。魔法系、何だかんだと横のつながりありますもんね。75年ぶりの登場とかいうモナコなんてマニアックなキャラも。それマーベル怪獣より古く無いか?

 

ツイッターの画像で見たのですが、今は「ストレンジアカデミー」という魔術師学校のタイトルがあるようで、結構面白そうでした。映画2作目やる時にでも日本語版を是非出してほしいタイトルです。

 

「力には対価が伴う」みたいなのがキーワードにもなっていて、魔法も実はノーリスクで使っているわけではない、その分、実は色々な所にしわよせが来ている、という描写もなかなかにハードで、ストレンジの体も実はもうとんでもない事になってると、食ももうグロイ魔物のごった煮みたいなものしか受け付けず、という悲惨な状況も明かされます。

 

それでいて表向きは飄々としているストレンジのキャラクター描写とウォンの掛け合いが絶妙で面白い。

 

他次元のソーサラー・スプリームが次々と殺され、魔術の根源を司るそれぞれの次元も崩壊していく中、ついに黒幕が迫る、ぐらいで終わっちゃいますが、多分続きは出ないかな?何か他の本が出た時の解説書を待つくらいしか無さそうです。

 

解説書と言えば、今回の話には絡まないのですが、ストレンジの家族構成に触れてある項目があって、春壱版「ドクター・ストレンジ」にもあった、お父さん、弟、妹とその辺の事が書いてありました。なるほど春壱版はちゃんと元ネタを生かした形で描いてあったわけですね。勉強になりました。その辺りの原作エピソードも読んでみたい所。

 

何度も言いますが、中途半端で終わる本ですが、アートはとても魅力的なのでストレンジ入門編としては悪くないと思われます。

 

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映画 プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち

映画プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち

監督:志水淳児 脚本:成田良美
日本映画 2012年
☆☆☆☆

 

プリキュア映画12作目。オールスターズとしては4作目。TVシリーズ9作目「スマイルプリキュア」新人研修映画。

 

プリキュアオールスターズ最終作とされた「DX3」ですが、単独秋映画よりも興行成績の良いオールスターですので、簡単に終わったりは出来ません。

 

あからさまにインフレに達していたDX3の後のオールスターはどうするのか?初代から関わっていた鷲尾プロデュサーも抜け、2代目の梅澤Pがオールスターも制作。「NewStage」というタイトル通り、新たな次のステージへ進みます。

 

DXシリーズ、あるいはオールスター物はある種のお祭り映画である事は過去の作品でも語ってきました。派手な花火を打ち上げれば良い、細かい事は言いっこ無し、強だけの特別なお祭りを楽しんでね、というのがDXです。

 

そんなオールスターのお祭りが通例になって、当たり前の普通になった時、このNSでは何をしたのか?答えは「普通の映画を作る事」でした。

 

普通の映画って何ぞや?主人公の成長や変化のドラマです。(それが全てでは無いですが)これまでのオールスターズDXシリーズって、言う程ドラマ部分は重視されてなかった。強大な敵が現れて、新人プリキュアが先輩の助けを借りながら、なんとか危機を乗り越える。


一応は新人プリキュアが最初と最後を締める主人公っぽい立ち位置にはなってましたが、先輩プリキュアをただのメンター役だけに留めず、20数人分もの変身や必殺技や見せ場なんかが用意されるという、ただそれだけでも尺を使ってしまう状況。勿論、現行作品のファンだけでなく、過去のプリキュアも大活躍してくれるんだから、終わってしまった作品のキャラにまた会える、という満足感は非常に高い。ただその分、ストーリーやドラマにじっくり尺を割けないという問題も発生します。

 

ただでさえ子供の集中力を考えて約70分という短い尺でやってる中で、毎年4~5人づつキャラクターが増えてしまって全員に均等に活躍場面を作るだけでも精一杯。しかも前作よりもスケールダウンさせたくも無いしと、敵もますます強大になる。そういう事を素人ながらに考えるだけでも、なかなか大変ですよね。

 

オールスターという看板を掲げながらも、新しい作り方として導入したのが、映画用に、映画のみの主人公を置いて、その変化の成長ドラマとして一本芯を置こう、というのがこの作品における坂上あゆみちゃん。

 

プリキュアではなく、プリキュアにあこがれるだけの普通の女の子です。勿論、他のプリキュアに合わせてドラマを作りやすく中学2年生という年齢設定になってますが、あゆみちゃんは勿論、プリキュアを見ているメインターゲットの女の子達の代表です。プリキュアカッコいいな、素敵だな、でも自分はプリキュアにはなれない普通の女の子だし、と、そんなの感情移入度MAXじゃないですか!

 

ええ、私は幼女じゃないので、ホントにメインターゲットの女の子達がそんな風に思ったのかどうかは知りませんけれどね。

 

素人的に考えると、じゃあもっと年齢を下げてせめて小学生とかに設定した方が自分を重ね合わせてくれるんじゃないか?と考えがちですが、実はそこもまた色々と面白い部分。確かにより感情移入出来る子も居るんでしょうけど、半端に自分と年齢が近かったりすると、私はプリキュアになれないのに、なんでこの子はなれるの!悔しい!という嫉妬も生まれたりするようです。

 

男の子向けの「スーパー戦隊」でもそこは同じで、「五星戦隊ダイレンジャー」における小学生追加戦士のキバレンジャー「超力戦隊オーレンジャー」におけるキングレンジャーなんかも、小学生が変身者でしたが、思ったほどは人気が出なかったそうな。50人もプリキュアが居る中で小学生プリキュアがミューズ、一応エース、マシェリと3人しか居ないのもそういった事情もあるのだろうと推測出来ます。単純なようで意外と扱いが難しい。

 

で、そんなプリキュアにあこがれる普通の女の子のあゆみちゃんが、ひょんな事から意図せぬ形で、プリキュアの敵になってしまう。闇堕ちとかそういうのではなく、流れでそうなってしまう辺りの作りがとても上手いし、とても面白い。

 

え~、私プリキュアの敵になっちゃったの?どうしよう。
ドキドキしますねこの展開。

 

そんな中、プリキュア達から説得を受けるものの、あゆみちゃんはこう言います。私はあなた達みたいな特別な力は持っていない、あなた達とは違うんです!って。

 

なら協力するから一緒に行こうと言われ、しぶしぶ納得はするものの、肝心のプリキュアがピンチに陥る。もう自分しかフーちゃんに気持ちを伝えられる人は居ない。

 

そこでついにキュアエコーへとあゆみちゃんは変身するわけです。

 

「誰かを守りたい、そんなやさしい気持ちがあれば、女の子は誰だってプリキュアになれるのよ」

とミューズは言う。なんだこの展開。最高じゃ無いですか。

 

特別な力なんかじゃない。誰かを救いたいと心から願い、勇気を振り絞って一歩前へ踏み出すこと。それこそがプリキュアなんだと。見ているあなた達だって、きっとプリキュアになれる。

 

そんなメッセージだけでも100億点じゃないですか?


実はTVシリーズで加入が遅く、オールスターズも変化している時期だったのもあって、キュアミューズがオールスター映画でちゃんとした出番があるのはこの作品のみという、ミューズファンにはちょっと残念な部分ですが、これ以上無いくらいにプリキュアを一言で表せる、プリキュアシリーズの代表的な名言と言えるものをミューズが発した事は歴史に刻んでおきたい事実。

 

そして、そんな全ての女の子の代表とも言えるキャラクターが坂上あゆみ/キュアエコーなのです。私も大好きなキャラ。プリキュア大投票では一般キャラ部門であゆみちゃんが居たので勿論私は投票しました。

 

逆に映画としてそういう軸がある分、割を食ったのは新人プリキュアとして登場したスマイルチーム。ただ、そもそもキャラが濃いのと、画面上はあゆみちゃんよりスマイルチームの方が出ずっぱりなので決して目立ってないという事も無く、そこは映画の作りの上手さです。次作「NS2」にも絡むのですが、私は一番好きなプリキュアキュアハッピーです。勿論、投票もハッピーに入れました。キュアハッピーへの愛はNS2の時に語る予定。

 

オールスターズの恒例事項、作品としての存在価値として前作から次作への引き継ぎはちゃんと考えられていて、その分スイートとスマイルは出番が多いのですが、それ以前のプリキュアに関しては出番が激減。

頼れる助っ人として、その前の「ハートキャッチ」「フレッシュ」組は出番やセリフが少ないながらもセリフありで登場。ただ、そのさらに先が問題。助っ人として全員登場はするものの、セリフ無しでの登場。


個人的な感覚でしか無いですが、NSシリーズよりDXシリーズの方が良かったという人の方が多い印象ですが、その多くはその「セリフが無い」事に関しての評価になっているような感じがします。

 

気持ちはわかる。いくら画面に登場していても、セリフの一つすら無く無言なのは、また好きなキャラに会えたっていう感覚がどうしても弱くなってしまうし、むしろ雑な扱いだなぁというネガティブな感情も生んでしまいがちになります。

 

作り手側も、流石に大人数すぎて扱いきれない状況だったので、この作品から本当は直近の作品に絞るなりして、全員出す事は諦めて作ろうとしていたようですが、上からの鶴の一声でオールスターなんだから全員出すこと、と命じられたのだとか。

 

その功罪は一概には言えなくて、確かに声は無くとも出てきてくれるだけで嬉しいという部分はありますし、非常に難しい部分。

 

その「上」ってそもそも誰が言ったのかは明らかにはなっていませんが、スポンサーなのかな?私は勝手にそんな事を言うのは東映プロデュサー白倉伸一郎だろ!とか勝手に決めつけちゃってましたが、白倉さんが一度だけプリキュアに関わった事があったのは次の映画の「スマイル」劇場版だけでした。ちょっと勘違いしてました。白倉さんゴメンなさい。

 

白倉さん、「仮面ライダー」シリーズの方で、みんな思い入れのある過去のライダーをヒーローではなくただの商品として思いっきり雑な扱いで消費した前歴があるので、勝手にそう思っちゃってた。いや白倉さん平成ライダーをここまでブランド化させて、もの凄い功績を上げて東映の取締役まで出世しちゃった本当に凄い人ではあるんですけど。ヘイトを恐れないなんでもあり感はある意味東映らしさと言えなくもない。

 

勿論、この作品における過去キュアは仮面ライダーみたいに倒される為だけに出てくるザコキャラにはなっていないので必要以上に心配する事も無いし、逆にこの後にNSシリーズとして、セリフ入りで登場させられなかった作品を順番に拾っていくという気遣い、或いは抵抗を見せてくれる辺りがプリキュアらしさです。

 

でもってそんな声無し過去キュア登場場面でも初代は喋らないハンデを感じさせない、最高の見せ場として工夫して演出してある所は素晴らしい。タメに溜めての満を持しての伝説の初代登場を、テーマ曲を重ねる事で逆に見せ場として作ってある所にセンスを感じるし、そこでかかるテーマ曲が初代OP「マーックスハート!」じゃなくNSのOPである「えーいえんのーともだち!」である辺りがDXとNSの作風の違いが凄く表れてるような気がします。個人的にNSシリーズが好きなのはそういった作風の変化も込みです。

 

それはお祭りイベント映画から、「プリキュアオールスターズ」シリーズ」として次の段階に進んだ変化だと思うんですよね。最初は特異なものだった作品が、やがてはそれが定番化し、逆にスタンダードになってしまう、それはプリキュアというコンテンツが今でも何度も繰り返してきているプリキュアという作品の特徴的な部分でもあります。
そこを踏まえてみる「NS」の変化や挑戦は凄く面白い。


「DX」から「NS」で何を残して、何を変化させたのか。そこが見所でもあり面白さなのです。

 

このままインフレを続けてほしい、全員に同じ分量で見せ場を作ってほしい、そう望む気持ちはわかるけれども、現実問題それは難しい。それならば一つの作品として、映画としてより完成度を高めたものを作るその英断とその為の工夫がこの作品には物凄く詰まってます。私はそこを支持する。

 

以上、とっても大好きな作品「NS1」でした。でも「NS2」はもっと好き。


あ、サブタイトルが「みらいのともだち」でもリコは出ませんよ、一応。


「MAD」 プリキュアオールスターズNS 予告編 特別ゲスト出演

 


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ドクター・ストレンジ

ドクター・ストレンジ (週刊少年マガジンコミックス)

DOCTOR STRANGE
著:春壱
刊:講談社コミックス マガジン 全1巻
2017年(掲載2016-17)
☆☆☆★


“上から目線の天才外科医”には弟がいた!?“ドクター”・ストレンジの原点と未来。

 

映画の公開に合わせて週刊少年マガジンに「エピソード0」が掲載され、その後に電子アプリ「マンガボックス」で連載された作品のようです。
MCU映画に合わせて出る「プレリュード」シリーズの日本版独自版みたいなもんでしょうか。公式タイ・インとかでは無いものの、勿論マーベル監修。設定も映画基準で描かれた、漫画版ドクター・ストレンジです。

作者の春壱氏は現在はスターウォーズのスピンオフ漫画を連載中の様子。

 

えーと、まず最初にお断りしておきます。「僕のヒーローアカデミア」の記事でも少し触れましたが、私は「アメコミっぽい漫画」にはちょっと懐疑的な方です。日本の漫画もアメリカンコミックも、どちらも独自の文化で発展してきて、それぞれ別の良さがあると思ってます。なので、アメコミっぽいものを漫画でやったって仕方なくない?アメコミっぽいものを読みたいなら、わざわざ「っぽいもの」ではなく普通にアメコミ読めばいいんじゃね?とか思ってしまう方。

 

「ヒロアカ」漫画は未だ読んでませんが、アニメの方は見てて、凄く面白いです。ただその面白さはアメコミっぽさじゃなく、日本の漫画的な面白さ。或いは、アメコミ的な物を日本でやると比較してこうなる、みたいな「違い」の面白さです。

 

なので、漫画版のドクターストレンジ?え~そんなの誰が読みたいの?つーか面白いわけないじゃ・・・あれ?え?うん、凄く面白い。

 

とても面白かった。偏見は良くないね、とちょっと反省。

 

どういう面白さかと言うと、勿論アメコミの面白さとは全然違ってて、漫画らしい面白さでした。映画で見た魅力的なキャラクターや世界観を日本の漫画の文脈で描いた面白さです。

 

キャラクターの立て方や配置、ちょっとしたギャグなんかも凄く日本の漫画的なセンスで描いてある。そもそもMCUって元はアメコミのキャラクターですけど、単純に映画としても出来が良い物ですので、アメコミを真似して描いた漫画じゃ無く、映画のキャラクターを日本的なアレンジで描く、という感じなのかなと思います。

 

漫画は魔法ヒーローになる以前の医者時代がメインに描かれてますが、傲慢な性格は、実はストレンジ本人的にはちゃんと理にかなった理由があるし、傲慢に見えて悪い人じゃ無いんだよ、的な感じで描かれてます。


これがスタン・リーのオリジンだったら結構本当に嫌な奴として描いてあったりしました。で、その中にも良い部分はあって、反省の後に改心する、みたいな「変化」のドラマとして作ってあるわけですが、ある意味そこがアメコミちっくな面白さ。


こちらの漫画も勿論、「変化」はあるのですが、ちょっと繊細な感じで、逆にこういうのはアメコミには無いとまでは言わないまでも、日本の漫画らしい描き方だなぁと感じました。

 

あとは映画には出てない城ノ崎ジェマという日本ハーフの看護師がメインキャラとしてストレンジに鬼絡みするのですが、彼女の描き方や絡ませ方もとても日本の漫画的。ちょっとうざったい部分もありますが、逆にそこが魅力でもあり、まるでアメコミのキャラクターに漫画のキャラクターが絡んでいるようなメタ的な視点としても読めて、凄く面白い作りになってました。

 

「ヒロアカ」もそうでしたが、ただアメコミにあこがれてその真似をするんじゃなくて、日本人なら漫画でこういう描き方をするぞ、って感じになってるのがとても良いです。

 

ストレンジの家族構成とかはこのマンガのオリジナルなのかな?原作だとどうなってたかは私は知りませんが、元ネタがあった上でのアレンジか勝手に考えたオリジナルかは不明なものの、ストレンジが医者を目指したきっかけとか、それによって失ってしまった物とか、凄く漫画的な掘り下げ方をしていて、そこも面白い。

 

そうかと思えば、後半で「ドリームディメンション」とかが出てくる。確か映画では夢次元に入ってはいなかったはず。原作に出てくる要素なんですよねそれ。そういうマニア心をくすぐる要素もちゃんとあって、予想以上に面白かった。

 

前半は映画前ですが、後半は映画後のストーリーになってて、ウォンのビヨンセネタとか笑わせてくれますし、何気に「ドクターストレンジ1.5」と言っても良いくらいの話でした。うん、まあ流石にそれは言い過ぎか。その後のサイドストーリーくらいかも。

 

後半のヴィランの描き方がちょっとよくわからなかったり、ウォンが映画とは似て無いビジュアルだったり、映画で描かれてた音楽マニアの要素がどこかに消えてる感じとか、多少気になる部分はありつつも、予想を遥かに上回る面白さでした。

 

次とか、他のMCU関係の企画があったらまたこの人の漫画で読みたいと思わせてくれるものが十分にありました。映画は好きだけど、アメコミは入りにくいっていう人でもこちらの漫画なら全然アリかと思いますので、是非オススメです。

 

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スパイダーメン

スパイダーメン (ShoPro Books)

SPIDER-MEN
著:ブライアン・マイケル・ベンディス(作) サラ・ビチェッリ(画)
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2018年
収録:SPIDER-MEN #1-5(2012)
☆☆☆★

 

ピーター・パーカー×マイルス・モラレス
異なる次元(バース)のスパイダーマンたちが邂逅

 

2012年のミニシリーズで正史世界アース616のスパイダーマンとアルティメットユニバース版マイルススパイダーマンの共演作。

アニメ映画の「スパイダーバース」は勿論、原作の方で展開された「スパイダーバース」も2015年なので、それより先で、正史世界とアルティメット世界の初のクロスオーバー作。

 

2000年にスタートしたアルティメットユニバースですが、(「アルティメット・アベンジャーズ」の記事でも少し触れてますので参考までに)当初は他の世界とはクロスさせないと断言していたシリーズでしたが10年間は初志貫徹を守りながら、この作品でそれが解禁。

 

クロスオーバーは、それだからこその面白さはあるものの、初心者にはちょっとわかりにくい部分もありますし、完全に仕切り直して新しい読者に向けた過去を知らなくても楽しめる作品としてスタートしましたが、10年も経てば結局また初心者おいてけぼりになってしまう部分はあったのでしょう。

 

スパイダーマンも2代目としてマイルス・モラレス君がデビューを飾り、アルティメットユニバースとしても変化が必要になってきた時代だった、という感じでしょうかね。

 

結局は2015年のクロスオーバー作「シークレットウォーズ」において正史世界とアルティメット世界も統合、マイルス君も正史世界の住人となり、波乱万丈な人生を歩んでいく事になりますが、この作品の時点においては、アルティメット世界に正史世界のスパイダーマンが迷い込むという形でストーリー上はアルティメットユニバースの時間軸になります。

 

因みにこれ、解説書がものすごく充実してます。アルティメットユニバースの最初から最後までの基本的な流れとマイルス君の初登場から今に至るまでの流れがほぼ網羅されてて凄い。


解説書の濃さはヴィレッジブックスの方から出てる作品の方が基本的には充実してて、小プロは少し物足りなく感じる事が多いですが、今回のはとても良い。ちょっとした調べ物をする時にも役に立ちそうです。

 

で、お話の方ですが、映画版「スパイダーバース」に通じる部分もあって、本物では無いにせよ、決してまったくの別人とも言い切れない別世界における同じ存在。もう死別して二度と会えないと思っていた人との再会のシーンなんかがグッと来ます。

 

アルティメット版メイおばさん、グエンと正史ピーターが出会う。姿形は似ているけれど、だって本物ではないんでしょう?と最初は距離を置くし素直には受け止められないけれど、例え別世界だとしてもその本質みたいな所で、別の世界でも自分が愛した存在と同じ魂を持った存在なのだと、思わず涙してしまう姿にグッと来て泣きそうになりました。

 

メイ「ベンは今も…?」
ピーター「いえ、でも…全ては彼の為なんです。力があるのに僕はおじさんを救えなかった。僕がこの道を選んだのは、彼の教えを守るためです。大いなる力には…」
メイ「…大いなる責任が伴う」
ピーター「ええ」
メイ「あの子と同じね、ピーター」

失ってしまった存在と再び会えたら、ねぇ?

 

そこはモラレス君も同じで、意思を引き継ぐ決意をした当人に、自分の事を認めてくれるのかな?みたいな心配をしてる姿が可愛いし、ラストの別れもまたいいです。

 

逆に、別次元の自分はどんな奴だった?みたいなアルティメッツの面々が興味深々で聞いてくる辺りも面白い。特にトニーの反応がいちいち面白いです。基本的にアルティメットユニバースのキャラは性格がひねくれてる奴らがとても多いので(そこが正史世界との違いを生んで面白味の一つにもなっているんでしょうけど)結構新鮮に読めます。

 

映画版「スパイダーバース」は原作版「スパイダーバース」のタイトルやキャラを拾ってますが、ドラマの作り方は割とこれを参考にしてたりするのかも?ストーリーそのものは全部違いますけれど。

 

元凶のミステリオを捕まえて、とりあえずピーターは正史世界へ帰還。そういえば自分の世界にもマイルス君っているのかな?という所で、シークレットウォーズでの世界統合を経て、続編の「スパイダーメンII」に続く。

 

 

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