僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

機動戦士クロスボーン・ガンダム メカニック設定集

機動戦士クロスボーン・ガンダム メカニック設定集 (角川コミックス・エース)

MOBILE SUIT CROSS BONE GUNDAM MECHANIC EXPOSITION
著:長谷川裕一
刊:角川書店 角川コミックス・エース 2021年
☆☆☆☆

 

クロスボーンガンダムDUST」最終13巻に合わせて出たメカ設定本。
以前にダストの何巻目にだか特装版でついてたもののアッパーバージョン。

 

MSは勿論好きですが、設定うんぬんまで最近は読み込む程では無いので、設定本としてはそんなに期待しておらず、今回追加になった3万字ロングインタビューと、以前からその存在は語られてきたものの、公に出る事は無かったクロスボーンガンダム無印のトミノメモも収録という事で、そっち目的で購入。本編の最終巻はどこでも売ってましたが、こっちはなかなか見つからず、5件くらい本屋をハシゴしてようやく確保。

 

「ダスト」の感想はまた別にいずれ書くけども、こうなるとクロスボーンシリーズ最初から全部読みなおしたくなってきてます。

 

いや~、クロスボーンガンダムはやっぱり一番好きなガンダムコミックで、初代が一番好きだったりはするんですけど、続編もしっかり面白いんですよね。長谷川裕一の漫画はガンダムに限らず面白くって、全部は読んで無いのですが、「逆襲のギガンティス」の頃から好きで、版権物では「ビクトリーVファイブ」からの「ゴッドバード」も面白かった。

 

初代の頃からクロスボーンガンダムが好きだった身としては、絵が受け付けないって散々嫌われてきた時代もすごく知ってます。今だとメタルビルドになるくらい人気のMSになってますが、「Gジェネ」「スパロボ」とかに出る以前は正直そんなに人気は無かったように思う。富野も関わってる正当なガンダム作品であるっていう所で一部で評価されつつも、公式年表とかにも記載されないし、「ガイアギア」とかと同じでサンライズとかバンダイ非公認でしょっていうので二分されてたというか賛否の分かれる作品でした。

 

勿論、各々の感想は自由だし、どこに重きを置くかって人それぞれだとは思う。クロスボーンでさえ、初代は富野が関わってるからまだわかるけど、それ以降の続編は長谷川の同人みたいなもんでしょ、みたいな言われ方も未だにありますしね。

 

ただ、個人的にはそこってどうでも良くて、割と極端な事を言ってしまいますけど、世の中に溢れるガンダム漫画の中で、唯一長谷川だけが「面白い漫画」を描こうとしてるし、私が最大限に評価してるのって、戦闘シーンやクライマックスのドラマにきちんとしたロジックを持ち込んで、それを描こうとしてるから本当に面白いものになるし、そこが私にとっての評価軸になってたりします。

 

ガンダムうんぬんは関係無く、映画評論としてライムスター宇多丸がたまに言うんですけど、最後の勝敗を決める部分にきちんとしたロジックがあるものって実は意外と少なかったりする、と何度か語ってました。

 

決してそこが全てでは無いけれど、最後に主人公側が敵に打ち勝ったり困難を克服するにあたって、なんとなく気合とか勢いとか偶然で処理してるものが多いんだけど、そこに何かしらの納得出来るロジックがちゃんとある方が、そうかこういうやり方があったかって納得できて、より面白さとか爽快感が増すんですよね。実はそれをやってるのがガンダム漫画では多分長谷川裕一しか居ないのです。いや、探せばいくつかはあるかもしれないけれど、クロスボーンガンダムのシリーズは毎回それをやってるから面白いのです。

 

これをちゃんと指摘してるのって私は全然見た事無い。富野御大が唯一、長谷川君がこうやって長くやってられるのは他のガンダム漫画がやってない事をちゃんとやってるからだよ、ガンダムエースはいいかげんにその辺に気付いた方が良い的なコメントを出してましたが、多分そういう事です。

 

緻密な絵でもなければ、決して今風の絵柄でも無い。それでも何でこんなに面白いのかつったら、その辺りなんだけど、クロスボーンガンダムのファンであってもなかなかそういう指摘をする人居なくないですか?私はそこが不思議で仕方無い。

 

今回の3万字インタビューでも、ちょっとだけそれに関する部分に触れられてて、個人的にも、短編の時はそこまで拘らず、長編を書く時にはそれをやるのかな?って思ってたのですが、「理屈が面白い時と、理屈を度外視した面白さと言うのが両方あって、それはその時々でセレクトした方がいいんだということですね」との事でした。なるほど面白い。

 

あとは「ゼータガンダム1/2(ハーフ)」の時も、実は劇場版Zのダイジェストコミカライズを依頼されたんだけど、それは断ってゼータハーフになったっていうのも面白い。

 

Zガンダムのファンは長谷川の絵で描かれたZガンダムは読みたくないだろうし、長谷川のファンは原作をなぞった話は読みたくない。両方にとって損なものにしかならないから、それはやらない方がいいっていう判断だったようで、いやそれは確かに納得。誰も得しません。そこは流石だなぁと。

 

読み応えがあってとても面白いインタビューでした。

 

あとはやっぱりトミノメモが面白くって、元のプロットではザビーネ以外にも陣営を鞍替えするイドモン・バローっていうキャラクターが居て、「イデオン」で言う所のギジェみたいなキャラでしょうか?


「鋼鉄の七人」の時にキンケドゥは富野監督のキャラなので勝手に動かすのには抵抗があるけど、トビアは自分で考えたキャラなのでそこは自由に行けた的な事を言ってましたが、やっぱりプロットではトビアって全く存在してないキャラだったんですね。


他にもドワイトとかモニカ、リィズの事は考えなくて良いとか言いつつ、ドレルの事にも少し触れられてたり、シーブックもお前そんな展開になるの?っていう部分があって、本編でその辺無くて良かったね、と色々と興味深いです。

 

多分、シーブックって歴代ガンダム主人公の中でも高感度は上位クラスなキャラかと思いますが、映画のみで変な部分が描かれて無かっただけで、富野的にはもう少し貶める部分もあったのかと思うとある意味非常に富野的ではあるけれど、トビアを主人公に置いた事でカッコいいメンター役に徹しきれて良かったなぁと今更ながらにヒヤヒヤさせてくれます。

 

DUST完結に対しての五十嵐浩司氏の特別寄稿も本当に素晴らしい。コロニー落としから始まった宇宙世紀の戦争が、コロニーを着水させて命を救う形で閉じたというのがまたね、長谷川節だなぁと。もう片方ではコロニーで地球圏を脱出したり、長谷川じゃないけどGセイバーとかガイアギアも別に無かった事になるわけじゃないんだろうけど、一つの締めとしてはやはり上手い。

 

非常に読み応えのある一冊でした。
あえて言うならメカだけでなくキャラもきちんと入れて欲しかったかな。

SHIROBAKO 13~24話

SHIROBAKO Blu-ray プレミアムBOX vol.2

 

監督:水島努
日 TVアニメ 全24話 2014-15年
☆☆☆☆☆


NHK-Eテレでの再放送、見終わりました。いや2週目でもメチャメチャ面白かったなぁ。

 

個人的なクライマックスは1週目でも一番グッと来たずかちゃんのアフレコシーンです。ずかちゃんがね、軽くほほ笑むだけなんだけど、宮森がもう耐えられなくなって台本で顔を隠して涙するシーンですよ。あれを言葉で無くちゃんと絵だけでやった映画的な演出。

 

アニメを作る所を描いた作品ですから、実際にあれは監督なり脚本家なり演出なりが色々と考えて作ってるわけで、魂のこもった部分だなぁと思います。

 

私は映画オタクでもあるので、実写の演出術とかも比較して捉える事が出来るけど、アニメは全部をゼロから作るので、そこにあるものをどう撮るかっていう実写映画とはまたやはり少し違った部分があるように思う。

 

監督とかの意図や思いみたいなものは勿論両方に共通しているし、スタッフワークという面では実写映画だってとても重要だけど、アニメはチームなんだっていうのをシリーズ全体でより重要視して描いたSHIROBAKOの描き方はやっぱり上手かったと思う。

 

当然、同じアニメの制作現場を描いたとして、他の座組みでやればまた違った描き方もあるだろうし、そこは何が正解かどうか、とかの話ではない。今回のSHIROBAKOはこういう描き方やテーマで作った作品であって、それが本当に素晴らしかったと。それだけの事。

 

一応、宮森らかつての上山高校アニメーション部の5人っていうのを話のまとめ方として置いてあるんだけど、そこは正直まとめのための軸であって、それがSHIROBAKOという作品の本筋かと言えば決してそうではないわけですよね。

 

1クール目の時点では宮森と絵麻の2人だけがムサニ所属でしたが、2クールに入って、みーちゃんりーちゃんの2人も関わるようになって(いやりーちゃんもその前からディーゼルさんとしてお手伝いはしたけど)最後のクライマックスでずかちゃんも作品に関わる事になると。この辺の作りの上手さがありつつ、決してそこだけが話の中心では無いので、ちゃんと5人以外のスタッフも実際は同等の立ち位置で描いてある。

 

これね、ほぼ同じシナリオで例えばアニメでは無く何か他の物づくりみたいなものだったとしたら、例え一部のマニアには支持されても、絶対にここまで跳ねなかったはず。やっぱりネットで感想とか当たってても、アニメの制作現場ってこんな感じになってるんだって初めて知ったみたいなのが圧倒的に多いし、それがフックになったのは間違いの無い所。

 

私だって古参の老害オタクなりに、スタッフワークに関してもそれなりに注目はしてきたけれど、ここまで明確には知らなかった世界だし、そもそもアニメ制作におけるデスクの位置付けなんかは流石に注目した事はこれまで無かった。

 

そこ考えるとさ、この題材で、わかりやすい単純さを目指すんじゃなくて、わかりやすくしつつも、この登場人物の多さとかを恐れずにやりきってくれたのは本当に凄い事だと思うし、物凄~~~~く価値があるアニメだと思う。

 

単純に面白かったつまらなかっただけの安易な消費ではなく、例えもし作品が肌に合わなくてそんなに面白いとは思えなかったという人が居たとしても(そういう人も決してゼロじゃない。どんな作品においても)そこに今のアニメの現場はこんな感じなんだな、と思わせるだけの付加価値があったとしたら、それはとてつもない財産なんじゃないかなぁと思うのです。

 

10年後、20年後には話の内容とか忘れてしまうかもしれません。でも、アニメってこんな感じで作られてるものなんだな、っていう知識は多分残りますよね。そこ考えた時にさ、単純に「アニメ業界で働く5人の女の子の成長譚」だけにしなかったのは、登場人物が多すぎて多少飲み込み難い作品になっていたとしても、本当に素晴らしい決断だったなと思う。

 

そこはやっぱり「SHIROBAKO」単体としてではなくて、「お仕事シリーズ」という流れとして観た時も面白くって、1作目「花咲くいろは」は入りやすい間口の広さが優れていると思うし、2作目「SHIROBAKO」はアニメでアニメを作る話をやるっていう題材の選び方が優れていて、3作目の「サクラクエスト」は働くとか社会構造というものをきちんと学術的な視点や検証を踏まえた作りになってると言うのが優れた部分。それぞれが、それぞれにしか無い物をきちんと持ってる辺りがシリーズとしてみた時に、凄く価値のあるものになってるなぁと感心します。

 

劇場版の方もね、ただのキャラクター物に落とし込まなかったのが個人的には素晴らしかったと思ってますし(逆にキャラ物の続編として見てる人がこんな未来は見たくなかったって言ってる印象)この流れで近い内にまた劇場版が見たくなって来ました。

 

TV本編終盤の21話か22話だったっけかなぁ?みんなそれぞれの場所で酒飲んで管を巻くシーンがクライマックスになってるとか、なかなかね、そんなアニメ見た事無いですよ。でも、わかるわ~っていう共感が最高に心地良かった。

 

アニメ好きな人には、もし見て無いなら素直にオススメしたくなる貴重な作品です。

 

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ノマドランド

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原題:Nomadland
監督:クロエ・ジャオ
原作:ジェシカ・ブルーダー『ノマド:漂流する高齢労働者たち』
アメリカ映画 2020年
☆☆☆☆


企業の破たんと共に、長年住み慣れたネバタ州の住居も失ったファーンは、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、〈現代のノマド遊牧民〉として、季節労働の現場を渡り歩く。その日、その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく──。


忙しさもいくらか落ち着いてきそうで、そろそろブログ書いたり映画見たり出来そうな感じです。という事で見てきた「ノマドランド」感想。

 

アカデミー賞の有力候補というのもありますし、何より監督の次回作がマーベルで「エターナルズ」というのもあって、これは見ておかないと、という一本でした。

 

「スリービルボード」のフランシス・マクドーマンドが主演を務めつつ、企画制作も行っているようで、アメリカの車上生活者を取材しつつ、そこで知り合った人達を直接映画として組み込むという半ドキュメンタリーのような作り。

 

出てくる人がほとんどじいさんばあさんばかりという、高齢者を描いてる映画なんですが、ちょっと自分の母親を重ねてしまいました。私の母親は、いわゆるワーカーホリックみたいな人で、定年を過ぎてもまだ普通に仕事はしてますが、庭いじりくらいしかこれといった趣味も無く、友達も居ないタイプの人なんですよね。私自身がオタク趣味にひたすら興じるタイプの人ですので、もっと何か仕事以外にやりたい事見つけた方が楽しいんじゃないのかなぁ?とか思っちゃったりするわけなんですが、母親は本を読んだり映画を見たりする人じゃ無いので、視野が凄く狭くて、TVニュース程度のものが世の中の全てだと思ってる人です。(TVでこう言ってたんだから、みたいなのを安易に信じちゃう、いかにも昔の人)

 

まあそれはともかく、アメリカだけでなく、日本でも年金だけじゃ正直まともな生活も送れないというのは共通している部分。昔はセカンドライフというか、とりあえず定年まで働いて、引退した老後は好き勝手に生きる、みたいな風に思われていた時代もありました。
が!もはや先進国でも無くなって、高齢化社会で現実ではそうは上手くいかなかったというのが現状。

 

若い時には思わなかったけど、私ももう中年のおっさんですし、今の所家庭を持つとかもしていないので、この先どうなっちゃうんだろうな、というのは時に考えたりもする歳になりました。

筋肉少女帯 そして人生は続く - ニコニコ動画

じゃないけどさ、実際に人生は続くのだ。

 

これも昔は分からなかったけど、日本の若さ重視みたいな傾向もこの歳になると、それはいかがなものか、と思うようになって、私は歳相応の生き方があって、そうあるべきと思ってます。勿論、若く見られたい、気持ちだけでも若くありたい、みたいなのも話としてはわからなくはないし、年甲斐もなく、みたいな言い方も決して好きでは無いんだけど、変に若い振りをするよりも、歳を重ねてきたなりの積み重ねってあるんだし、それは逆に若い子はまだ持ってない部分なんだから、そこを重視すればいいのになぁ、若さでは負けるけど、老獪さで若造なんか蹴散らせるテクニックや頭があるでしょ、と常々思ってたりする。年寄りが無理して若い振りするより、歳相応のものをちゃんと持ってる方がずっとカッコいいのになぁと思います。

 

そういう意味じゃね、やっぱりこういう映画は素晴らしいなと心から思う。日本のコンテンツがいつまでも青春とかにしがみついてたり(それはそれを望む客が居るのが原因なんだけど)するのに対して、これがきちんと評価される世の中って、ずっと健全だと思うし、若い人向けのものもあれば、ちゃんとこういう歳を重ねた人をストレートに描く作品もね、両方がきちんと成立しているというのは凄く良いな、と思ったしだい。

 

作品としては、もう少しアメリカの貧困層の現実みたいなのを社会問題として警告するみたいな作品なのかと思ってましたが、予想してた感じとは少し違いました。(この作品の為に取材して書かれた原作本の方ではその面が強く出てるらしいですが)

 

リーマンショック以降の経済危機や格差社会の部分はあるにせよ(Amazonの出荷工場で働くって、利用してる身からすると結構う~んとなっちゃいますよね)アメリカのかつての遊牧民ノマドと今の車上生活者を重ねると言うなるほど確かにそうだよなって部分が非常に興味深かった。

 

ノマドと言えばですよ、アメコミファンとしては、かつてキャプテンアメリカが、今現在の国の理念を信じられなくなり、アメリカの名前を捨ててノーマッドと名前を変えていた時期がある。というのが割と知られていて、私もそこで流浪の民みたいなのを知ったっていうのがあったりします。

 

で、もう一人のキャプテンアメリカこと「イージライダー」をはじめとするアメリカンニューシネマとかヒッピームーブメントっていうのが70年代とかにあったわけですよね。あれも縛られた価値観からの解放と言うか、あの時代なりの自由の求め方でした。今回の映画での車上生活者も、あの時代を生きてきた人なわけで、かつては自分から自由を求めて家を飛び出した世代が、今度は家を失ってノマド=自由の民のような存在になる、というのが面白い所。

 

教祖様みたいな人が、経済というしがらみから抜け出した我々はもっと自由に生きていいんだ的な事を言ってましたが、そこが半分強がって言ってる部分もあるのかなとも思いつつ、それでも実際残りの半分は本当に自由を謳歌しているようにも思えて、なんだかちょっと憧れてしまいました。

 

コロナ禍でここ1年以上行けてないけど、私も自分の車とその身一つで好き勝手旅をするのが趣味です。まあ実際やってるのはただのオタクショップ巡りなんですけども。東北6県+新潟、そして北関東とか、まあ北日本全域かな、その辺りを行動範囲にしてますが(3県以上離れると体力的にもスケジュール的にもちょっと大変になりますので)他県にまで行くのって気持ち的にはしがらみからの解放的な部分があったりするからです。


いやそんでも仕事の電話入ったりしてゲンナリもするのですが。知らない土地で、自分の事を誰も知らない世界というのが本当に気持ちいい。そうやって日々のストレスとかを定期的にリフレッシュしてくるのが趣味です。

 

勿論、お金の節約の為、宿泊は車中泊です。道の駅とかさ、同じような車中泊の車で結構いっぱいだったりするんですよ。ああ~早くコロナ収束してくれるといいな。そんな経験をしているというのもあってか、この映画のノマド的な物というのもどこか身近に感じられた部分もあったし、結構あこがれる部分も多かった。私の旅はオタクグッズを大量に収集してくるので物欲まみれではありますが。

 

見た事の無い地域や景色、道路を走っているだけでもね、ドキドキワクワクして凄く楽しい。勿論、車が壊れたらどうしようとか、トラブルがあったらどうしようって不安もあるにはあるんです。でもそれ以上のものが旅にはあるのでやっぱりまた行きたくなってくる。

 

映画の方はアメリカの歴史や文化、社会構造や精神性とか色々な物を含む作品でしたので、私の物欲まみれなオタク旅と同一したら矮小化もいいとこだって気はしますけど、なかなかに響く作品ではありました。


いわゆる娯楽作ではないので、退屈に感じる人も多そうですが、私にとっては結構響く旅映画でもありました。

 

苦しむ事は多いが、哀しむ事は無いのだ。そして人生は続いていく。

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ウエスト・コースト・アベンジャーズ:あぶない!?新チーム誕生

ウエスト・コースト・アベンジャーズ:あぶない!? 新チーム誕生

WEST COAST AVENGERS VOL.1:BEST COAST
著:ケリー・トンプソン(作)
 ステファノ・カセッリ(画)
訳:吉川悠
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2021年
収録:WEST COAST AVENGERS #1-4(2018)
 YOUNG AVENGERS PRESENTS #6(2008)
☆☆★


経験者優遇、未経験者可。面接の応募はホークアイ探偵社まで!

もう一人のホークアイことケイト・ビショップが拠点とする西海岸ロサンゼルスは、今日もヘンテコな事件で大混乱!
西海岸の平和を守るには、新たなヒーローチームが必要だ――
そう考えたケイトは、新たなチームをイチから立ちあげることを決意する。
だが、集まったのはクセ者揃いの問題児ばかりで……?
アメリカ・チャベス、フューズ、キッド・オメガ、グウェンプールら
個性派ヒーローたちによる新時代のアベンジャーズ、ここに誕生!
西海岸に危機が迫る中、はたして彼らは力を合わせ、地球の平和を守れるか!?


時系列上は「シークレット・エンパイア」後の仕切り直しの渦中で、2代目ホークアイこと、ケイト・ビショップがLAで再起をはかる中、師匠であり、旧ウエストコーストアベンジャーズの創設者でもある初代ホークアイ、クリント・バートンと共に新たなアベンジャーズを結成する、という流れ。

 

NY拠点の本家アベンジャーズとか若手チームのチャンピオンズとカラーを変えて、こちらはドタバタコメディ路線。

 

劇中での時期は違えど、同時に出た「チャンピオンズ:チェンジ・ザ・ワールド」(時系列上はそっちの方が少し古い)のどちらにもグウェンプールが出てますが、チャンピオンズの方では完全に厄介者扱いだったプールも、こちらではさっぱりメンバーが集まらないが故に彼女でさえもチームの一員として迎え入れなければならないという落差がそれを物語る。

 

ホークアイと言えば、日本語版も全4冊完訳された名作マット・フラクション作のホークアイ個人誌のイメージが大きいですが、基本的な流れはそこを引き継ぎつつ、その後も色々と展開があった上で今作に繋がると。今回、吉川悠が翻訳担当なので、解説書も丁寧でその辺りはフォロー。

 

特別収録の「ヤングアベンジャーズプレゼンツ#6」
マット・フラクション(作)アラン・デイビス(画)も嬉しい収録で、元々は師弟関係でもなければ血縁も無いケイトがクリント不在の状況でホークアイを名乗っていた中で、ケイトとしては少々気まずい状況でありながら、きちんと若手の台頭を認めてあげるクリントがとても素敵。

 

元々ヴィランだったホークアイ、そして同じくスカーレットウィッチとクイックシルバー。キャップの元で彼ら3人がアベンジャーズになった時、世間からはとやかく言われたけれど、それでも信念を持って戦い続けた。

素性も知れぬどこの馬の骨かもわからない後輩だけれども、彼女の才能と未来を信じて背中を押してやるクリントがもう最高にカッコ良い。


いやぁ、昔は結構ヤンチャしてたホークアイも大人になったなと。この1話があるだけで、ケイト・ビショップが正当な後継者として認められた存在なんだなって思えて、凄く良い特別収録チョイスです。

 

私はどっちかと言えばどシリアスな話の方が好きですし、今風のヤンチャな若者とかには正直あんまり乗れなかったりするので、本編の方は少し微妙だったのですが、この特別収録の方の話だけでも十分な価値がありました。解説にもありますが、ライターがマット・フラクション作ですので、ここから個人誌の方に繋がっていったのでしょう。MCUドラマに合わせてそちらもいずれ再読したい所。

 

で、その乗れなかった方の本編なのですが、乗れないなりにはそれでも楽しめはしました。モードックならぬプロドックに、強大化ティグラをはじめとする怪獣大進撃に、ケイトも巨大化して対抗するというトンデモ展開。グウェンプールとキッド・オメガの頭おかしい二人の頭おかしい展開。最強クラスの能力者ながら、まず頭より手が出てしまうアメリカ・チャベスと、一筋縄ではいかないチームメイトに振り回されっぱなしのケイトが、なんとかクリントのサポートを受けながら奮戦する姿は応援してあげたくなってしまいます。

 

2巻も予定されてるようですので、楽しみに次を待ちたいと思います。

 

ああ、そうそう、解説で知ったけど、グウェンプールの能力のコマとコマの間を移動したりする能力は個人誌でしか使えない能力だったのね。本人も、これ設定変更じゃね?とか自分で言ってますが、コミックだから何でも出来るってなっちゃったらそれ際限無くなりますしね。ヴィレッジの「ワスプ」2巻にグウェンプールの第2シリーズの告知も入ってたのでそっちも何気に楽しみです。

 

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「映画 ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」主題歌シングル

「映画ヒーリングっど❤プリキュア ゆめのまちでキュン! っとGoGo! 大変身! ! 」主題歌シングル【CD+DVD盤】 (特典なし)

発売: Marvelous 2021年
☆☆☆☆☆

花びらが風に乗りひらりと舞う様な妖艶で美しいメロディの挿入歌「Grce Flowers」をTVシリーズの主題歌歌手 北川理恵が歌い、心に響く感動のメッセージが詰まった映画ED主題歌「やくそく」を前期ED主題歌歌手 Machicoが歌唱。挿入歌・EDともに映画の名シーンを彩る楽曲です。

 

と言う事で映画主題歌シングル。

OPはTVと同じく「ヒーリングっど♥プリキュアTouch!!」ですが、曲も絵もなんかちょっと雑な切り方されてたような?ビョーゲンズ出てくるシーンがカットされてたりするので、ちょっと違和感がありました。時間なかったんだろうか。

 

それはともかく、1曲目
「Grce Flowers」
歌:北川理恵
作詞:こだまさおり、作曲・編曲:KOHTA YAMAMOTO

 

カグヤフォームに変身するクライマックスで流れてました。本編の感想でも書いたけど、敵を倒す事では無く、大切な人を救う為にっていうのがプリキュア感あって凄く良かった。

 

OPと同じく北川さん歌唱の歌詞がこだまさおりさんという事で、ヒープリの顔って感じです。OPの時もそうでしたが、今回は北川さんが普通にシンガーっぽい感じの歌い方。

 

北川さん、プリキュアには「ゴープリ」からの参加ですが、ミュージカル俳優・舞台俳優が本業なので、これまでは割と芝居がかったというか、曲によって表情をコロコロ変える感じの所が個性だしカラーかなという印象もありました。


ゴープリ後期ED「夢は未来への道」が、まさにミュージカルっぽい曲調でしたし、そこからのまほプリOP「Dokkin♢魔法つかいプリキュア!」でその落差が凄かった。ライブ映像なんかを見てても、とにかくそのあふれるパワーが身体からみなぎってるのが凄く伝わってくる感じです。

 

が、ヒープリOPのレコーディングの時に、体動かさないで歌ってみて、というディレクションがあったらしく、そのみなぎるものを歌に集中させたんですね。これまでの曲と比べると、凄くクセの少ない歌い方って印象でしたが、今回も同じヒープリ曲というのもあってか、その延長にある感じ。

 

何かインタビューとかで言ってたっていうのじゃなく、個人的な感想ですが、そこはキュアグレースというキャラクターにも通じる部分じゃないかと思います。ヒープリ最終回を迎えて、プリキュアは一応全員が主役って形にはなってますが、ヒープリは根本的にはやっぱりキュアグレース/のどかちゃんの話だったよなぁとはやっぱり思った所でした。

 

アニメージュヒープリ増刊号」でグレースは花のプリキュアでありつつ、大地のプリキュアというイメージで作られていた、というのを知って、なるほど確かにそうだなって思ったのですが、これまでも「花」のプリキュアって沢山居ましたけど、グレースがちょっとそこともまた違うのは、「花」といういかにも女の子っぽい要素はいわば表の顔というか、表層的な部分なんですよね。のどかちゃんでいえば「やさしい女の子」という表面のイメージ。

 

ただ、そこだけじゃないよ。そのやさしさに溢れた部分の根っこにはもっと複雑なものがちゃんとあるんだよっていうのを描いたのがヒープリ。「Grce Flowers」もそうですし、次の「やくそく」の歌詞でもそうなんですが、そこに根差したものがあって、地に足をつけたとき、世界は繋がっているよ、っていうのがヒープリの世界観になってる。

 

だから、表層の綺麗なお花の部分だけを摘みとったりしないでね、っていう話だし、その綺麗な花を咲かせるには、大地・地球(アース)があって、そこにお水(フォンテーヌ)と光(スパークル)を与えてあげる事で美しい花が咲くんだよ、っていう感じのモチーフになってる。この辺、よく考えられた作品なんだなと感じます。

 

なので、北川さんもそのイメージで、地に足を付けてその思いを曲として咲かせてね、っていう感じなのかなと思いました。これまでのキャッチーで楽しい曲というより、素直に良い曲だなぁと思わせてくれる名曲。

 


そして2曲目の
「やくそく」
歌:Machico
作詞:六ツ見純代、作曲・編曲:森いづみ

 

スタッフロールの時に流れるエンディングテーマなんですけど、TVシリーズのこれまでの映像が流れるんですよね。もうこれが号泣ものでした。

映画だとこの演出は今回初めてだったっけかな?TVだと「スマイル」の時に最終回でこれやってましたよね。「スプラッシュスター」でもあったかも。

 

今回、例外的な流れもあって、初めてTVシリーズ終了後の映画という形になって、これでヒープリも一区切りっていうのも相まって、このEDが本当のオーラス、集大成感が物凄くありました。

 

「感謝祭オンライン」で初披露されて、その時にMachicoさんが歌ってくれたのですが、これがもうまた泣けて泣けて。

 

だって歌詞が「やくそくをするよ あきらめないと」ですよ?
これね、グレース役の悠木碧の気持ちそのものじゃないですか。

 

感謝祭の時も言ってたし、その後のインタビューとかでも言ってました。コロナでストップしたり話数短縮になってちょっと不遇な作品になったねって何度も言われたと。でも私はそんな風には全く思って無い、皆に希望が必要な時にこの作品を任せてもらったんだから、それはきっと特別な作品になったのであって、不遇なんかじゃないんだよって。

 

だからこその「あなたもプリキュア」という主張をしたんだし、これは良い意味での特別な経験だったんだって、強がりかもしれないけどそういう事だよって。

 

これもどこかのインタビューで言ってましたが、最初は「皆に求められる悠木碧」が自分が思ってたのとは少し違うように感じてきていたので、少し変えようと思っていたと、でも、今回はチームのフォンテーヌ役・依田菜津とスパークル役・河野ひよりがまだキャリアが浅いというのもあって、彼女達が先輩として頼ってくる悠木碧をやらなくちゃならないと思ったし、何より戦術のコロナ禍で散々な情をかけられる事になってしまった。皆が不安になってる時に、自分までが不安になってしまってはいけないというのがヒープリでの悠木碧の行動に繋がったわけで、その辺りは見ていても痛々しい程に伝わってきてました。

 

まさしく「やくそくをするよ あきらめないと」ですよ。仲間達・後輩達もそうだし、何よりプリキュアは子供達にとって本当に特別な希望たりえる存在なんだと知っているからこそ、折れずに、むしろ更に力を込めて立ち向かったと。

 

いっしょに夢見て いっしょに乗り越え みんなといる「今」
「生きてる」感じがする 

 

このメタな歌詞・・・というか歌詞ってそもそもそういうものかもしれないけど、まさに悠木碧であり、キュアグレースであり、花寺のどかそのものじゃないですか。

 

あの花も水も光も風も
あなたもわたしも
みんなで生きているんだから

 

画面のTVシリーズの名場面と共にこれが流れる。世界はこれからも続いていく、「生きてく」って感じ。彼女の、彼女らの「やくそく」を胸に。

うう、泣ける。

 

こういうメタ構造をちゃんと意識した作品ってやっぱり好きだ。プリキュアはなんと素晴らしいものであるのかと改めて思う。

 

メタ構造で言うならさ、前作の「スタプリ」映画の「Twinkle Stars」の歌詞が圧倒的に凄かったですが、あれはずっと先の未来を見据えたメッセージだったわけですが、今回のヒープリ「やくそく」は「今」と「これから」の視点なんですよね。そこも含めて、ヒープリはまた新しいステージに進んだなぁと、まさしく今を描いた作品でした。

 

・・・というような事を延々と思わせてくれる、ヒープリらしさ120%の超名曲。


正直な所、映画は大絶賛とまでは行かなかったものの、この2曲だけで映画を越えておつりが来るくらいとてつもなく良いものでした。満足。


【試聴】『映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』主題歌シングル

 

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映画 ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!


【本予告】『映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』

監督:中村亮太 脚本:金月龍之介
日本映画 2021年
☆☆☆★

 

プリキュア映画29作目。TVシリーズ17作目「ヒーリングっど♥プリキュア」の単独映画にして、今回は「プリキュア5」もゲスト参加のクロスオーバー作品。

 

通常であれば秋映画だったものが、コロナ禍でひとつ前の春映画が押されて秋になったので、こちらも通常の秋映画が春へずれる形に。結果的にTV最終回後の集大成っぽい位置付けになっちゃいましたが、おそらく時間軸的にはTVシリーズの途中だと思われます。TVシリーズ終わってから作ったって事は無いでしょうしね、同時進行で作ってるはずなので。

 

プリキュア5」が登場ってのもオールスターズ代わりというわけではなく、ドリーム役の三瓶さんが配信番組でちょっと触れてましたが、プリキュア20周年へ向けての試行錯誤の一環。鷲尾プロデューサーが20周年を目安に親子2世代コンテンツにしたいっていうのは少し前から言ってました。これまでは大人向けの部分を入れると、メインの子供達が自分達のものじゃないんだって思ってしまうから、そこは凄く気を使ってきたっていつも言ってましたが、今後も勿論子供達がメインでありつつも、親子が揃ってプリキュアを特別なものとして受け止めてくれるような仕掛けが少し出てくるのかなと。目標はライダーや戦隊って言ってた事もありますし。

 

逆に同時上映として短編でついてる『映画 トロピカル〜ジュ!プリキュア プチ とびこめ!コラボ♡ダンスパーティ!』の方は春のオールスター映画が出来なかった事へのフォロー。


次の秋映画はトロプリの単独作のようですので、今後はこれまでの春秋が逆になるのではなく、前作今作はあくまで特別処置という感じのようです。元々春映画は新シリーズのお披露目でありつつ、まだTVシリーズが形になっていない所から企画をスタートせざるを得ない分、ストーリー的には微妙になりやすい。ただそのかわり、前シリーズから現行シリーズへの引き継ぎという明確な目的や役目があるので、その伝統は残したかったんだろうなと。

 

春秋のそれぞれの映画の位置を逆にしちゃうと、また1から作品としての位置付けを定義しなきゃいけなくなる。それはそれで新しい物が生まれる可能性は秘めてるわけですが、そこはやっぱり20周年も過ぎてコンテンツとしてもっとマンネリや惰性が見えてきてからで良いのかなと。

 

で、この短編がメチャメチャ面白かったのですが、ここもね、新しいトロプリの短編ながら、プリキュアの歴史が詰まってるわけですよ。

これれまでの映画だと、「5GoGo」秋映画にオールスターズ短編がついたのが最初で、そこから単独のオールスターズ映画が生まれる切っ掛けにもなったし、「まほプリ」「プリアラ」の秋映画でも実験的CG短編がついてたりしました。


大人と違って子供達はやっぱり新しい今のプリキュアが見たいわけで、じゃあスケジュール的には大変だけど、短編でも良いからやろうよってなったのは、そういう過去の積み重ねがあったからだろうし、そこで短編の監督を受けてくれたのは「オールスターズDX」「スマイル」の大塚隆史監督ですよ?しかも初代キャラデザの稲上さんが作画監督。たった5分の短編にこれぞプリキュアっていう要素がたっぷり詰まってる。その背景にはプリキュアの歴史がギュッと凝縮されて、コンテンツとしての奥深さを感じられて、本当に素晴らしいなと嬉しくなる作品でした。

 


そしてヒープリ映画本編。
正直、色々なものを詰め込み過ぎて、話としては雑かな?実質の秋映画ながら、要素が多すぎて処理しきれない春映画クオリティな印象。ストーリー面ではプリキュア5もそうですが、話の軸になるカグヤちゃんとお母さん、そしてエゴエゴそれぞれのドラマが繋がっているようで散漫ですし、キャラの背景が飲み込みにくい独特の設定なので、やや入りにくかった。ドラマの主役はヒープリ側でも無いのも手伝って、ヒープリTV最終回後のこれこそがヒープリらしさだっていう集大成的な作品では決して無いです。期待値が大きかった分、そこは正直ちょっと残念だったかな。

 

ただ、ビジュアル的には戦闘シーンも凄く気合が入ってて見応えがあるし、売りのプリキュア5もこれぞ!っていうカッコよさ(なんと5勢の戦闘演出も大塚隆史が絵コンテやってるとか)です。

 

そしてもう一つの売りでもあったヒープリ勢のパートナーフォーム。これ、人の感想見ててなるほどって思った部分なんですけど、TVシリーズだとパートナーアニマルがヒーリングステッキに憑依?してるので、プリキュアは常に片手にステッキもった状態なんですね。今回その制約が無くなった事によって、両手でバシバシ殴りかかるというプリキュアらしさが存分に描かれてました。


肉弾戦を封印したプリアラもそうでしたけど、常にロッド持ってると実は戦闘演出がしにくかったのか、と今更ながらに気付かされました。

武器持ちは武器持ちでグレースのアバンストラッシュとかちょっと珍しいシーンもありましたけれど。

 

で、そのグレース。今回は限定フォームてんこもりです。普通にヒーリングっどアローも使うので、まずスペシャルヒーリングっどスタイル。そして先ほども触れたパートナーフォーム。そこからキュアドリームとのドリームグレース。さらにはカグヤグレースフォームと、通常のノーマルフォームも合わせると、何と5フォーム登場と言う、最近の主役仮面ライダーばりにフォームチェンジしてくれます。

 

見た目が楽しいのも勿論素晴らしいのですが、個人的に一番グッと来たのが最終のカグヤフォーム。強大な敵を倒す為に最強パワーアップとかじゃないんですよね。カグヤちゃんを助ける為の奇跡の変身でした。これぞプリキュア!これこそがプリキュアなんだって思えて、そこはとっても良かったです。

 

悠木碧も先日「アニアカ」にゲスト出演した時に言ってたけど、和装ってのも凄く素敵。過去作だと「ハピ」のキュアフォーチュンのあんみつこまちくらいしか無いですしね。和装プリキュアはプリオタならいつか来てほしいとやっぱり願ってます。

 

あとは挿入歌とED曲もとっても良かったのですが、CD買ったのでせっかくなのでそっちのエントリー記事でそこは書こうかと思います。

 

2週目から追加されるという「5」の副音声上映は流石にパス。勿論、興味はあるけど、ご時世的にちょっと自粛せざるを得ない。ソフト化の時の副音声で入ってる事を期待します。

 

ああ、そうそう、私はおっさんなので当然入場者プレゼントの夢ペンダントは貰えないのですが、販売用を初めて今回買えました。いや「スマイル」の秋映画から私は毎回欠かさず1週目に映画館に行ってますが、販売用のミラクルライトって買えた事無いのよ。中古で何本か販売用も後に確保できたのもありますが、本当に売ってるの?地方には出回って無いんじゃ?とか思ってた幻の一品でした。前の販売用のミラクルライトってメッキ仕様で豪華でしたが、今回のはメッキじゃないのがやや残念ですが、今回はペンダントで形が違うので、中古確保するのも難しそうだなと思ってたので、買えただけでもありがたい。

 

あとついでにクリアしおりも一つだけ買ったのですが、グレースでした。満足。っていうかアクリルプレートと大差無い気がするし、これグッズとしてアリだな。食玩とかで展開してもらいたいくらいです。タンブラーは今回フィギュアついてないタイプだったぽいので確保せず。

 

という事で、お話はちょっと微妙でしたが、ビジュアル的に十分に楽しませてもらえたという意味ではとても良かった。いずれソフト購入して見返す時も来るでしょう。その時はまた違う感想になればと思います。

 

そして今回、youtubeとかでキャスト出演の特番的な物が結構配信されてて、そちらも楽しませてもらいました。そこも含めて色々と面白かったです。


”プリキュア声優あるある”を語る! 歴代ヒロイン声優「ヒープリ」悠木碧・「5GoGo!」三瓶由布子・「トロプリ」ファイルーズあいが集合!

 


「Yes!プリキュア5GoGo!」声優が当時の裏話を語る!スペシャル座談会

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シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

 


『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本予告・改2【公式】

EVANGELION:3.0+1.0 THRICE UPON A TIME
総監督・原作・脚本・製作総指揮:庵野秀明
日本映画 2021年
☆☆☆☆☆

 

エヴァ完結編、見て来ました。凄い物を見た!とかはないけど面白かった。正直な所、終わらないと思ってたし、どうせまた自己満足の下らないものになるんでしょう?みたいにたかを括ってました。が!普通に終わったのでちょっとビックリ。

 

まず最初に私にとってのエヴァですけども、そもそもがエヴァに思い入れも無いし特に好きなタイトルではありません。勿論、庵野監督にも特に興味も無し。

 

旧TVシリーズがあれだけ世間的に話題になったので、旧劇場版まで全部完結してからまとめて見ました。まあつまんなくはなかったけど、私が見るべき作品ではなかったかな、という印象でした。


やっぱりシンジ君を始め、キャラクターに全く感情移入出来なくて、あれだけ同世代の皆が自分の事のように語ってたのを物凄く醒めた目線で見つつ、それを否定したって仕方無いので、ああこれは自分がハマるような物語とかではないんだな、これは若い人たちが自分達の物語として消費するものなんだろうと。

 

というのは当時の私は富野信者だったから、というのも大きいと思う。「イデオン」とか普通に先に見てたのもあって、こんなの富野はずっと前に通り過ぎたやつじゃん、それのコピーみたいなのを見せられても富野ファンなら食いつかないよ、とかずっと思ってました。

 

TV版の最終回もね、あれはあれで面白いと思ったし、「ナディア」とか「トップ」は普通に先に見てたので、庵野自身の葛藤みたいなものをね、TVではやってて、あれでエヴァンゲリオンは終わりなんですよ、と言い張っていればナディアやトップと同じくオタクが持ちあげるカルト監督で終わっててそれで良かったのに、変に社会現象レベルに受けちゃったものだから、もっと世の中が納得するようなラストを、と要求されちゃって、庵野もおかしくなりながら世間への恨み節を映画でやっちゃったというのが
私の旧シリーズの感覚。

 

で、新劇場版は映画一本見るのなら楽だし、一応見ておくか、みたいな感覚で数ある映画館でやる映画の中の一本、程度で見てました。序・破はまだ普通ですが、Qで「あ~あ、また庵野やっちゃった」ぐらいの感覚でした。普通に作ればいいのに、と正直思ったまま、今回の完結編です。

 

今回の完結編を見るにあたって特に過去作見返したりはしていません。なので私にとっては9年ぶりのエヴァになるのかな?

 

序盤の農業シーンは「おおきなカブ(株)」


よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株)

の劇場版かよ!とは思いつつ、まあエヴァって庵野私小説だし、どう見てもマリ=庵野モヨコなのでラストも含めてこういう作品になるのは仕方ない部分。

 

だからこそ、どうせ今回も終わらないんでしょ?と思ってたわけですが、これが意外な事に、どんどん畳んで行く。あれ?「Q」の時のトンデモ設定もきちんとここまで仕込んでた上でやってたのか?と思ってしまったくらい。

 

エヴァのATフィールドは心の壁っていうのは有名ですけど、私がエヴァの何が嫌だったかというと、そのディスコミュニケーション部分なんですね。それは新劇になってからも思ってて、もっとちゃんと話すればいいのに!といつも思って見てました。

 

そしたら今回なんとシンジ君はお父さんとちゃんと向き合おうとするし、逆にお父さん側の方もその内面とかが掘り下げられてて、そこが本当に良かった。アスカとシンジの、あの時は好きだったかもね、みたいなやり取りも含めて、いやぁみんな大人になったな、と。

 

初めてエヴァを、面白いなと思えました。今思えば、何でエヴァが嫌いだったかと言えば、みんな大人にならなかったから私はそういう所に乗れて無かったんだと、改めて確認出来ました。

 

少年の心の尖った部分とか、素直になれない気持ちを代弁してくれてるようで、そこに共感するっていうのも、それはそれで話としてはわかるんです。そういう気持ちがあるっていうのも否定はしたくない。でも私はそれ良い歳した大人になってまで見たいとは思わないし、あんまり乗れはしない部分。

 

ああ、丁度今流行ってる「うっせえわ」でしたっけ?ツイッターでたまたま見ただけなんですけど、正直、うわ何このダセぇ歌詞。感情的な一言だけで自分を表現してるとか思っちゃってるのは子供の特権だわな。その感情を理路整然と分解してもっとちゃんと自分の言葉で語りなさいよ、そうしないといつまでもガキの戯言としてまともに相手にすらされないってちゃんとわかってるの?と思いつつ、こういうのは昔からどの世代にも似たような物がある定番路線ですので、まあこういうのが若さだよね、早くこういうのが恥ずかしいって気付いてもっと大人になってほしいな、と思ったりしたのでした。

 

エヴァも昔はそんな感じでしたけど、今回ようやっと大人になれて、ああそうそう私はこういうのが見たかったんだ、という感じです。

 

素直に「ごめんなさい」だとか「ありがとう」だとか、何なら「おはようございます」って挨拶するだけでも全然違うものなのに、なんか勝手に壁作ったりして、プライドか何か知らないけど、そんな当たり前の事に今更庵野は気付いたのか?と思うくらいに、凄く普通の事を当たり前にやる、が今回出来ていて、そこがとても良かった。

 

勿論、そこに行けないのが所謂「セカイ系」って奴ですので、その草分けとも言えるエヴァがようやくそこから一歩踏み出せたのは本当に良かったなぁと思いました。私は良い歳した大人ならもっとちゃんと社会と向き合おうよ、と思ってる人なので、セカイ系は苦手なのです。

 

一応言っておきたいのはそういう人達をバカにしてるわけじゃなくて、歩みの速度や成長の仕方はその人によってやっぱり違ってくる。変な話、おじいちゃんおばあちゃんになっても自分の非や過ちを認めて「ごめんなさい間違ってました」って素直に言えない人の多い事多い事。しかも日本を動かす政治家だってそれ出来て無いわけですからね。

 

そんな、人として当たり前の事にようやく気付いてくれたか庵野!って感じで、いや今まで本当に苦労してきたね、でもようやく次に進めて良かったね!と、まさしく「おめでとう」を言ってあげたい気分です。

 

私はね、庵野の「シンゴジラ」も嫌いなんですけど、あれの何が嫌かつったら、前半のリアリズムはとても良いのに、後半は急遽フィクション路線に行っちゃうし、そのメッセージも日本人が力を合わせればどんな困難も克服できる!みたいな嘘臭いメッセージが大嫌いだからなんです。そんなの今の日本に出来るわけないじゃん。前半はリアル志向で、政治批判とかも入ってるのに、後半でそんなとってつけた現実感の無いメッセージを出されても、っていうね。またそこに逃げるのか?「現実VS虚構」で結局また虚構?っていう。

 

ただ、そういった失敗や恥を重ねてきてもね、今回のエヴァでやっと普通な事を言えたっていうのは本当に嬉しいし、それも過去の積み重ねがあってこそです。

 

誰だって上手く生きていける人ばかりじゃないし、それは私だってそうだ。でもいくつになったって、歳を重ねたって、例え遠回りだったとしても、やっと変われたならそれでいいじゃん。そこは祝福してあげようよ、と言いたい。

 


出来るならね、こんなに時間をかけないで「序」から1~2年ペースくらいでこれを作ってほしかったとは思うんだけど、(そうすれば残り時間ももっと有効的に使えてより先に進めるし)逆に時間をかけて苦労してきたからこういう所に辿りつけたっていうのもまた実際にそうで、庵野モヨコと結婚したから綾波やアスカとはまた違う存在もあるんだなと思えたわけで、それがマリになってるんだから、こうして何十年もかけて変化を見せる事が出来た事こそエヴァンゲリオンっていう作品の本質かなとも思うし、ようやく私も好きになれました。

 

思えばね、「Zガンダム」で「人の心を大事にしない世界を作って何になるんだ!」って世界と向き合おうとした少年が最後に心を壊してしまって、そこに対しては私はとても感情移入出来ました。でもそれも10数年後に劇場版でとってつけたような救済ルート作ってさ、いやそれ単純に最後かえただけでしょ?って私は全く評価しなかったのですが、そこ考えるとエヴァ完結編は本当に納得が出来るものになってた。

 

ようやく私の中でもただの富野のコピーでしかなかった庵野がちゃんと自分の作品を作って自立してくれたように思えます。

 

個人的に「おっ!」と思えたのは新世紀(ネオンジェネシス)の解釈ですよ。旧シリーズの時はね、これが俺達の時代の、新時代の幕開けなんだって意味でのある意味いきがってつけた「新世紀」だったと思うんです。富野的な所でのニュータイプみたいなね。そこで庵野なりにいや自分達の世代はこうなんだよっていう意味での新世紀。


そこで実際に新しいムーブメント、新しい時代の象徴にはなったのでしょう。それが今回は、もう古い時代はここで終わり。それはエヴァが作った時代だったのかもしれないけど、もう次の時代へ進めようよ、という意味での新世紀の使われ方でした。まさに自分で自分のケツを拭いたと言うか、旧劇の時には自分が蒔いた種のくせして世間に恨みをぶつけていた庵野がですよ?いやぁ、大人になりました。

 

オタクな事を言えばもう一人のシンジ君である高松信司が旧エヴァと同年の95年に「機動新世紀ガンダムX」でもう同じ事やちゃってるんですけどね。

 

ただ、何度も言うけど、歩みや成長の幅・速度はその人によってやっぱり違ってくるものだし、そこをバカにするのは良くない。ここは素直に庵野を褒めてあげたいです。よくやった、よく頑張った。

 

次の「シンウルトラマン」が素直に楽しみになってきました。そしてそれ以降の作品もです。もしかしたらエヴァの血を引き継ぐものなのかそれはどうかはわかりませんが、もしエヴァの系譜のようなものだったとしても、過去に縛られる事無くきちんとニュージェネレーションとして次の作品になっている事でしょう。

 

まさかこんなに上手く憑き物が浄化されるような作品になってるとは思ってもみなかったですし、ある意味、こんな呪縛と怨念が背景にあるようなシリーズは他にも無いわけですから、今更ながらこうしたきちんとした完結編作られて、一つの立派な面白いコンテンツになったなと。まさしくこれまでの全てのエヴァンゲリオンにサヨナラと言える作品になってました。

 

そして心からおめでとうを言ってあげたくなる作品でした。

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