僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

ミッドサマー

ミッドサマー [DVD]

原題:MIDSOMMAR
監督・脚本:アリ・アスター
アメリカ映画 2019年
☆☆☆☆★

<ストーリー>
家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる”90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。

 

劇場公開時にも見ようと思ったものの、2時間半とちょっと長めなのと、アリ・アスター監督の前作「ヘレディタリー」の時にあまりにも絶賛されまくって、ハードル高めで見たのもあってか、面白かったけど、そこまででもなくない?というのがあって、ちょっとミッドサマーも躊躇して結局映画館では見ずに終わってしまいました。

 

「ヘレディタリー」の時に思ったんですけど、ストーリーはそれほどではない。でも演出とか画面構成とか、そういう部分でB級映画みたいなものをA級にまで引き上げてる感じかなぁ、というのがあって、今回「ミッドサマー」を見て、まさにそれでした。そこを踏まえた上で見ると、超スゴイ映画で面白かった。

 

公式のジャンル的にはフェスティバルスリラーという事で、近年、割と多くなってきた印象もある、ホラー映画という枠組みではあるんだけど、単純に怖がらせる事だけを目的とはしてないホラーであってそうでもない作品(「イットフォローズ」とかね)とかそういう感じ。

 

鬱っぽい雰囲気とかもあるかもしれませんが、個人的には一昔前のラース・フォン・トリアー作品とかとも似てるかな?という印象。「奇跡の海」とか「ダンサーインザダーク」とかで黄金の心とか言いながらひたすら胸糞悪い展開を積み重ねて、結果その後本人が鬱になっちゃうという。

ただ、アリ・アスターがトリアーと違うのは、実際に監督が弟を亡くしてしまった経験を「ヘレディタリー」に投影して、今回の場合は、その沈んでる時に当時の恋人が親身になってくれずその後別れた、みたいな体験を作品として描いたという事ですので、鬱から回復していく手段としての映画という面で逆方向と言えなくも無い。

 

今回の映画、何が素晴らしいかって、この断絶の時代に世の中も映画界も血の繋がっている家族とかではなく、血なんか繋がっていなくても同じ価値観を共有できる共同体とかコミュニティやユニオンみたいなものこそが、この厳しい時代を我々が生きていかなければならない中での希望なんじゃないか?って方向性に動いてる中で、共同体とかなんだかカルト宗教じみてて気持ち悪くない?という作品を堂々と作ってきた所だと思います。

 

く、空気読んでねぇこいつ。でもこういう人が居てこそだと思うし、相極性障害とかの人にはこれ言っちゃうと厳しいかもしれませんが、どんなものにだって裏と表、白と黒、相反正するものって必ずあるものなんですよね。絶対的な一つの正しい答えなんて絶対にない。ディベートじゃないですけど、一つの価値観があったとしたら、その両面を見ないと本質的な所は見えてこないし、その矛盾を抱えないと世の中生きてはいけない。

 

本でも良いし、映画でも良いんですけど、何か自分の価値観を揺さぶるくらいの素晴らしいものに出会ったとしましょう。だったらその価値観を鵜呑みにしないで、ひとまず逆の意見を聞いてから判断しようか、と逆の主張に耳を傾けてみる。こういう基本的な事が出来て無いと、オンラインサロンだの自己啓発セミナーみたいなものに安易にカモにされてしまうわけで、そこら辺をわかってないと厳しい。

 

そういう意味で今回の「ミッドサマー」メチャメチャ面白かった。共同体ってこの先の時代では絶対に重要になってくる価値観ですし、そこを知る上で、こういう危険性もあるよねって一つひっかかりを作ってくれるのはとても貴重ですし、逆にこういうカルト集団みたいなものをいつまでも古い価値観のままアップデートせずにいてもそれはそれで進歩が無さ過ぎる感じ。

 

良くも悪くもですけど、「ミッドサマー」という作品内においては、主人公がカルト集団に同化して心の平穏を取り戻すっていう話ですよね。こういう描き方がとても面白い。

 

この映画作ってる奴、絶対頭おかしいだろ!とつい言ってしまいたくなる陰鬱で胸糞悪くなるタイプの作品ですが、こういう映画はこういう映画でやっぱり面白いし凄く価値があるように思います。

 

こんな「黒」い作品を、白夜の明るい「白」の世界でやってしまうというまさしく矛盾したセンスがとても面白い。

 

私は黒か白か・・・う~ん、キュアブラックキュアホワイトのどっちが好きかなんて選べないよ!でもミッドサマーよりはキュアサマーが好き(そういう事じゃない)

 

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ニュー・ミュータント

ニュー・ミュータント (字幕版)

原題:The New Mutants
監督・脚本:ジョシュ・ブーン
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2020年
☆☆☆★


<ストーリー>
未熟さゆえに特殊能力を制御できず、辛い過去を背負った5人の若者。極秘施設で訓練を受ける彼らの前に、突如現れた謎のモンスター。恐怖で錯乱する中、さらなる危機が訪れる。運命に抗う闘いの結末とは…。

 

と言う事で待望の「ニュー・ミュターンツ」改め「ニュー・ミュータント」。
マーベル原作、20世紀FOX作品ながら何故かディズニープラスで配信されず、今後のカミングスーンにも入って無かったので、レンタルしてしまいました。

 

「X-MEN」シリーズ13作目。にしてFOX版としては最後。「ダークフェニックス」で最後のX-MENとか言ってましたが、それもそのはず、こちらはダークフェニックス前の2018年に一度完成したものの、試写での評判がすこぶる悪かったらしく、再編集やら追加撮影になると言われつつ、ディズニーのFOX買収やら、その後のコロナやらで4度の延期。色々やろうとしながら、最初の奴で良いんじゃね?と、投げやりな感じで結局は昨年に劇場公開。ただ、日本では劇場でかかる事も無く、ソフトスルーという事になってしまった色々と不運な作品。

 

20世紀FOX版X-MEN、振り返ると企画が2転3転したり色々とありました。でも映画ってX-MENに関わらずそういうものです。MCUがあそこまでコントロール出来てる方が映画業界としては異形であり、だからこその偉業なわけですよね。

 

そんなこんなで、ようやく見る事が出来たニュー・ミュータントですが、個人的には大変面白かった。が!正直やはり一般受けはしないよなこれ、というのが凄くわかる作品でした。

 

これねぇ、ベン・アフレック版「デアデビル」と同じ感じかなぁ?って気がします。作品として目指してるものと、客が求めるものが違ってる感じ。

 

デアデビル」私の中では傑作ですが、世の中的には「何このスパイダーマンを地味にした感じの奴?」という反応が大きかったように思います。いやそれがデアデビルだし、原作の持ち味を十分に生かしきれたとは確かに言えないけれど、それでも十分にドラマとして面白かったじゃん。

 

今回の「ニュー・ミュータント」アメコミヒーロー物を青春ホラーの文脈で描いた作品です。このアプローチがまずとても好き。

 

X-MENシリーズ、3作目の「ファイナルディシジョン」は評判が悪く、あれは私の中でも最低レベルな作品ではあるのですが、当時参加してた映画サークルで、「あれ評判悪いけど自分は面白かったんだけどな」っていう人が居ました。へぇ、どの辺なのかな?と思って話を聞いてみると、その人にとってX-MENシリーズは能力バトルのVFXとかが魅力だったらしい。前より派手だし面白かったと。


その後のシリーズの流れを考えると、一般的には確かにそういうものかなとは思うんですよね。私みたいな重度のオタクならともかく、ただ映画が好きぐらいの普通の人にとってはヒーロー映画なんて今でもそういうものなんじゃないかと思います。

 

そんな感じで「ヒーロー映画」としてニュー・ミュータントを見た時に、それはもういかにも物足りないのは間違いない。


じゃあ今回の売りと言うか特色の「ホラー」として観た時どうなのか?ここもね、物凄~~~く中途半端。雰囲気は悪くないと思うのですが、基本的に主人公らがミュータントとして特殊能力持ちなわけで、まだ幼くて十分に能力をコントロールは出来てないけど、どう考えてもどこかで覚醒して敵を撃退するのは誰が見てもわかる展開。心の底から、これはヤバい、うわ死にそうとか思えないんですよね。いつ反撃するのかっていう感じで見てしまう。

 

じゃあ残りの青春物としてはどうなのか?個々のキャラクターの背景がみんな特殊すぎて(そりゃミュータントですから)、いわゆる「わかり味」みたいなのを持ちにくい感じになってるのが少々微妙な所。こういうチーム物というか、アンサンブル劇ならば、数多くの人物の中で、自分はこのタイプに似てるかも?なんて感情移入してしまうからこそぐっと物語を身近に感じられたりするわけで、その部分でもちょっと難があるように思える。

 

こうして書くと、欠点ばかりの作品に思えてしまいますが、ある意味でその全てが中途半端な部分こそが私にとっては物凄い魅力な作品でした。

X-MENというヒーロー物を、違う文脈のアプローチから描くっていうのがメチャメチャ面白いんですよね。

 

アメコミヒーロー物としては、やっぱりDCが王道で、マーベルはそれに対して別のアプローチを試みるからこそ、王道とはまた別の面白さが生まれる。ヒーローチームなのに内輪揉めばっかりしてるから、そこに人間らしさをより感じさせてくれた「ファンタスティック・フォー」と、筋骨隆々で常に正しい行いをするスーパーマンとは正反対で、やせっぽちのオタクで嫌われ者のクモがモチーフの、ヒーローらしからぬ失敗から生まれた「スパイダーマン」からマーベルは成功していくわけで、「X-MEN」だっていわば奇人変人のマイノリティ集団というのがマーベルらしさと言える部分。

 

王道、あるいは普通とは違うアプローチをしてこそのマーベルらしさ。「ニューミュータンツ」だって、X-MENが人気が出た後に、若い2軍のミュータントヒーローとして生み出されたものの、そんな商業的理由だけじゃなく、1軍には出来ない2軍だからこそのもっと違うアプローチをやろうよ、ってなったのが今回の原作エピソードのデーモンベア編だったりするわけで、原作の面白さを十分に生かしきれたとは言い難いものの、それでもらしさを感じる部分がちゃんとあって、そこが私は物凄く面白かったし、凄く楽しめました。

 

X-MENと世界観は共有しつつ、(劇中には出ませんが、X-MENが居る世界だと言う事は明言されてます)そことは違うアプローチを試みる。そこだけでももう私はワクワクします。

 

アメコミって、スーパーヒーロー物だけが全てじゃないし、日本の漫画程には多種多様とは言いにくいですが、ちゃんとヒーロー物以外のジャンルはある。ただそれでもスーパーヒーロー物がメインストリームである事は確かで、それ故にマーベルユニバース、或いはDCユニバースとかのヒーロー世界の中でサスペンスであったりホラーであったり、ヒーロー物と言う背景の中で別ジャンルとして描いたりするのが特徴で、私はそういう所もアメコミの魅力だと思ってる人です。

 

だからね、私はこういう作品がとても好き。スーパーヒーロー物だから派手なアクションの見せ場が必要だなんて全く思わない。変な話、ヒーローが居る世界観でアクションの全くない法廷サスペンスを描いたら、それはそれで全然アリだし、むしろそういうのが見たい。ヒーローを軸にしたジャンルミックス作品というか。


なのでね、今回みたいな作品には本編ともまた違った魅力にワクワクさせられるのです。

 

今回の映画、軸としては「力」は使い方によって良い方向にも悪い方向にも転がってしまう、思春期になって大人として目覚めて行く時に、不安になったり、必要以上に恐れを抱く必要は無いんだよ、心持ち一つでより良い方向に進んでいってほしい、的な話かと思いますが、それをまどろっこしい感じでやってるだけですよね。決して上手くはなかったとは思うけど、こういう話、私は好きです。通過儀礼の話とか私の大好物ですから。

 

原作の「デーモンベア」ってビル・シンケビッチのアートだけが良いわけじゃ無くて、読んでみると話も意外と面白い。その原作の魅力を100%は生かし切れて無いな、とは思うけど、今回の映画は映画なりの面白さもありましたし、べた褒めは出来ないけど、決して嫌いにはなれない作品でした。X-MENシリーズでは中の上くらい。

 

一般的に求められるX-MENとはあえて違う物をやろうとした事は素直に褒めてあげたいです。

 

え~?マジック(イリアナ・ラスプーチン)こんな性格なの?しかもキティのパートナーのロッキード居るしどゆこと?と思いながらも、まあこれは映画のアレンジとして、とは思ったし、ダニエル・ムーンスターもクライマックスでは頬に血を塗って一族の矜持を見せてくれるんだろうなと思ったら、それ無いし、ウルフスベーン(レーン・シンクレア)もキャノンボール(サム・ガスリー)もサンスポット(ロベルト・ダコスタ)も性格違~う!と思いつつ、こういう見せ場とビジュアルかと、何だかんだやっぱり嬉しくなりますし(つーかサンスポットって「フューチャー&パスト」にも出てたような)これはこれで続きが見たかったなぁと悔やまれる1作です。

 

DCでもやってるし、元々マーベルはコミック以外のメディアもマルチバース扱いなので、MCUでも過去映画はマルチバースだった展開はいずれやると思うのですが、これも含めたX-MENシリーズも何らかの形で無駄なものにはならない事を祈ります。つーかデッドプールはマーベルスタジオで3やるの確定してますしね。

 

とりあえずは一応の区切りとして、MCUでのミュータントの登場を待ちたいと思います。

 


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予告編の雰囲気から変えてきてますね


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スパイダーゲドン

スパイダーゲドン (MARVEL)

著:クリストス・ゲイジ、ダン・スロット(ライター)
 クレイトン・クライン、ホルヘ・モリーナ、カルロ・バーベリ
 トッド・ナウック、ステファノ・カッセリ、ジョーイ・バスケス(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2021年
収録:SPIDER-GEDON #0-5(2018-19)
☆☆☆☆★

 

多元宇宙から再び集ったスパイダーアーミーは最終戦争に挑む!
スパイダーゲドン到来!
あの『スパイダーバース』の続編がついに登場!

多元宇宙を巡り、スパイダートーテムの力を受け継ぐ者達を喰らってきた吸血鬼「インヘリターズ」が復活した。この危機に再び集うスパイダーアーミーだったが、敵の処遇を巡り、マイルス・モラレス率いる一派と、スーペリア・スパイダーマンことオットー・オクタビアスの一派に分裂してしまう。仲間割れをおこした彼らに勝算はあるのか、そして、スパイダーアーミーの勝利の鍵とは……あの大剣!?ベストセラー「スパイダーバース」の続編がついに登場!


という事でスパイダーゲドン。勿論3冊セット版を買いました。
小プロの独占契約のおかげでヴィレッジは増刷がかけられなくなるそうなので今後出る奴は初版が全て、確保しておくのが吉。つっても邦訳アメコミなんてヒットして無い奴は大概が初版=絶版のはずなのでこれまでも似たような部分はありましたけれども。

 

「スパイダーバース」で決着をつけたはずの宿敵インヘリターズが復活、再び異世界スパイダーマンが集結して、その野望を食い止める。という話なのですが、今回はオリジナルスパイダーマンことアース616版ピーター・パーカーは脇に回ってほとんど出ません。マイルス君とスーペリアスパイダーマンことDr.オクトパスことオットー・オクタビアスの二人が中心。

スーペリアスパイダーマンも今はスーペリアオクトパスに名前が変わってたのね。8本足って部分ではクモもタコも共通モチーフなのかと今更ながらに気付きました。いやドクオク出てから何十年経ってるんだよって話ですけども。ただ今回はスパイダーゲドンという作品に合わせてか、途中からスーペリアスパイダーマンに戻すのですが。

 

あとは0話のプロローグが異世界スパイダーマンから始まりますが、解説読んだらこれ大ヒットしたPS4のゲーム版スパイダーマンだったのね。ちゃんと今を取り入れてるし、ゲームファンはこれ嬉しいでしょうね。同じく解説を読むと、権利的なものもあってか、大っぴらにはなってない感じですが、数ある中でちゃんとMCU版スパイダーマンもまぎれてたっぽいです。

 

アニメ映画版の「スパイダーバース」と違って、原作の方の前作スパイダーバースはインヘリターズの唐突な設定とかもあって、話自体は正直そんなに面白くもなかったというのが個人的な感想ですが、今回は意外と話がシンプルなのもあって、マイルス君とスーペリアの個性が上手く生かされてて非常に面白く読めました。

 

数ある異世界からの召喚スパイダーマンの中で、ドック・オックが女性で且つ正義に目覚めたバージョンのオクタビアというのが出ていて、あなた別にスパイダーマンではなくない?という気もしないではないですが、優秀な科学者でスーペリアの右腕として活躍してくれるのがちょっと面白かった。

 

そして何より今回は日本のファンには嬉しい東映版の存在感が大きいのが嬉しい所。山城拓也というよりは、まあいかにレオパルドンの存在が大きいかっていう所ではありますが、スパイダーバースではややネタ的に消化された感もあったレオパルドンが今回はスパイダーアーミーの移動基地として使われるだけでなく、必殺技のソードビッカーがスパイダーアーミーの最大戦力的なものとして扱われてるのが嬉しい。

 

インヘリターズがソードビッカーを警戒して奇襲をかけてくるも
「恐れるべきは他にもいるぞ、この俺…地獄よりの使者がな!悪党め、この仇名の意味を思い知るがいい!」
と啖呵を切ってくれる辺りは最高でした。

 

前作が目新しさ、斬新さが大きい作品だったとして、今回は続編としての新しさは無くなったけど、よりキャラクターの掘り下げがなされている感じがして、面白い話として読めました。

 

ヴィランからの更生組みと、純粋に正義のスパイダーマン組とでは意見が対立したりするわけですが、逆にそんな中で、スパイダーマンとは何ぞや?みたいな所が浮き彫りになってくる辺りが面白いし、元ヴィラン組もノーマン・オズボーン版のみ離脱しちゃうものの、他のキャラはやっぱり結局悪党でした、とはならずに、スパイダーマンのあるべき姿とかに話をもってくるのが凄く良い。

 

映画は面白かったけど、原作は私にはちょっと微妙だったなぁ、とか思いながら今回のスパイダーゲドンに挑んだのもあってか、予想してたよりずっと面白くて満足度は非常に高いです。

 

つーか「ゲドン」って何だ?と思ってたら、最終戦争=アルマゲドンに倣ってのスパイダーマンバージョンだからスパイダーゲドンなのね。え~何それ?そんなジョークみたいなのでいいのかと思うけど、そういう軽口もまたスパイダーマンらしさよね。

 

という事で次は2冊目の前日譚「エッジオ・オブ・スパイダーゲドン」を読みたいと思います。

 

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トロピカル〜ジュ! プリキュア 主題歌シングル

トロピカル〜ジュ! プリキュア 主題歌シングル【CD+DVD】 (特典なし)

発売: Marvelous 2021年
☆☆☆☆


という事でやっと発売されました「トロピカル〜ジュ! プリキュア」OP&EDの主題歌シングルCD。
何度か書いてますが、サブスクでも良いんですけど、恒例になってるのとお布施のつもりで未だにプリキュアのみはCDを買い続けている私。
すぐIpodに入れちゃうんですけどね。ある意味コレクション的な部分もありますが、私は決して裕福ではないので、これがいつまで続くかな?みたいな所はある。

 

今回、帯にコメント的なものが書いてないですが、歌詞カードが半透明の用紙で、OPが空、EDが海の背景が透けて見えるという、ちょっとお洒落な作り。こういう拘りは素敵です。

 

プリキュアにおけるお洒落要素とか今回のテーマにもなってるメイクとか、おっさんな私には正直全くピンと来ない部分ではありますが、そういう所はやはり女の子向け作品だなとは思う。コスチュームも数年前からシースルー素材が入るようになったのは、女の子に人気だからその要素は入れて欲しいってスポンサーサイドからの要望のようですし、なかなかに興味深くはある。

 

CDのピクチャーレーベルもフルーツの断面に各キャラとロゴが配置という感じになっててなかなか面白い。

 

仕事してる人だとわかりますが、どんな仕事でもこだわりとか色々あったりするものですし、ただのやっつけではなく、少しでも良い仕事をしようっていうのが伝わるのはとても良いです。

 


そんな感じで1曲目はOP
■M1 「Viva! Spark!トロピカル~ジュ! プリキュア
 歌:Machico 作詞:大森祥子 作曲・編曲:EFFY

ノリが良くて映像と共に、これぞトロプリ!という感じが出てて非常にらしさ満点の楽曲。やっぱりOPはその作品の看板ですしね。

 

歌うのは「プリアラ」でのあおちゃんが憧れる先輩シンガーの岬さんを演じた後に、前作「ヒープリ」では前期EDを担当したMachicoさん。

 

個人的にはヒープリ感謝祭での映画EDを披露してくれた姿が物凄く印象的で、そこで一気に好きになりました。なんか歌う前はちょっとオドオドしてたんですけど、歌に魂を込めてたのが伝わってとっても良かった。
アイドルマスターの声優もやってるんですね。私はアイマスは初代とデレマスのアニメ版しか触れてませんが、ただ綺麗に歌う事じゃなくて、そこに思いを込めるっていうのを出来る人なら十分な人かなと思います。有象無象の中でただ埋もれはしないでいられるだろうというか。

 

歌詞が大森祥子で、プリキュアのOPは「Goプリ」「プリアラ」以来かな。「映画スタプリ」でのTwinkle Starsとか超絶に良い仕事してます。そういやプリアラOPの駒形さんもアイマス声優でしたっけか。

 

プリキュアでは割と昔からありますが、歌詞にちょこちょこ英単語を挟むのが面白くて素敵。言葉遊び的なものの方がプリキュア感は出るような印象もあるけど、(「シャイでいちゃSON 歌おうよSONG」的なやつね)英単語も子供にはわからないかもしれないけど、ノリと勢いでそこは良い、という感じで、とにかく楽しい1曲。

2番の歌詞が失敗してもめげないよ、みたいな感じで、そこも良いです。ヒーローソングは前向きで明るくなれるのが良さですから。

 

 

■M2「トロピカ I・N・G」
 歌:吉武千颯 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:馬瀬みさき(Lantan)

そしてこちらのEDは「スタプリ」EDで80年代レトロポップという、本人にとってはちょっとわけわかんない物であろう曲をかわいく歌った吉武千颯が担当。OPが真夏の太陽なら、こちらは南風って感じのイメージでしょうか。

 

歌詞の「女の子よ凛々しく進め」がまさにプリキュアです。自分の足で凛々しく立つ事、それがプリキュア、っていうのは初代から言われてた事ですが、男性目線でこの「凛々しく」ってなかなか出ない言葉だと思うので、それが継承されてるって本当に素晴らしい。

 

ジェンダー論的な部分で、男性社会における女性性の押しつけって、やっぱり女性は可愛くだのやさしくだのを求めてくるっていうのあると思うけど、その「やさしさ」は、押しつけるもの、押しつけられるものじゃないよっていうのをまさに前作の「ヒープリ」はテーマとして描いたわけで、そういう要素があるのが私としてはプリキュアの魅力だなぁと思ってたりする。

 

今回のトロプリも、一見は、暗い世の中を明るくするノリと勢いのおバカプリキュア、っぽい表面を装いつつ、それでもその背後に色々と潜ませてある辺りが面白いポイントになってるように感じてます。

 

全く関係無いけど、同じニチアサ枠で「ゼンカイジャー」のピンク枠、マジーヌさんが残念系女子で個人的にメチャメチャツボってます。「キラメイ」のセナお嬢様みたいな100%ヒロインも好きですが、こっちはこっちでやっぱり好きになってしまう。近年になってより色々な幅が描かれやすくなったのは本当に良い傾向だなと思うし、単純に面白い。

 

何はともあれ、トロプリも今の所十分に面白いですし、ここからもおそらく要所要所で入るであろう土田監督演出回で更に上乗せされていくであろう事を期待して楽しみに毎週見て行きたいと思います。

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ドラゴンクエスト ダイの大冒険 14~25話

ドラゴンクエスト ダイの大冒険 2 [Blu-ray]

シリーズディレクター唐澤和也
原作:三条陸稲田浩司
TVアニメ 日本 2020~放送中
☆☆☆☆

 

TVアニメ「ダイの大冒険」2クール目まで。
フレイザード編からバラン編の途中までと、やや半端な区切りですが、なんとこれ、91年版の旧アニメの丁度最終話までの内容。おそらくは未完に終わった旧アニメを2クール半年分でやりきる、というペース配分だったんじゃないかと思われます。

 

なかなかそんな人は居ないかとは思いますが、旧版のDVD-BOXとか持ってる人は次からそのまま続きが見られるよ、とも言えなくもない。前回の感想で、丁度旧アニメを半分のぺースで消化してるって書きましたが、結構意図してやってた感がありますね。

 

旧アニメの時は竜騎衆の商品展開の準備までしておきながら、TV局の枠の都合で打ち切りになってそのまま終了という形でした。確かフジの方でやってた勇者アベル伝説は枠移動してまで完結させてた気がするんですが、そこと比べると残念な感じでした。私はアニメより原作派ではありましたので、そこまで引きづってはいませんでしたが。

 


で、まずはフレイザード編。
昔はフレイザードって別に好きなキャラではなかったのですが、大人になってから見ると凄く面白いです。
理由としては、キャラに感情移入出来るとかそっち系じゃなくって、悪役は嫌われてこそ悪役。ヒーローをより輝かせる為の名バイプレイヤーである、的な視点で、こういう引き立てキャラが居てこそやっぱり面白い物になるもんだよな、なんて風に思えて、凄く良いキャラだったなぁと。

 

魔王軍6大団長でも、やっぱりキャラクターそれぞれに役目があって、フレイザードはフレイザードしか出来ない役を全うしてくれたなと思うし。この悪役っぷりが見ていて気持ち良かった。純粋な悪役ってこいつとザボエラくらいですしね、ザボエラは若いダイらに対する老獪さと狡猾さの役割ですので、ストレートで真っすぐな悪役はフレイザードしか居ません。そういう意味で面白かった。

 

個人的にはCVが「スイートプリキュア」でファルセットを演じた奈良さんっていうのもポイント高い。

 

そしてバラン編。
逆にこっちのバランは正直、旧アニメの故・石塚運昇さんのイメージが私の中で未だにあるからなのか、速水奨って今もちょっと違和感あるのだけれど(速水さんの声は好きよ。「エクスカイザー」とか)旧アニメでは描かれなかった今後の展開もあるので、いずれ馴染むとは思います。

 


でもって前回の1クール目での感想でも最後にちょっと触れましたが、この展開の早さ故に、一度退場したキャラの再登場がメチャメチャ早く感じる。

ジャンプで週刊で読んでた時は全く気にならなかったし、よく「ダイの大冒険」は劇中時間だと実は物凄く短い時間しか経っていない(確か3カ月でしたっけ)っていうのに後から驚かされたものですが、そんな知識も含めての感覚なのか、クロコダインとかヒュンケルが瀕死の重傷を負って退場したはずなのに、次か次の次の話くらいにはピンチに駆けつけるのは、やっぱ早いよ!と感じざるを得ません。いや良いんだけどね、活躍見たいし。

 

この分だとマァムの復帰も、この短期間でそんな達人みたくなっちゃうのかよ!とか思っちゃうかも。チウとクロコダインの関係性好きなので早く見たい所ではありますが。

 

そしてやはりポップの成長速度が凄まじい。ポップは今後も見せ場だらけですし、本当に楽しみ。

 

ついでに登場の死神キルバーン。旧アニメだとアバン先生と同じCVだったりしましたが、流石にそこは踏襲しませんでした。今後の展開で困っちゃうしね。

 

youtubeでやってる関連番組の「ダイ好きTV」でも毎週ダイ役の種崎さんとポップ役の豊永さんが毎週の感想を語ってくれるので、そこも含めてとても楽しい。語彙力の無い種崎さんを必死に豊永さんがカバーしてくれる感じが微笑ましくて好きです。

 

そんな感じで旧アニメでは描かれなかった部分に突入した3クール目も毎回楽しみです。


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機動戦士ガンダムF91

 

機動戦士ガンダムF91 (コミックボンボン)
まんが:井上大助
刊:講談社 BOMBOMCOMICS ボンボンKC 全1巻(1991)

 

クロスボーンの前にせっかくなので「F91」のコミカライズ版を。

 

「これでゲームオーバーだド外道――ッ!」はネタに使われたりして意外と有名な気もしますが、全編実はそんな感じでシーブックが物凄くガサツな性格をしてます。

 

F91の映画に合わせたコミックボンボンでのコミカライズ連載ですので、ボンボン読者に合わせた描き方、という所なんでしょうけど、それでも相当に酷い作品。

 

あの繊細で複雑なF91の物語を単純化してあるわけですが、まあ要するに宇宙の征服を企むクロスボーン軍団とヒーローロボットガンダムF91が戦う、という感じにしてあるわけです。当然そこは人間ドラマとかは完全にカット。一応は流れだけ映画本編っぽい流れにはなってるものの、MSのバトルみたいな所だけをメチャメチャ雑に繋げてあるだけの完全な子供騙しのやっつけ仕事です。

 

子供はガンダムなんてモビルスーツしか興味が無いという判断もそりゃわかりますし、(大人だってそんな人多いし)特にF91なんて話の筋も決してわかりやすいものではなかったですが、それでもこれはひどすぎる。

 

以前にも何かの時にちょっと触れましたが、コミックボンボンにおけるガンダムは「プラモ狂四朗」とか「ガンダム野郎」的なガンプラ系の流れと、近藤和久の「MS戦記」から始まり、完全に大人向けっぽかった「Z」のコミカライズがあって、Zはとにかく異質でしたので(当時読者だった私もZのコミカライズは不思議な気持ちで見てました)もう少し単純化してアニメのストーリーを追う形の「ZZ」と「逆シャア」とかがあったわけです。因みにその後の池原しげとの「0080」は子供向けなりに丁寧な作品で割と良い。流石は「ファミコン風雲児」の池原だと当時も思ってました。

 

ただ、当時はSDガンダムが主流で、「武者ガンダム」とかナイトガンダムの「SDガンダム外伝」がもう人気絶頂の頃でしたし、難しいリアルガンダムをそのままやっても子供は食いつかないだろうと言う判断はあったのだろう事は推測できます。
それがこの「F91」のコミカライズの作風にも表れてはいるんだろうし、続く「Vガン」も作者は違えど近い作風。
そこから、もう少しアニメに近い物であっても良いのではと、ときた洸一の「Gガン」以降のコミカライズに続くので、私はときた嫌いですが、その功績は評価せざるを得ない。

 

ちなみに今回の作者の井上大助は、その前だとオリジナル作品の「はじけてザック」とか連載してた人なはず。エログロな作風で、なんと今回のF91でも雑なMS描写とは反対に、バグで人間が木っ端微塵になるシーンだけ超絶気合を入れてめちゃめちゃグロく描かれてたりする。どう見てもお前そこが一番気合入れてるだろうってくらいに。

 

この手のコミカライズ作品は、初期プロットとかを元にしていたりして、実際の作品では描かれなかった設定とかを垣間見れたりできる部分が一応の価値だったりする事もありますが、この作品に限ってはそういった所もこれといって無い。ジェガンとF91の大きさに差が無かったりと、変な部分が目につくくらい。

 

アンナマリーとかは流石に削られる要素だろうと言うのは理解出来ますが、アノー博士も出てこなければ、みんな大好きビルギットさんも居ないし、レアリー艦長代行も出て無いので、非常に寂しい。

 

全5回の連載だったようで、恐らくは終盤は映画を見た後で描いてると思われますが、ラストバトルは映画の流れを再現してるものの、鉄仮面が「どうだ わしは永遠に死ぬ事の無い体なのだ」とか、いやそれどんな設定?という感じに。

 

繰り返しになりますが、子供はガンダム見てもMSしか見てないよ、っていうのはある意味わかります。自分も子供の頃はそうでしたから。でもそういうのがあったからこそ、逆に私は大人でもMSの事しか語れない大人は嫌だな、と思うようになったというのもあったりする。

 

今でも、初対面の人とか、あまり親しくない人とたまたま話する事になったりした時に、「へぇ~ガンダム好きなんですか?どの作品が好きですか?」とかから入って「好きなMSは?」とか、MSをとっかかりにはするのですが、そこから探り探り、どこまでこの人は対応できる人かな?とか判断しちゃう悪い癖が私にはあったりします。


で、そこで「ああこの人はMSしか語れねーな」と判断しちゃうと、あんまりこの人とは建設的な深い話はできねーな、と勝手に決めつけたりする、嫌な人だったりする。いや別にMSの話はMSの話で面白いし、ディープな話だったりするとそれはそれで楽しいのですが、なかなかね、そこまで詳しい人はそうそう居なかったりしますし、ガンダムの話とかしたいくせにそうやって自分で壁を作ったりしてる私。

 

ガンダムに限らずですが、その辺、難しくないですか?こいつは生粋のマニアだ!みたいな人となら話したいし、そう言う人は好きなんですけど、なんかこの人は普通の浅い人だとか思っちゃうと、こっちからブレーキを踏んでしまいます。いやどうでもいい話ですけど。

 

関係無いけど井上大助氏って、調べたら単行本にはなってないけど「テッカマンブレード」とか「ジェットマン」のコミカライズもやってたりするんですね。怖い物見たさでちょっと興味あるかも。

 

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ワスプ 2

ワスプ2

THE UNSTOPPABLE WASP:UNLIMITED VOL.2: G.I.R.L. VS. A.I.M.
著:ジェレミー・ウィットリー(ライター)
 グリヒル、アルティ・ファーマンシャ(アーティスト)
訳:ャスダ・シゲル 御代しおり
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2021年
収録:THE UNSTOPPABLE WASP Vol.2 #6-10(2019)
☆☆★

 

天才科学者ハンク・ピムの娘であるナディア・ヴァン・ダイン
先進の研究機関「G.I.R.L.」の仲間と共に、科学による世界貢献に
立ち上がった彼女だったが、「相極性障害」という自身の病に加え、
仲間達もそれぞれがハンデや悩みを抱えていた。それでも共に
手を取り前に進んでいくナディア達に、最大の障害である7「A.I.M.」が
立ち塞がる。果たして彼女達の夢の行方は……。

アントマンの娘が主人公の新世代のガールズコミック完結編。
マーベルの若手ヒーローが総登場するパーティシーンは必見!

 

と言う事で「アンストッパブル・ワスプ」完結編。
確か当初は1巻の翌月に続けて出る予定になってたものの、コロナで1巻の発売もずれて、続刊もしばらく音沙汰無しでした。しかもその間に小プロの方がマーベルとの独占契約で今後は小プロからしかマーベル邦訳が出ないというアナウンスがなされてしまいました。が、その前に契約してた奴は大丈夫という事なのでしょう。この本の帯には「グウェンプール」第2シリーズの告知と、「スパイダーゲドン」の方には「スーペリアスパイダーマン」完訳の告知が。(後はネットで見たけどウルトラマンもヴィレッジから出るっぽい?)他に隠し玉があるのかは不明ですが、もうちょっとだけ続くんじゃよ、という事でしょうか。

 

そんなこんなでワスプの続き。
ジャネットの独断からすれ違いを生んでしまったGIRLでしたが、話し合いでなんとか和解。そしてジャネットの誕生日を祝うパーティが開催される事に。
ここのパート、グリヒルさんのアートじゃないのですが、なんとかグリヒルっぽい日本的な可愛い絵柄に合わせる努力がしてあって、そこそこ違和感なく読めるようになってます。「グウェンプール」の時はアートがグリヒルじゃない時は割とつらかったのでその時よりはまあ。あの時も頑張ってはいたけれども。

 

ナディアは出生が複雑なので、そもそも本当の誕生日は不明なものの、だったら自分で決めてしまえば良いという、たまに日本の漫画なんかでもある設定。で、帯にもある通り、色々な方面から色々な人がかけつけてくれると。

 

で、ビジョンの娘のヴィヴがナディアとの血縁関係とかを各自説明してくれるのですが、ここがもはやギャグの領域。

 

初代アントマンが生み出したのがウルトロンで、そのウルトロンがヴィジョンを作ったので、そう言う意味ではウルトロン系もヴィジョン系も血縁関係という事になるわけですが、更にはヴィジョンがスカーレットウィッチと結婚してトミーとビリーが生まれ、その転生がスピードとウィッカンなのでおじやらおばやら甥やら姪やらもうわけがわからん事になってる。今回は出て来ませんが、ビジョンもその精神はワンダーマン(サイモン・ウィリアムズ)のコピーなのでそんな所まで含めたらもはや相関図は複雑怪奇を極める。

奇妙な事だが、君は叔父だか姪だか・・・何だかわけがわからん。

 

そんな血縁関係もありつつ、ナディア(と友達のイン)はレッドルーム出身という事もあって、そちら絡みの話も同時進行。シークレット・エンパイア後の話なのでブラック・ウィドウは死亡中(その後復活するけど)、ウィンターソルジャーとモッキンバードがレッドルームのアジトに侵入。

 

そしてナディアらGIRLのメンバーは自分達のエキスポを開催。そこにAIMが乗り込んでくる、という話。何とか協力して撃退するも、若い自分達が世界を変えてやろうとあまりに大きい目標を掲げすぎていた事に反省し、これからはもう少し地に足のついた活動から再始動していこうと決意するのだった、というやや苦い勝利で幕。

 

AIMも対ジャネット用に雇ったワールウインド以外は基本女性なので、そこまで巻きこむ形でGIRLはますますメンバーが増えて行くも、一応の流れとしてはここで完結。

 

解説を読むと、あまり大きな支持は得られなかった様子です。まあでも設定としては面白いし、今後これが生かせるようにはなっていくのかな?マーベルユニバースに天才科学者は山ほど居ますけど、そこが使えない時に、このチームにも活躍の場が与えられそうな気がしないでもない。

 

前巻と同じように、実際に科学とかの分野で活躍する女性たちへのインタビューなんかも入ってて、そこでも挫折の経験は語られてますので、挫折なんてあって当たり前、そこから何度も立ちあがるのもまだ今の時代には必要な事なんだよ、的な纏め方にしたのかもしれません。

 

ディズニープラスで「マーベル616」ってドキュメンタリー番組をちょこちょこ見進めてますけど「ムーンガール」と「マイルズ版スパイダーマン」をフューチャーした回があって、そこでも挑戦が大事、でもそこには同じように失敗もあるものだ的な所があったりして、その辺がマーベルらしいなと思いましたが、今回のワスプもまたそんな感じがしました。

 

カマラちゃんの方の「Ms.マーベル」も話題になったのは最初だけで、その後の売れ行きは決して大成功というわけでもない、みたいな話もありましたし、それでもやっぱりこういう挑戦的な作品があって、それをこうして日本語でも読めるっていうのは素直にありがたいなと思います。

 

しかもね、「スーパーマン:スマッシュ・ザ・クラン」もそうですし、内容として人種問題とかを扱った作品だからこそ、日本人アーティストのグリヒルさんが起用されてるというのもあるのかもしれませんが、こういう意識高い系、テーマ性の強い挑戦作に起用されてるってやっぱり凄い。テレビでたまにある、「世界で活躍する日本人」みたいなのに取り上げられても全くおかしくないレベルです。

 

個人的にもとても好きな絵柄ですし、フリルのついた可愛いナディアの私服とか凄い好き。ヒーローコスチュームも丁度いろんな意味で今世間を賑わしてる「仮面ライダーブラック」っぽくないですか?おなかのベルトのとことか特に。

 

グリヒル作品、是非もっと読みたいので、小プロでも優先的に邦訳版をお願いしたい所です。

 

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