僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-

劇場先行版 機動戦士ガンダム ジークアクス ビギニング
監督:鶴巻和哉
シリーズ構成・脚本:榎戸洋司
日本映画 2025年
☆☆☆☆

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昨年1月に公開された「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」から丁度1年くらいですね。
お!また劇場でガンダム体験かと嬉しくなります(いや去年はガンダムシネマフェスという企画で「ファースト」3部作とか「逆シャア」も劇場鑑賞しましたが)

ただ今回は映画用のオリジナルでは無く、TVシリーズ放送予定「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の序盤を特別編集した劇場先行公開版という位置付け。

 

エヴァンゲリオン」のスタジオカラー製作。庵野は監督では無いものの、脚本にも関わるという事でしたが、私的には「エヴァ」も映画の「シン」シリーズも全部あまり乗れなかった口。そんな感覚の人なので、今回の映画もTVシリーズも全く期待してませんでした。まあでも「ガンダム」だからね。SD以外は全部見てきた身としては、「とりあえず『ガンダム』だから見る」という人です。

 

なんだか今回は宇宙世紀のパラレルなんじゃないか?という噂は聞こえてきましたが、予告編を見る限りは「水星の魔女」と同じく基本的には若い人向け、今のティーンエイジャー向けの作品なんだろうなと。

 

やっぱり水星の魔女は発想が素晴らしくてね、老害オタクが文句言うのをもう前提に作ってて、お前ら向けに作ってるわけじゃないからジジイは見てくれなくて結構。未来の無い年寄りじゃ無く未来のある若者に向けて作るんだっていう割り切ったコンセプトだったのが良かった。老害ガンオタ向けには宇宙世紀物もやるからそっちにだけ金出せばいいよ、というマーケティングありき。そしてその後も「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」でSEED世代にピンポイントで狙って作って大ヒット。それは素晴らしいです。

 

ガンダムの生みの親である、富野由悠季安彦良和には手切れ金を払って引退させて、お前らじゃ金にならないからって容赦なく切り捨てた先に、結局それが失敗だったら目も当てられないけれど、そこでやっぱり上手く商売が出来たんだから大したものだと思います。感情的にはあまりいただけないなと思いつつ、二人とも実際に老害と言われるタイプになってしまいましたし、新しい時代を作るのは老人では無い!って言われたら引きさがるしかなかったのでしょう。酷い会社だと思う反面、仕方ないよねとは思います。

 

まあそんな背景もあり、全然期待していなかった。
しかもTVシリーズの先行公開版だし、映画の映像では無いだろうしな、とタカをくくった感情で観に行った所・・・

 

 

画面のクオリティ凄くない!?

 

 

私は深夜アニメを沢山見るというタイプのオタクではないので、今のアニメ業界うんぬんはわかりません。
映画「スパイダーバース」でアニメのクオリティが1ステージ上に上がったなと思いつつ、まあでもお金かける劇場映画作品なのでそこは特別かなと思ってたら、その後アメリカのアニメがTVシリーズも異常なクオリティになってるのを知る。あら、もうアニメも日本はもう世界最高水準からもっと下のレベルなんだなと思ってました。

でも今回の「ジークアクス」観て、あれ?日本のアニメもTVアニメでこのクオリティ出せるのかってビックリした。これが特異点なのか、いやこれぐらい今は普通だよって言うのかどっちなのか私にはわかりません。でも私は素直にビジュアルショックを受けました。その点に関しては劇場で見れて良かったなって思います。

 

 

以降は大いなるネタバレを含みます。
結局は宇宙世紀のパラレルみたいなものなのか、それを匂わす程度の設定のお遊び程度なのか、どちらにせよその辺に触れますので、もし作品が気になってるなら、実際に足を運んで自分で確認した方が面白いと思います。あ、こういうのなのねっていう面白味がありましたので。

 

 

 

 

 

 

以下ネタバレ中尉

 

 

 

 

 

 

じゃなくネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

はい。普通に「シン・機動戦士ガンダム」でした

 

シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」「シン・仮面ライダー」に続く「シン・ガンダム」って奴でしたね。インタビューなんかを見ると初代ガンダムリメイク部分はやっぱり庵野さんのメイン担当のようです。せっかく新しい物を見に来たのに、前半はガッカリでした。

 

前半40分くらいがファーストのリメイク&パラレル構成。残りの40分が予告でも公開されてる新しい部分。
多分ですけど、庵野さんはビギニングとか旧作設定部分、後半は鶴巻和哉監督・榎戸洋司脚本で今後の新しい全体的なストーリーを構築していくのかなと。あくまでマチュ、ニャアン、シュウジの新世代の話として。

 

ヘルメスの薔薇じゃなくて何だっけ?封印された何かとか、ガンダムに歯があるとかエヴァっぽい要素は設定として残ってますけども。

 

アマテ=ハマーン説とか騒いでましたが、個人的には関係無いように思えました。今回UC0085年のパラレルにしてあるのは、ヒットしたら「ゼータジークアクス」とか作れるように、マルチバース版の既存キャラはとっておいた方が良いですし。何でも「エヴァ」の時も本当は庵野的にはガンダムみたいに別のクリエイターに自由に続編作ってほしかったみたいな考え方だったって話ありました。

 

因みに!ジオンが勝った宇宙世紀というパラレル設定。赤いガンダムもそうですが、普通に「ギレンの野望」でガッカリ。勿論、ギャンキャノンじゃないけどそれに伴う設定変更の部分とかは素直に面白いんですけど、酷い二次創作感があまりにも強くて、パロディーだよなこれとしか思えなかった。

 

ただ、流れ的にはそれこそギレンの野望もあれば、例えば球体関節のMSとかは「サンダーボルト」で昔からやってたし、1年戦争のパラレル、そして独自の戦後へっていうのは、そのままサンダーボルトのコピーでした。

 

逆にね、鶴巻さんとかは私ほとんど知らないのでどうしても庵野関係になってしまうけど、庵野さんとか昔言ってたじゃないですか。自分らはコピー世代なのでオリジナルなんか作れないんですよって。鶴巻監督とかも、もし同じ考えなのであれば、主人公が作中で言ってた、本物の重力も空も海も知らないコピー世代が、その中でどう生きるのか?みたいなメタ部分を作品のテーマとして表現してくれたら面白いかなとは思います。同人ガンダムという陳腐な設定から始まって、その中でも何か一つでも光るものが
あればなと、全く期待せずに見守ろうと思います。

 

ただこの監督、インタビューでファースト世代の昔からのファンもSEED世代の新しいファンにもどちらにも響いてくれたら嬉しいです、みたいな事言っててね、いやサンライズ的にはSEEDはもうマーケティング上は若い人向けじゃないんですけど?そこも分かって無い人なのか?とその点ではますます期待はしないで見ようかと思わされた。

 

因みに富野が「Gレコ」で、今までガンダムでやってきた未来は嘘でゴメンなさい。当時はそう思ってたけど、今の時代にはそぐわないので今のスタンダードでガンダム作り直すねっていうのが「Gレコ」です。スペースコロニーで人間が生活するなんてよく考えたら不可能だよね。これからはニュータイプが生まれて世の中を良くしていけると思ったけど、そんな人は出てこなかったし世の中は悪い方向にしか進まなかった事については反省してます。だから今後の経済の話を「Gレコ」でします。

 

の、後にさぁ、ニュータイプとかスペースコロニーとかバカバカしくね?しかも今後の展開でどうなるかは不明なものの、50億人の人間を殺して何も感じない宇宙世紀とかを平然とやる流れに私はやっぱり違和感。庵野さんはね、社会に興味のないセカイ系の人なので、それを求める気はありませんが、鶴巻監督と脚本榎戸さんには少しだけ大人の対応や視点をお願い出来ないかなと思います。


ガンダム初心者や若い人、或いは老害ファンでも当時見た感覚で、ニュータイプに人は進化していくのかもしれないとか思うのは良いんですよ。でもそっから45年流れて、ニュータイプうんぬん言ってるのってちょっと恥ずかしくない?おじさんがもうジジイになる歳なのにガンダムガンダム言ってるのと別に大差は無いでしょ?みたいな考え方なのかなぁ?私は今の作品なら今の時代性が反映されてしかるべきと考えるタイプなので、そこはすっごく気になりました。

 

そりゃあ私は重度のガノタですからネタ元のほぼ全部わかるし楽しいですよ。でも楽しければ良いのか?

・・・と、ガンダムが言っている。


TVシリーズ、1年戦争パート無しで放送してくれたら良いなぁ。

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機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス

GUNDAM VS IDEON
著:長谷川裕一
刊:学研 ノーラコミックスDELUX 全1巻
1992年(連載1990年)
☆☆☆☆☆


1月3日~5日の間に限定公開で「イデオン接触編/発動編」がyoutubeで無料公開されてました。ガンダムは過去にも何度かやってるしアマプラでも無料とかあるのでそうでもないけど、「イデオン」は珍しい。DVDとかもバンダイビジュアルじゃないとこから出てましたし、サンライズ製作ながら映像の権利が昔は多少複雑になってたらしいですが、多分今は普通にバンダイナムコに戻ってるのでしょう。

 

ネットの反応見てても、初めて見たっていう人がそこそこ居て、やっぱり無料配信はありがたいですね。今の時代はソフトを売る商売じゃ無くなってますし、IPをどう生かすかって考え方なので、定期的にお願いしたいものです。

 

とまあそんな無料配信のおかげで私の昔の感想記事のインプレが多少伸びました。まあスマホで読むには私のブログは文字数も多いしわかりやすく内容もカスタマイズとかはしてない。し、今後も今の所はするつもりがない。ブログ全盛期のあの文字数とか熱量の面白さを残すの勿体無いよな~と思ってあえて前時代のスタイルなので。インプレPV稼ぐための内容の薄いブログばっか検索にしか出なくなってね、あれが嫌だなと思っての方向性です。

 

だって検索しても商品とかサブスク誘導のとかの「説明だけ」の奴が5~6ページまで続くんですよ?うんざりするんですけど、そういう中でウチみたいな個人ブログが表示されるのは本当に少ない中で、ちょこちょこ検索に入ってる奴がやっぱり強いです。商用ブログじゃないので、一日何万PVとかあるブログじゃないのですが、それでも検索で探せる範囲では出るのは長くやってるおかげでしょうか。

 

Vtuberさんも同時視聴とかやってるので発動編2回ほど私も見てしまいましたが、せっかくPVも上がったので関連作を一つ、という事での長谷川裕一「逆襲のギガンティス」です。

 

今は角川の「機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス

機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス (角川コミックス・エース)

って単行本に一緒に収録されてますが、せっかくなので私は最初に単品で出た方を今回はチョイス。(最初に出たノーラコミックスDX版は「わかりすぎた結末 あるいは失笑した宇宙もしくはキャプテン・オーマイガーの華麗なる挑戦」という短編1話が同時収録されてますが、面白いけどガンダムとは全く関係無いオリジナル漫画です)

 

元はバンダイ管轄の「サイバーコミックス」という単行本形式の雑誌に「ガンダムVS伝説の巨神」というタイトルで全4話の掲載。ストーリーの中で普通にイデオンのストーリーが背景に語られるものの、一応「イデオン」という言葉は使わずに、作中では「伝説巨神」で通してある。

 

多分、富野監督とかには無許可で描いたと思われるが、サイバーコミックスがバンダイの出版課が出してるもので、作家が勝手にオリジナルのガンダムとかを自由に描いてた時代なので、そこはそういうものだったのでしょう。

編集者にガンダムで1本書いてみませんかって声をかけられて、じゃあ「ガンダムVSイデオン」を書こうかなと思ってますと話はしたそうですが、まあ普通はパロディー的な物としか思わない事でしょう。そこを大真面目なクロスオーバー話としてお出しする長谷川先生のセンスよ。

 

UC0091年。木星で発掘された赤い巨大MSをジオンが発掘しているらしい。それを追い、木星ジュドーと合流するアムロ・レイ。後半にはシャア・アズナブル、ミネバ・ザビも話に絡んでくる。

 

そもそも木星は片道2年もかかるため、イデオンどうのとは関係なく、後の時代の今は各々のキャラクターに公式上のストーリーが組まれ、時系列的に埋まってしまっている為、公式のタイムラインに組み込まれる事は無いのだけど、まあガンダムなんて初代のTV版と劇場版の関係もパラレルで二つの歴史があったりしますし、あんまり公式うんぬんは気にせずに楽しみたいところ。

 

スーパーロボット大戦」のプロデュサーが、作品を作る上での発想の原点になったと言ってるくらい、クロスオーバーとしてイデオンガンダムシリーズのテーマ的な所まで含めて描き切っているのが本当に凄い。

 

私が大嫌いな「ガンダムUC」もイデオンの設定をガンダムに持ち込んでうんぬんと、近いアプローチをしながら、ニュータイプを時間操作超能力者という、最高につまらんガッカリ設定を公式に持ち込んでしまった為、今となってはこちらの作品が、所詮は非公式の外伝漫画でしょ?と切り捨てられるようになってしまったのが何とも切ない。

 

イデオンのラスト、敵味方含めて全滅してそれが新しい地球の誕生に繋がるという話ですけど、あれって意図的に、そこで誕生したのが我々が生きているこの現実の地球なんですよ、だからこそ争い合うだけの愚かな生物から脱却しなければならない、という感じのメッセージなわけですよね。

で、逆にガンダムは宇宙に進出した未来を描いて、より良き存在のニュータイプに進化していかなければ、という望みが描かれている。

 

そこを同じ時間軸で繋いでしまうこのセンス。
で、それを見たり読んだりしてる今現在こそがその狭間にある、というメタ構造が非常に素晴らしい(今まで何度も書いてるけど私はメタ大好き人間なので)

ヨシユキ・トミノという人が過去に書いた小説が「伝説巨神」でありアムロジュドーらの活躍を物語として今はノンフィクションとして書いてる。

 

ニュータイプを戦争の道具としてしか使えない世間。そしてニュータイプ本人達ですら、過去に囚われ所詮は戦いの道具でしか無い事をある意味自覚している。

「死んだ者は何もしない、何も出来ない。だから!だからこそ!
 命が、その一つ一つが大切なんじゃないのか!」
っていうジュドーの悲痛な叫びが心に響く。
ここは確か同じく富野の「ダイターン3」からの引用って話でしたが、この未来に進もうとする力こそが、今後も続く長谷川漫画の根底にあるテーマになっていくし、自分が目指す少年漫画で描くべき事はこういう事っていう自分の主張を持ってるのが素晴らしい。

 

ここで他人さまの作品使ってお前は何能書きをたれてんだよって怒られたのだとしたら、この後に富野脚本の「クロスボーンガンダム」に繋がるはずもないし、基本的にオタク嫌いな富野ですが、長谷川先生の事はちゃんと認めたのでしょう。

ただ富野監督の顔色を伺っておべっかを使うだけの人は多分富野本人もわかるだろうから、出渕にしても永野護にしても、富野に言いたい事はちゃんと言う人の方が富野的には可愛いんですよね。安田朗が噛みついたら関係が切れたってのはちょっと可哀相でしたけど。(生きてる内に和解してね)

 

角川版「機動戦士Vガンダム外伝」の方にしかあとがき入ってませんが、イデオンガンダムシリーズ(これを描いた時点では逆シャアまでしか世に出てません)に対する長谷川先生なりのアンサーがこの作品。

で、後の「クロスボーンガンダム ダスト」が宇宙世紀そのものに対するアンサーであり「宇宙世紀ガンダム最終回」的な作品。

もう終わっただろうと自分で蛇足だの屑だの作品で主張してるのに、それでも描かされ続けるクロスボーンガンダム。しかもそれが面白いっていうんだから困ったものです。私はどこまでついていくぞ。

 

今まで視聴のハードルが高かったのもあって今回の配信で「イデオン」初めて見たよっていう人も結構居た様子。そういう人はきっとまだこの「逆襲のギガンティス」にも触れた事が無いはず。多分、初見の人にはイデオンだけでもうおなかいっぱいってなってるとは思うけれども、ちょっとしたデザート感覚、副読本としてこちらの作品、是非手にとってみてはいかがでしょうか。イデオンに関しても、ガンダムシリーズに関してもより理解の深まり、新たな銀河地平へと導いてくれること間違いなしです。

 

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機動戦士ガンダム クライマックスU.C. -紡がれし血統(きずな)-

機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統 1 (カドカワコミックスAエース)

MOBILE SUIT GUNDAM CLIMAX U.C.
漫画:森田崇
シナリオ:中村浩二郎
原作:矢立肇富野由悠季
協力:(株)バンダイナムコゲームス
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全2巻
2006-7年
☆☆☆☆

 

PS2で発売された「機動戦士ガンダム クライマックスU.C.」をベースにしたコミカライズ版。
ゲームの基本はファースト~F91までの時系列での原作再現のアクションゲームながら、オリジナルの主人公で歴史を体験していくクロニクルモードというのがあって、そこでいくつかキャラデザや設定が起こされたものの、基本的にはストーリー要素はさほど深堀りされてはいなかったはず。当時リアルタイムでやったけど流石に憶えて無いな。

 

そこを漫画版として独自のストーリー展開で描いた、という感じ。
後の2011年に「ガンダムAGE」でガンダムの面白さは世代をまたいで展開される歴史の面白さだって事でそこをピックアップして描いたように、単品での作品の面白さやMSやキャラ等、色々な魅力がありつつ、色んなシリーズを見ていく事によって、こことここが繋がるのかとかそういう架空の歴史を見ていく面白さというのもシリーズとして特徴の一つなのは確かでしょう。別に宇宙世紀とかで繋がって無いアナザーでも、仮面キャラの系譜とか悲劇のヒロインとかそういうのを関連付けて見ても面白かったりはするわけです。

 

そこは宇宙世紀年表とか昔からあったわけですが、どっちかつーと2次的な楽しみ方で、ファンが勝手にやっている感もあったのですが、そこを一つの作品としてまとめるみたいなのは当時としてはそこそこ珍しい部類だった気がしますし、今でもこの路線実はそんなに無いですよね?
1年戦争からF91くらいの時代まで、全てを体験してきた一人の視点みたいなのって、上手くやれば結構面白い物が出来るはず。当然その分大変でしょうけどね。
「F90」関連でボッシュとかジョブ・ジョンが今注目されてるのはそういう所も含めてじゃないでしょうか。
私は昔からガンダム版「マーベルズ」(カート・ビュシークアレックス・ロスの奴ね)やったら面白いのになと妄想してます。

 

そんなF90の流れで、そういやこれもあったなと引っ張り出して来て今回は読み返した所です。

「F90」関連で言えば、アニメ本編「F91」と同じUC0123時系列で、SFC版「フォーミュラ戦記0122」と同じワイブル・ガードナー艦長が継続して艦長やってて、ゲームキャラのナナ・タチバナがF90VタイプとF90IILタイプで二度出撃する。一度目のVタイプの時に正規のパイロットじゃ無く、特例的に乗って、その縁で後の2号機の時に正規にLタイプに乗る。

 

ガードナー艦長がSFC版主人公のベルフが正規パイロットだった時の事を思い出す、という過去形なので現状はベルフはここには居ない。ついでに言えばナナが二号機に乗ってる時点では同時に1号機は出て無いので多分この艦では無く他に移したという状況のはず。(だからカムナは乗る期待が残ってたプロトジャベリンしかなかったわけで)そこを考えるとF91本編の裏ストーリーとしてF90の1号機とベルフはまだ自由に使えそうなので、今後生かせる余地はありそう。

 

とまあ設定上の部分を考えると、Z時代はティターンズ側に所属してたり、チームのメイン二人がロンド・ベルに居たりと、ミッシングリンク的なポジションとしては色々と使えそう。

 

そういう視点を抜きにしても、ドラマやテーマ的にも凄く力の入った話になってて、ゲームの流れ的には親から子へ思い(とかゲーム的には能力)が受け継がれて行くみたいな形になりそうな所を、最初から最後までカムナタチバナの視点で戦争とは、戦いの根源にあるものは何か?みたいな所をちゃんと掘り下げてある辺りが凄く読ませる作り。憎しみの連鎖みたいな所は大きく描かれますが、そっからさらに一歩踏み込んで描いてある感じが凄く面白い。

 

ジオンとか大義を掲げるけどただのテロじゃん!ってこの時点で言ってるのがなかなかに凄いな。「UC」とどっちが先だろう?・・・ってあれ?ガンダムUCよりこっちの方が先なのが。これはちょっと意外。歴史を俯瞰する視点が必要だったから、ここで客観的な感覚が生まれて、この辺から潮目が変わった感じ?

 

しっかし改めて調べてみるとゲーム版の声優が凄い。シャーリー役が能登麻美子、エレン役が堀江由衣2世代目女主人公役が水樹奈々(ナナ・タチバナってもしかしてそこから名前つけたのか2世代目男主人公が浪川大輔だったりもするし、まだみんな若手枠ぐらいの時期でしょうか。今なら豪華キャストです。

 

単行本全2巻で連載的には丁度1年分くらい。
0079、0083、0087、0093、0123と5つの時代、正確には第1次オールズオビル襲撃の0116年も回想シーンで入ったり、この分量を短く纏めてるので、急ぎ足感は当然あるけど、ただの歴史の羅列にならずに一つの作品として読み応えのある話にはなってると思ういますし、他の作品とは違う個性もちゃんとある良作の部類です。

機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統 2 (カドカワコミックスAエース)

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機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY

機動戦士ガンダム 0083 STARDUST MEMORY vol.1 [DVD]

MOBILE SUIT GUNDAM 0083 STARDUST MEMORY
監督:加瀬充子、今西隆志
脚本:五武冬史、遠藤明範、大熊朝秀、高橋良輔
OVA 全13話 1991-92
☆☆☆★

 

ガンダム旧作再見の流れで「0083スターダストメモリー
昔からジオン嫌いな私はこれも必然的にそんなに好きな方では無いシリーズですが、でも面白いよね、とは思う。

 

「F91」の前売り券で、BB戦士「F91」と、「0083」のOVA1話付き、の2パターンあったはず。確か私はBB戦士の奴を買って、友達がOVA1話付きの方を買ってそれで見せてもらったような記憶があるんだけど、その友達と一緒に観に行ったとかでは無かった気もするし、あんまり憶えて無い。前売り版のBB戦士は後から出た市販版と違ってヴェスバーのギミックが無いとかだった気がするけど違ったっけ?

 

それはともかく、廉価OVAの黎明期に「0080」がヒットした事で、じゃあ次もやろうという形で始まった企画のはず。

 

「0080」ね、ガンダムなのにMS戦が少ないという異色の路線でしたし、本編とも言える「Z」「ZZ」がオーラバトラーとか揶揄され、「逆襲のシャア」がカルトな作風に、「F91」も期待外れ。そんな中で、これこそがみんなの求めたガンダムでしょ?って感じで作ったものなので、そりゃあヒットするし人気も出る。

 

ただこの人気の中で何故か、プラモ展開の方であまり力を入れてもらえず、今でも伝説として語り継がれるレベルのガンプラ特級呪物と名高い「GP02A」のキットとか、あれは何だったんでしょうね?

 

たかが雑誌企画の外伝の分際で「Z」や「ZZ」は偽物のクソガンダム、俺たちがやってるものこそ本物だと啖呵を切った「ガンダムセンチネル」の流れを組み、カトキハジメ(センチネルでは「かときすなお」名義でした)のメカデザインも一部流用しつつ、新しいガンダムには「マクロス」の河森正二を起用というのが面白い所。

 

モビルスーツの基本は大河原氏が作ったものの流れであり、自分がやったのはそのアレンジであって、1から作り上げた物では無い、として「メカデザイン」ではなく「メカニカルスタイリング」という名義にしてほしいとしながら、コアファイターの推進機がMS状態で使われないのは機械的に無駄。なのでバックパックコアファイターが直結している等。素人目にもわかりやすい発想がありつつ、その後のMSやプラモでは一切触れられない脚部の付け根の独特な構造とか、色々と面白い部分も多い。(おそらくはアシモとかの現実の2足歩行ロボットの構造をベースに考えてあるのだが、例外として漫画「アウターガンダム」が唯一近い発想をしてるのみで、何百体も居るガンダムのデザインの中でGP01独自の個性だったりする)

 

そして後半の主役機のGP03デンドロビウムはカトキ氏のデザインで、おそらくは「センチネル」のディープストライカーの発想の延長だと思われるが、そのインパクトから、後のガンダムシリーズでも「SEED」のミーティア、「00」のGNアームズ、「鉄血」のクタン参型とか、割と定番となって行く流れを作った一つと考えればその影響力の大きさは計り知れない。

 

ついでに言えばガンダムVSガンダムという流れもセンチネル経由で0083以降のスタンダードになったりしている。

 

今でこそデラーズフリートやガトーはただのテロリスト。それを美化して描く作風はいかがなものか、なんて風潮が昔と比べて大分幅を利かせている印象もあるけど、20年前とかはそんなの1ミリも無かった。これがなんで今みたいに変わったのかは謎。

 

たまに私書いてますが、「ガンダムUC」本編小説で、ジオン側の言う事もわかるけど、コロニー落として人類の半分を殺した人達の事を感情的には受け入れがたいなってバナージに言わせた福井晴敏以前は表向きのメディアでそんな意見を見た事、少なくとも私は一度も無かった。

 

とは言え!「Z」以降「Vガン」まで含めて富野を電波扱いして叩きまくっていたメディアもそうだし、ファンも富野ガンダムを楽しみつつ結果いつもモヤモヤした気持ちを抱えていた人達は多いでしょう。初の非富野ガンダムアニメだった「0080」も、いつになったらガンダム出てくるのこれ?と我慢して見せられた人が大半だったでしょう。そんな歴史の中でね、0083が最高!俺たちはこういうのが見たかったんだよ!と言う人の気持ちは十分に理解出来ます。

 

話も、アトミックバズーカ=星の屑と思わせておいて、コロニー落とし→いやそれを止めるソーラレイがある→しかし・・・みたいな二転三転する流れは、素人目にもサスペンスフルな展開で非常に良く出来ている。
この辺はね、他のシリーズも是非見習ってほしい所。チェンバロ作戦とかメールシュトローム作戦とか言われてもぶっちゃけ何やってるのか、その結果がどうなったのか全然わかんないじゃん。地球クリーン作戦とかは最高だったけど。
ガルパン」なんかは特にこの辺の作りが上手くて、意外性と内容や結果がこうなるのかという面白味があるのがちゃんと見てる人に伝わる作りにしてある。

 

例えば富野作品は作品の強度を持たせる為にあえてわかりにくさを意図してやってたりもするのだけど、だからこそあの人の作品は絶対にヒットしない。エンタメの作り方として、よく読者や視聴者の半歩先を行くのがヒットの要因とか言われてるけど、富野は一歩どころか10歩も先なので誰もついてこれない電波に思われるし、逆に今の時代は半歩先でも理解されず、1から10まで全部説明する幼稚な作りこそがヒットに繋がる時代になってるはず。

 

そういう意味では元祖が富野というのもあってか、今の時代のガンダムも、一般的な大衆向けの割にはやや内容的にはまだ難しめな描き方をしてる印象もあるけど、そういう中では「0083」って割と万人にも理解しやすい面白さは含まれているような気がする。

 

うん、ただ1点、ヒロインのニナ・パープルトンを除けば。ガンダム三大悪女とか言われがちなニナさんですので(他は多分カテジナとフレイ)あえてあんまりくさすのも好きではないんですけど、今回も見てて思ったのは、恋愛要素とかあえて入れなくても良かったのでは?とはついつい思ってしまう。コウとガトーの間で揺れ動く三角関係のヒロインみたいなのをドラマ的に盛り上がると思って入れたんだろうなとは思うんだけど、前半のコウとのイチャイチャとかも正直ノイズに感じられるし、そもそも実質の主人公はガトーの方なので、これ作ってる方もニナに興味も無ければ魂も入って無いんじゃないの?と思えてしまう。

 

ニナってビジュアル的な見た目もそっくりなんですけど、元ネタは「トップガン」なんですよねこれ。じゃあコウはトム・クルーズなのかと言えば、トップガン劇中のトム・クルーズ演じるマーヴェリックは基本ヤンキー。ガンダム見てるようなオタクがヤンキーに感情移入はしないでしょ?ロボアニメ好きなオタクなんか女も知らない童貞でメカしか興味無いキモいおぼっちゃんでしょ?みたいな、完全に視聴者をバカにした作り。いや後の今西監督の作風を考えれば、ジオン側をカッコ良く描く為に、わざと連邦を下げる感じで描いたのかとも思う。

 

ただ、こういうオタク主人公って、今は世間に山ほど溢れてる感じがするけど、当時はまだ珍しかった気がします(個人的な感覚だけでエビデンスは無し)この直後の「Vガン」で富野はウッソを使ってマニアの危険性を語ったりしつつ、そっから何十年も経った後に裏Vガンとして始まった「クロスボーンガンダムゴースト」のフォントを通して今の時代の新世代オタクを新しい個性として描いた長谷川先生のセンスとか、色々と比べて観るのも面白いのではないでしょうか。

 

つーか「トップガン:マーヴェリック」があれだけヒットしたんだから「スターダストメモリー:ウラキ」をダムエーで夏元先生とかがやるべき。ギャグとかパロディーじゃなく、物語のベースを換骨奪胎した感じで是非。

まあガトーじゃないなら作家も興味は無いだろうなと思えてしまう辺りが微妙なとこですけども。

 

ああ、当時からシーマ様は好きでした。シーマが好きっていうより、コウにもガトーにも感情移入しにくいなと思っていた中で、裏切りとは言え、生き残るために信念とかそういうとこじゃない考え方をする姿がコウやガトーに比べると、対比として面白いキャラだなって唯一思えた存在で、何気に0083では最も印象的なキャラでした。

 

とりあえずこんなとこかなぁ?
ああ、この事件がティターンズ決起の引き金になったっていうのはこれも凄くわかりやすいと思うし、ジャミトフ、バスクハマーンがみんな一言くらいだけ、っていうバランスも面白いし、他の作品のキャラだから踏み込みはしないけどインパクトもあるしリンクとしても上手い、みたいな作り方はとても良いと思う。

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劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-

劇場版 機動戦士ガンダム 00-A wakening of the Trailblazer- [レンタル落ち]

MOBILE SUIT GUNDAM 00 THE MOVIE -A wakening of the Trailblazer-
監督:水島精二
脚本:黒田洋介
日本映画 2010年
☆☆☆☆

ガンダム00劇場版。
確かセカンドシーズンの最終回放送の最後に制作決定みたいな第一報が流れたんだったかな?当時は「SEED」の劇場版が流れてしまったのでこちらに白羽の矢が立ったみたいに言われる事が多かった気がしますが、実際の所はどうなのでしょう?

 

セカンドシーズンの感想に書きましたが、私は1期が凄く面白かった半面、2期で一気にトーンダウンしてしまって、「デスティニー」にも同じく失望したように、新世代ガンダムは微妙だなぁ、そろそろ自分も卒業すべきなのか?とか思った記憶があります。まあ結果として未だに卒業なんてしてないし、今回の00劇場版は素直に面白かったので、結果としては00の株もなんとか盛り返したのでした。デスティニーの方はアニメはダメだったけど、漫画版は面白かかったりしたのであっちはあっちで許しましたが。

 


00の劇場版、何が良かったかと言えば、また誰かが隕石落としをするとかではなく(劇中劇の奴はアクシズっぽいの出てたけど)、まさかのガンダムでファーストコンタクト物をやるという斬新さ。

 

ガンダムって、やっぱりまだこの時期は宇宙世紀の再構築みたいな文化が残っていて、「Gガン」はともかく「W」「GX」「SEED」ってどこかガンダムのリメイク感があったじゃないですか。「00」も1期は斬新だったけど、2期が人類の革新うんぬんとか、ボスキャラだったリボンズも含めて過去に戻っちゃった感がある。

 

で、その先に何をやるのかというと、再度また過去作の影響下にあるものをやるんじゃなくて、せっかくの機会だからと考えたのかどうかは知らないけど、今までやってない事をやろうって形で作ってくれたのが本当に良かった。

 

しかもそこで、ただ本当に宇宙人の襲来でドンパチするだけでなく、00本編で描こうとしていた相互理解みたいなものをちゃんと絡めて、言葉すら通じない存在に対して、そこに対話なんか成立するのか?を本気でやったのが凄いと思う。

 

「00」よりずっと後になるけど「AGE」でも最初は敵の姿を見せずに、宇宙人の襲来なのか?と思わせる序盤から始まったけど、結局AGEでやりたかったのは宇宙世紀の歴史物的な面白さを今の子供達にも伝えたいみたいなコンセプトだったわけで、結局は過去の方を向いて作ってました。

 

そこ考えると劇場版00はやっぱり新しい事に挑戦したなと思うし、序盤はまさかのホラー展開と、これまでのガンダムでは見た事のない新鮮さがありましたし、敵の陣営の描写に時間を割く必要も無いので、派手な戦闘シーンも沢山見れるし、既存キャラの描写に十分な尺も使えたりと、結構良い事ずくめ。

 

劇場版の新キャラのデカルト・シャーマンとガデラーザは客寄せパンダみたいで可哀相でしたが。刹那と同じイノベイターを出す事で、同じ能力を持っていながら、歩み寄ろうとする人とそうでない人の対比の為に出したそうですけども。

 

エンドクレジット後のエピローグで過去と未来の二つの時間軸が描かれる。理詰めで和平を実現しようとしたイオリア・シュヘンベルグ。非暴力主義で、右の頬をぶたれたら左の頬を差し出しなさい的なふみにじられても、それでも非暴力を貫くタイプの、ある意味感情で信念を貫こうとするタイプのマリナ。これね、どっちも非現実的だと思うし、どっちも夢想家だと思うんですよ。おおよそこれがリアルだとは私は思えない。

 

それでもね、それをあえて描くのもまたフィクションの美しさであり価値だとも思うんですよね。何十年もかかったけど、それでもやっとマリナの事が理解出来たと、彼女の元に戻る刹那に私は素直にグッと来ました。

 

アンドレイとかグラハムもそう。時に間違いもするし、時に遅すぎたりもする。上手く行く事ばかりじゃない。でも、それでもっていうのを描いてくれた劇場版00はステキだなと私は思う。

 

メカデザインもガンダムの顔がへの字無くして1期の路線に戻ってくれたのが私としてはありがたい。キャラ的にはやっぱり私はティエリア派。確か劇場版のパンフもマイスター4人別表紙バージョンとか出てて、ティエリア版を私は買ったような記憶がある。刹那一人で背負いこもうとする中で、あんな形でもティエリアが居てくれる事ってきっと大きかったんじゃないかと思えて、そういうとこも含めて好きなんですよね。


朗読劇でのアフターストーリーとか、メカ設定関連で多少動いてはいますし、水島監督的にも続編はやれたらなとは言ってますが、20年越しの「SEED」映画があそこまで大ヒットしたんだから、会社的にもそこにビジネスチャンスは見出しただろうし、GOサインは出そうな気がするんですけどね。ネクスト00、実現してくれたら私も嬉しい。

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CDドラマ・スペシャル4 機動戦士ガンダム00アナザーストーリー 4 MONTH FOR 2312

CDドラマ・スペシャル4 機動戦士ガンダムOO アナザストーリー「4MONTH FOR 2312」

脚本:黒田洋介
監修:水島精二
メーカー:JVCエンタテインメント
レーベル:フライングドッグ
ドラマCD 2009年
☆☆☆

機動戦士ガンダム00セカンドシーズンTV放送本編でも描かれなかったアフリカンタワー倒壊後の空白の4ヶ月間をソレスタルビーイングの視点で描く待望のドラマCD。
アニューとライル、それぞれの想いが交錯し、そして…


ガンダム00」ドラマCD4枚目。
TVシリーズ17話で18話の間で4ヶ月時間が飛びましたが、その間の中に入る話で、今回はギャグ物じゃ無くシリアス路線。

 

マイスターそれぞれが描かれるものの、状況的にちょっと可哀相なのはアレルヤ。セルゲイの死によって、マリーから再びソーマ・ピーリスの人格に戻ってしまった事により、戸惑うしかないアレルヤ。セルゲイにももう戦わせない事を誓ったはずだと伝えても、そのセルゲイの仇を自らの意思で討つのだとピーリスの決意。

 

で、そこに対して復讐は何も生まないと語るのがサジ君なんだけど、まだこの時点では言葉に説得力を持たせられないのがちと悲しい。自分の意志で戦う事を選んだのなら、戦わない奴がどうこう言うべきではないと。

 

ライルとアニューの関係もありつつ、刹那とティエリアのファーストシーズンと比べて周りにも気を使える大人になった感はここでも健在。スメラギさん、フェルト、ミレイナらへの気配りが嬉しい。勿論、ラッセやイアンさんも含め、このトレミー内の仲間感がメチャメチャ良いんだよねぇ

いわゆるモブクルーの存在しない少人数での運営艦なので、他のシリーズの母艦ともまた違う感覚なのが00のトレミープトレマイオスっていう感じがして私は好きです。リアリティを考えたらもう少しクルーが居ても良さそうですが、作劇的には描き切れる範囲の方が良いって判断なのか、そこは面白い所です。

重大な事件が起きて、それを解決するみたいな話では無いですが、トレミークルーの日常感が垣間見えて、ファンには嬉しい1枚です。

 

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機動戦士ガンダム00 SECOND SEASON

機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン7 <最終巻> [DVD]

MOBILE SUIT GUNDAM 00 SECOND SEASON
監督:水島精二
シリーズ構成・脚本:黒田洋介
TVアニメ 全25話(2nd season)
2008-09年
☆☆☆

 

前シーズンから4年後、ソレスタルビーイングとの戦いの後、地球には統一地球連邦政府が確立。世界は一つに纏まったかに思えたが、連邦内に独立治安維持組織アロウズが結成され、反政府組織の鎮圧にあたっていたが、やがて組織は過剰な力を行使するようになる。そんな中、ソレスタルビーイングが再び動きだす。

 

とまあ、ファーストシーズンの戦いで、ソレスタルビーイングという強大な外敵が表れる事で、大きく三派に分かれていた地球が一つになった。という所までは良かったものの、やがて組織は暴走を始め、というまるで「Zガンダム」みたいな方向に話が進んだのがセカンドシーズン。

 

実質分割ながら、一応2シリーズ目というのもあるし、イオリア・シュヘンベルグ=富野御大と考えれば、富野が予見した未来予想に準じての展開と言えなくもない。

 

いやでもさ~、好きな人には申し訳ないけど、今回もそうだし、リアルタイムで見てる時もそうでした。せっかくファーストシーズンで、現実世界の延長というリアリズムで通してたのに、セカンドシーズンで敵はアロウズにそれを裏で操るイノベイドっていう、悪の組織みたいなのを作っちゃった事で、気持ちが一気に萎えました。安っぽいマンガみたいな話になっちゃったなぁって。

 

当時も思ったけど、顔や名前の似通ったイノベイドの人達が、よくわからないまま出てきて、よくわからないまま死んでいく、みたいな展開に、正直さっぱり乗れなかったし、せっかくファーストシーズンで描かれた敵側のキャラがほとんど生かされずに一応出てるけどさしたるドラマも用意されないっていうのがね。

 

スミルノフさんとマネキンさん辺りはまだ良いんですよ。でも、ミスターブシドーというキャラのインパクトだけ絶大な形で出しておきながら、ほぼドラマには絡まないとか、あれだけヘイトを集めたサーシェスも実質最後に戦うのみ。この使い方は勿体無いと感じました。名前も憶えられないイノベイドより、こっちをもっとドラマに絡めてほしかったなぁ。

 

あと、声がジュドーでおや?と思わせておきながらいかにもな雑魚敵でしかなかったリントさんとか、声ロランのリジェネも正直勿体無かったし、リボンズはちゃんとラスボスしてただけに、せっかく過去ガンダムで主役張った人をわざわざ読んでくるんだから、もう少し考えてほしかった。決してメタ的に元のキャラを重ねられるようにしてあるとかでもないし。

 

ついで言えばアロウズ側の戦闘指揮艦でもあるアーサー・グッドマンもいかにもなやられキャラで勿体無かったなぁ。ここもスミルノフみたいに、彼なりの事情があるカッコいいキャラとかにしとけばよかったのに。今回見返したから思っただけで、結構重要なポジションの割に彼の名前や顔なんて見終わったら誰も憶えて無いでしょ?感が強くてね。

 

新キャラならスミルノフ息子、アンドレイが中の人的にも私大好きな人ですし、当時から好きなキャラだったんですが、まあ正直スミルノフのドラマを盛り上げる為のキャラであって、ルイスとの関係、ピーリスとの関係も正直上手く生かし切れていたかと言うとなかなか厳しい。

 

で、ピーリスと言えばのマリーとアレルヤ。いきなり序盤の方でドラマとしては最高に盛り上がった良い話でしたが、物語上・作劇上、目的を果たしてしまうと以降の話の推進力が無くなってしまうというのを、見事なくらいに体現したキャラがアレルヤでした。理論の上ではしってましたが、まさにこういう事を言うのかというお手本みたいな失敗。いやあえて言えば完結させたと言うべきなのでしょうか。

マリーを助けたい、という目的が終わってしまうと、あとは次の目的が無いので、キャラとしては停滞して、中盤以降は完全な空気になってしまったアレルヤ。一応、その後も自分達のような存在を生みだす戦争そのものを根絶したい、というのは口にするのですが、セカンドシーズンのソレスタルビーイングってファーストシーズンみたいな戦争根絶が目的じゃないんですよね。

ハレルヤとピーリスの復活とかがあったものの、それ以上の何かがあるわけでもなく・・・というのは残念でした。

 

そしてロックオン関係。1期できちんと布石はあったけど、それでもまさかの兄弟が2代目を引き継ぎ。昔「プレステージ」って映画で、双子をトリックで使うのがありましたが、基本的に双子って、同時に出てそっくりで見分けがつかない!みたいなネタに使われがちなので、こういう使い方には結構ビックリはした。

 

ただ本人も言ってたけど、メンタルはあくまで別人ですし、刹那、ティエリア、フェルト辺りは初代ロックオンのニールの意思を受け継ぐっていう決意も強かったので、その存在感は消えず、ライルはライルでアニューとのドラマはあったけど、割を食った感は否めず。

 

ティエリアはそのロックオンの意思を引き継ぎ、一瞬の迷いはありつつも同じイノベイドながらソレスタルビーイングで一人の人間、ガンダムマイスターとしても組織の軸になり、ヴェーダの奪還を目指す。ツンツンしてた一期と違って、性格も丸くなって私は好きでした。

 

で、刹那。ここも大人になり、戦争の道具だった子供時代から、神の先兵の天使になろうとした1期から、更に先へ。一人の人間としてようやく覚醒した後、人は変わらなければならないとして真のイノベイターへ進化するという流れ。

 

そうなった理由としてはツインドライブなんだっけこれ?イオリアの遺産=富野の意志を継ぐという事でのニュータイプへの進化を00なりに描いたって事でしょうか。最後の0ガンダム戦も、露骨にファーストのオマージュでしたし、我々はアムロを乗り越えてその先に行くっていう決意。

そういうメタ部分は面白いんだけど、ツインドライブでの量子化という道具で人間の進化が行われるみたいに思えてしまった辺りが微妙な所。

 

これがね、サジ君がルイスに必死に呼びかけて、サジ君が奇跡を起こしたとかなら、なんとなくテーマ的にもアリな気がするんだけど、それは便利道具があったから、それによって進化した刹那だから、みたいな印象になっちゃった気が。ルイスなりラッセの病気の進行がそれによって止まるとかは全然許せるんだけども。

 

最後に、サジ君の視点として、ちゃんと我々は社会と向き合わなければならないんだ的な感じで締めるし、そのテーマに関しては私は100点あげたい。セカイ系という内側の世界にアニメやオタク系コンテンツがやたら寄って行った中で、きちんと社会と向き合えよっていうのはとてもガンダムらしくて良い。一つ前の「SEED」はまさしくセカイ系ガンダムでしたので、ここで違う方向にちゃんと舵が切れたのは素晴らしい。

ただそれ、1期では描けてたけど、2期はちょっとまた別路線だなって感じがして、当時も今回もそこはやっぱりイマイチでした。これが映画になると、戻るかと言えば実はまた別方向に行くので、そっちはそっちで面白い!となるのが不可思議な所なのだけど。

 

メカは1期の時にも書いたけど、ガンダムの顔にへの字がついちゃったのが残念。デザイン的にもガンダム側も敵側も1期のが良すぎて、2期は正直あんまり印象にない。

 

ええと、良かった所と言えば・・・あ、ED「Trust You」は凄く良かった

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アニソンシンガーじゃないし、しかもギャル系の伊藤由奈さん。この曲もよくあるラブソングにサビは展開してくけど

花は風に揺れ踊るように 雨は大地を潤すように
この世界は寄り添い合い 生きてるのに 
なぜ人は傷つけあうの なぜ別れは訪れるの

っていう部分で分かり合えない人間達を描いてるのはギリギリ世界観を読みとって譲歩してくれてる感じが凄く良い。
偏見かもしれませんが、多分伊藤由奈さんはガンダムとか1ミリも興味無さそうだし、でもそれだからこそジャンルの違う人が、なんとか彼女らなりに歩み寄ろうとしてくれてる誠実さが、違う世界だからと最初から否定するんじゃ無く、相互理解が大切なんだよ、的な感じを意図せぬ感じで表現してくれてるのが素晴らしいと思う。

 

せっかくなので次は流れで劇場版も見ます。

 

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