僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

グーニーズ

グーニーズ 特別版 [DVD]

原題:The Goonies
監督:リチャード・ドナー
アメリカ映画 1985年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
アメリカ、オレゴン州の田舎町グーンドッグ。マイキーは、喘息持ちの少年だが、
父が話す冒険物語に憧れていた。マウスやチャンク、データの愛称で呼ぶ親友達とグーニーズを結成していた。ある日、父の屋根裏部屋で偶然見つけた、”片目のウィリーの宝の地図”とメダルを手掛かりに冒険の旅へ。弟を捜しに来た兄ブランド、アンディ、ステフらも一緒に同行することに。
海の近くのひなびたレストラン。”ウィリーの宝の地図”によると、地下に宝が眠っているようだ。マイキーはその痕跡を地下で見つけるが、レストランを根城にしていたのはフラッテリー一家だった。
MIHOシネマさんより引用


リチャード・ドナー監督追悼企画その3。これまた有名作品の「グーニーズ」です。


とは言え、私のグーニーズとの出会いは映画よりもファミコン版の方が先だったかな?「悪魔城ドラキュラ」を始めとして、私は当時のコナミ作品が凄く好きで、ファミコングーニーズも、映画ゲームとしての出来はともかく、普通にアクションゲームとしてとても良い出来でしたので、好きな作品の一つでした。そこから「コナミワイワイワールド」にもマイキーが出てましたし、「グーニーズ2」も前作とはちょっと違う感じにはなりつつ、クリアまで頑張ってた気がします。

 

映画も子供の頃にTVで見てた記憶はありますが、ゲームとは特に結びつけて見てた感じではなかったかな?今回、映画を見返して、ゲームで敵のギャングが音符攻撃とかしてたのはちゃんと映画に元ネタがあったのね、とか、ゲームはマイキー一人が主人公で、各面ごとに囚われた子供達を助けて行くみたいな展開だったのですが、もし今ゲーム化するなら、子供たち事のそれぞれの得意技みたいなのを生かすゲームになるかなぁとか色々考えてしまいました。

 

大人になってからも一度見返していて、子供向け映画ではあるし、比較対象として「スタンド・バイ・ミー」とかを持ってきたら、そこは間違いなくスタンドバイミーの方がずっとずっと優れた映画ではあるんだけど、グーニーズみたいな映画もこちらはこちらで、ただのガキ向けと一蹴してしまうには惜しい作品だし、また別の価値がある作品だなと改めて感じたものでした。

 

今回、改めて見返すとね、グーニーズもまたマイキーの通過儀礼の話なんだなぁと。自分の家が不動産屋に買われて?取り壊されてゴルフ場になってしまうというのは、大人の理不尽に押しつぶされる子供っていう事ですよね。呼吸器とかビー玉とかの小道具の使い方も、子供である事の象徴で、それを捨てて大人になるっていう描写ですし、自転車と車の使い方も「子供」と「大人」の対比になってる。

 

いや自転車ってね、やっぱり子供時代の象徴だと思うんですよ。ここでいう自転車は「ロードバイク」とかそういうのじゃなく、昔ながらの自転車ね。
私の個人的な話ですけど、高校生の頃に毎日片道1時間くらいかけて自転車で学校に通ってました。向かい風だとつらくてね、必死に漕いでもなかなか前に進まない。でもそんな必死になってる私の横を車が悠々と追い越して行くわけですよ。あれね、物凄く理不尽だなと思った。
なので免許取れる歳になったらすぐに私は原付の免許取って原チャリ乗ってました。部活とかしないでバイトしてましたしね。高校生でバイクを乗り回すヤンキーとかじゃないんですよ。私は当時からオタクでしたし。理不尽を自分の頭と体を使って覆すんだと。当時からそういう意識で私は原チャリ乗ってた。多分、変わってる人だと思います。

 

マイキーの兄貴のブランド(なんとジョシュ・ブローリンだ。若い!)が免許の試験に落ちたって言ってるのは、大人になりきれない人と言う暗喩ですし、同級生で車に乗って女を連れまわして、ブランドをバカにする奴って、あの不動産屋の息子だったりするですよね。要は彼は理不尽を強要してくる側の人間っていう事です。そこは明らかに対比として描いてある。

 

そしてマイキー。何とか片目のウィリーの元まで辿りつく。で、そこで金貨の代わりにマイキーはビー玉を置いていくんですよね。そこって、少年時代はここに置いていくよ、っていうメッセージになってる。だから最後の呼吸器を捨て去るのも、もうこんなものに頼らなくても、これからは自分の力で生きて行くんだっていう少年時代への決別になってるし、ウィリーの海賊船が海の彼方へ消えて行くのも、同じような意味です。

 

物語の中盤、先の冒険者が倒れ朽ち果てていた、「願いの井戸」の地下までグーニーズたちは辿りつく。井戸から外に出られるかもしれない。でも、マイキーはただ一人、この先まで進もうと皆を鼓舞する。願いの井戸にコインを投げ入れて、神様願いを叶えて下さいとただ神頼みするような人間のままでいいのか?願いは自分の知恵や勇気、努力で叶えるものではないのか?という岐路に立ってるんですよね、あそこって。

 

何なら皆でおしっこをするシーンでさえ、大人はこっちだ、ってぞろぞろ場所を移動するような変なギャグシーンも、あれはちゃんとそういう背景に沿った描写だったりする。ヒロインの子がマイキーとお兄ちゃんを間違えたりするのも、コメディ的な描写に見えて、あれはマイキーが振られるという意味のある描写になってる。

 

あきらかにこれ、「通過儀礼の物語」というバックボーンが背景に見える。そういう意味では「スタンドバイミー」と描こうとしてるものは何ら劣る部分なんか無い。が!グーニーズの面白い所は、そこを背景として匂わせるだけで、表層上は徹底的に子供向け映画として作ってある部分。

 

制作総指揮・原案はスティーブン・スピルバーグ。監督はリチャード・ドナー。そして脚本はクリス・コロンバス。大人から見た、或いは大人が考えるノスタルジーとか通過儀礼ではなく、そういうものを背景に置いて、あくまで子供目線の映画にしよう、という作りになってるのがグーニーズの特筆すべきポイント。これはスティーブン・キングロブ・ライナーでは作れまい。

 

スピルバーグとコロンバスは子供向け映画を沢山作ってるので、そこはわかりやすいですが、リチャード・ドナーは友達で仲良しっていうだけでなく「オーメン」も「スーパーマン」もそうなんだけど、悪魔とか超人とか荒唐無稽な存在を、本気で信じて作品を作る誠実さですよね。グーニーズで言えば、大人から見た世界では無く、あくまで子供から見た世界を信じて誠実に作ってある。

 

割と有名ですが、グーニーズには未公開シーンがあって(DVDとかで普通に見れる)大ダコが出てくるシーンも撮影されたたんですね。でも実際作ってみたら、思いのほか陳腐でチャチかったので結局は使わずにカット。普通ね、子供向け映画と割り切るなら、子供はこういうの喜ぶだろうと多少変でもそういう見せ場的なの、残しそうなものですよね。所詮ガキ向けだしと舐めてたら、多分そこは残してただろうし、そこを思い切ってカットしてしまう英断こそが、リチャード・ドナーという人なんだろうなと思います。

 

いや、今見ても決して高尚な映画とかでは決して無いし、子供向けだよなぁという映画ではあるのですが、きっと自分が子どもだった時には、こういう冒険してみたかったな、グーニーズみたいな仲間が欲しかったなと、多分思ったはず。それは大人になってから見る映画の作りの上手さとか、そういう視点とは明らかに違うものだと思うし、スタンドバイミーが100点の映画だとしたら、あきらかにこっちは70点くらいの映画なんだろうけど、絶対に子供が見た時に面白いと思う映画はグーニーズだと思うし、そこって結構重要な部分なのではないかと。

 

例えばね、大人が通過儀礼を描くとしたら、何かしらの痛みをしって大人になるんだ、その世界の理不尽さを受け入れて、ただのイノセントな存在から、人生の痛みや苦さも噛みしめて大人になっていくんだよ、っていう描き方にどうしてもなるのです。でもグーニーズという作品はあえてそこを選ばす、最後は大人たちの問題をマイキーらグーニーズが解決したっていう終わり方を描いてある。やっぱり子供達の視点から見れば、そうやって問題を解決したい所を見たいと思うし、ほろ苦いラストだったな、よりもハッピーエンドの方が楽しいと思う。この辺がね、グーニーズだなぁと思う。

 

以前に何かの映画の感想でも書いてたと思うのですが、この時代の80年代とかの雑なんだけどとても良い映画みたいなのって、ただ今の視点で切り捨ててしまうのはちょっと勿体無いなと感じていて、こんな映画感想ブログとかやってる身で言うのもどうかとは思いつつ、映画評論家でも無いただの映画好きな素人が、この部分の整合性がとれていないとか、物理的にここはおかしいだとか、昔と比べてSNSだのレビューサイトだので見る側が大きな声でツッコミ入れたりして、作る方もそういうのも気にしなきゃならないような堅苦しさがあったりして、そこは良くも悪くもな部分はあるよな、とは思ったりする。

 

当然、時代に合わせて何でも変化はしていくものですし、果たして今の子供とかがこういう昔の映画を見て同じように面白いと思うのかどうかはわかりませんが、古い映画の面白さも知ってる身としては、この辺の時代の宝物も、それはそれですごく価値のあるものなんだよな、と改めて思うしだいです。

 

あ、あとね、グーニーズってTV版の吹き替えが良くって、DVD版はダメって意見を凄く見かけるんですけど、私はTV版吹き替え見て無いし、どちらが良いとかはここでは言いませんけど、DVD版はね、マイキーの吹き替えが浪川大輔なんです。今の売れっ子声優になった浪川さんじゃないですよ。子役時代の浪川さんでね、「ガンダム0080」のアルと同じ声がこの作品で聴ける。そこはとても貴重だし、ガノタな私にはそこは結構グッと来るポイントだったりします。

 

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あとグーニーズ解説はこちらがメチャメチャ面白いので是非

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ドラゴンクエスト ダイの大冒険 26~37話

ドラゴンクエスト ダイの大冒険 3 [Blu-ray]

シリーズディレクター唐澤和也
原作:三条陸稲田浩司
TVアニメ 日本 2020~放送中
☆☆☆☆

 

ダイの大冒険、3クール目。
TVシリーズはもう4クール目に突入してそれなりに経ちますが、ちょっとブログでは書くタイミング逃してましたが、youtubeで丁度ここまで無料配信もやってる事ですし、良い機会なので書いておく。

 

バラン編の竜騎衆襲来から、バランとの決着、その次のザムザ編の決着までと良い区切りです。

 

丁度ここからが旧TVシリーズでは描かれなかった部分が初めてアニメ化されるという所ですね。

 

旧アニメ1年分やったのを半年で消化するという、割と急ぎ足で描いてきたのもあって、名シーンの多いダイ大なのに、もう少しじっくり見せてくれても良いのになぁとかちょっと思ってましたが、今度は新しい部分になると、少しペースが遅く感じてしまって、我ながら見てる方はワガママだなぁと自分でも思います。

 

六大魔王軍の半分以上を撃破して、物語的には終盤に向かっていくのかと思いきや、原作は意外とここからの方が長かったりするんですよね。面白いからそれはそれで良いのですが。

 

いかにも総力戦だったフレイザード編からマァムが抜けて、変わりにレオナがパーティに加わるけど、やっぱり前衛向きでは無いレオナだと戦力ダウン感は否めません。クロコダインが頑張ってくれるのですが、ここではダイも戦力外になっちゃうので、バラン編はゲームっぽく考えると、結構キツメなバランスの部分だなぁ~って昔から思ってました。

 

でも流石は三条陸先生だなって思うのは、この後からレオナはパーティの一員としてではなく、違う役割を与えてあげる、ただの戦闘力としてではなく、国を治める姫としての役割を生かすっていう展開が、今見ても流石だなと思う。


やっぱね、基本は少年漫画、ましてやジャンプのバトル物ですから、当時はただ次々に強敵が現れてインフレしていくって言う展開がほとんどでした。にせ勇者パーティとかもそなんだけど、登場したキャラクターをちゃんと生かしていくっていう展開が「ダイの大冒険」という作品の他とは違う部分だなと高評価をつけたくなるポイントの一つです。

 

そしてやっぱりダイと並ぶもう一人の主人公としてポップの見せ場が次々と、一人竜騎衆に立ち向かう姿と、バランへの命をかけた一撃は涙無しには見られませんでした。

 

続いてのザムザ戦。ぶっちゃけ「僧侶戦士」って何だ?感は最初からあったので、ここでマァムが武道家になったのはビジュアルも含めてとても良かったんじゃないかと。あ、一部で騒がれたタイツうんぬんは論外。別にそこがストーリーに関わる部分じゃないし、私は改悪じゃなく改善だと思ってます。

 

あとザムザ戦からチウがパーティに加わるのも好きな部分。
ダイが「自分が人間かどうかで悩んでたけど、あいつ(チウ)見てたらバカバカしくなちゃった」っていうシーンは大好きなシーンです。


なのでお願いだからOPとEDの仲間並びみたいなシーンでクロコダインとチウも並べて欲しいと実は思ってます。別に人間だけじゃ無くて良いじゃん。そりゃ最終的には戦力外っぽくなってはしまうけど、この時点では全然そんな事無いし、ヒュンケルだけでなくクロコダイン居ないとこの辺は積んでる場面も多いぞ!?と強く言いたい。

 

あとね、ここまできて遂に出ました。私の座右の銘。いやそこまででもないけども。

 

「よく覚えとけ。魔法使いってのは、つねにパーティーで一番クールでなけりゃならねえんだ。全員がカッカしてる時でも、ただ一人氷のように冷静に戦況を見てなきゃいけねえ」

 

これ、昔から大好きなセリフで、常々自分に言い聞かせている考え方です。
物事を冷静に分析して、最良の手を打つ。


私は割と昔から感情が薄いとか人に言われがちで、多分それは単純に感情を表に出すのが苦手だったのかなとも思うのですが、ポップが好きだったとかも勿論あるんでしょうけど、だったら自分はこっちの道を究めるべきかなとか思って、この言葉を自分の指標にしてきた部分があったりします。

 

今の自分がそれを実践しているぜ、なんて流石に言えませんが、みんなと同じ武器をもって同じ土俵で戦う必要なんかない、一人一人のそれぞれの役割を自覚して、そこを極めた方が結果的には良い成果を得られるんじゃないかなって。

別に私は1番じゃ無くても良いですし、物語の主人公やヒーローになれなくたって良い。脇には脇の良さがあるし、その方がむしろカッコよさを感じたりもする事もあるわけで、私にとっては色々と思い出深いシーンです。

 

で、そういうのを胸に生きてきたので、割と他人からは空気を読まないタイプと言われつつ、みんなはこう言ってるけど、別の見方もあるんじゃないか?とか自分はこう思うけど、っていうのを堂々と言えるような正確になったのはそんな影響もあるはず、と自分では思ってたりします。

 

ただの逆張りで目立ちたいとかじゃないのよ。他人と違う意見を言うなら、ちゃんとそれを裏付けるロジックがなければ成立しないので、その辺は気をつけてますし。だから理屈っぽくなるんだけども。

 

という所で次は4クール目の鬼岩城編でまた何か感想書ければ。

 

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グリーンブック

グリーンブック [DVD]

原題:Green Book
監督・制作:ピーター・ファレリー
アメリカ映画 2019年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。

 

第91回アカデミー賞作品賞受賞作。
どこかでコメディー作品って言われてるを見た記憶があるので、笑える作品なのかなと思って見たんだけど、全然違った。実話ベースで人種差別を描いた作品だったのね。

 

アカデミー賞に関して、よくある白人が黒人を助けるっていうご都合主義な話じゃないか、とか、ドン・シャーリーの遺族から実際の関係とは違うってクレーム入ったりと色々とアヤも入ったようですが、単体の映画として見た時は十分に素晴らしい作品だと思います。

 

アメリカにおける黒人の人種問題とか、私も正直な所はほとんどわかりません。映画のテーマとして取り上げられるケースは多いので、そういうものを見聞きした程度の知識しか無いというのが本当の所です。

 

ただこの映画の面白い所は、白人のトニーも、黒人のドンもどちらも単純な描き方がされていなくて、ただ差別は良くないよね、だけを描いてるわけではないと。

特に黒人のドンの方が、環境とか立場的な部分もあったのかもしれないけど、彼は彼でちょっと高飛車で、学の無いトニーをちょっと見下してるような部分もあったりする。そんなプライドの高い彼も、ある事が切っ掛けで少し不安になってみたり、変化していく姿が見所。

 

対するトニーは典型的な差別主義者なんだけど、彼もイタリア系アメリカ人だったりするし、ヤンキー気質なので、義理堅いし、打ち解けてしまえば仲間意識の方が強くなって、本気でドンの事を心配したりする。この辺の描き方が面白いなと思いました。

 

いやね、私は昔から根っからのオタク気質で、ヤンキー文化を毛嫌いしてたりはするんですけど、学生時代も、仕事をするようになってからもそう言う人も当然周りには一定数居るわけで、つきあってみれば彼らなりの良い部分って言うのは確かにある。


良くも悪くもな部分はあるけれど、ヤンキー文化って基本カラッとしていて、喉元過ぎれば熱さを忘れるじゃないけど、私らオタク的なネチネチ具合が無い。まさしくトニーもそんなキャラクターとして描かれてて、こういうタイプ嫌いだなとは思いつつ、その良さも確かにあるんだよな、と言わざるを得ません。

 

「グリーンブック」っていうものも私は知りませんでしたし、黒人が宿泊したり食事出来る場所が限られていたっていうのも、その差別の根深さに驚かされるし、それは大変だなぁと。

かと言って、ただそんな過去がありましたっていうだけでなくて、それが伝統・ならわし・風習だからっていうだけで思考停止するんじゃなくて、偏見があなた(或いは私)の気持ちから来るものであって、そんなのはいくらでも変えられるんじゃないか?っていうのは現代においても別に変わらないテーマだと思うし、今これを描く事にも十分な意味があるんじゃないか?と思わせてくれる作品でした。

 

ところで、今回ドン・シャーリーを演じたマハーシャラ・アリさん。
マーベルのリブート版「ブレイド」も決まってたりする。映画旧シリーズはウェズリー・スナイプスのビジュアルありきの作品、みたいな面もあっただけに、どんな作品になるのか興味は尽きない所です。

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ハートキャッチプリキュア! 11~20話

ハートキャッチプリキュア!【4】 [DVD]

HEARTCATCH PRECURE!
シリーズディレクター:長峯達也
TVアニメ 全49話 2010-11
☆☆☆☆★

 

1週間に10話づつ無料配信中の2週目です。
いや改めてどの話も面白いなこれ。
プリキュアって基本1話完結なので、結構同じ事の繰り返しで一気見にはあまり適さない部分もあると思うんですけど、ストーリーの引きとかじゃなく、普通に毎回面白いので結局一気に見てしまった。

 

私は御覧の通りのそこそこのプリオタなので、スタッフの名前とかもある程度は気にしながら見てるんですけど、後まで含めれば自分のシリーズとかを受け持つような人も沢山居たりして、なかなか豪華な布陣。

 

シリーズによって勿論違うけど、1クール目の終わりの12話か13話に最初の山場としてそこでロッド系のパワーアップアイテム入手というのが今のプリキュアシリーズは多い。けどハトは最初から使える標準装備でタクトもってるので、ここでのアイテム入手話が無いにも関わらず、上手く話を作ってて、構成とスタッフワークのバラけさせ方が上手い。

 

アイテム入手って、いかにもパワーアップって感じで凄く盛り上がるものの、あれもちょっと欠点があって、売りにしなければならないから、しばらくはその新アイテムでフィニッシュが固定されちゃうんですよね。特別感はなくなっちゃうけど、その分、お?今回は二人でフォルテッシモか、今回はマリンのみのフォルテウェイブか、今回はブロッサムか、とか見てて楽しい。


■11話 アチョー!! カンフーでパワーアップします!!

つぼみがへっぽこな感じでカンフーを習う姿が可愛い。
カンフーマスター?のまさと君の声が長沢美樹(ダークルージュ!)
心の花が枯れるのが、お兄ちゃんで無く弟君というのが捻りがきいてて面白い。


■12話 ドッキドキです! プロポーズ大作戦!!

水のデザトリアンで溺れるマリンが面白い。


■13話 真実が明かされます! キュアムーンライトの正体!!

多分ですけど、私がプリキュアに興味持ったのってこの話かと思います。
今はニチアサで戦隊・ライダー・プリキュア見てますけど、当時は何も見てませんでした。なので、たまたまTVつけてこの話を見て、女児向けアニメとか全然通ってこなかったけど、今はこんなのなのか、凄いなこれって衝撃を受けた記憶がある。

 

ダークプリキュアがメチャメチャカッコ良かったのと、彼女のゴスファッションを見て、え?ゴスって子供が興味を持つ分野とはとても思えないけど、これどういう事なんだ?という疑問が湧いたのを覚えてます。その後色々と私なりにプリキュアを深く掘り下げて研究じみた視点で見るようになっていって、子供達は敵キャラなんか見て無いし、プリキュアは敵が商品展開にも絡まないので、その部分は割と自由に作れると知ってその疑問は解決しました。

 

1話のアバンでムーンライトVSダークプリキュアが描かれて、今回のもそこの回想シーンなんですけど、プリキュアってこんなにカッコいい作品なんだ、って思って、その後毎回では無いんですけど、当時は録画とかはしてなかったので、日曜の朝に早く起きた時はチェックするようになった、という感じだったかと。


この時では無いんだけど、私が最初にプリキュアのフィギュアーツ買ったのもダークプリキュアからだった気がする。

 

9話の再登場時は監督の長峯さんが直接演出を手掛けて、それを受けての今回の13話はシリーズ構成の山田さん(脚本は栗山緑名義)自らが脚本をやってたりと、ここは大事な部分だってのがわかるスタッフワークです。

 

そして今回は月影ゆり回でもあって、たまに「キュア辛気臭い」とか言われちゃう事もあるけど、ゆりさんに関してはキャラデザの馬越さんが徹底的に拘って、前半の登場回は絶対に笑顔とか描かないように修正してたようです。そこは復活までの溜める部分だと。そのこだわりが素晴らしい。

 

しかもこの回、つぼみとえりかが力を合わせて何とかダークプリキュアを撃退する話なのかと思わせておいて、ここでも勝てないんですね。1クール目の締めとしてインパクトが強い話で、たまたま見たそこが私の入口になったっていうのは偶然に感謝したいです。


■14話 涙の母の日! 家族の笑顔守ります!!

ハトを語る時によく取り上げられる事の多い、なみなみの母親回。
いや私も号泣ですよ。衝撃の13話に続いてこの14話を見たらそりゃハートキャッチプリキュアってすげえんだぜ!と言いたくもなる。

 

プリキュア脚本数最多を誇る成田良美さんが脚本で、後にオールスターズの「NS2」「NS3」の監督を担当する小川孝治さんが演出担当。ななみの妹のるみの声が玉川砂記子さんなんですけど、後のNSでエンエン役をやるのも、おそらくはここから繋がってるキャスティングだと思われる。

 

デザトリアン化したときの悲痛な心の叫びがこんなにも効いてくるものかとハトの構造とがっちり噛み合った屈指の良回です。最後の作り物のカーネーションも、きちんと受け継がれるものになってて素敵。

ついでと言っては申し訳ないけど、この話作監も川村女神と豪華です。


■15話 なんと! 生徒会長がキュートな服着ちゃいます!!

今回はいつきの話。
いつきもね~、最初に見た時は、男装をしている女の子って事で、LGBTとかそういうジェンダー的な部分にも踏み込んでるの?子供向けで?とか不思議に思ったんですけど、今回の話を見て、そこではなかったと。

 

武道の家系である明堂院流を病弱な兄の変わりに受け継ぐ覚悟を決めて自分の心を隠して男装をしていると。オンエア当時は多分この話見て無くて、割と最後までいつきの事がよくわかんなかったのですが、後に全部見返して、ああこういう事だったのね、って思った記憶が。

 

家系を、そして兄を守りたいっていういつきの気持ちは、防御重視のサンシャインの守りのプリキュアっていう部分にも重なるし、そもそもプリキュアは基本的に誰かを守りたいっていうのが根っこにあったりするので、そういう部分でも面白いし、最終的に、じゃあ武道はその為にやってただけなのか?と自問した時に、いやそれも本当に自分の「好き」なんだって気付く辺りも含めてとてもプリキュアらしくって面白い。

 

ゲストのお悩みの「自分の心に嘘をつかない」に、いつき自身も重なるテーマになってる辺りが流石。

 

■16話 ライバルはえりか! 演劇部からの挑戦状です!!

ここはやっぱりゲストの高岸あずさ。CVが折笠富美子で、言わずと知れた次の「スイートプリキュア」のたおやかさん。熱血な所は奏より響っぽいけど、ついついハーモニーパワーを合わせるニャ!とか言ってあげたくなります。

演出の常套手段とも言えますが、演劇の劇中劇のセリフとストーリーがシンクロしてるのは流石。演出は後にスマ映画の監督をする黒田さんですね。


■17話 認めてくださいっ! 私たちのプリキュア魂!!

こちらもゆりさん回。
それでいてゲストのお悩み解決話の方の、和菓子屋の息子が親に認めてもらえないのは何故か?誰の為に、何の為に努力するのか?という、つぼえりとゆりさんの関係にも重なる作りになってるのが上手い。


■18話 最強伝説! 番長登場、ヨロシクです!!

ハト屈指のギャグ回(?)
後に「スマイル」のシリーズ構成を務める米村さんが脚本ってのも頷けるかも。

 

キュアファイヤーこと、番君の初登場回でもあって、なみなみと番君の終盤の展開も含めて私もとても好きなキャラです。

 

私も詳しくは知らないんですけど、プリキュア島本和彦キャラみたいなのが出てるぞ、っていうのが本人の耳にも入って、見たらドハマりして同人誌まで書いたとかいうエピソードがあったと記憶してます。

 

番君が描いてる漫画が「ハートキャッチプリキュア」で、つぼみとえりかにそのモデルになってほしいと言うメタなんだかカオスなんだかわからない展開に、クモジャキーが頭からインクに付けられデザトリアンに筆代わりにさせられるという爆笑シーンも楽しい。

 

番君役が置鮎龍太郎で、そのお母さん役が井上喜久子というのも豪華で良い。
あと何気に今回はプリキュア名物の一人原画の青山さん回でもある。


■19話 涙の嫁入り! 父の日の記念写真です!!

父の日回でもあり、あとプリキュアでは割と多い農業回。
そういえば何でプリキュアで農家扱う事が多いのかはこれといった話聞いた事無いな。自然とか食育なのかな?
「オールスターズDX」「スマイル」の大塚隆史演出回。


■20話 第3の妖精! ポプリはかわいい赤ちゃんです!!

ポプリ初登場。
こころの大樹の描写もあるからか、シリーズ構成自らの脚本。
あとラスボスのデューンが初登場ってのも大きいか。
ひまわりモチーフというのもあるんだろうけど、こころの大樹を守るポプリのバリアが東映の系譜としての光子力研究所のバリアにも見える。


という所で次の21~30はキュアサンシャイン登場編。
その後のムーンライト復活まで多少ダレるかなぁ?という気もしなくもないんですけど、今回見返してて、特にメインストーリーに関わらないような話でも全然面白かったですし、また一気に行けるかな?

改めて、ハートキャッチ面白いな、と熱が上がってまいりました。

 

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スーペリア・スパイダーマン:トラブル・マインド

スーペリア・スパイダーマン:トラブル・マインド (MARVEL)

SUPERIOR SPIDER-MAN: A TROUBLED MIND
著:ダン・スロット(ライター)
 ウンベルト・ラモス、ライアン・ステグマン、(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2017年
収録:SUPERIOR SPIDER-MAN #6-10(2013)
☆☆☆☆★

 

ピーターとオットーそれぞれの選択――
ヒーローとは何か?
スーペリア・スパイダーマン待望の第2弾!

病に冒されたオクタビアスは、スパイダーマンの肉体を奪う事で一命を取り留
めた。その記憶をも手に入れた彼は、スパイダーマンの使命の重さを痛感し、
その名を継ごうと決意する。一方、意識のみの存在となったピーター・パーカー
は、全てを取り戻すべく手を尽くすが、その間もオクタビアスは、彼なりの正義
を貫き、新たな火種を振りまいていく。スパイダーマンという器を巡る二人の
男の争いは、やがて大きな選択に辿り着くのだが……。


スーペリア2巻目。いやもうメチャメチャ面白い。
アベンジャーズスパイダーマンの異変には気付き、その正体を疑うものの、肉体のデータ上は本人である事が確認出来た上ではどうしようもなく、その素行を理由にアベンジャーズの資格を一時剥奪する事しか出来ない。

 

MJらピーターに近い一部の人もその異変には気が付いているものの、どうにもならないというもどかしさと、スーペリア・スパイダーマンなりにピーターとは違う形で正義を貫いていく姿にやきもきさせられる。

 

1巻目にも書いたけど、単純に入れ換わって悪のスパイダーマンになったとかじゃないのが物凄く面白い部分。小人症のアナ・マリア・マルコーニの話もそうだし、一応ヴィランだけど、実質ヴィジランテでもあるカーディアックとかにも、衝突の末、きちんと彼の理由を理解し、手助けをしてやる姿は、確かにピーターとは違うヒーローではある。

 

そして遂にピーターの精神が残っている事に気付き、精神世界内で再び対決の時を迎えるのだが・・・ここがもう死ぬほど名場面すぎる。


ピーター・パーカーを支えてきたもの、ここがもう映画とかでは積み重ねられないこれまでのコミックの歴史があって、その礎の上にピーター・パーカーは立つ。ピーターの顔を脱ぎ捨てた時、そこにはアメイジングスパイダーマンが居るっていう描写も素晴らしければ、オクタビアスの仮面を脱ぎ捨てた時・・・っていうのも凄い。

 

まあね、そのはアメコミなんだからピーターはいずれ復活するでしょと言えばそりゃそうなんだけど、長いスパイダーマンの歴史の中で重要な1ページとしてこのイベントなりストーリーアークが刻まれた瞬間みたいなのが読めてメチャメチャ面白かった。(「スパイダーマン:ライフストーリー」でもスーペリア部分はちゃんと残されてましたしね)

 

そしてピーターの意識を消し去ったオクタビアスは、より進化したスーペリア・スパイダーマンとして犯罪との戦いに再び身を投じるも、それに業を煮やした新たな組織が暗躍を始めた。その党首はゴブリン・キング!といった所で次刊へ続く。

 

次は3巻「スーペリア・スパイダーマン:ノー・エスケープ」です。

 

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魔進戦隊キラメイジャー公式完全読本

魔進戦隊キラメイジャー公式完全読本

OFFICIAL PERFECT BOOK
KIRAMAGER GLITTERING MAGINATION
刊:ホビージャパン HOBBY JAPAN MOOK 1098
2021年
☆☆☆☆


『魔進戦隊キラメイジャー』のキラキラ輝ける軌跡を主要キャスト&スタッフの証言で辿るメモリアルBOOK!
キラッと探訪!カラッと解読!

 

という事で今年も無事出ました公式完全読本。
「ヨドンナ」が前後編らしいので、どうせなら後編待ってからでも良かった気はしないでもないです。

 

やっぱりね、キラメイジャーが本当に面白かったのは、変に奇を衒わず、戦隊の王道路線に、今風の価値観を加えた所が個人的にも一番良かった部分なんですけど、インタビュー読むとメインライターの荒川さんが相当に苦労したっぽくて、そこは意外でした。

 

プロデュサーの塚田さんが明確なビジョンを持っていて、(充瑠君ポジションですよね)そこに合わせたので全体的に上手くいったっぽい印象ですけど、荒川さん、ベテランライターで色々と幅のある描き方出来る人ですし、根っこには王道がちゃんとある作品だっただけに、今回はある意味楽に描けたとか言うかと思ってた。

 

後は公式読本のお楽しみとして、怪人のデザイン一体ごとに詳しいコメントついてるのがやっぱり面白くって、正直私は怪人とかあまり興味無いので、TV観てる時も今回はこんなモチーフなのかとか、なんとなくしか見て無いんだけど、こうしてじっくり見てると、一つ一つ本当にアイデアを絞りだして作られてるんだなぁと感心させられます。


最初は怖い怖いと散々言われたクリスタリア人、マブシーナが太陽でオラディン王は虹、マバユイネが雨で、ガルザが月モチーフ(ロードガルザが満月)になってたなんて、気付いてる人居ました?私はそんなの全然気付いて無かった。まあガルザは何と無くわかるけど、そういうデザインコンセプトが入ってたとかメチャメチャ面白いです。


後は40話の「痛む人」ってエピソードのみ、特撮畑じゃない人が脚本を書いてて、ちょっと「世にも奇妙な物語」的なテイストだなぁと思ってましたが、その辺りについても裏話が載ってて、なるほどと思う所がありました。普通のドラマとしての脚本、そこに戦隊らしさとか、或いはキラメイジャーらしさ、とか色々加味されてくる。しかも戦闘シーンにロボ戦までと、単純なようで実は戦隊の脚本って結構複雑だよね、と改めて感じます。

 

他だと、おもちゃでクリアパーツ使ってキラキラさせるのは簡単だけど、実物のスーツでそれどうやって表現するの?というのに苦労した話とかが面白かった。

 

あと全体的に洋画を始めとして色々な映画の話が出る。特撮、特に東映はそうかな?昔から洋画のヒット作とかが出ると、あっちの100分の1くらいの予算で同じぐらいの映像を作って見せるぜ!っていう東映の系譜みたいなのってあるし、特撮はそもそも弾数が少ないので、特撮好きな人って映画も普通に見る人が多いと思うけど、やっぱりそういうのは大事。


自分も昔はそうだったから思うんだけど、アニメとかは弾数が多い分、映画見てる余裕なんてないよ、ってなっちゃうと凄く人として狭くなっていきがち。例えで出てきたような映画を、知らないなってただスルーしちゃうより、元ネタがあるならせっかくだから見ておこうかな、っていう感覚は養っておいた方がより色々なものを楽しめるようになる、と改めて思う。

 

1年のシリーズの締めくくりとして欠かせない一冊です。


改めて「魔進戦隊キラメイジャー」近年の作品でも「ルパパト」と並ぶ大傑作だったなと思います。

 

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ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結


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原題:THE SUICIDE SQUAD
監督・脚本:ジェームズ・ガン
原作:DCコミックス
アメリカ映画 2021
☆☆☆☆★

 

という事で待望のジェームズ・ガン版「スーサイドスクワッド」遂に公開になりましたので初日に観て来ました。
一応DCEUの10本目っていう形にはなるのかなとは思いますが、ほぼユニバース的な関連とか、前作とは関連性の薄い、これ1本の単体で楽しめる作品になってます。

 

まず監督のジェームズ・ガンと言えばマーベルで「ガーディアンズオブギャラクシー」を成功に導いた立役者です。ほぼ無名でマイナーな原作を自分なりにアレンジして、ある意味好き勝手に作ってしまえたと。私も先入観が無かったのが幸いしてか、原作知らないけどこんなに面白い映画になるとは思って無くて、ビックリしましたし、大いに楽しませてもらいました。丁度昨年も見返しましたがホントに面白い。

 

ただ、結構下品な部分もあって、そこはガン監督のカラーでもあるんだけど、よくマーベルこれを許可したなぁと思いつつ、ガンの過去作の「スーパー」とかも私は観てますし、彼は「悪魔の毒々モンスター」とかのトロマ映画出身で、そこでキャリアを積んできた人でもあるので、「ガーディアンズ~」でもガンなりにこれがギリギリかな?ぐらいに、あれでもおそらくはメジャー大作として控えめにしたんだろうなってのは、何と無く想像は出来る作りでした。

 

そこいくと今回の新スースクは最初からR指定。これはいよいよストッパーを外してくるかな?という期待がありました。ガーディアンズの面々も、基本的にはアベンジャーズみたいなスーパーヒーローの集まりでは決して無くて、アウトローな人達が最終的にヒーローになるという物語でしたけど、今回のスースクは形式上「ヴィランの集まり」ですから、倫理なんてクソ喰らえ的な事は堂々とやれるんじゃないかと。

 

そこは凄く楽しみで、より作家性が生かせるという面白味がある半面、実はちょっとだけ不安もあったんですよね。じゃあ私が観たいのはグロ描写なのかと言ったら、決してそんな事も無いので。
そちら方面の映画、決して毛嫌いしてるわけでも無いし、それなりに観てきてる方ではあると思うんですけど、「人体破壊描写が楽しい」みたいな言い方や見方は今でも結構抵抗があって、ホラー映画とかは大好きなんですけど、血みどろ内臓ぶちまけスプラッタ映画みたいなのは、う~ん・・・ってなっちゃう方です。
そういうのは画面に映さない方が良い、なんて事は言いませんが、そこだけを楽しむみたいなのは、なんか今でも抵抗があります。

 

だから新スースクももしそういう所だけが売りになっちゃってる映画だったら、そこは私はちょっと合わないかも?という不安は少しだけありました。

 

で、それがどうだったかというと・・・いやもう流石ジェームズ・ガン監督でした。そういう派手な描写を売りにしつつも、物語やテーマ性、社会へ向けた視点とかもきっちり描いてある。そこは流石だし、ある意味でMCUメソッドみたいなものが生かされてる気がして、ただの派手な悪趣味映画ではない辺りが素晴らしかったと思います。

 

以下はネタバレありなのでご注意を。

 

 

 

この映画で一番好き、一番良かったなぁと思ったのはネズミ使いのラットキャッチャーでした。

 

いやね、たまたまですけど、丁度この映画を見る前に某有名インフルエンサー様がホームレスなんか社会の役に立たないから死んでも良い。自分はホームレスに税金使われるなら猫に使って欲しい、的な事を言って炎上してました。犯罪者と同じでああいうのは殺していいんだとも。

 

最低だと思いました。勝ち組の理論だし、そこは自民が政権を握る資本主義国家という構造そのもののマイナス面で、彼個人だけの問題ではないな、と思うし、そこについて論じたいわけではないのでこれ以上は語りませんけど、「ガーディアンズ~」もそうですし、世間には何あれ?って疎まれるトロマ映画出身のジェームズ・ガンって、視点が社会的弱者の方に向いてて、こんな奴らかもしれないけど、彼等は彼らなりに頑張ってるんだよ!っていうのをずっと描いてきてるわけですよね。

 

DCからオファーがあった時にも、DCのどのキャラ使っても良いですよ、何なら「スーパーマン」やってみませんか?っていうオファーだったらしいんだけど、少し考えて、ガンは結局「スーサイドスクワッド」を選びました。そこってやっぱりスーサイドの面子が、刑務所に入れられてる犯罪者ではあるけれど、国家にいいように使われる社会的弱者という部分があったからだろうというのは想像できます。スーパーマンよりもこっちの方が自分の描きたいテーマに合ってるからっていう。

 

鼠はみんなから嫌われてるけど、彼等は彼らなりに一生懸命生きているし、一つの命である事に変わりは無い。

そんな事を言ってくれたのは私の心にグッと響きました。


親父がタイカ・ワイティティだし、2世は日本語版だと悠木碧が声やってるし、今回の一番の押しキャラです。原作知らないんですけど、2世は映画オリジナルキャラだとか?

 

ただ、そこに文句をつけるのはおこがましいのですが、これでマーベルは「スクイレルガール」の映画化は遠のいたなって思ってしまったのだけが残念ポイント。スクイレルガールは鼠がリスになってるだけで、見せ方とか見せ場の作り方はほぼ同じようになっちゃうキャラなので、そこだけ、あっ!先にやられちゃった?とか思ってしまいました。DC「アクアマン」も面白かっただけに、マーベルの同じようなキャラの「サブマリナー」はアクアマンの後だと似たようなビジュアルになっちゃうだろうからこれ作りにくいだろうなと思ってしまったのと同じ感覚です。

 

で、そんな社会的弱者の描き方もあれば、アメリカのマッチョイズムの化身としてのプロレス出身ジョン・シナ演じるピースメイカー。彼はアメリカを守る為なら他国がどうなろうとかまわないという個人主義として描かれる。アマンダ・ウォーラーもそうでしたけど、彼女の命令に反して、生き残った数名のスーサイドメンバーが、目の前の命はほおってはおけないと、再び町に戻る姿ってカッコ良く無かったですか?ただの悪党がヒーローになる瞬間ですよね。

 

インフルエンサーはもしこの映画見たら、こんなの欺瞞だとか左翼の人道主義だとか思っちゃうんでしょうか?目の前に困ってる人が居たら助けようとするって当たり前の話じゃありません?自分の利益にならないから放置する、むしろ心では死んでほしいと思ってる。いや人としてそれヤバくないか?大丈夫なの?と逆に心配になってしまいます。

 

あの見た目からしてヤバイ、ノーマンベイツ君ことポルカドットマンでさえ勇気を振り絞ってヒーローになろうとした。もう頭は狂ってるハーレイクインでさえ、子供は殺しちゃいけないとか最低限の倫理をここにきてようやく自分なりに成長してきている。どんなクソ野郎でもさ、輝く瞬間はあるっていう描き方が素晴らしい。

 

今回の主人公とも言えるブラッドスポート。前作のウィル・スミス演じるデッドショットと凄く共通する部分も多かった。前作も私は決して嫌いでは無いですが、今回と見比べると明らかに違いがわかってしまいます。前回もきっと同じような事をやろうとはしてたんだろうな、とは思うんだけど、悪役とか言ってる割に言う程そんな悪い奴にも見えないし、さほど普通のヒーロー映画と変わんないのでは?という印象でしたが、今回はまずこいつらヤベー奴じゃんっていうのを描いておいて、クライマックスにようやくヒーローとしての姿を描くと言う、きちんとした起伏をつけてある。

 

こういうとこに正直差が見えましたね。あと前作はキャラ紹介を工夫も無く延々と繰り返したり、今回は思わせぶりな冒頭のチーム結成から、それを捨て駒として早々に全滅という工夫も面白い。あとスターロがバカバカしいんだけど非常に怖い。そして気持ち悪い。このセンスはなかなか他の人には出来無さそうな感じだなぁと非常に面白く観れました。あと犬人間ウィーゼルも面白かった。
それでいて、ただのバカ映画をやりたいだけじゃなく、ちゃんと映画として完成度の高い物を目指すっていう辺りがまさしくジェームズ・ガンの手腕というべきものでした。


これは「ガーディアンズ3」も期待出来るし、DCも最近はユニバースとしてより単発でどんどん面白い作品が増えてきてますので(次は予告解禁されてた「ザ・バットマン」なのかな?)アメコミヒーロー好きとしては嬉しい限りです。

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