僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

www.youtube.com原題:Avatar: The Way of Water
監督・脚本・原案・制作:ジェームズ・キャメロン
アメリカ映画 2022年
☆☆★

 

年明け一発目の映画館、ようやく「アバター」続編を見てきました。
前作を見返して、いやこれ家で見るもんじゃねーなと、モチベーションはただ下がりだったんですけど、逆に言えば映画館で見なきゃ意味の無い作品とも言えるわけで、じゃあまあそこは仕方ないと重い腰を上げる。

 

前作からもう13年も経っちゃったんですね。3D映画の真打ちとして特別な地位を築いた前作ですが、あれから13年。まだ3D映画ってやってるんでしたっけ?あっても基本私は3Dとか選ばない派。一時の流行、入場価格を上げる事に意味があったとしか思えない中、そっからの技術革新も無いのにまたアバターなんてやるとか、過去の栄光にしがみつきたいのかこの人?とか内心思ってたら、なんと今度はフレームレートをいじってきた。

 

映画界隈だと、ここのハイフレームレートの説明に苦労してる印象を受けましたが、ゲームやる人にはフレームの説明って特に必要無い奴ですよね。10年前にゲーム止めた私でも、「バーチャファイター」とか経験してきた身としては、当時からフレームの事は基本としてありました。

 

映画は秒間24コマ。24フレームです。それを60フレームにしたらどうなるんだろう?という興味はありました。映画って一方的に見るだけだし、画像がなめらかになるとかそこまで意味あるのかな?

 

実際に見てみると・・・・

 

 

・・・

 

 

しょぼっ!

 


画面が超絶にチャチい!

 


いや物凄く滑らかに動くんです。でも、ゲームと同じフレームにしたら、思いっきりゲーム画面に近い感じになって、映画としての質が一気に下がった。

 

え~?この技術って今後浸透する?10年後とかこの秒間60フレームが基本になったりするのかな?それともやっぱり違うよねってなって3Dと同じく一時の流行で終わる???

そこはとても気になる。

いやね、技術的には凄くて画質としては決してしょぼくはないはずなんです。


物凄く慣れない感じで違和感が大きいのと、それがゲーム画面に酷似してるから結果として言葉としては「しょぼい」って言い方になるんですけど、個人的な感覚で一番近いなってなったのは、日本の特撮。実際には特撮に限らず低予算映画とかドキュメンタリーなんかもそうですけど、フィルム撮影からデジタルビデオ撮影に変化した時の、あの感覚が私の中では一番近かった。安っぽい映像に見えるっていうあれです。

 

私は別にフィルム撮影とかフィルム画質にこだわるような人じゃないんですけど、デジタルビデオ撮影に変化してった時期の、あのくっきり画面。凄くTVっぽい画質を見て、ああやっぱりフィルムでの映像って違うものなんだなと感じたものでした。

 

今回のアバター2みたいなものもね、見慣れてしまうとそんなに気にならないのかもしれませんが、CGっぽさ、ゲーム画面っぽさが不思議な感じ。
決してゲームを下に見ているわけでもないのですが、なんかゲームのデモ画面やムービーシーンを3時間見せられているような感じで、なんかモゾモゾしました。

 

これが新しい体験だ!っていうワクワクより、変な物を見せつけられている感覚の方が勝ってしまって、前作はまだ新しい3D体験っていうのは確かにあったのに、今回は新しいんだかこんなの20年前のゲーム画面じゃねーかと思うかどうかで評価は違ってくる気がします。


画質とかは凄いはずなんです。でも電気屋の前のTV販売とかで、大画面4K画質とか見るとね、へぇ凄いね綺麗だね。でもこんなの高い金払ってまでいらねぇ~!ってなるのと同じです。

 

ちょっとアバターとはズレた話しますけど、「バーチャファイター2」が出たのが1994年です。あれのアドバタイズ画面(デモ画面)ってあの当時ゲームやってた人の大半が衝撃を受けたと思うんですよ。

前年に出た「バーチャファイター」の1も衝撃は凄かったんですけど、バーチャ1は秒間30フレームですし、テクスチャ無しの生ポリゴンでした。(逆にそこが味があって好きですけど)2から60フレームになって、テクスチャも張られて大分リアルな方向に近づいたんですよね。で、そのデモ画面を見て、まるで本物の人間が動いているようだと誰もが感じた。


あれって、当時はモーションキャプチャーの出来が良いからリアルな動きに思えるんだろうなと思ってたのですが(ゲーム画面自体は空中コンボとかのあるゲームなので実際は決してリアルでは無い)、そうじゃなく秒間60フレームなのが凄かったんだなと後になってから知ることになりました。

 

30フレームと60フレームの違いなんてわかるもんかな?だって1秒間の話ですよ?何と無くの近いでしかないのでは?と私も最初は思ってたんですけど、プレイステーション格闘ゲームで「闘神伝3」だったかな?基本は30フレームのゲームなんですけど、オプションで派手なエフェクトとかが出なくなる代わりに60フレームモードにも切り替えられたんです。タイトルやシリーズが違うと意外とわかりにくかったりするんですけど、それは同じゲームで30フレームと60フレームが切り替えられて、え?こんなに違うんだ?ってビックリした憶えがあります。見た目は地味になるけど、圧倒的に60フレの方が動かしてて滑らかで楽しい。

 

ゲームと映画という、メディアの違いもあるので、映画の秒間24コマなんてさほど気にした事もなかったですし、映画なら例えばアニメはもっとコマ数が少ない。
ディズニーアニメは秒間24枚ちゃんと絵を作ってそれを動かすフルアニメーション。だから動きがなめらかだけど、日本は基本的には秒間8コマのリミテッドアニメが主流。その程度の違いや認識しか私は無かったんですけど、今回こうやって「アバター2」はフレームレートを増やすと言う、これまでの映画の常識までいじってきた。

そういう意味じゃ記念碑的な作品とも言えるし、映画好きならそういう特殊な作品として見る価値は十分にあるとは思う。

 

・・・それでもねぇ、私は今回の映画で一番面白いと思ったシーンって、「ジョーズ」もどきのシーン。凶暴なサメっぽい奴におっかけられて、おっかなびっくりドキドキ!みたいな、言ってしまえば3Dを使ったこけおどしのシーン。でもね、そこが正直一番楽しかったよ。

 

映画としてどうこうじゃなく、3D映像ってそういうアトラクション映像みたいなのに生かす方が結局は良い気がする。

 

今回は前作から場所を変えて、海が舞台と言う事でまた違う新鮮さというのは十分にあって、そこは勿論楽しい部分ではありました。

 

ただ前回と同じで、お話がやっぱり微妙。あくまで映像体験こそが作り手の最も意図してる部分で、話はおまけみたいなもんなのかもしれませんが、それにしても色々と気になる感じ。

 

一番嫌な気分にさせられたのは、露骨な家父長制。親父が家族で一番偉いとか、いつの時代の価値観だよこれ、みたいなのが物凄く今回色濃く出てる。キャメロンって基本強い女性が好きな人ですし、前作の時点では奥さんの方にも結構大きいウェイトを置いてた印象ですけど、今回は何でこうなった?嘘だろってくらいの時代錯誤感で、見ていてとても嫌な気分にさせられます。

 

男が偉いんだ、女は黙って男の言う事を聞けみたいなの、今の時代もう最低な人間の考え方ですよね。そういうのが嫌いな人は正直気分が悪くなるレベルで最初から最後までそこを繰り返してくるので、見ない方が無難だと思います。こんな沢山の人に見られる大作で、意識の低い害悪な考え方をよく描けるなと思う。わざとなのかなぁ?

 

私が話を理解出来ていない部分もあるかもしれませんが、何で今回そんなに主人公ジェイクを狙ってくるのかもわからない。前作で、人間は土地の地下資源が目的って言ってませんでした?今回も捕鯨批判みたいな所で、老化防止の薬がとれるとかそういうのもありましたし、別にジェイク関係無くね?その辺が実はよくわかりませんでした。

 

スパイダー君の設定や動き方も意味不明だし、なんかすっかり精神的にもアバター星人になっちゃって、どう?彼らは可哀相でしょ?だから人間虐殺エンタテイメントって楽しいよね、みたいな感じで描いてるのが、凄く気持ち悪かった。

 

せめてなぁ、奥さんの方をもう一人の主人公的に描いた方がバランス取れた気がするし、子供はきっと次回作ですよねぇ。

 

前作を初めて見た時もそうですけど、「かわったものをみた」という部分に関しては好印象なんですけど、それ以外の部分が色々とね、同時に何だかなぁこれという印象もあります。

今回は2本同時撮影だったらしく、24年に3もすぐ見れるらしいですが、今の気持ちだと、よしじゃあ次もまた見てみようと思う気持ちは結構ありつつ、1年後2年後、絶対に「見るのめんどくさいなぁ」って気持ちが勝ってる気がします。

 


またも関係無いですが、60フレームの映像の面白さ。

サマーン星人と

www.youtube.com

レインボー星人

www.youtube.com

声が同じなパッションさんのは無さそう。(前作から続いてネイティリの吹き替え小松由佳さんなんですよ。そこは嬉しいポイント)

これ、当然ですけど元から60フレームなはずもなく、プログラムで疑似的に60フレームにしたものっぽいんですけど、フレームレート上がる事で手書きのアニメでさえもなめらかな動きになるのでビックリしますよね。と同時にやっぱり物凄くゲーム画面っぽくなる。不思議な感覚です。

 

ただこういうの見ると、フレームレートって使い方によっては映像表現としてまた別のステージに行ける可能性はあるのかもしれないな、とは思いますね。

 

関連記事

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

インフィニティ・ウォーズ

インフィニティ・ウォーズ

INFINITY WARS
著:ジェリー・ダガン(作)
 マイク・デオダート他(画)
訳:石川裕人
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2022年
収録:INFINITY WARS PRIME #1(2018)
 INFINITY WARS #1-6(2018-19)
 INFINITY WARS: FALLEN GUARDIAN #1(2019)
 INFINITY WARS: INFINITY #1(2019)
 THANOS LEGACY #1(2018)
☆☆☆☆

 

宇宙にかつてない危機が迫る……
インフィニティ・ウォッチ集結!
無限の力を宿す6つのストーンを巡り、大いなる戦いが始まる

 

マルチバースの再生とともにインフィニティ・ストーンもまた再生を果たした。無限の力を約束するストーンを巡り、様々な陣営が入り乱れた激戦の末、6つのインフィニティ・ストーンは新たに結成されたインフィニティ・ウォッチの手に渡った。ストーンと因縁の深いサノスの襲来を警戒する彼らだったが、サノスを上回る驚異が既に動き始めていたのである。その名は……レクイエム!

 

21世紀の「インフィニティ・ガントレット
とも言うべき注目作登場!


という事で、プロローグ編の「インフィニティ・カウントダウン」に続いて本編「インフィニティ・ウォーズ」が出ました。前回はまだガーディアンズのストーリーラインっぽい印象でしたけど、本編は流石にもっと色々な陣営と話がクロスオーバーしていきます。勿論、アベンジャーズも登場。

 

ただそれでもメイン所は、サノスと共にインフィニティシリーズとは縁の深いアダム・ウォーローック。そしてガモーラと、何とロキが話の中心。今後邦訳版が出る予定の「ウォー・オブ・ザ・レルムス」もそうみたいですが、この辺の時期はロキが割と大きい活躍をするのが続いて、そこはもうMCU版のトム・ヒドルストン人気もあっての躍進というのは大きいはず。

 

サノスを超える存在、レクイエムという新たな脅威。そしてこれまでのインフィニティストーンの流れとして、イルミナティとかが別個に管理するみたいなのをずっとやってきましたけど、今回は定番のイルミナティメンバーでは無く、インフィニティウォッチが管理役として新たにチーム結成。

 

かなりフレッシュなチームメンバーですが、まさかのミズ・マーベルの抜擢。カマラちゃん押しの私は、思わず「おおっ!」と声を上げてしまった。いやここまで大きい存在になってくれたのかと感慨深いです。

 

何で私はカマラ押しなのかと言えば、そこは当然彼女がファン上がりのオタクヒーローだからですよ。今回、大抜擢なのは征服者カーンとカマラ・カーンで名前がかぶったからとかそんな身も蓋もない理由くさいですが、それでも高潔な精神を持つからこそマインドストーンの守護者にふさわしいという辺りはグッと来る部分でした。

 

私自身が実際に高潔な精神してるかは微妙な所ですが(闇もいっぱいあるので)プリキュアとか戦隊とか好きだからこそ、せめて誠実であれとか、人にやさしくしたいとかそういうのをヒーローから学んでるわけじゃないですか。そういう部分でね、カマラ・カーンもヒーローたちの背中を見てきてそこにあこがれたから今の地位があって、その高潔さを引き継いでいる存在みたいに言ってもらえるとね、そりゃあ嬉しいわけです。

 

そして新たな脅威、レクイエムさん。かつてのサノス同様、世界の命を半分にしようと試みます。果たしてその結果は・・・。

 

って、

 

いや、

 

あの、

 

これはある種のツッコミポイントなのでしょうか?

 


昔からアメコミ読んでる人は間違いなくこう心の中で突っ込んだはず。

 


アマルガムコミックスかい!

 


まさかのこう来たか!でした。
3冊目の「インフィニティ・ワープス」の告知が、いつものこの手のパターンだと「本編では明かされなかったドラマをタイインで掘り下げる外伝!」的な言い方をされる所、「マニア必見」とか変わった宣伝してて、何だろうこれと思ってましたが、ああそういう事なのか。ここのワープワールドで生まれた新しいキャラクターを描くって事なのね。今回も数人ほど出て来ましたが、色々とカオスで面白いです。予想外の新鮮なチームアップと言う感じでした。「インフィニティワープス」がますます楽しみになってきました。

 

あと、ドラックスがこれまでの解説でも、その複雑な人生の顛末みたいなの触れられてはきましたが、今回は解説だけでなく、本編中でもそのドラックスの複雑さが描かれていて、なかなかに味わい深い。映画だとおバカなどっかの惑星出身の宇宙人って感じでしたが、コミックだと実は元地球人だったりして複雑なバックグラウンドがあるキャラなんですよね。

 

そんなマニアックな部分も組み込みつつ、全体的には旧作との差別化をあえて描いて、ネクストステージ、新時代にふさわしいものを描いて行こう的な感覚が強くて、そこは新鮮で面白かった。

 

次の「インフィニティ・ワープス」と、更に次の大型クロスオーバーイベントも含め、楽しみにしてます。

 

関連記事

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

機動戦士ガンダム ヴァルプルギス

機動戦士ガンダム ヴァルプルギス(1) (角川コミックス・エース)

MOBILE SUIT GUNDAM VALPURGIS
漫画:葛木ヒヨン
脚本:冬海レイジ
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全10巻 
2018-22年(連載2017-22)
☆☆☆★

少女を乗せたジ・Oが白きガンダムになる!!

 

2018年からガンダムエース誌でスタートした「ヴァルプルギス」もようやく完結。何故かわかりませんが、設定面が詳しく明かされないまま終わったとういうのもあって、前日譚の「ヴァルプルギスEVE 覚醒前夜」がその後短期連載スタート。ていうか何だこのタイトル。作者の人「まどマギ」とか好きなんでしょうか?

 

作画の葛木ヒヨン氏的には、作中の時代背景こそこの後の時代の話になりますが「アクロスザスカイ」「ラストサン」に続いて3つ目のオリジナルガンダム長編。ただ前2つと違って、今回は脚本は別の人なのですが、その差もあるのか割とドラマとしては読みやすくなった印象。

 

連載時は流し読み程度しかしておらず、正直あまり良い印象は持ってなかったのですが、単行本で纏めて読む分には結構読みやすく、先の読めない展開や、ドラマとしてはそんなに悪くない感じではありました。

 

ただねぇ、設定としてこれはちょっといかがなものかと。
グリプスアクシズ戦役(要は「Z」「ZZ」の時代)が終わった直後。シロッコの生まれ変わりらしき人や、何故か死んだはずのハマーンが出てきて、え?これはどういう事?という感じで話をひっぱる。

 

何これ、死んだ霊を呼び出すイタコ降霊術ガンダムなのかこれ?
ガンダムUC」で福井がトチ狂って言いはじめた「ニュータイプの正体は時間操作能力スキルを持つ超能力者。これで過去のガンダムの全てのつじつまが合います」という、トンデモ言説の延長にある作品なのかなこれ?という感じでしたが、その前の段階でした。

 

フル・フロンタルがシャアが宿れるようにした器としての強化人間だったように、今回のシロッコ風の少年はシロッコが万が一の為に用意していたクローン体でした、という話。ハマーンの方も当然本人では無かった。

 

本編に出ていたあのサブキャラがこっちの話とリンク枠は、シロッコの副官のハイファン。まあ、あのシロッコに艦長を任されてるくらいの人でしたし、確かに本編では特に生死が描かれるわけでもなかったので、そこが残党を率いるという発想はわからないでもない。

 

でも、ネオジオンの方ならまだしも、シロッコ木星船団がクローン技術を使っていたとか、「体を通して出る力だと?そんなものでMSを倒せるものか!」っていうシロッコがオカルティックな準備をしていたとか、ちょっと考えにくい。

 

しかもガンダムタイプを作ってたというのも微妙な所。一応、劇中では本来はティターンズガンダムマークIIを作ってたわけで、それを象徴としようとしていたのを奪われたので、シロッコにもガンダムの制作を依頼したっぽい的な事が若干触れられてはいる。

 

ただこれがねぇ、ジオの外装の中からガンダムが出てくると言う謎のおもしろ仕様。ドムの中からビルドバーニングガンダムが出てきた!みたいなオーバーボディ方式なんですよねこれ。ジオがガンダムに変形するんじゃないんですよこれが。でもその割に、顔だけフェイスガードが閉じてアンテナも収納してジオ顔にも変形するという中途半端さ。メッサーラとの合体も含めて、ビルドシリーズなら面白いメカだけど、宇宙世紀としてはこれどうなの?感が否めない。

 

細身のキュベレイとか、デンドロビウムがMS形態に変形とか、ギャプランガンダムとか(それもう「AOZ」にも居るけど)、ビルドシリーズのネタとしてはカッコいいし面白いデザインなんだけど、なんか色々とぶっ飛んでるなぁと感じます。

 

と言っても、私は設定重視とかするタイプでもなかったりするので、こういうの笑って済ませられるし、テーマやドラマが面白ければそれで十分ではある。思ってた以上には読めた作品ではありましたが、手放しで喜べるかと言うとう~んこれはちょっと。


意外と面白くはあったんですよ。途中で死ぬ死ぬ詐欺かまして結局何とも無いセイン大尉とか、描いてる内に作者の思い入れが深まって筆が乗っちゃった結果だろうなというのは読んでて楽しい部分です。前半のZIIの活躍とか凄く良かったですし。後半のデルフィニウムもね。

フレドリカ艦長とか、ファーヴニルパイロットで強化人間のアリーゼとかも、話を作っていく上できっと勝手に動いちゃったのでしょう。そう言う所は素直に面白い。

 

たださぁ、アクシズショックを合理的に解釈しようとした「UC」と同じで、あのジオの動きを止めた奴をグリプスダウンとか称して技術的にどうこうとか深堀りするより、やっぱりどこか浮世離れ足したシロッコとは何だったのかを再解釈するみたいな話の方が面白かったんじゃないかという気がします。多分、シロッコってどんな人?と質問して、こういう思想の人だったよねって説明できる人は少ないと思う。いや、もしかしてそれをやったつもりなのかもしれませんけど。

 

カルト集団とかじゃなくてさぁ、例えばシロッコのモデルは中東の石油王なわけじゃないですか。「石油」じゃ無く、宇宙世紀らしく「木星のヘリウム採掘」にしてあるけれど。
ドバイの高層ビルとかもそうですし、政界、経済の世界とかでも色々と影響力あったりするわけじゃないですか?現実の世界でも。なんかそういうのと絡めて、現代的なシロッコの再解釈とかあればそれはそれで凄く面白いキャラだとは思うんですよ。実はシロッコにはこういう側面もあったっていうだけでも面白くないですか?

 

例えば「ジョニー・ライデンの帰還」でゴップの有能さに焦点を当てたじゃないですか。あれ、斬新だし私の中でも凄く面白い部分だったんですよね。
これまでは無能な官僚の象徴みたいな人でしたけど、実際の政治ってこういう人の方が多くてそれが実状だったリするし、そこにリアリズムや現実との接点を感じられて凄く面白かった。

 

カルト教団もある意味、今では時事ネタみたいなものではありますが、こういう漫画的なものではなく、現実の社会と結び付いた問題として描いてくれた方がずっと面白いんですけどねぇ。

 

そもそもヴァルプルギスってドイツとか北欧の文化で、キリスト教圏で行われている行事じゃないですか?そうじゃなく、そこでイスラム文化とかやった方が面白いのになぁと思ってしまう。ガンダムという狭い世界の中の設定遊びでしかないよりも、そういう社会や文化を重ねるだけでぐっと深みが増すと私は思う方なので。というか富野がそういう事をやってるわけですし。

 

設定遊びは設定遊びで面白い部分はあるんですけどね。私もガンダムオタクですから。今回、実は私が一番盛り上がったのはサイコフレアという秘密兵器でした。おお!何これプロトタイプエンジェルハイロゥじゃん!そうか木星人の発想なのかあれ、っていう感じで面白いネタでした。

 

元々、最後のタイタニアIIは予定外で入れたそうですし、無理矢理入れたものより、最終決戦感があって良かったです。
そもそもタイタニア「2」って何だよ?タイタニアって「Gジェネ」で設定されたジュピトリスの最終MSですけど、その後何かの作品で消化しましたっけ?2って名前にしちゃったらどっかに1も居る事になるじゃん。後々他の作品で使えるようにわざと残したんでしょうか?

 

最初に書いた通り、前2作と比べると思ってた以上には面白かったんですけど、良い部分悪い部分両方ある感じの作品かなと。

 

公式外伝として始まった「ラストサン」がその後ほとんど拾われて無い気がしますが、オーヴェロンはゲームにも出たみたいですし、そこそこの分量もあるので(劇中の時間はさほど長くないのですが)
U.C.0089「ヴァルプルギス」
U.C.0090「ジョニー・ライデンの帰還」
U.C.0092「ムーンガンダム
と並びも良い感じなので今後上手く生き残っていく可能性はありそう。
単純にメカデザインはカッコいいと思いますし。

 

機動戦士ガンダム ヴァルプルギス(10) (角川コミックス・エース)

 

関連記事

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

機動戦士ガンダム 水星の魔女

Mobile Suit Gundam THE WITCH FROM MERCURY
監督:小林寛
シリーズ構成:河内一楼
TVアニメ 2022-23 Season1 全12話
☆☆☆☆

 

「水星の魔女」シーズン1終了。シーズン2は4月からのようです。
最初に情報が出た時は、どんなもんかねぇ?くらいの感覚でしたが、先行公開された第0話的な「プロローグ」編が予想以上に面白く、これは結構楽しみ!と本放送がスタートしてからも、これが毎回面白い。

 

1シーズン観終わってみると、やはり最初の作品コンセプトでもあった、「今の世代の為のガンダム」というのが色濃く出てる作品だなぁと。ラストもそうでしたけど、Z(ゼット)世代向けっていう感じでしたよね。

 

恐らく、作ってる方はうるさがたの昔からのマニアには無視されようが低評価を受けようが、新しい世代や新しい層に受け入れられればそれで良い、みたいな覚悟の上で作ってるんだろうなと思います。

 

映画「閃光のハサウェイ」が、マニア向け路線で作ったものの、何故か知らないけれど、若い世代にまで予想外に受けて大ヒットを記録しました。
データ的な物があるわけではありませんが、ここはコンテンツの力だと思います。それだけパイが大きかったというより、有名コンテンツだから一度くらいは触れてみたい。シリーズ沢山ありすぎてよくわからないけど、わからないなりに新しい奴ちょっと見てみようみたいな人が多かった印象。多分、その流れを「水星の魔女」も引き継いでいた感じが凄くしました。

 

毎週のバズリ具合なんかも含めて、新しい層が「話題作」という感じできちんと見ている感じ。それこそ近年は「倍速視聴」みたいな事も問題になったりしますけど、要はそこってサブスクとかも含めたコンテンツ過多の中で、話題に乗り遅れないようにと、作品を楽しむと言うより、知識として入れたいから見るみたいな事が言われてるわけじゃないですか。要はそんな中の「話題作」の一つに「水星の魔女」も入れたんだろうなと思う。

 

過去にも色々な記事で何度も書いてますけど、どの作品も作り手はヒットさせたいと思って作ってるけど、大半はそう上手くは行きません。受け狙いだろうが、実際に受ける作品に仕上げてきたのは、それはそれで立派な事だと思います。
だってバンダイナムコグループの中でも、色々抱えてるコンテンツの中でも「ガンダム」がぶっちぎりのトップで規模が大きいんじゃなかったでしたっけ?何十億、何百億というビジネスなわけです。未だにエアリアルガンプラも買えないですし、ネットでのバズリ具合も含めて、話題性抜群の大ヒット作としてちゃんと結果を出せて良かったですね。


じゃあそんな新規層だけが楽しめるものなのかと言えば、昔ながらのガノタやってる私も十分に楽しませていただいています。

まずガンダムを「呪い」としたセンスが抜群に面白い。これもまた作品を作るきっかけにもなった、ガンダムというタイトルがついてるだけで観る気が失せる。それはおっさんの為の物にしか思えないから的な意見を反映させた、物凄くメタフィクションなネタでもあるからです。視聴者としてもそうですし、作る方も規模が大きすぎるが故の重荷にもなる。それは過去の遺物であり、遺産にもなりえるものの、同時にそれは呪いでもある。

 

と同時に、スレッタ、ミリオネ、グエル、シャディク、エランと学生の若いメインキャラクターと共に、その親を同時に描く。親の呪縛と、それをどう乗り越えて行くのかをちゃんとストレートにテーマとして描いている。

 

思えばファーストガンダムニュータイプ論だって、基本は単純な世代論だったはずです。前の世代を乗り越えて、自分達が新しい時代を切り開いて行くんだ!という物凄く単純な世代論。それを考えれば、水星の魔女の親子の描き方も、必然と言うかちゃんとガンダムの系譜に連なる物語でもありました。

 

特に12話の最終話。最後の最後に物凄くインパクトのあるシーンでクリフハンガーしてきましたが、そこに至るまでの話は、ミリオネもグエルも、親とどう対峙してどう乗り越えて行くのかが描かれる。特にグエルなんて、本人が意図した物では無いにせよ、父殺しというのは古の時代からある男性性の象徴みたいなもんです。

 

女性主人公の物語というのもあってか、グエルは途中はヒロインポジションみたいになってましたし、そこもまた面白かったんですけど、親殺しというトラウマを抱えながらも、それを通過儀礼として大人へと成長していくのでしょう。

 

そしてミリオネは和解の道を選ぶ中、スレッタは結局また親の言いなりになっているわけで、そこもまたグロテスクな関係であり、同時に子供の危うさでもある。そこら辺はちゃんとドラマとしても面白いなと思える部分。

 

12話ってやっぱり短いなぁと思いつつ、各々のキャラはきちんと個性やドラマが描かれてるなと感心しますし、見た目のインパクトがありつつ、ドラマとしてはまだ上手く描かれて無いのってチュチュくらいですよね?というかここの本筋は多分チュチュではなく、ニカ姉の方に軸があって、そこに対応していくキャラとしてのチュチュの配置かなとも思う。

 

ただのバズリワード連発だけでなく、そんな感じでキャラクターも興味を惹かれる描き方になってたのは素直に上手い。

 

そしてやっぱり12話を見たばっかりなので、あの最後を語りたくなりますが、ツイッターとかだとね、学園物に見せかけて最後はきっちりこれがガンダムだってやってきたな的な意見を沢山見書けるんですけど、少なくとも私にとってガンダムとグロテスクさはそんなには結びつくものではないです。

 

勿論、過去のガンダムでグロテスクなシーンはいくつもありましたし、残酷に人が死ぬリアリズムこそがガンダムなんだっていう言説が割と多いのも百も承知です。

 

でもね、基本的には「相手がザクなら人間じゃないんんだ」「コックピットだけを狙えるか?」とかやってきたのがガンダムなんですよ。大概のどのシリーズでも、ファーストキルみたいなシーンでの葛藤は入るケースは多い。でも基本的には「出てこなければやられなかったのに」とか「僕に人殺しをさせないでよ」程度で流しちゃうんですよね。じゃないと「不殺」どうのこうのと、つまんない話になっちゃうから。

 

と同時にね、ガンダムのもつ死のリアリズムや残酷性って、実は人を殺す事より、味方のレギュラーキャラとかがあっさり死ぬみたいな所にもあると私は思う。

 

作作品のインタビューとか読んでるとね、ガンダムなので自分がいつ死ぬかわからないので毎週台本をチェックする時にヒヤヒヤするみたいな話はよく目にします。

人が死ぬような重い話は見たくないっていう視聴者の悩みも、基本的には被害者視点なんですよね。

 

そんな中、あのラストは主人公を加害者に置く事でのグロテスクさの演出というのが面白い部分でした。あれね「ククルスドアンの島」でも同じ事やってましたよね。近い時期に同じような演出を続けてやるってどういう意味があるんだろうか?
実際にロシアが戦争を始めたりした事での時代の空気なのかなとも思うんですけど、アニメの準備期間とか考えるとそこを単純に結びつけるのって短絡的かなぁとも思いますし、私個人としてはそれこそもう10年も経ちますけど、ガンダム立像。いわゆる1/1のモビルスーツの大きさを今はもう体感出来たりする時代なので、これに踏みつぶされたらそりゃ生身の人間なんてペシャンコになるよなぁ。巨大ロボットってアニメで見るからカッコいいのであって、実際あったらそれはヤバい代物だよね、的な感覚が生まれたのかなぁと。

 

しかもね、菜園で育ててたトマトとか、人を救う技術としてのガンドアームとかもこれの為の前振りだったのか?とか考えると、行き当たりばったりではない1クールとしての構成とかも上手く作ってあるんだなと感心します。

 

ビジュアルのクオリティも申し分ないし、デザインとかも嫌いでは無いです。自分達に向けた作品では無いとは百も承知な上で、それでもね、面白いなと思うし、キャラクターに感情移入して見るとかでは無いので、逆に冷静に見てられるような部分もあって、セカンドシーズンも素直に楽しみです。

 

来週以降は「閃光のハサウェイ」「ガンダムNT」「サンダーボルト」のTVエディションみたいですが、そっちはそっちで楽しみ。全部オリジナルの方を観てますし「UC」や「オリジン」のTV版は、今更こんなの見てもなぁと思って結局飛び飛びでしか見なかったんですが、映画尺の分割だと3話か4話分くらいですよね。それくらいならモチベーションも保てますし、多分ですけど、そっちの方も随時感想は書いて行こうかなとは思ってます。

関連記事

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

アバター

アバター [AmazonDVDコレクション]

原題:AVATAR
監督・脚本・制作:ジェームズ・キャメロン
アメリカ映画 2009年
☆☆

 

新作の「ウェイオブウォーター」まだ見てません。
一応は話題作だし、見ておこうかなぁ程度には思うのですが、3時間の長尺はキツイし、そもそも1作目の時点でね、正直あんまり面白いと思わなかったし、そんなのもあったので興味は薄い。

 

というか前作の話、記憶のかなたでしたし、次も観るなら復習しておくかぁと再見。
う~ん、う~ん、う~ん・・・。
私は「パンツァードラグーン」というセガのゲームが好きで、それに通じる部分も多少はあったりするので、そういう面では好きな部分はある。いやそれ言ったら「ヒックとドラゴン」もそういう部分で好きなんですけど。

 

ただねぇ、今回はディズニープラスの配信の普通の2Dで見返したんですが、見事なくらいに感動ポイントが薄い。やっぱり3Dで見てこそ意味がある作りにしてあったんだなぁと改めて思う。
クラゲみたいなフワフワ浮いてる奴とか、そもそも島が浮かんでたりするのって、これって3Dで見せた時に映えるデザインですよね。これ3Dで見るとグッと没入感も深まるんだろうけど、それを2Dで見た時の圧倒的なつまらなさ。

 

3D映画が流行った時に、私が最初に見たのは何だったかなぁ?「怪盗グルー」とかそんなんだった気がする。おお凄い、飛び出すってこんな感じなのか的に思った気がしますが、私は映画館にイベント性は求めないので、料金余計に取られて嫌だなぁ、そもそもが映画料金を値上げするための作が3Dなので、こんなものその時だけの流行ですぐに廃れるんだろうなと、一度は体験した物の、あとはもういいやって時に、満を持しての本格的な3D映画はこれだ的な決定版が「アバター」でした。

 

やっぱり他とは一線を画してました。飛び出すというより、奥行きの方を上手く使ったし、今回見返して感じたように、3D生えする絵作りというのを徹底して作ってあって、確かにこれは凄いなと言う感動はありました。

 

実際にその後の3D映画でもこのレベルの物は私は見て無いと思います。(というか2D版が上映して無いから仕方なく見るしかない時以外は見てませんが)でもやっぱりこれを2Dで見たってどうしようもない。

 

アメリカは侵略・略奪で生まれた国ですから、そういうとこを重ねたり出来るのは多少なりとも面白い部分ではあるんですけど、最後にアバターの方の肉体で今後は生きて行く事にしましたっていうのがね、自分は仮想現実の中のアバターとして生きて行きます的な主張にも見えちゃって、虫唾が走るくらいに嫌いな路線です。

 

古臭い言い方をすれば、バーチャルリアリティとかセカンドライフ?今ならメタバースとかもなのかな?「レディプレイヤーワン」とかでも私が乗れなかった大きな理由の一つなんですけど、そこに軸を置くのはなんとなくわかる。いやでも現実に肉体があるんだし、飯食う時は?仕事は?お金は?そもそも住む場所を確保するだけでも大変じゃ無い?その辺の問題があるのに、何で仮想世界で生きるとか言えるのか全く理解できないんです、それはもう子供の頃から。


例えばそのメタバースの中でお金を稼げる仕組みとかあれば、また違う世界が開ける可能性があるなとは思うんですけど、それでも現実の肉体ってあるわけで、遠い世界のSFみたいに、カプセルの中で生まれてカプセルの中で死んでいくぐらいの事じゃないと無理な話では?といっつも思う。それこそ「デカダンス」の世界みたいに。

 

いやこの映画はそういう話ではないんですけど、そういう思想に近い物を感じて、そこは薄ら寒く感じる、という話です。

 

例えばこれが性同一性障害の人が、別の人生を生きるみたいなものに繋がれば、それはそれで面白くなる話ではあるなと思うし、車椅子の主人公が、アバターの肉体では普通に歩きまわれる、だから戻ってこれなくなるというのも多少なりとも描かれてるので、その部分を深堀したテーマになっていれば、私の中でも興味深い題材になったのかもしれないなと思う。

 

先日もツイッターでたまたま見かけたんですが、当時見て無い人が、この作品が世界興行収入累計1位。(一度「アベンジャーズ:エンドゲーム」に塗り替えられたのをわざわざ再上映して巻き返したりしてましたね)この世の中で最も売れた映画なのはなんかピンとこないという意見が以前からたまにみかける事があって、そのたびに「映画単体としての完成度とかより、本格的な3D映画の真打ちとして、みんな物珍しさで観に行った作品。しかも3D料金と言うチートを使って出した成績であって、当時から中身なんて誰も評価して無かったよ」という説明が必要になってくる。これは今後も同じような人がきっと出てくるでしょう。

 

新作の「ウェイオブウォーター」今度はフレームレートまでいじって、その特別料金も徴収します。う~ん、また新しい世界を見せてくれるのかっていう反面、いやそれ前回と同じパターンの奴では?と、なかなか足を踏み出せずに居たり。

 

でも、どうせ幼稚なガキ向けでしょ?と思ってみた「すずめの戸締まり」も超絶良かったですし、どんなものでも百聞は一見に如かずです。頑張って挑戦するつもりではいますので、そのうち新作の感想も書ける・・・はず

www.youtube.com

関連記事

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

 

Gセイバー

G-SAVIOUR-フルバーション- [DVD]

原題:G-SAVIOUR
監督:グレーム・キャンベル
TV映画 2000年
☆★

 

ガンダム20周年記念作品として作られた、実写版ガンダム
映画では無くTVスペシャルとして作られたものです。
20年ぶりくらいに見返しました。

 

TV放送された時も観ましたし、その後DVDも確保して数回は見てました、当時もそんなには高い評価は得られませんでしたけど、個人的にはこれはこれでそんなに嫌いでは無いかもくらいの感覚でいたかなぁ?

 

今見ると、結構酷いもんです。人間ドラマの部分が基本室内の絵しかないので、スケール感に乏しく、いかにも低予算。ビジュアル的な問題だけでなく、宇宙、しかもガンダム宇宙世紀という世界観の広がりを全く感じさせてくれない作りなのは結構致命的だなぁと思います。

 

食糧危機が背景にあったり、生物発光でその問題の解決をはかる等、結構面白い事はやってるのですが、ドラマ本編だけだと非常にわかりにくい。ただ今回、私はドラマCDの流れがあってこれに入ったので、そこはちょっと面白かった。本編では言葉でしか出てこないリバ博士暗殺の話とかがドラマCD3話で描かれたりしてましたので、思ってた以上に前日譚として機能してるのか。イルミナティ接触する場面のバーとかもドラマCD2話で出てますし、そういったリンクを含めた部分で楽しむのは悪くないかもしれない。

 

話の筋立てとか、結構ハリウッドっぽいなと思えますし(日本のアニメ的では無い)ヒロインのシンシアが黒人女性ですし、助手のコウビィとかアジア人も居る。そこは20年前からしっかりコンプラしてたりもしたんだなと今見ると改めて感じたりもしました。

 

CGで描かれるMSってのもね、当時はまだ新鮮だった時代のはず。PSやSS、DCやPS2くらいまでもう出てたくらいか。私、OPとかムービー部分とかビデオに録画して繋げて見てた記憶がある。当時はそれだけでも十分に新鮮でした。

 

でも当時出たGセイバーのムック本(ニュータイプ100%コレクションだったかな?)でCGでのアクションは予想以上に苦労した的な事が書いてあったのが記憶に残ってます。実は動きはわざと遅くしてあって、アニメと同じテンポで動かすと、あまりに軽い動きになってしまって、巨大兵器の重量感が全く無く、凄く嘘っぽい画になってしまって非常に困った的な事を言ってたはず。

 

ロボコップ」的なギュイーンギュイーンギュイーンって動作を一つづつやる事であえてロボットとしての動きを作ってる感じなんだろうなと。(ロボコップもパントマイムの動きを参考にしてわざとああいう動きを作ったんですよね)

 

そこで私は昔から思ってる部分が一つあるんですけど、それはガンダムじゃ無く、「機動警察パトレイバー」の話。ライバルメカのグリフォンっていう機体が、既存のOSとは違う独自のものを使っていて、他のレイバーと違って、ほぼ人間と同じような動き方が出来るという話が漫画版にありました。でも動いてるアニメだと実はイングラムと大して変わんないんですよ。だからおそらく漫画版を担当しているゆうきまさみの頭の中のレイバーの動きはまさしくロボコップみたいな動きをしてるのが普通であって、そんな中でグリフォンだけがまるで人間、あるいわロボットアニメ的な普通の動き方が出来るという感じになってるんだろうけど、アニメのスタッフ的にはその辺が上手く伝わって無いというか、描きわけとかまでは出来なかったんだろうなとか、昔から勝手に思ってました。

 

今はそういうCGの動かし方とか20年前よりノウハウが出来てるでしょうし、ゲームや実写でのCGだけでなく、アニメのMSも場合によってはCGで動かす時代ですのでそこら辺は上手く解決出来てるんですかね?ハリウッド版ガンダムなんかもその辺は気になる所です。
「MSイグルー」なんかは、MSよりも人間をCGでやってる方がむしろ気になった作品でしたけども。

 

で、そんな見た目の話はね、時代の変化ですから逆に面白味の部分と思えたりもするんですけど、今回見返して、話の方がちょっと酷いなと感じてしまった。主人公マーク・カランって作中の冒頭ではちゃんとミミ・デビアっていう恋人が居るんですね。マークが反逆者に仕立て上げられ危機に陥った時も、彼女に助けてもらって、ましてやセツルメント(コロニー)への脱出まで彼女はついてきてくれる。なのにさぁ、その後急にマークはヒロインのシンシアとイチャコラはじめんの。
え?こんな話だっけ?結構この主人公クズ度高くね?
しかもお話的にもミミの方は酷い扱いされてる。まるで一人のキャラクターをコマのように扱う浅はかさ。そして何食わぬ顔で最後はまたイチャコラ始める主人公とヒロイン。

 

う~ん、当時はお話をそんなに読み込めて無かったのか、こんな高感度の低い話だったっけか?と思ってしまった。

 

当時は、実験的なこの作品を新鮮味でカバーしてたものを、今見るとむしろCGの古さ以外の部分の方に雑さを感じで、結構残念な印象の方が強かった。

 

マニアには有名ですが、この作品におけるジムの位置が「フリーダム」でザクの位置が「ブグ」なんですよね。フリーダムつったら誰がどう考えても今は種のあれですし、「ブグ」もね、オリジンで旧ザクの前のMSがブグって名前にされてしまった。
オリジンは宇宙世紀の最初でGセイバーが最後尾。100年以上離れてますので、Gセイバーのブグは最初期のMSの名前をあえて復刻させてつけたとか後付け設定も使えるかもしれませんが(実際に自動車だとそういう例はいくつもある)単純に「Gセイバー」という作品が黒歴史に埋められてしまって、そういう雑な扱いを受けてしまっているという感じがして、そこもまた微妙。

 

むしろガンダムなんてマイナーな設定を拾ってきて、そこをこじつけて遊ぶ的な方がスタンダードな気がするので、なんかそこもね、Gセイバーがいつかまた日の目を見る事はあるのでしょうか。マイナーな作品という立ち位置自体は嫌いじゃ無いので何か色々と複雑な気持ちにさせてくれました。

www.youtube.com

関連記事

curez.hatenablog.com

curez.hatenablog.com

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

 

仮面ライダーBlack

仮面ライダーBlack 少年サンデー版(1) (少年サンデーコミックス)

著:石ノ森章太郎
刊:小学館 少年サンデーコミックス 全6巻
1988-89(連載1987-88)
☆☆☆☆


「BLACK SUN」ついでに読んで無かったこちらを。
復刻版とかも出たみたいですが、私は数年前に確保して積んでた奴です。
石ノ森版は初代のコミックは確か文庫で読んだ気がする。

 

TVとは別物というのは知ってましたが、別物でありつつ共通する部分もあって以上に予想してた以上に面白い。

 

基本は初代の怪奇路線みたいなのを継続した作風っぽいですが、メタ的に正義のヒーローとしての「仮面ライダー」を名乗るシーンがあったり、実際に活躍するシーンは無かったものの、バトルホッパーなんかも出てくるとは。

 

ゴルゴムも秘密結社でありつつ、破壊と革命を謳う新興宗教的に言われる場面もあったりして、直接ではないけど「ブラックサン」の方にも通じる。

 

意図された改造手術、賢者の石、信彦との関係とかも、小出しにされて、そんなに深くは掘り下げられないんだけど、そこはTV本編やブラックサンとは全くの別物っていう感じでも無いんだよ~っていうのが良かった。

 

むしろ、旧ライダーみたいにゴルゴム組織が世界中でそれぞれ活動していて、結構ヤバい感じになってるのは「ゴルゴムのしわざだ!」があながち嘘では無いくらい結構強力な組織だという感じがして、そこはTV本編よりスケール感があるのでは?

 

丁寧なドラマや社会性なんかも要所要所にあり、そこは流石石ノ森先生です。漫画としてちゃんと読める物になってました。

 

意外な面白味に感じたのは、タイムスリップ的に未来の自分と出会って魔王になるかもしれないという部分は「ジオウ」だったりするし、神々の遺産みたいな部分は「アギト」だし、本来は関連性の無い別の仮面ライダー作品も、同じ仮面ライダーとしては系譜として繋がる部分があるんだなぁと感じられて、そこが予想外で面白かった。

 

多分、今の仮面ライダーを支えているメイン層って、見た目のカッコ良さ以上の物は求めて無いんだと思うし、例えばそういう人達がこの漫画を読んでも、1ミリも面白くなかった。ゴミ以下の駄作っていうだけだと思う。毎週の玩具が楽しみで見てるんでしょうし。それはそれでね、好みだと思うし、「平成ライダーなど認めん!」とか私も一切言う気は無いですし、そもそも私はライダーファンではないのですが、こういう本来持っていた作風から、どういう形で今の隆盛に繋がっていったのかとかは時代や社会背景も含めてそれはそれで面白かったりするし興味のある所です。
まだ仮面ライダーは元が石ノ森作品であるだけに、語られてる方だとは思うし、そこに私は面白味は感じますね。

仮面ライダーBlack 少年サンデー版(6) (少年サンデーコミックス)

 

関連記事

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com